また更新が遅くなりすみません!
第38話です!
では早速どうぞ!
「えー……りなりーの部屋番号はっと……」
璃奈ちゃんが住むといわれるマンションのエントランスに、愛ちゃんを先頭にスクールアイドル同好会一同が押し寄せていた。
俺達は、璃奈ちゃんの話を聞こうと練習が終わった後、走ってここまでやってきた。
俺はみんなに比べて少し出遅れたが、果林ちゃんに追いかけられたおかげでみんなに追いつくことが出来た。
「りな子、出てくれるかな……」
「……どうだろうな」
俺を含め、みんなはそこが心配だった。親がいるのなら、親が出てくれるかもしれないが、もし親が留守ならば、落ち込んでいるであろう彼女が出てくれるかどうか……
そんな中、愛は入口で璃奈の部屋の番号を打ち、インターホンを押す。
ピンポーン、と鳴り、少し間が空いた後、スピーカーからプツリと音がした。
しかし、璃奈ちゃんの声どころか、何も音が聞こえない。多分璃奈ちゃんの部屋と音声は繋がっているはずだが……
「りなりー! いる?」
そんな中、愛が真っ先に話しかけた。
「愛さん、いきなりりなりーはどうかと思いますよ!?」
「あぁ、ごめんごめん! りなりー、この時間はいつも一人だって聞いてたから」
「あぁ……そういえば、確かにそう言ってたな」
璃奈ちゃんの両親は夜が遅くて、休日なんかは大体一人でゲームしたりして過ごしたりしていると言ってたのを、前に聞いた記憶がある。
「今、璃奈ちゃんの声、聞こえた気がするよ……?」
「ホントですかぁ〜?」
少しだけ声が聞こえたようだが、そこからの璃奈の返答はない。
璃奈ちゃんは、俺達の話している内容を聞いてるのだろうか……?
「りなりー。ちょっとだけ、いいかな……?」
愛が落ち着いた口調でそう尋ねた。
璃奈ちゃん……頼む、少しだけ時間をくれ。
俺はそう願った。
そして……少し間が空いてから、マンションの入り口が開いた。
────────────────────
大人数でやってきた俺たちは、璃奈ちゃんの部屋にやってきた。
部屋は電気がついておらず、真っ暗であった。
「璃奈ちゃーん……」
そして、璃奈ちゃんの姿が見当たらないのだ。一体どこなのか……
「ここだよ」
すると、誰もいないところから声が聞こえた。
電気がついたので、声の元を辿ると……
「えぇ!? なんでダンボール!? ……むぐぐ……」
かすみちゃんが思わず驚きの声をあげたが、侑が彼女の口を塞ぐ。
そう、彼女はダンボールの中に入っていたのだ。
まあ、驚いちゃうのは分かるが……な?
「……りなりー」
「ごめんなさい……勝手に休んで……」
「ホントだよ、心配したんだぞ……どうしたの?」
愛ちゃんが璃奈ちゃんが入っているダンボールの前に立ち、しゃがみ込んだ。
「……自分が、恥ずかしくて……」
すると、璃奈ちゃんは少しずつ語り始めた。
「私は、何も変わってなかった。昔から楽しいのに怒ってると思われちゃったり、仲良くしたいと思ってるのに誰とも仲良くなれなかった。今もクラスに友達はいないよ。全部私が悪いんだ」
みんなは神妙な面持ちで、璃奈ちゃんの話を聞いている。
確かに彼女の表情の変化は、一目見ただけでは感じ取れない微々たる変化ではある。その表情を怒ってるだったり不機嫌だったりと捉えられる場合がほとんどかもしれない。実際、俺も最初に彼女と接した時、彼女の心情を汲み取るのに難儀した。
「もちろん、それじゃダメだと思って高校で変わろうとしたけど……最初はダメで……でも! そんな時に、愛さんと徹さんに会えた」
「「っ!」」
そうか……そういう成り行きだったんだな。
俺は璃奈ちゃんの心情が表情ではなく、口調から分かることに気付けた。それは二人でゲームの話をした時に、彼女の声のテンションが上がったことから分かった。
「愛さんとせつ菜さんのライブを見て、スクールアイドルの凄さを知ることが出来た。愛さんと一緒に同好会に行った時に、そこには徹さんもいて……だから私、もう一度変わる努力をしてみようと思えたんだ。歌でたくさんの人と繋がれるスクールアイドルなら、私も変われるかもって……」
璃奈ちゃん……変わろうと思えただけでも凄いのにな……
「でも……みんなはこんなことでって思うのかもしれないけど……どうしても気になっちゃうんだ……自分の表情が……ずっとそれで失敗し続けてきたから……!」
璃奈ちゃんの声色は段々辛そうになってきた。
「もうダメだ……誤解されるかもって思うと、胸が痛くて……ギューって……このままじゃ……このままじゃ……!!」
こんなに自分は辛そうだというのに、俺たちに自分の気持ちを明かしてくれている─────
「私は……みんなと繋がることなんて出来ないよ……ごめんなさい……!」
俺達は、この璃奈ちゃんのSOSに応えたい。
「……ありがとう」
「……えっ」
「璃奈ちゃんの気持ち、教えてくれて……」
すると、侑はそう言ってダンボールの前に来てしゃがんだ。
「うん、愛さんもそう思うよ」
「……私、璃奈ちゃんのライブ、見たいな」
「っ……!?」
「今はまだ、出来ないことがあっても良いんじゃない?」
「……えっ?」
侑の一言に、璃奈は驚いているようだ。
出来ないことがあっても良い───俺も、昔は出来ないことだらけだったな。
「そうですね、璃奈さんにも出来るところ、沢山あるのに!」
「頑張り屋さんなところとか!」
「諦めないところもね」
「機械に強いし!」
「動物にも優しいですよね!」
しずくちゃん、歩夢ちゃん、果林ちゃん、侑、せつ菜ちゃんの順に璃奈ちゃんの良いところを挙げた。
「もー、みんなー! どんどん言っちゃってずるいよ!! ……よーし、愛さんもっ!」
「うわっ!?」
すると、愛ちゃんが璃奈ちゃんを、入っているダンボールごと一緒に抱きしめた。
「ちょっと……恥ずかしい……」
「……ふふっ♪」
璃奈ちゃんが恥ずかしがるほど、大胆な行動をする愛ちゃん。そんな愛ちゃんのおかげで、彼女は変わってきたんだろうな……
「……りな子」
すると、かすみちゃんが声を掛けた。
「ダメなところも武器に変えるのが、一人前のスクールアイドルだよ」
「そうそう、ダメなことは出来ることでカバーすれば良いってね! ……一緒に考えてみようよ!」
「まだ時間あるし!」
そう、まだ時間はある。璃奈ちゃんが何の不自由もなくライブ出来るようみんなで考えるんだ。
「だな! ……璃奈ちゃん」
ダンボールの横にしゃがみこみ、俺はその隙間から見える璃奈ちゃんの目を見て話しかける。
「俺は璃奈ちゃんが持っている心優しさを知ってるからな。例えそれを実現するのが困難であったとしても、心優しい璃奈ちゃんのライブをみんなに見てもらうためなら、力の限り協力するよ。だから……遠慮なく、俺も頼ってくれ」
俺がそう言うと、みんなもうんうんと頷いた。
猫のはんぺんちゃんを拾って、校則に引っ掛かると分かっていてもお世話をしていたり、同好会のみんなのために動画編集をやってくれたり───璃奈ちゃんの心優しさが垣間見える行動を、俺は見てきた。
だから、今度は俺が璃奈ちゃんのために行動するんだ。
「徹さん……ありがとう」
少し不安そうではあるが、さっきまでの璃奈ちゃんとは違って、力がある声だった。
「……璃奈さんとこういうこと話できたの、初めてですね」
「うん、そうだね〜」
「あぁ、確かに、こういう風にダンボールを介して話すのは普段じゃなかなかないよな……」
顔が見えていない。だから璃奈ちゃんの気持ちを知ることが出来たのかな……
「……もしかして……!」
すると、いきなりダンボールを被っていた璃奈ちゃんが立ち上がった。
立ち上がって、部屋のカーテンを開けた。そして……
「……これだ!!」
璃奈の声色から、自信が満ちていることが感じ取れた。
今回はここまで!
同好会のみんなは…本当に優しいですね…このシーンはいつ見ても泣けます。
次回で原作第6話の話は最後になります!
ではまた!
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