今回は果林ちゃんの誕生日ということで!特別回です!
では早速どうぞ!
「ふう、今日も終わった終わった。外はどうなってるか……うわ、嫌な感じの雲……」
春から夏という季節に完全に切り替わり、湿気が高くなって汗ばむこの時期。
どうも、梅雨のジメジメが苦手な高咲徹だ。
今日の授業も終わり、そろそろ下校の準備をしようというところである。そう、普段は同好会の活動があるのだが、今日は久々に即帰宅するのだ。
今日はどうやら学園内で大規模な消防設備点検があるらしく、どの部活動も今日は活動がない。まあ、同好会としてもこんな日はなかなかないから、休むという意味ではいいんじゃないかと思う。
まあそんな訳で、俺はこの後フリーになるのだが……今教室から外を見ると、なんだか怪しい雲が見えててな。もしかしたら、これから雨が降るかもしれない。
これから家に帰るところなんだけどな……今日は家でやるべきことがあって、どこかに寄り道することもなく帰宅するから、出来れば家に戻るまでは持ち堪えてほしい。
そんなことを考えてたら、帰りのホームルームが終わった。一斉にクラスメイト達が席を立ち、荷物を持ってクラスの外へ向かおうとしている。
さて、帰るとするか。
俺は椅子から立ち上がり、バッグを取り出して教室の外へ出た。
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心を落ち着かせるような、水の滴る音が辺り一面から聞こえてくる。アスファルトが敷かれた地面からは、無数の白い飛沫がクリアに見える。
そして今、俺は下校途中─────
そう、結局俺は雨に遭ってしまったのだ。
学校からその最寄り駅までは降らなかったが、家の最寄り駅に着いた頃には既に降り始めていた。しかも小雨程度ではなく、傘を差していないとすぐにずぶ濡れになってしまう程の雨だ。
まあ、俺は幸い折り畳み傘を持ってたので、今それを差している。やはり、折り畳み傘は常備しておいて悪いことはないな。
さて、そろそろ家に着くかな…………ん?
すると、家の共用玄関で雨宿りをする人が俺の目に入った。
あれって……
「……あら、徹じゃない。こんなところで会うなんて奇遇ね」
「よう……ってお前、服濡れてるじゃないか! そのままだと風邪引くぞ!?」
果林の制服は、外見だけで濡れてることが分かってしまうほど濡れていた。傘を持っていない状態でこの雨に遭ってしまったのだろうか? 降り始めてからまだあまり時間が経っていないのが幸いだが、この時点でもそのまま彼女に傘を貸して見送るだけでは、その間に身体を冷やすことになり、高い確率で風邪を引いてしまうだろう。
どうしたものか……
「えっ? ……あ、あぁ、大丈夫よ、平気平気……くしゅんっ」
「あぁ!? ほら、例え気温が低くなくても人は濡れると体温下がるんだからさ! ……よし、ここだと冷えるからうちに来い!」
「えぇっ!? ちょっと!」
すると、俺は果林ちゃんの手を引いて俺の家に連れ込んだ。
今の果林ちゃんのくしゃみで俺は察した。これはマズいと……この状況で、行動を躊躇している暇はない。
彼女はかなり困惑しているようだが、俺は手を引くのを辞めない。これは果林ちゃんのためだからな……!
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うぅ……こういう時徹は頑固なんだから……
……あっ、ハァイ♡みんな、朝香果林よ。
今日は同好会の活動がなかったから、帰りにショッピングモールに寄って帰ろうと思ったのだけど、何故かそのショッピングモールに辿り着けなくてね……
まあ、同好会の活動とかあって、最近なかなか行けてなかったからなのかしら。ついこの前まで毎日のように通ってたあのショッピングモールの行き方も忘れてしまったのよ。
だからその……べ、別に方向音痴って訳じゃないのよ!? ホントだってば!
……まあ、それはどうでも良いのよ。それで少し迷ってたら、雨が降ってきちゃってね。参ったわ……今日は折り畳み傘を持ってきてなかったのよ。家に置いてきちゃったかしら。ふふっ、今日の私はとことんツいてないわよね。
それで屋根がある場所を探して雨宿りをしてたら、徹が来たのよ。
そしたら、彼に凄い心配されて……今に至ってるわ。
まあ、徹が心配性なのは知ってたけど、まさか家に連れ込まれるなんて思ってもみなかったわ……でも、これが不幸中の幸いね。
「よし、鍵、かぎ……あれ、どこだっけか……」
徹がバッグのポケットに手を入れて家の鍵を探しているけど……ふふっ、見つからないみたいでかなり焦ってるわね。ちょっとからかっちゃいたいと思っちゃった♪
「……あった! ……よし、入って!」
「えぇ、お邪魔するわ……」
徹に誘導される形で、ついに私は彼の家の玄関に足を踏み入れた。
当たり前だけれど、徹の家に来るのは初めてなのよね……どうしてなのかしら、何だかそう思うと緊張してきたわ。
そう思いながらも私は徹の家に上がらせてもらって、ソファに座った。
最初は私が濡れてるから座るのを断ったのだけれど、徹が『いやいや! 果林ちゃんを立たせては置けないよ!』と言うものだから……
もう、徹はホント優しすぎるのよ。
それなのに結構からかってくることがあって、その度にイラっと来る時もあったりするし……もう、毎度彼に調子を狂わされてばっかりだわ。
「はい、タオルだ。あと冷えてるからカイロも必要かな……」
「い、いいわよそこまでしなくても! ……これで十分」
「ホントか? ……まあ、流石にカイロはこの季節には暑すぎるか……」
でも悪い気はしないのよね、こうやって徹と一緒にいるの。
……あっ、このタオル、いい匂いだわ。これが徹の家の洗剤の匂いなのね。
何故か私はそのタオルに顔を埋めて匂いを嗅いでいた。
徹の匂い……
ハッ!? ち、違うのよ! このタオルの洗剤がいい匂いだっただけであって、別にて、徹を意識したわけじゃないの!!
「ん? どうした、そんな顔を埋めて……」
「……なんでもないわよ」
「ん? ……よく見たら、顔も赤いじゃないか。もしかして、熱があったりして!?」
「ち、違うから! 本当に何でもないの!」
「そ、そうか……」
……はぁ、ホント鈍感なんだから。
でも、私はそんな徹のことが……
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「……落ち着いたか?」
「……えぇ、何とか……」
果林が濡れた体を拭き終わり、結局雨が止むまで家で待つことになった。
「……そういえば、侑は家に居ないの?」
「あぁ、どうやら同好会の二年生の子達と買い物行ってるらしくてさ。俺も一緒に行きたいって行ったら何故か断られたんだけど……」
「ふぅん……」
果林は少し不機嫌そうに言った。
(私と遊んだことはあまりないのに……)
果林は心の中でそう思った。
「それにしても、まさか果林ちゃんが同好会のメンバーの中で一番早くうちに来るとはな〜……」
「えっ、私が初めてなの……?」
「あぁ……まあ、妹である侑と幼馴染の歩夢ちゃんを除く、って感じかな」
「そ、そうなのね……」
果林はどこか嬉しそうな顔をした。
「……あっ、虹だ」
「えっ? ……あぁ、ホントね」
雨が上がったのか、外を見ると虹が掛かっていた。
すると、徹が窓を開けてベランダに行き、それについて行く形で果林もベランダに来た。
二人が隣り合って、ベランダの柵を両肘の支えにして、虹を眺める。
「……ねえ。虹を見てると、あの子達が思い浮かばない?」
果林が徹にそう訊く。
「ん? ……あぁ、同好会のみんなな。そうだな、みんなそれぞれ違う色で、見てて飽きないんだよな」
「そうなのよね。私もそう思うわ」
みんな違ってみんないい。それが似合う同好会の子達である。
「よし、雨が止んだことだし、そろそろ外出るか?」
「えっ? 何言ってるのよ徹?」
「ん……? どういうことだ?」
「こんな年頃の女の子を無理やり連れ込んで……ただで済むと思う?」
果林は、大人っぽい色気を出しながらそう言った。
「えぇっ!? ……あっ……」
すると、徹は青ざめた。
「ふふっ♪ 覚悟してよね、徹♡」
そしてこの後……侑が帰ってくるまで普通に談笑していたとか。
今回はここまで!
果林ちゃんは割と異性に対しては乙女なのかもしれないという自分の妄想です。
あと宣伝ですが、活動報告を載せさせて頂きました。現在の近況について書いてありますので、ご一読して頂ければ幸いです。
では、また次回!
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