久々になってしまいすみません!
第47話です!
ではどうぞ!
「ふわぁ……」
うぅ、めっちゃ眠いわ……こんなに欠伸が出るのはいつ以来だろうか。
……あっ、どうも。寝不足気味の高咲徹だ。
無事に近江姉妹の想いのすれ違いを解消し、再び平穏な日々に戻ろうとしている。
平日の昼下がり、普段なら俺は授業が受けているのだが、なんと今は欠伸をかましながら同好会の部室へと向かっている。情報処理科の3年生の教室がとある資格を取るためのテストを行う会場になるため、普段より短縮した授業構成になっていたからだ。まあ、使う教室が情報処理科かつ3年生というのは随分と限定的な条件だなと思ったけど。
……まあ、そんなことはどうでもいいか。それより、俺がなぜこんなに眠たそうにしているかが気になるだろう。
きっかけは、東雲学院スクールアイドル部にお邪魔した時、メンバーの一人である支倉かさねちゃんから言われた一言だ。
その直前、マネージャーとしてあの場に来ているにも関わらず侑が溢れるスクールアイドル愛の余り、かさねちゃんのサインを求めていた。俺はそれを止めようとしたのだが、彼女は快くサインをくれたのだ。
俺はかさねちゃんが迷惑に感じていないかと思い謝ったが、彼女は『私たちのことを好きでいてくれて、応援してくれる人がいるなら、私たちはそれに応える。それだけです!』と言ってくれた。その言葉が俺には衝撃的だった。そしてそう思ったのと同時に、まだスクールアイドルについて理解が足りていないんだなと反省した。
だから俺は昨夜、勉強を一通り終えた後ネットや借りてきた書籍でスクールアイドルについて徹底的に調べ、できる限り理解しようとした。
SNSを見ると、様々なスクールアイドルの公式アカウントにおいて日常の風景やメンバーのメッセージなどが多く載っていた。また、雑誌にはスクールアイドルのインタビューの内容を載せた記事が沢山あった。
最初は明日に支障が出ないくらいの時間で終わらせ、寝ようと思っていた。しかし調べて行く内にその作業にのめり込み、気がつくと丑三つ時を過ぎていたのだ。
気がついた俺は慌てて寝る支度をし、ベッドに滑り込んだのだが……まあ、睡眠時間がたったの4時間。俺は少なくとも7時間くらいは寝るようにしていたから、全くもって足りていない訳だ。
朝起きて、いつものように後から侑が起きてきたのだが、俺の睡眠不足に気づいたのか、凄く心配された。
最近夕飯は侑と一緒に料理をするのが日課となってきたが、今日に限っては朝食作りも手伝ってくれた。ホント……夜ふかしはするべきじゃないわ。
頭の中でそう考えながら部室棟の廊下を歩いていると、気がつくと同好会の部室に辿り着いていた。
ドアを開けると、中にはまだ誰もいなかった。そりゃそうか、俺だけ短縮授業だったし。みんなはまだ授業中かな。
……よし、このまま同好会の活動に参加するのは嫌だし、少しだけ仮眠でもとるか。
そう思い、同好会の部室内にある椅子を二つ繋ぎ合わせて、そこへ横になった。
「んー、椅子二つでも足が余るよ……な……」
足を乗せるためにもう一つ椅子を追加しようと思ったが、その余力はなかった。
横になった瞬間、俺は途轍もない睡魔に襲われ、眠りに落ちた。
────────────────────
───ここは……?
気がつけば俺は、見知らぬ空間に一人立っていた。
俺の周囲には壁、真上に天井があることから、室内であることは分かる。
そして、机と椅子を見る限り、ここは学校だ。
実際、前方には黒板があり、先生らしき人物が前で立っている。
授業をしているのだろうか? 一体なんの授業だろうか?
俺にはこの状況を理解することができなかった。
……すると、一人の生徒が俺を指差して何かを言っている。
何を言ってるのか分からないが、かなり強い口調だ。
俺に怒っているのか……?
その時、その場にいたほぼ全員の目が俺を凝視した。とても冷めた視線だ。俺はその視線を受けて戦慄した。
一体俺は何をしたのか……
あまりの衝撃で視線を乱していると、ある所に目が行った瞬間、さらなる衝撃を受け、俺の視線が一点に固まった。
「あの子はっ……!!」
俺の視線の先で一人の女の子が静かに涙を流していた。
……あぁ、あの時か。
俺が
こんなに苦しくて辛い気持ちになったのは久々だ。
俺の目から一粒の涙が溢れた─────
『……大丈夫だよ』
その時、どこからか声が聞こえた。それと同時に周りの風景が変化し、周りは青く限りのない空になった。無機質で負の感情に満ちた教室とは明らかに違う空間だ。この変化に思考が追いつかない俺が足元を見ると、ふわふわしていて、触ると気持ちよさそうな白い
ということは、俺はそのふわふわなモノの上にいるということなのか。ここは一体……
そう考えようとしたその時、俺は優しく包み込んでくれるかのような暖かさを感じた。
───この瞬間、俺は難しいことを考えることを放棄した。ただただその心地よさに身を任せながら、その場に横たわって、目を閉じたのであった。
────────────────────
「……ん」
知らない天井だ。
───いや、ここは同好会の部室だ。普通に知ってる天井だ。『知らない天井だ』は俺の口癖と化してるのか? そんなことはない。
……んん、気を取り直そう。一体どれくらい時間が経っただろうか。流石にそこまで寝ていないと思う。
……が、なんだかよく寝れた気がするので、もしかすると大分寝てしまったのかもしれない。
よし、起きるとするか。
そう思って、俺は起き上がろうとする。
……ん?
なんか、頭の下に何かがある? 俺は椅子の上で寝たはずだから、頭の下は硬いはずなんだが……
そう疑問に感じて、頭が乗っかっていた椅子の上を見ると……
「えっ、枕……?」
おかしい。俺は枕なんて持ってきていないはずだ。誰かが寝ている間に俺の頭の下に入れてくれたのだろうか……?
そう考えた矢先───
「あっ、おはよ〜。よく寝れた?」
声が聞こえたのでその方を向くと、テーブルを挟んで向かいの椅子に彼方ちゃんが座っていた。
……えっ、もしかして俺が寝ているところ彼女に見られた?
「彼方ちゃん……おはよう。うん、よく眠れた気がするよ」
「おぉ、良かった〜! 彼方ちゃんがここに来た時、徹くん
「えっ、俺が?」
魘されてた……? 何か悪夢でも見ていたのだろうか。確かに少し怖い思いをするような夢は見たかもしれないが、俺の記憶にはふわふわな雲の上で寝た夢しか覚えてない。
「うん。それで慌てちゃってさ〜。いつも使っている枕を徹くんの頭の下に入れたんだよ〜」
彼方ちゃんが今まであったことを説明してくれる。
「なるほど……これか。確かに、とても寝心地が良かった気がするよ」
「ふふん、そうでしょう? 何せ枕マスター・彼方ちゃん特製の枕なんだから〜」
俺が横にある枕を手に取り、彼方ちゃんに渡しながらそう言うと、彼女は腕を組んで自慢げにそう答えた。
「ふふっ、そうか……そういえば、今いるのは彼方ちゃんだけか?」
「ううん。もう一人来てるよ〜……あっ、戻ってきた〜」
すると、外から誰かがやってきた。
「お姉ちゃん、ただいま〜……あっ、徹先輩! お目覚めでしたか」
「おっ、遥ちゃんじゃないか! どうしてここに?」
その正体は、なんと彼方ちゃんの妹、遥ちゃんだった。
「あっ、はい。今回のお姉ちゃんとの件で、同好会の皆さんには色々と支えてくださったので、お礼を言いたくて……」
「あぁ……なるほどな」
そんな、お礼のためにわざわざここまで来るなんて、遥ちゃんは律儀だな……
「そういえばあの……悪い夢は大丈夫でしたか……?」
すると、遥ちゃんが様子を窺うようにそう聞いてきた。
「遥ちゃんと一緒に来たから、徹くんが魘されているのを遥ちゃんも知ってるんだよね〜」
俺が何故遥ちゃんが知っているかに戸惑っていると、横から彼方ちゃんがそう補足してくれた。
「そういうことか。うん、その悪夢とやらの記憶は全く残ってないから大丈夫だよ」
「そうでしたか! それは良かったです!」
遥ちゃんは、笑顔でそう言った。
……あっ、そういえばこれを言わなきゃ。
「……なぁ、俺が寝ているのを見たのって、二人だけってことかな?」
「えっ? ……う、うん。そうだけど〜?」
彼方ちゃんは、俺の質問の意図が分からず、困惑しながらもそう答えた。
「そうか……一つお願いがあるんだけどな、俺がここで寝ていたってことは他の人には内緒でいてくれないか?」
「……? なんで?」
「いやなんでって……それがバレると、な……えっとー……」
うぅ……俺がここで寝ていたということを知られるのが恥ずかしいからだ……なんて言うのも恥ずかしいしな……
「……あっ、彼方さんに徹先輩! 先にいらっしゃってたんですね」
そう悩んでいると、部室の入り口からしずくちゃんが入ってきた。よし、こうなってしまったら話を断ち切るしかない。
「おっ、しずくちゃん! いらっしゃい」
俺はしずくちゃんに声を掛けたが……
「どうも! ……あら徹先輩、目に隈が出来ていますよ!? 昨日はちゃんと寝ましたか!?」
……あっ。
そうか、眠気は取ったものの、目の隈は残ってるのか……マズい、話の流れがさらに嫌な方向に行ったぞ……
「え、えぇ!? いやいや、大丈夫だよ!」
「大丈夫ではありません! 寝不足は演者の敵なんですから! さあ、私の膝でも良いので寝てください!」
「だから大丈夫なんだってばよ〜!!」
しずくちゃんはせかせかと俺を引っ張ろうとした。
……てか俺は演者じゃないんだけど……
「「あははは……」」
一方でこの有様に近江姉妹は苦笑していたという。
この後全員揃っていつも通り練習を再開した。
今回はここまで!
徹くんの過去が少し明らかになってきましたね。
次回からはしずく回に入っていこうと思っています!
ではまた次回!
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