高咲兄妹とスクールアイドルの輝き   作:Ym.S

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どうも!
第54話です。
今回から原作1期第9話の内容に入ります。
ではどうぞ!



第54話 人気者

 

 

 話をしよう。あれは俺が学食で昼飯食っていた時のことだが……

 

 隣のテーブルに二人の生徒が座っていた。その子達はこんな会話をしてた。

 

『そういえば、この前藤黄とうちの演劇部の合同演劇があったじゃん? 主演の桜坂しずくちゃんの歌、かっこよかったなぁ……彼女、スクールアイドル同好会にも所属してるんだっけ?』

 

『多分そうだと思う! あとスクールアイドル同好会と言えば、近江彼方さん……だっけ? あの人のライブも良かったよね! 私、スクールアイドルが気になってきたかも』

 

 

 それを聞いた俺は、なんだか誇らしくなってしまった。別に俺自身が賞賛されるようなことをした訳でもないんだが、やっぱりうちの同好会がこう話題に出されると嬉しくなるよな。

 

 

 どうも、少し気分良さげな高咲徹だ。

 

 最近、うちの同好会のことがよく耳に入るようになった。

 

 合同演劇の主役にしずくちゃんが出て、彼女がスクールアイドル同好会にも所属していることが校内に知れ渡ったことが大きかったのだろう。

 

 つい昨日も、クラスメイトから同好会のことについて聞かれた。

 

 その子とはよく勉強について訊かれて教える仲だったんだが……まさかうちの同好会のことで話すとは思わなかったな。

 

 そんなこともあり、日に日に同好会の注目度が上がっていることを実感しながら、今は部室へ向かっている途中だ。

 

 

「……」

 

 すると、少し遠くによく知った子がいるのを見つけた。何気にこのタイミングで彼女を見かけるのは初めてかもしれない。

 

 そう思いながらも、俺はその子に近づき声をかけた。

 

「よっ。調子はどうだ?」

 

「あら、徹じゃない。えぇ、上々よ」

 

 

 俺が見つけたのは果林ちゃんだった。彼女はいつも通り冷静な様子だ。

 

 

「果林ちゃんもこれから部室に行くんだよな。一緒に行かないか?」

 

 

「そうね。歩きながら話しましょ」

 

 目的地が同じであるのでそこまで一緒に同行しようと果林ちゃんに誘うと、彼女は快くその提案を受け入れてくれた。

 

 

 そうして、俺たちは止めていた足を再び動かして部室がある建物の方へ向かう。

 

 

「最近読者モデルの仕事は順調か?」

 

 そういや果林ちゃんのスクールアイドル活動以外のことはしばらくの間聞けていなかったと思ったので、彼女にその話題を振った。

 

 

「えぇ、特に問題なくそっちの活動も続けてるわよ」

 

「そうか……食事のバランスとかも変わらず続けてる感じか」

 

「当たり前じゃない。この体型を維持することは、スクールアイドルになってからも変わらず大事にしてるわ」

 

 

「ふむ……それは何よりだ」

 

 

 当たり前ねぇ……そうサラッと言えちゃうところ、果林ちゃんは凄いなぁって思うんだよな。俺なんて体型はあまり気にすることないしな……

 

 ただ俺もそこそこ運動とかはしてるから、ある程度痩せてるし、筋肉もつけてるとは思ってる。ムッキムキかと言われたら……そこはやっぱり肯定できる自信がない。果林ちゃんは人にはなかなか出来ないことをやって退けているのだ。

 

 

 

 読者モデルってことは、普段から誰かに撮られるのは慣れてるってことだよな。てか、実際何枚くらい写真撮られてるんだ? 気になるな……今度読者モデルの撮影現場で果林ちゃんが撮られている様子を見てみたいものだ……

 

 

「……あっ」

 

「? どうかしたの?」

 

 すると、俺はほんの少し前に果林ちゃんに言われていたことを思い出した。

 

 

「そういえばさ……今度果林ちゃんの読者モデルの現場に行くって話してたよな……」

 

 

「えっ? ……あっ」

 

 なんか果林ちゃんも忘れてたっぽい反応してるか? ちょっと確認してみよう。

 

 

「もしかして……忘れてたか?」

 

「!? そ、そんな訳ないじゃない! ……そんなことより徹、貴方もこのこと忘れてたんでしょ?」

 

 

 少し慌てた果林ちゃんだったが、今度は俺に仕返しと言わんばかりにそう訊いてきた。

 

 

「えっ……んーっと、それはな……」

 

「白状しなさい」

 

「忘れて大変申し訳ありませんでした」

 

 果林ちゃんが物凄い剣幕になった瞬間、俺は条件反射で彼女に頭を下げた。

 

 あれ確か言われたのって……果林ちゃんが同好会に入部してから割とすぐだったよな。それからもう1ヶ月……経ったか? なんで忘れてたんや……確かにこの1ヶ月色々あって忙しくて暇がなかったし、細かい日程は決めずじまいだったから仕方ないんだけどさ……もう、こんな人目のあるところじゃなかったら土下座してたかもしれないわ。

 

 

 

「はあ……私もごめんなさい。忙しくてすっかり忘れてしまってたわ」

 

 一方の果林ちゃんは、さっきの形相とは打って変わって申し訳なさそうな表情をしていた。

 

「いや、こちらこそ申し訳ないな……それでさ、一つ提案があるんだけど……」

 

 この暗い雰囲気をなんとか変えようと思った俺は、ある提案をしようとする。

 

 

「何? モデルの仕事なら、ちょうど今日の放課後にあるわよ」

 

 

 すると、察しの良い果林ちゃんはそう教えてくれた。

 

 今日は……

 

「おっ、そうか。今日か……ちょうどいいな。今日は同好会の練習は多分早めに終わるし、その後も時間空いてるぞ」

 

 手帳を開いて確認すると、都合よく今日は同好会の練習が早めに終わるので、行けることを彼女に伝える。

 

「そう、分かったわ。今度こそ忘れちゃダメよ?」

 

「うむ、絶対に忘れない。楽しみにしてるぞ」

 

 流石に今日の予定を忘れるほど、俺は鳥頭じゃないぞ。というか、記憶力にはそこそこ自信あるんだからな? これでもテストの成績は良い方なんだよ。

 

 そう考えていると……

 

「……あの、朝香先輩!」

 

 横から一人の女の子の声が聞こえた。見てみると、隣りにもう一人女の子がいて、どちらも色紙を持っていた。呼び方から察するに、後輩だろう。

 

 色紙といえば……もしかして……

 

 

「スクールアイドル同好会の活動を見て、ファンになりました! サインを下さい!!」

 

 

 やっぱりそうか。

 

 後輩である二人の女の子は、果林ちゃんに頭を下げて色紙にサインを書くようにお願いをしてきている。

 

「! ……えぇ、良いわよ。色紙頂戴、書くから」

 

「「……!! はい!」」

 

 少し驚いた様子を見せた果林ちゃんであったが、その後はいつも通り冷静に色紙にサインを書いていた。

 

 

 サインを求められるくらい同好会は人気になってるんだなぁ……と実感した。

 

 

 果林ちゃんがサインを書き終えた後、二人の女の子のうち一人はその場を去っていった。しかし、もう一人の女の子はというと……

 

 

 

 

 

「あの……高咲先輩からもサイン頂けないでしょうか?」

 

 

「……えぇっ!?」

 

 

 なんと、俺にサインを求めて来たのだ……!

 

「その、実は先輩のこと生徒会長の時からファンなんです! ……ダメでしょうか……?」

 

 えっ、そんな前から……? 俺、何かファンがつくようなことをしたか? ただ生徒会長として仕事をこなして、全校集会で長々と喋っただけだった気がするが……くっ、サインなんて書いたことないのに。

 

 

 そう思いながらも、俺はその場でサインっぽく自分の名前を英文字で書いてあげた。そしたら、その子は嬉しそうに礼を述べてその場を去っていったので、良かったのだろうと思うことにした。

 

 

「お疲れ。徹、人気じゃない?」

 

 サインを書き終えた俺を、果林ちゃんが出迎えてくれた。

 

「ありがとう。いやいや、果林ちゃんほどじゃないって……いやしかしさっきの子達、同好会の活動を見てファンになったってな?」

 

「えぇ、そうみたいね。私、それがモデルじゃないってことに驚いてしまったわ」

 

「あぁ……今までだったら、モデルとしての果林ちゃんで声かけられてたんだな」

 

 そうか……確かに果林ちゃんは元々から知名度があるんだよな。だから対応に慣れてたわけか。

 

 

「そうね……にしても、徹だってやるじゃない。モデルでもアイドルでもないのに」

 

「いやいや、予想外すぎたぞ……しかも生徒会長の頃からって言うしさ……」

 

「ふふっ。徹のサインが貰えるなんて……羨ましいわね」

 

「えっ?」

 

「……! ち、違うわ! その……徹のサインを貰えたあの子達は幸せ者でしょうねってことよ」

 

「えぇ……? 幸せ者ってまた大袈裟だな……」

 

 

 どうしよう。またサインを求められることが……いやいや、流石にないか。あの人は俺のファンであるごく稀な人であるに違いない。

 

 

「……でも、徹が人気者なのは間違いないわ。確か、あなたの……」

 

 果林ちゃんが何かを言いかけていたが、それを遮って彼女の後ろから迫ってくる姿があった。

 

 

「はぁ……はぁ……!」

 

 

「え、せつ菜ちゃん? ど、どうしたんだ?」

 

 

 その正体は、練習着姿のせつ菜ちゃん……いや、眼鏡掛けてるから菜々ちゃん……いや、これはせつ菜ちゃん(眼鏡ver)か。

 

 彼女は、並んだ俺と果林ちゃんの背後に隠れた。何故そうしたのかを訊いてみると……

 

 

「はぁ……着替えてる最中に、他の生徒に見つかりそうになって……」

 

 

 着替えてる最中……つまり、菜々ちゃんからせつ菜ちゃんに切り替える時か……それはマズいな。

 

 彼女(せつ菜ちゃん)の正体がバレてしまえば、もしかすると彼女(菜々ちゃん)の親御さんにも伝わってしまうかもしれない。彼女がスクールアイドル活動を存続するためには、正体を隠す他手っ取り早い手段はないのだ。

 

 

「……ねぇ、ここは人気が多いから早く行きましょ?」

 

「ん?」

 

 ふと、果林ちゃんの言葉を聞いて周りを見渡すと、虹ヶ咲の生徒達が遠くで俺たちを注目していた。これは……大事にならないうちに退散だな……

 

「分かった。行こう」

 

「えぇ」

 

 

 そんな訳で、俺たちは再び同好会の部室へ向けて歩き出したのであった。

 

 

「せつ菜は色々大変そうね。正体は明かさないのかしら?」

 

「それはダメです!! それに正体が分からないって、なんだかヒーローみたいでかっこいいじゃないですか」

 

「なるほどな。あれか、せつ菜ちゃんは特撮も好きなのか?」

 

「……!! はい、大好きです! もしかして、徹さんも好きですか!?」

 

「あー……昔ライダーなら見てたけど、今は見てないや」

 

「そうなんですか! 今のライダーも面白いですよ!! 今は一人で二人の……」

 

 

「……せつ菜、楽しそうね」

 

 

 余談だが、部室へ向かう途中、こんな会話をしてた。

 

 




今回はここまで!
人気者は……大変そうですね笑
次回は同好会の部室のシーンになると思います
ではまた次回!
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