第55話です。
では早速どうぞ!
「……よっす。こんにちは」
「おっ、徹くん達じゃないか〜。待っていたぜ〜」
「徹さん、せつ菜さん、果林さん、こんにちは。璃奈ちゃんボード『やっほ〜』」
「あ、お兄ちゃん! 今日は遅かったね。歩夢が心配すぎて探しに行こうとしてるところだったんだよ〜?」
「も、もう侑ちゃん……! 心配するほど遅くないでしょ!」
同好会の部室を開けて一声かけると、彼方ちゃんや璃奈ちゃん、侑に歩夢ちゃんが出迎えてくれた。見た感じ、俺と一緒に来た果林ちゃんとせつ菜ちゃんを合わせればほぼ全員揃うみたいだ。
てか侑よ……どういう嘘のつき方してるんだ……
「これでみんな揃いましたね。……あらせつ菜さん、眼鏡を掛けておられますが……?」
「あぁ、はい。少し事情がありまして……」
しずくちゃんは、今ここに来たばかりにも関わらず、せつ菜ちゃんが珍しくこの場で眼鏡を掛けていることに気づいたようだ。
「着替えてる最中に他の子に見られそうになったらしいわ」
「あぁ、なるほど……確かに、そうなると眼鏡を取る余裕もなさそうですね」
事情を知ってる果林ちゃんから説明を受け、しずくちゃんは納得したようだ。
それにしても、眼鏡を取り忘れるって……相当焦ってたんだろうな。
……なんか前にも言ったような気がするが、彼女が眼鏡かけて練習着を着てるってなるとせつ菜ちゃんか菜々ちゃんか、どっちで呼べばいいか分からなくなるね。
どちらかといえば俺的には菜々ちゃんって呼ぶ方が慣れてるんだからそう呼ぼうかと思うのだが、スクールアイドル活動の最中だしな。せつ菜ちゃんと呼ぶ方が正解だろうとも思うのだ。
まあ、本人が何が呼び方で要求があれば柔軟に変えていくつもりだけどね。
「おぉ、全員揃いましたね〜? ここで、かすみんの可愛い写真が撮れたのでお裾分けしちゃいます!」
すると、この時を待っていたかのように自分のスマホをみんなに見えるように掲げた。その画面には、彼女がパンダのぬいぐるみを抱きしめるかすみちゃんの姿があった。
「うわぁ……!」
「キュン……」
それを近くで見ていた歩夢ちゃんと璃奈ちゃんは、感心しているようだ。
にしてもこの写真、誰かに撮ってもらったのかな? 一人で撮ったとするならば相当な出来だ。雑誌に載っていてもおかしくないレベルだと思う。
「あら、可愛いわね」
「えへへ〜、もっと褒めてくれてもいいんですよぉ〜?」
「……パンダの方よ」
「かすみんを見てくださいよ!!」
おや、果林ちゃんが何かを『可愛い』なんて言うのは珍しいと思ったら、パンダのぬいぐるみの方だったか……
……ん? でもパンダの方に反応する果林ちゃんも意外だよな? あれは好きなものに対しての反応だと思うのだが。
……よし、今度試しに動物園についての話題を振ってみよう。もしかしたら揶揄うネタが増え……んーなんでもない。今のは忘れてくれ。
「あっ、そうそう。実は彼方ちゃんも色んな人に声を掛けられるようになったんだよ〜」
「みんなもそうなのね」
「最初は同好会の存在すら知られてなかったのに……PVや、璃奈さんのライブの影響でしょうか」
「みんな頑張ってるもんね〜!」
「うん、いい感じだよね〜」
一方、こちらの方ではみんなが同好会の知名度向上を実感しているという話がされていた。やっぱりみんなもそうなんだなぁ……
「順調だからこそ、先の事を考えなければ!」
すると、せつ菜ちゃんがみんなにそう語りかけた。みんなの目線がすぐに彼女の方へ向いた。
「少しずつではありますが、私たちはソロアイドルとして成長してると思います。でも……同好会として、私達はまだ何も成し遂げていません」
「つまり……この同好会のみんなでライブをする、それを本格的に考えていこうっていうことか」
「流石徹さん……! その通りです!」
……なるほど。同好会が活動を再開した時に一度話し合ったことがあったんだけども、そろそろそれが出来そうなレベルまでに同好会の知名度が上がっているんだな。
同好会自体がライブってなると、またマネージャーの仕事も増えるよな。そうなると、俺も成長しなければ。手始めに、ライブ運営に関する知識も身につけておこう。
「じゃあ、もう一度みんなで話してみよう!」
そんな訳で、最後は愛ちゃんの一言で今後同好会のライブについて話していくことになった。
「……あっ!」
「どうしたの?」
すると、彼方ちゃんが自分とスマホを見て声を漏らした。それに対してエマちゃんが訊ねると……
「遥ちゃんが……!」
「遥さんがもう来られたのですか?」
「うん。もうそこまで来てるんだって〜!」
「へえ……今日来るんだな。初耳だ」
ほう、今日は東雲から遥ちゃんが来るのか。何か用があるだろうかね……? 彼女の性格からして、目的なしでここへ来るとは思えないしな。
「あ、そっか。てっつーはさっき来たから知らないんだよね」
「私も知らなかったわ……」
なるほど、俺たちが来る前に話されてた事なんだな。だからみんな驚かない訳だ。
「……にしても突然だ。何か用がある感じかな?」
「その可能性が高いわね。徹はどうしてだと思う?」
「えっ、具体的な内容?」
「そう」
果林ちゃんは顎に手を当てながら考える仕草を見せ、俺にそう問い掛けてきた。
「うーん……来るタイミングがよく分からないんだよな。直近で東雲と関わるようなことはしてないし……」
「もしかして……今度こそスパイだったりして〜?」
スパイか……あり得ないことはないな。初めて遥ちゃんがここに来た時も、かすみちゃんがそう疑っていたのもあるから今度こそは……愛ちゃんの言う通りである可能性も普通にある。
「も、もー冗談だって! そんな真剣に考えないで〜!」
「えぇ……割とあり得そうなのだけど……」
果林ちゃんもどうやら俺と同じ考えだった模様。だとしたら、少し遥ちゃんの動向には気をつけた方がいいか……?
「ほら、仮にスパイでやって来たとしても今日は練習そこまでやらないじゃん? だから大丈夫だよ!」
「あぁ……それはそうか」
確かに愛ちゃんの言う通りか。今日のタイミングで丁度良かった感じだな。
「……」
ある程度納得した俺に対して、果林ちゃんは未だにすっきりしていない様子だ。
「あっ、遥ちゃんが来たよ〜!」
俺が愛ちゃんと果林ちゃんと話している間、彼方ちゃんは入り口を開けて遥ちゃんが来るのを待ち侘びていたようで、今彼女から嬉しそうに遥ちゃんが来たことが伝えられた。
「よし、俺達も迎えに行こうか」
────────────────────
「同好会の皆さん、こんにちは! お邪魔します」
「遥ちゃんなら大歓迎だよ〜」
彼方ちゃんの妹である遥ちゃんが、再び同好会を訪れてきた。彼女がここに来たのは、彼方ちゃんがライブをして姉妹で仲直りした直後のあの時以来だろうか。
「今日はどうしたの?」
「あっ、それが……」
愛ちゃんがここに来た事情を聞こうとすると、遥ちゃんは同好会の入り口の方を向いた。
「……大事なお話がありまして」
そこには、初めて見る人がいた……
……ふむ。見た感じ、制服は藤黄学園の物みたいだ。もしかすると、ここに来たのはあの合同演劇が関わっているのかもしれないな。
その子は黒色の長髪、頭に華麗な花飾りをつけていて、少し茶色掛かった目をしていた。
……頭に花飾りを付けている女の子といったら……あるアニメのキャラを思い出すな。多分違うと思うが、風紀を保つ努力をしていて、あとコンピュータに強そう。
「……あなたは?」
「初めまして。藤黄学園スクールアイドル部の、
果林ちゃんが何者かを問うと、その子は丁寧な所作でそう名乗った。
藤黄のスクールアイドルか……あそこも東雲に負けないくらい人気だとは聞いたな。しかし……
「突然ですが、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の皆さん……」
そんな大物とも言える彼女から発される言葉によって、部室がメンバー達の叫び声に包まれることになる。
「私たちと、ライブに出ませんか?」
「「「「「えぇぇぇぇぇぇ!?!?」」」」」
今回はここまで!
今回は少し短めになってしまいましたが、オリジナル要素を多めに入れてみました。
次回も少し短めになるかもしれません。
ではまた次回!
評価・感想・お気に入り登録よろしくお願いします!