高咲兄妹とスクールアイドルの輝き   作:Ym.S

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どうも!
今日は優木せつ菜ちゃんの誕生日!オリジナルストーリーを書いてみました!
では、早速どうぞ!


優木せつ菜誕生日記念回

 

 

 ……暑い。

 

 

 最初の一言がこうなってしまうほど、暑さが猛威を振るっている今日この頃。

 

 学生である俺は夏休みを迎え、そろそろお盆が近づいているということで、世の中は帰省ラッシュに向けて色々と準備をしている、そんな時期だ。

 

 

 そんな真夏の最中、俺は今外で歩いている。

 

 日陰なんぞはどこにもない。強い日差しから逃げる術がなく、全身に光を浴びている。ホント、こんな灼熱で下手するとバテるぞ……いや、こんな思考をしてしまう時点でもうバテてるか……? 

 

 

「徹さん、大丈夫ですか? 水分補給だけでなく、塩分を摂ることも大事ですよ」

 

 

 そんな中でも、俺の隣を歩く容姿端麗な女の子、優木せつ菜、もとい中川菜々はまだ平気そうな顔でそう助言してくれた。

 

 

 ……そう、今日は彼女と一緒に海に遊びに行くのだ。

 

 

 俺が生徒会の手伝いをしてた時のことだ。菜々ちゃんとたまたま海と山どっちが好きかという話になったのだが、その時に菜々ちゃんの方から海に行きませんか!? と誘われたので、お互い都合を合わせた上で今に至る。

 

 今思えば、こういう『男女が共に真夏のプールに行く』というのは、ギャルゲーのイベントでよくあるシチュエーションだよな。なんだ、俺はギャルゲーの主人公的な体験をしてたりするのか……? 

 

 

 ……いやいや! 海に行くというのは、世間一般でも夏休みの間にする行事の中でも定番の行事だからな! それみたく何か進展があるとも思えん! 第一、菜々ちゃんにはもっと相応しい相手がいるはずだ。俺みたいな凡人とは不釣り合いだ。

 

 

「だよな……ありがと、菜々ちゃん」

 

 

 ……いやほんと、男である俺が先にバテてるなんて情けねぇな……今までにこの暑さに慣れておけばよかった。

 

 

 高2の時までの俺は、侑や歩夢ちゃんとたまにお買い物したり近場で遊ぶ日以外、家でほぼずっとゲームをしていた。エアコンかけてるから暑いこともなかったし、こんな夏休みもいいだろう、そう思っていた。

 

 でも、今は違う。同好会に入ってから、夏休みの過ごし方もガラッと変わり、スクールアイドルのために何かをすることが大半を占めている。そしてそれに加えて、主に同好会のみんなと一緒に外出することが多くなった。

 

 おかげでまだ夏休みは始まったばかりだが、とても充実しているように感じることができている。だから、俺をそうさせてくれた同好会のみんな、特にその同好会を立ち上げてくれた菜々ちゃんには、とても感謝している。

 

 

「いえいえ! ……あっ、徹さん! 見えてきましたよ!」

 

 

 おっ、やっと着いたか……

 

 

 ……ふぅ……よし! 

 

 せっかくの機会だ。熱中症にならないように対策するのは勿論だが、気持ちでも暑さに負けないようにして、思いっきり楽しむぞ! 

 

 

 

 ────────────────────

 

 

 

 どうも、優木せつ菜です! ……あっ、間違えた。今は中川菜々でしたね……

 

 今日は、徹さんと海に遊びにきました! 私が徹さんを誘った時から楽しみで仕方なくて……前日の夜は絶対に寝れないだろうと思いまして、早めに布団に入って寝ました! おかげで、目のクマもないです! 

 

 ……えっ? なんで優木せつ菜じゃないかって……? 

 

 あぁ、そうなんですよ。実は私が優木せつ菜の状態で人だかりに入ると、絶対誰かが気づくだろうと徹さんが言ってたので……

 

 今日は普段の私、中川菜々として行動しているんです。ただ、海で遊ぶ時は眼鏡を外します。色々身体動かして眼鏡を壊すリスクが高いでしょうから。私もこればかりは仕方ないなとは思うのですが、せつ菜の姿にならないと、「素」の私がなかなか出しにくいんですよね……

 

 なので、今は普段の生徒会長としての私のテンションに近いです。つまり、テンション控えめになっています。

 

 うーん……これじゃいつも徹さんと話してるアニメとかラノベのトークが出来ないですし……まあ出来ないことはないですが、盛り上がることは出来ないですね。

 

 でも、せっかく海に来たんですし、出来る限りテンションを上げて行きたいと思います! 

 

 ……あっ! そろそろ徹さんも着替え終わってて外で待ってるかも!? 水着に着替え終わって少しボーッとしてました! 急がないと! 

 

 慌てて更衣室を出ると、目の前に鏡があって、そこに私の姿が映りました。

 

 そういえばこの水着、気に入ってくれるかな……

 

 実は私、少し前に侑さんに水着を買うのに付き合ってもらったんですよね。その時に選んでもらったのが、黒を基調としてちょっと白い柄が入った水着です。『これだったら絶対お兄ちゃん喜ぶと思うよ!』って言われたので、それにしたのですが……

 

 ……ううん、今更怯んではダメです。行くしかありません! では、いざ……! 

 

 

 

 ────────────────────

 

 

「お待たせしました〜! すみません、遅くなりました!」

 

「おう。ううん大丈夫、俺もさっき着替え終わって出てきたところだからな」

 

 

 菜々と徹はお互い水着に着替え、再び集合した。

 

 

「よし、じゃあ早速行くか!」

 

 

 そう言って徹が海の方へ行こうとすると……

 

 

「……あの!」

 

 

 菜々が彼を呼び止める。

 

 

「ん? どうした、何か忘れ物でもした感じ?」

 

「いえ、そうではなくて……何か一言ないですか……?」

 

「何か、一言……?」

 

 

 菜々の問いかけに対して、手を顎に当てて考える徹。

 

 ある程度待っても彼から返答が来ないので、意を決して素直に言葉を紡ぐ。

 

 

「そ、その……! この……水着……」

 

「……あっ、ごめんごめん! そういうことな」

 

 

 やっと徹は菜々の意図に気づいたようだ。彼は改めて彼女に相対し、せつ菜に素直な感想を伝えた。

 

 

「うん、凄く似合ってるし、可愛いよ」

 

「そ、そうですか……ありがとうございます……」

 

「おう」

 

 

 何の照れもない徹の率直な褒め言葉に、菜々は目を逸らして頬を赤く染めた。

 

 

「……さて、そろそろ行くか」

 

 

「は、はい……あっ、ちょっと待ってください!」

 

 

「ん? 今度はどうした?」

 

 

「……その、日焼け止め、塗り直したいんですけど……」

 

 

「……えっ?」

 

 

 ────────────────────

 

 

 

「その……なるべく優しくお願いします……」

 

 

「お、おう……わかった」

 

 

 俺は今、酷く動揺している。

 

 

 日焼け止めを塗らなきゃと菜々ちゃんが言い出した時は、あぁ自分で塗るのかなとか思っていたが……

 

 

 まさか俺が塗ることになるとは……

 

 

 確かに、日焼けは女性、特にスクールアイドルみたいな公でパフォーマンスする女性の天敵だとよく聞く。

 

 だから、日が当たる部分は余すことなく隅々につけなきゃいけないのだろう。

 

 ただ、自分では塗れない部分、背中なんかは他の人に塗ってもらうしかない。よく考えたらそうだ。

 

 

 それで、今菜々ちゃんはビニールシートにうつ伏せになり、背中を塗るので水着の紐を解いている。少し恥ずかしそうな表情だ。

 

 

「じゃあ、行くぞ……」

 

 

「お願いします……!」

 

 

 俺は、菜々ちゃんの肌に日焼け止めを塗り始めた。

 

 

 ……あっ、ちなみに日焼け止めは塗る前にしっかり人肌で温めたぞ! よくありきたりなラブコメでは日焼け止めを温めずに塗って相手が驚いてしまうというシチュエーションがあるが、俺はそれを回避しようと思う。そこら辺の知識は一応あるし、しっかりやり遂げたいところでもあるしな! 

 

 

「んっ……」

 

 

 すると、菜々ちゃんが色気のある声を出してきた。

 

 

 いや……あかんて……色々とダメだって……

 

 菜々ちゃん、何がとは言わないがかなり刺激的なんだよなぁ……

 

 俺の何かが崩れ去る前に塗り終わらなければ。

 

 耐えるんだ……俺!! 

 

 

 

 

 そう思いながら日焼け止めを無事に塗り終わり、その後は思いっきり海で泳いだりした。

 

 

 しかし、俺には一つ引っかかることがあった。

 

 

 

 

 ……菜々ちゃん、少しテンションが低めな気がする。ここは学校じゃないし、いつものせつ菜ちゃんの時みたいにハイテンションでもいいはずなんだけどな……楽しめてるのか心配だ。

 

 

 

 ────────────────────

 

 

 

 

「今日は楽しかった〜」

 

 

「そうですね、私も楽しかったです!」

 

 

 時間は一気に過ぎ、もう日が暮れようとしていた。

 

 

 海が沈む太陽の光に暖かく染まっていた。

 

 

「あら、よく周りみたらもう誰もいなくなったみたいだな。そろそろ帰るか」

 

 

「……」

 

 

「……菜々ちゃん……?」

 

 

 もう夜が近づいているからだろうか、今まで沢山いた海を楽しむ人達は、もう帰ったようだ。

 

 

 周りは徹と菜々以外、誰もいなかった。

 

 

 徹が帰ろうとすると、菜々は動かず、徹を真っ直ぐ見つめていた。

 

 

「……徹さん。最後に一つ、やりたいことがあるんですが、聞いてくれますか……?」

 

 

「あぁ、うん、いいよ。何をしてほしい?」

 

 

「あっ! いえ、徹さんにして欲しいことではなくて……あの、今周りに人がいないじゃないですか。なので……『優木せつ菜』になってもいいですか……?」

 

 

「……えっと……」

 

 

 徹は、菜々の行動の意図が掴めない状況である。

 

 

「やっぱり、私は『せつ菜』にならないと、素の自分が出せないんです。だから私、今日遊んでた時、物足りなさが出てしまって……」

 

 

「……! ……そうか、なるほどな。俺があの時提案した時はそこまで考えてなかった。ホント、ごめん」

 

 

「い、いえ! 徹さんも、私のことを思ってそう言ってくださったんですよね? それは嬉しかったですし、仕方ないことだと思います。だから……」

 

 

 菜々は徹の様子を窺いながら続けてこう言った。

 

 

「もう少し、一緒に遊んでもいいですか……?」

 

 

 

「……いいぞ。()()()ちゃんがそういうなら」

 

 

「ありがとうございます! では……っ!」

 

 

 すると、菜々は結んでいた三つ編みをほどき、伸ばして、右側をサイドテールにして結んだ。

 

 

「優木せつ菜! 変身!!」

 

 

 せつ菜は、ポーズを決めて徹に振り返った。

 

 

 

「……やっぱりせつ菜ちゃんが好きだな、俺は」

 

 

「? 今なんて言いましたか?」

 

 

「ううん、なんでもない。それより、そんな変身ポーズ決められたら、こっちも戦いたくなるな……! よし、今から水掛けあいごっこだ!」

 

 

「おぉ、いいですね! 優木せつ菜になった私は無敵ですよ!! さぁ、勝負です!」

 

 

「よし……じゃあ先制攻撃!! そりゃ!」

 

 

「きゃっ! ……やりましたね!! それじゃ私も! そーれ!」

 

 

「うおっ!? なかなかやるな! ならこっちは、連続攻撃だ!!」

 

 

 

 

 こんな感じで、二人は海辺でお互い悔いなく水をかけ合い、気がついたら夕日が沈んで真っ暗になっていたという……

 

 

 




今回はここまで!
菜々とせつ菜の両方が出てくるという話にしてみました!
情熱で笑顔が眩しいせつ菜も、クールで控えめな菜々も大好きです!
菜々とせつ菜しか勝たん!!
本編の方も早めに更新しようと思っていますので、よろしくお願いします!
ではまた次回!
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