今日は、璃奈ちゃんの誕生日記念回を書きました!
ではどうぞ!
「よーし……そっちは大丈夫か、璃奈ちゃん?」
「うん。何とか順調に掘り進めてる」
さてここで問題だ。今俺たちは何をしているでしょうか?
……これは流石に難問か。この会話だけを聞いて、『知らんがな』と思うのも無理はないだろう。
というわけでどうも、絶賛作物収穫中の高咲徹だ。
今、俺達はとある都内にある畑にいる。今日は気温が低くとも、日差しがよく、ポカポカしている。お出かけ日和といったところだろうか。そんな中、農作業で使う手袋をつけて、土を掘っているところだ。
今は食欲の秋。秋ももう終盤で冬が近づいているが、今掘り進めた先にあるこの作物はまだまだ旬である。
「それにしてもここのさつまいも、見たことないくらい大きいよな」
「そう、びっくりした」
俺が再び璃奈ちゃんに語りかけると、うんうん頷きながらそう返してくれた。
そう、ここはさつまいも畑なのだ。
さつまいもは5月から10月下旬までが生育期間で、収穫時期は10月下旬から11月上旬まで。つまり、今が収穫時って訳だ。そこで、俺は璃奈ちゃんを誘ってここに来ることにした。
しかし、俺の仲良い子の中には食いしん坊のエマちゃんや他にも行きたがりそうな子がいそうなのにも関わらずなぜ俺は璃奈ちゃんを誘ったのかと、疑問を抱いたりするだろう。
理由を明かすと、もうすぐ彼女が誕生日を迎えるからだ。
彼女が誕生日を迎えるにあたって、「どこかお出かけしないか?」と俺から提案して、どこに行こうかと考えた。いつもだと、外出して遊ぶときはゲーセンが大半だったので、たまには趣向を変えてアウトドアなお出かけをしたいと思った。そして、今が旬のさつまいも収穫をしようという結論に至ったのだ。
「そういや、ほんとに持ってこなくて良かったか? あれ、璃奈ちゃんのアイデンティティみたいなものだよな?」
「うん、これでいいの。璃奈ちゃんボード持ってきたら作業が捗らないし、お荷物になるから」
そう、今の璃奈ちゃんの手にはあの璃奈ちゃんボードがない。なんなら、持ってきてすらないようだ。確かにさつまいもの収穫には邪魔になるし、持ってこない方が身軽にはなるが……
「……それに、徹さんだったらボードが無くても私のキモチ、読み取ってくれるし」
「あぁ……まあ、そうかもな」
璃奈ちゃんの考えてることって、表情には出ないけど口調とか身体の動きで割と分かったりするからな。最初会った時は正直、無表情であまり何考えてるか分からなかったりしたけど、しばらくコミュニケーションを取ってみるとそういうところに気づいてきた。今思い返してみると、璃奈ちゃんがボードを作る前から結構普通に意思疎通出来てたような気がする。
「……変なところで鈍感だけど」
「ん? すまん、今何か言ったか?」
「ううん、何も。それより、今日はいっぱい収穫して楽しみたい。璃奈ちゃんボード……あっ、今日は持ってなかった……」
いつも通り感情を表現しようとボードを取り出そうとする仕草をした。所謂これは長期間で染み付いた癖といったところだろう。
「ははっ、やっぱり慣れないよな。ちなみに、今のは『璃奈ちゃんボード、やったるでー!』といったところかな?」
「……うん、ほぼ正解。流石徹さん」
「うむ、当たってよかった。よし、璃奈ちゃんの言う通り、今日は2人で目一杯楽しむぞ!」
「おー! ……あっ、徹さん、これ……かなりの大物……!?」
「えっ? どれどれ……うわっ、凄い重いなこりゃ……! よし、一緒に引っ張り上げよう」
「うん……!」
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「はー……予想以上に取れたな!」
「うん、凄い豊作……!」
おはこんばんにちは。私、天王寺璃奈。今日は徹さんと一緒にさつまいもを収穫してきたよ。
……あれ、なんで「おはこんばんにちは」なんて挨拶使ったんだろう? ゲーム実況でもないのに……
……ううん、考えても仕方ない。そのことは一旦気にしないでおく。
実はね、私もうそろそろで誕生日なんだ。人生で16回目の誕生日。もうそんなに回数を重ねたんだね……あまり実感ない。
そう思うのも、私は小さい頃から誕生日を祝ってくれるような友達がいなかったからかな。両親は忙しい中祝ってくれたけどね。過去の誕生日に関してあまり思い出がない。
だから今回も変わらないのかな……って思ってたけど、そんな時に徹さんが声を掛けてくれた。
今まで友達から『誕生日だから何かしよう』って言われることは体験したことなかったし、最初は実感が湧かなかった。でも、今はとっても楽しい。こんなに楽しいのは久々かもしれない。
「あら、終わったかい? お疲れ〜」
そう考えていると、ここの畑を持っている農家のおばさんがやってきた。
「満足いくまで獲れた?」
「はい、おかげさまで。今日は色々ありがとうございました」
「ありがとうございました」
徹さんのお礼の言葉に続いて、私もそう言った。
「いいのよいいのよ〜、こちらも久々に若い子が来てくれたから、思わずイキイキしちゃったから、ありがとねぇ」
農家のおばさんはそう言う。
最近は野菜収穫を体験する若い人はなかなかいないのかな? 確かに、私も徹さんに誘われなきゃここに来てないね……でも、今日来て野菜収穫はとっても楽しいことが分かった。今度はクラスの子達を誘って行ってみようかな?
「……そういや璃奈ちゃん、獲ったさつまいも人数分あるか?」
「……うん、ある。同好会のみんなと家族の分まで」
「よし、それは良かった」
徹さんはとても気配り上手。私が困っている時には必ず声をかけてくれるんだ。
それに私と同じくゲーム好きで、バトルすると結構いい勝負になるんだ。それで大体私が勝つんだけどね、ドヤッ。でも、私が負けそうになったことが何回もあった。こんなにドキドキするのは徹さんが相手の時くらいだよ。
徹さんと一緒にいると、ココロが豊かになる。とっても楽しいんだ。
私は……そんな徹さんの事が……
「ありゃ、もしかして学校の友達にも分けてあげるのかい?」
「あ、はい。そうなんですよ。結構人数がいるもので、今日は自分たち2人で頑張りました。 特に彼女が一番頑張りましたよ。なっ、璃奈ちゃん」
「……! うん……!」
私たちの会話を聞いていた農家のおばさんが質問してきて、それに徹さんが答えた後、私の頭を撫でた。
……徹さんはよく私の頭を撫でてくれる。最初の内は少し恥ずかしいけどとても気持ち良かった。
だけど、私が
えっ? 何でかって……?
……子供扱いされてる感じが少し嫌だから……かな。私だって、徹さんと同い年のエマさんとか彼方さん、果林さんみたいに対等になりたいから。
私も、徹さんに大胆なことをしたらそう見てくれるのかな……?
「そうかいそうかい! その子達もきっと喜んでくれると思うよ。 今度はその子達も一緒に連れて来るといいよ。盛大に獲らせてあげるから!」
「えっ!? いや、自分と彼女含めて11人いるのですが……足りますかね?」
「気にしない気にしない! 足りなくなったらその時はその時じゃ! はっはっはっ!」
なんか農家のおばさん、思ってた以上にテンション高いな。ちょっとびっくりした。でも、温かいな……
こうして、獲ったさつまいもを荷物に、帰る支度をした。
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「ふう、もうここまで戻ってきたな。改めて、今日はお疲れ」
「……うん、お疲れ」
二人は、獲ったさつまいもを抱えてお台場まで帰ってきた。
時間はあっという間に過ぎ、そろそろ日が暮れようとしている。
今、それぞれの家に別れる分岐点まで来た。
「よし、じゃあまた明日な」
「うん……ねぇ、徹さん」
「ん、なんだ?」
「その……私が今どう思ってるか、当ててみて」
璃奈が別れ際にそう言う。
「え? ……急だね……まあいいか。うーん……」
徹は手に顎を乗せて考え、それを璃奈ちゃんがジーッと見る。
「……早くさつまいもが食べたいとか?」
「それもあるけど、違う」
璃奈は首を振った。
「えぇ!? マジか…… じゃあ……ス◯ブラの新キャラがまた出て欲しいとか?」
「……いやそれも違う」
今度は少しボケに対してのツッコミみたく璃奈は言った。
「えぇ……ちょっと待てよ……」
「残念。時間切れ」
「あぁ!? ……マジか……」
当てられなかったことがショックだったのか、徹は酷く落胆した。
「……じゃあ、正解を教えるね」
「お、おう。何だ?」
「……ちょっと耳貸して」
「ん? ……あぁ、わかった」
徹は、璃奈の目線の高さまでしゃがみ、自分の耳を璃奈の方に向けた。日暮れ時というのもあって、今徹には彼女の姿が見えていない。
すると……
チュッ
「!?!?」
徹は自分の頬に柔らかい感触を感じた。
彼が横に振り向くと、少し俯きながらほんのわずかに頬を赤く染めている璃奈がいた。
「……これが、今の私のキモチ。それだけ伝えたかった。 ……じゃあ、また明日」
「……お、おう……また明日……」
徹は璃奈の大胆な行動に驚きを隠せない。
……そう、璃奈のFirst Loveの蕾が綻び始めた瞬間であった。
今回はここまで!
璃奈ちゃんが徹くんになんと…!?って感じでしたね。
実は徹くん身長がかなり高く、男性の平均身長を超えています。
そこら辺の設定もいずれ出したいと思います(いつになるやら…)
本編の方はこの後なるべくすぐに投稿しようと思っています!
ではまた次回!
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