高咲兄妹とスクールアイドルの輝き   作:Ym.S

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どうも! 大変ご無沙汰になって誠にすみませんでしたorz
本編第76話です
では早速どうぞ!


第76話 優柔不断?

 

 

 

「……んー、どうしたものか」

 

 

 様々な葛藤が頭の中でぶつかり合い、苦しくなる時ってあるよな。こういう事態を乗り越えて、俺たちは成長出来るのかもしれない。

 

 

 あっ、どうも。悩める男、高咲徹だ。

 

 

 ……言っておいてなんだが、こんなこと自分で言うのが恥ずかしくなってきたわ……まあ今のはこれ以上触れないでおこうか。

 

 

 結局あの後東雲と藤黄のスクールアイドルのメンバー達と顔を合わせたんだが、彼女達にスクールアイドルフェスティバルを紹介した後勧誘すると、なんと双方とも快諾してくれた。

 

 

 実際その顔合わせには、東雲からは遥ちゃんとクリスティーナちゃん、藤黄からは姫乃ちゃんともう一人、初めて会う紫藤(しどう) 美咲(みさき)という子が来ていた。彼女とは初めて会ったな。

 

 癖っ毛の茶髪で、全体的にはショートカットなのだが、両サイドに伸ばしたテールが特徴だ。とてもしっかりした子で、比較的マイペースな綾小路さんをアシストしていた。

 

 

 綾小路さんといえば、彼女が実は果林ちゃんのファンだったってことがその時明らかになったんだが、あれは驚いたな。前に雑誌で見ているって言ってたからもしやとは思っていたが……

 

 あと、その時に本人も一緒にいてその話を聞いてたのだが……彼女はどう反応したと思うか?

 

 ……なんと果林ちゃんは綾小路さんに急接近し、ダイレクトで盛大なファンサービスを返したのだ。

 

 果林ちゃんよ……ファン相手に顎クイというファンサは流石に刺激が強いだろうが……

 

 

 まあ、案の定綾小路さんは顔を茹蛸のように真っ赤にしてその場でK.O.状態になったが……なんだかとても幸せそうな表情だったし、良かったのかなとも思う。それに、綾小路さんはただの一般人ではない。だから仮にこのことが世間に知られても、お互いそれでバッシングを受ける心配はないだろう。

 

 

 そんなこんなあったが、東雲と藤黄がスクールアイドルフェスティバルに参加することが確定し、人数に関しては申し分ない。これで悩むことはない。

 

 

 ───ということはなく……

 

 

「調子はどう?」

 

 

「まだ。候補地の中から全く絞り出せないな……」

 

 

 もっとも難しい、開催する場所について決めようと部室の椅子に腰掛けて頭を抱えている、その真っ最中だ。

 

 

 このことは候補地を巡っている時にも感じていたことだが……ホント、この中から会場を一つに絞るなんて無茶な話だ。どうしても俺の私情やみんなの思いを考えると、キッパリと決断しようにも出来ないのだ。

 

 

 こうなったらコンピュータに任せて、みんなの満足度を最大化するように候補地を一つに決めるプログラムでも作ろうと思ったが……それで決めても中途半端になるだけだ。全体の満足度が大きくなっても、個人は満足出来ないだろう。

 

 

「先輩方、少しお茶はいかがですか? 飲めば頭もリフレッシュすると思いますよ」

 

 

 そんな変な思考をしていると、横から両手にティーカップを持ったしずくちゃんが落ち着いた口調でそう話しかけてきた。

 

 

「おっ、確かに……なら頂こうかな。ありがとな、しずくちゃん」

 

「はい!」

 

 

 俺が片方のティーカップを受け取ると、彼女は可愛らしい微笑みで返してくれた。

 

 ……ん? 

 

 

「あっ、しずくちゃん、少しリボンが少し傾いてるぞ?」

 

「えっ、本当ですか? 手鏡手鏡……」

 

 

 一瞬彼女の容姿を見て違和感を覚えたが、彼女の黄色いリボンが少し乱れていた。多分練習着に着替えた時に整え忘れてしまったのだろうか。

 

 

 手鏡を探そうとアタフタしちゃってるな……

 

 

「──ちょっとこっち来て」

 

 

「えっ? ……は、はい」

 

 

 手鏡を探していたしずくちゃんが再びこちらにやってきた。

 

 そして───

 

 

「……!?」

 

 

 彼女のズレたリボンを触って、定位置に戻した。

 

 

「んー……こんな感じなら良さそうだな」

 

「えっと……ありがとう、ございます……」

 

「?」

 

 

 リボンを直した後再びしずくちゃんの様子を見ると、彼女は目を逸らして頬を赤く染めていた。

 

 

 俺は何故そんな表情をしているのか疑問に思いながら、コーヒーカップを啜りながら思考へと戻る。

 

 

 ……うむ。美味しいな、この紅茶。

 

 しずくちゃんが持ってきただろうか? 渋味と甘味の塩梅が心地よくて、頭がスッキリするな。俺は大体ミルクティーを飲むことがほとんどなのだが、たまにはストレートティーもいいなと思えた。

 

 

 んー……一度どこかを決めるのを置いて、何か忘れていることはないか考えるか。

 

 その時、俺は一つ気づいたことがあった。

 

 

「あっ、そういえば歩夢ちゃんはどこでやりたいとかあるか?」

 

 

 みんなの希望をちゃんと聞いていたつもりだったのだが、歩夢ちゃんに限ってはあまり明確にこれという希望を聞いていなかった気がしたので、訊いてみる。

 

 

「えっ? ……特にない、ですね」

 

「そうか……」

 

 

 特に無い、か……歩夢ちゃんは、ライブをする場所にこだわりがないのだろうか? いや、彼女はむしろ───

 

 

「ふっふっふっ、皆さんお困りのようですが……」

 

 

 すると、部室の入り口の方からかすみちゃんの声が聞こえた。

 

 

「おやかすみちゃん、どこに行ってたんだ? さっきからいないなと思っていたが」

 

「それはですね……あるものを取りに行ってたからです!」

 

 

「ある物? ……もしかして、後ろに隠してるのがそうなの?」

 

 

 うむ、かすみちゃんの後ろに何かあるな。隠すというか、少しチラ見えしてるあたりサイズはかなり大きいな。一体何なのだろうか?

 

「おや侑先輩、意外と鋭いですねぇ……ならば、お見せしましょう! じゃじゃーん!」

 

 

 そう言って彼女がテーブルにドスンと置いたのは、可愛らしい女の子を模したオブジェらしきものだった。見た感じダンボールで出来ていて、その女の子というのも、どこかかすみちゃんっぽく見えた。

 

 

「うわぁ……! とっても可愛いです!!」

 

「ほう……これ、かすみちゃんが作ったのか?」

 

「そうです! スクールアイドルフェスティバルで、かすみんに何をやって欲しいのか、このかすみんボックスに入れてもらうんです!」

 

 

 なるほど、確かによく見たら頭のてっぺんに細長い穴が空いていて、そこから何か紙やらを入れるんだろうな。つまり、このかすみんBOXは意見箱の役割って訳か……うむ、ネーミングも良いな。

 

 

「ふーん……それで、中身は確認したの?」

 

 

 しずくちゃんが少し不審そうに訊くと、かすみちゃんは意気揚々とかすみんBOXの蓋を開けた。

 

 

「そんな早まらなくてもいいんだよ、しず子〜? きっとこの中には沢山のお便り……が……」

 

 

 中身を確認した瞬間、かすみちゃんの動きが固まった。

 

 えっ……まさか……?

 

 

「えっ……!? あぁっ……」

 

 

 驚きの声を上げる中、かすみんBOXを持ち上げてひっくり返す。しかし、何も落ちてこない。つまり───

 

 

「ま、まさか……ゼロ?」

 

「……うわぁぁぁぁん!! かすみん悲しいですぅぅぅぅ!!」

 

 

 すると、かすみちゃんは勢いよく走り出し、侑に泣きついた。

 

 

「あぁ……ふふっ、よしよし」

 

 

 侑は困惑しながらも、頭を撫でて慰めようとする。

 

 

 マジか……1票も入ってないなんて……こんなに可愛い投票箱だっていうのにな。でも、こうなった原因は大体察しがつく。

 

 

「まあ、夏休みだからね〜……」

 

「それが大きいな……しかしこのボックス、よく出来てるよな。一人で作れるなんて大したものだ」

 

「そうですね! それに、とっても可愛いです!」

 

 

 かすみちゃんが侑に泣きついている中、俺と彼方ちゃん、せつ菜ちゃんはかすみんBOXを眺めてそれぞれ感想を述べた。

 

 

「……当然です! なんてったって、かすみんのかすみんボックスですから!」

 

 

 おっ、少しは元気になってくれたかな。

 

 

 それにしても、みんなの意見を訊く、か……確かに、スクールアイドルがライブをするのは、観る相手がいてこそ成り立つもんな。だからこそ、観てくれるであろうみんなの意見を訊くのが大事、だな。

 

 

「せっかくだし、これで色んなことを募集したらいいかもねー!」

 

 

 そう考えてると、ちょうど愛ちゃんがそう提案した。そして、黒の油性ペンと紙を持って何かを書き始めた。

 

 見た感じ、やっぱりスクールアイドルフェスティバルについてみんなの意見を訊きたい、という内容を書いているようだ。

 

 その紙をどうするか……? なんだか嫌な予感がする。

 

 

「ん、愛ちゃんちょっと待て」

 

「どーしたの、てっつー?」

 

 

 愛ちゃんは動きを止め、不思議そうな表情でそう訊いてきた。

 

 

「いや、流石にそれをそのまま貼り付けるとこのボックスのチャームポイントが隠れちゃうから、見た目が良く無くなっちゃうじゃないかって思ってな」

 

 

 そう、愛ちゃんはかすみんBOXの顔に直接紙を貼り付けようとしてるように見えたのだ。

 

 

「んー……それは確かにそうかも」

 

「愛先輩、かすみんボックスの可愛い顔に貼ろうとしたんですか!? もぉ、酷いですぅぅ!」

 

「ごめんごめん、一刻も早くみんなの意見が聞きたくてつい〜」

 

 

 かすみちゃんは愛ちゃんへプンプンと怒っているが、愛ちゃんの気持ちも分かる。貼る場所として、手っ取り早く実現できるかつ、見る人が分かりやすい位置といったら表面が真っ平らな顔の部分しかないもんな。

 

 

「でもどうしましょう? ここに書いてあることは皆さんの目に入れる必要がありますし……」

 

 

 ただ俺は少し手間をかけてでも、このかすみんBOXの可愛らしさをそのまま残したい。なんせ、かすみちゃんの努力の結晶なんだろうからな。

 

 もちろん、俺は代替策を考えついている。

 

 

「そうだな……ボックスの足元に切り込みを入れてそこから立てるっていうのはどうだ?」

 

「それは良いアイデアですね! それなら、見た目も可愛いまま必要な情報もしっかり見る人に伝えられそうです!」

 

 

 丁度手が紙の上側の支えになるだろうと考えた。見た目的にも、かすみんBOXが紙を持っているという感じで、デザイン性も良いんじゃないかと思ったのだ。

 

 

「よし! すぐに終わらせるから、そしたらみんなでこれを置きに行くぞ」

 

 

 そんな訳で、少しの間作業を始める。足に切れ込みを入れるだけだから本当に一瞬だ。

 

 

「流石徹先輩、かすみんボックスの使い方を分かってますねぇ〜!」

 

 

 俺が作業している中、かすみちゃんは上機嫌そうにそう話してきた。

 

 

「ハハッ、せっかくこんな人目を惹くようなものを作ってくれたからな。工夫するにもしっかり丁重に扱わないとって思っただけさ」

 

「なるほど……つまり、かすみんが可愛いってことですね!?」

 

 

「まあ、そういうことになるな」

 

 

「……!? もう、冗談で言っただけなんですけど……」

 

 

 ……ん? 急に歯切れが悪くなったが、どうしたのだろうか。

 

 

 それを考える間もなく、作業はあっという間で、切れ込みを入れ終えた。

 

 

「あとは差し込んで、手に紙の上側を乗せれば……よし、出来た!」

 

「おぉ〜……様になってるじゃ〜ん」

 

「良い感じ。璃奈ちゃんボード『にっこりん♪』」

 

 

 どうやらみんなにも好評のようで、みんな出来に満足してくれているようだ。

 

 ……ライブの場所についてはまだみんなを満足させられてないが、この意見箱については、みんなを満足させられて良かった。

 

 

「だろ? じゃあ俺がこのボックスを責任持って置いてくるから、みんなは先に練習に行っちゃって。侑、練習よろしくな」

 

「うん、分かった!」

 

「では徹さんのお言葉に甘えて、行きますよ!」

 

 

 そんなこんなで、俺は学校の中に意見箱を置きに行き、侑達は先に練習へ向かうのだった。

 

 

 ……あっ、ちなみにしずくちゃんが恵んでくれた紅茶はかすみんBOXを置きに行って部室に戻った後、ちゃんと飲み干したぜ。とても美味しかったから、今度時間をかけてゆっくり飲める機会があったらいいな。

 

 

 

 




今回はここまで!
かすみんBOXの件は自分の欲で展開を原作とは変えてみました!
やっぱりみんなが納得するのが良いよね……
次回からはだんだんあの瞬間に近づいていきます
ではまた次回!
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