今回は近江彼方ちゃんの誕生日記念回です!
ではどうぞ!
『12月といえば?』と訊かれた時、何を思い浮かべるだろうか?
大抵の人は、クリスマスだとか年末の年越しだと答えるだろう。
冬は日本の四季の中でも最も平均的な気温が低く、誰もがダウンやセーターなどの厚着をする。そして、それらではカバー出来ない部位は手袋やマフラーなどで補う。そんな寒さが佳境を極めるのが12月だ。
そんな過酷とも言える環境や、特別な行事があるおかげだろうか。学生には冬休みという長期休暇が存在する。
夏休みに比べたらそこまで長くはないが、クリスマスや年末年始にかけて休みがとられている。クリスマスは高校生にとっては、家でゆっくりし、行事を楽しめるという点でも短い休みながらも有意義な休みになるだろう。
しかし、そんな中でも自分の身を粉にして社会に貢献する高校生がいるのも事実だ。
「──よし、そろそろ交代の時間だね。近江さん、今日はここまででいいよ。お疲れさん」
「はい、お疲れ様で〜す!」
自分の仕事を終え、疲労がある中でも笑顔を絶やさないこの女子高校生、近江彼方もその一人だ。
彼女はスクールアイドルとバイトを両立しており、午前中にスクールアイドルの練習をした後、夕方の今までスーパーのバイトをしていた。
そんな彼女は、スーパーの裏側に行き、着ていた制服から着替え、その場から去ろうとした時、まだ仕事を続けている同じ女性のバイト仲間とすれ違い際に声をかけられた。
「あれ? 近江さん、もう上がる感じ? お疲れ〜」
「あっ、前田さ〜ん、お疲れ様です〜! はい、少し用事があるんです」
前田さんと呼ばれたそのバイト仲間は彼方よりも3歳年上で、このスーパーのバイトリーダーである。とても気さくで、スーパーで働いている人には誰でも声かけをしている。
「ふーん、そうなんだ……ん? ……ほうほう。まさか近江さん、これだったりする?」
彼方の返答後、少し彼女の様子を見た前田というバイト仲間は、何かを察したのか、こう言ったあとに小指を上に立てた。
「うぇぇ!? ち、違いますよ〜、
彼方は顔を紅くして前田の発言を否定した。
「男っていうのは否定しないんだねぇ……それに
そう言うと、気分良さそうにその場からスキップして立ち去ってしまった。
「えっ、ちょっと!? ……もぉ〜……」
一方彼方は終始顔から火が出たままであった。
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街中がもうイルミネーションの光で輝く。クリスマスに近づくにつれてそういう景観になる傾向があるだろう。そして、ショッピングモールなどの商業施設はクリスマスセールがあったりして人が集まり、行き交いが盛んになる。
───そんな時期にもうなったんだなぁ……ほんの少し前にお正月を迎えたような気がするから、やっぱり一年って長いようで短いな……
あっ、どうも。高咲徹だ。今俺はある人と会うために、決められた待ち合わせ場所にいるところだ。
もう日は既に暮れ、空は真っ暗だ。それに加えて気温は一気に冷え込み、ダウンを着ないと寒さで震えてしまうほどになっている。こんなに寒かったらいつ雪が降ってもおかしくないだろうと思うのだが、東京では滅多に雪が降らない。
でも本当に雪が降っている地域に住んでいる人々からすれば、こんなの大したことないという一言で片付けられるだろうな……
……まあ、ぶっちゃけるとそう思ってしまうくらいにはこの場所で待ってるってことだ。待ち合わせ時間はもう過ぎているけれども……いや、かと言ってまだ5分しか経っていない。俺が早くここに来てしまっただけだ。
そう思っていると……
「徹くーん、お待たせー!」
俺が待ち合わせていた人、近江彼方ちゃんが小走りでこちらにやってきた。
「はぁ、はぁ……ごめん、待った?」
彼女は膝を手の支えにして息を切らしながらも、こちらを向いてそう訊いてきた。
「ううん、俺もさっき来たばっかりだよ。それより大丈夫か? 大分走ってきただろ?」
俺はよく待ち合わせする時に言われる文句を使って彼女を安心させる。
……少し凍えそうになったなんて思っちゃいないさ。少し前に俺が言ったことを思い出せ? それは野暮だ。
「そうだった? ごめんね〜、少しバイト抜けるの遅くなっちゃって〜。あっ、それならもう大丈夫〜。それよりほら、早くいこ?」
さっきまで大分息切らしていたのに、もうある程度回復している。さすが、スクールアイドルの体力は伊達じゃない。日頃の練習のおかげだろう。
ちなみになぜ今日彼方ちゃんと待ち合わせてどこかに行こうとしているかというと、もうそろそろ彼女が誕生日だからだ。妹の遥ちゃんから話を聞き、そこから彼女に声を掛けたという流れでこう待ち合わせて出掛けようとしている。
行く場所はショッピングモールで、これは彼女の要望で決まった。
──ちなみに、本人には言っていないが、ここでプレゼントするものを探して渡そうと画策している。果たしていいものが見つかるかなぁ……彼女が気に入ってくれるかも心配だ。
「おぉ、そうか……うん、じゃあ行こうか」
こうして、俺と彼方ちゃんはショッピングモールへ向かうのであった。
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んー……今日も一日練習とバイト頑張ったし、彼方ちゃんはもう眠く……ない。
そう、今日は眠くないのだ!
──あっ、どうも〜。おめめシャッキリモードの近江彼方で〜す。
今日はなんと、徹くんと一緒にショッピングをするんだ〜。彼方ちゃんとっても楽しみでね、今日は徹くんと楽しくショッピングしたいから眠くないんだ〜。
こういうのって、遥ちゃんが相手の時ぐらいしかなかったんだけどね〜。あっ、ちなみに遥ちゃんの時はハイパーおめめシャッキリモードになるよ? やっぱり遥ちゃんは可愛いからね〜。まさに遥ちゃんしか勝たん、って感じかな〜。
「んー、これが良いかなぁ……」
そんなことを考えていると、横で徹くんがそばにあった可愛い絵柄のアクセサリーを取ってそう呟いた。
そういえば、今まで色々なお店回ってきたんだけど、徹くん今まで何も買ってない気がする。何でだろう……それに、徹くんが手に取っているものはほぼ彼が使うようなものではないんだよね〜。
……あっ、もしかしたら侑ちゃんに送るものを選んでるのかな? それだったら納得がいくな〜。あと、侑ちゃんじゃないとしても、歩夢ちゃんとかせつ菜ちゃんとか……っ!
なんだか、そう思うと胸が締め付けられるような気持ちになっちゃったなぁ……
「……おーい、彼方ちゃん?」
「ん? ……あっ、ごめん。どうしたの、徹くん?」
「ううん、特に用はないんだけどさ。少し暗い顔になってた気がしたから心配になってさ」
気づかないうちに徹くんが目の前まで来ていた。周りを気にしないほど考え込んでたみたい。
「えっ、そうだった? ううん、大丈夫だよ〜、気にしないで〜……あっ……」
……こうは言ったものの、徹くんのことだからもっと心配させちゃうだろうから、すぐに周りを見回して話題の種になるものを探した。
すると、少し離れたところのマネキンが着ているものに目が留まり、思わず声を漏らした。
「ん? ……彼方ちゃん、もしかしてあの中に気になるものがあるのか?」
「えっ? ……あっ、うん! あれが被ってるニット帽なんだけど……」
目線だけで彼は私の考えてることを見破った。ほんと、こういうところは鋭いんだよね〜……私のこの
すると、徹くんは即座に店員さんを呼んで、私が気になったニット帽がどこにあるかを訊き、私たちはそこに移動した。
「ここですか、ありがとうございます────これだよね、さっき見てたのって」
「うん、そうだよ〜」
店員さんに案内されて徹くんがお礼の言葉を伝えると、店員さんは一礼して店の巡回に戻っていった。すると、徹くんは例のニット帽を手に取って私にそう訊いた。
そのニット帽はクリーム色で、先っぽに丸い羽毛で出来たフワフワがついていて、羊のマークもついていた。思わず目に留まっちゃったんだよね〜、冬にぴったりだし〜。
「いいね! 似合うと思うよ。試しに被ってみたら?」
徹くんがそういうので、渡されたニット帽を被ってみると……
「おぉ……凄い似合うぞ! 今日の彼方ちゃんの服も似合ってたけど、そのニット帽があるともっといいね!」
「っ!? ……もう、また徹くんはそう言って……」
徹くんの言葉に思わず顔を紅くしてしまった。でも、今日の服についてはもっと早く褒めてほしかったな〜。今日は結構張り切ってきたんだから〜。
「よし、値段はっと……なるほどな。彼方ちゃん、その帽子貸して」
「あっ……はい、どうぞ」
「ありがと。ちょっと待っててな……」
すると、徹くんは私が被っていたニット帽を持ってどこかに行ってしまった。どこに行ったんだろう……気になるけど、彼が言った通りに待っていたら、2分くらいで戻ってきた。
「お待たせ……はい、これ。もう金払ったから貰って」
「えっ!? それって……」
すると、なんとそのニット帽を買ったというのだ。
「あぁ、彼方ちゃん今度誕生日でしょ? そのプレゼントだよ」
「……ふふっ、嬉しいよ〜、ありがとね」
彼方ちゃん、今結構無難に返したけど……徹くんからプレゼントを貰えたことが凄い嬉しいんだ。
──そうだ、せっかくだから今から被っちゃおう。あったかいし、何より、徹くんが似合うって言ってくれたから……
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俺は無事に彼方ちゃんへの贈り物を見つけることが出来、時間的にもそろそろ帰る時間になってきたので、ショッピングモールの外まで来た。
ショッピングモールに入る前に比べると、外は行き交う人は少なくなり、時々人が通りかかるくらいになった。
「今日はありがと〜。このニット帽、ずっと大切にするね」
「そうか。そう言ってくれると嬉しいよ。こちらこそ、すごく楽しかった」
俺がプレゼントしたニット帽、結構気に入ってくれてるようだ。ホント、彼方ちゃんが欲しそうにしているのに気づいて良かったよ。あれに気づかなかったらどうなってたことか……
「えへへ〜……ふわぁ……何だか眠くなって……」
「……えっ、ちょっ、大丈夫か!?」
すると、彼方ちゃんは欠伸をして、急によろめいて前に倒れそうになった。それを俺は前にまわって受け止めた。
「えっ? ……あっ、ごめん〜! ちょっと眠くなっちゃったみたい……」
……やっぱり、練習とバイトした後はキツいよな……なんなら彼女、今日の練習はいつも以上に張り切ってたような気がする。今は声のトーンも眠そうにしてる時の彼方ちゃんになっている。
「そうか……おっ、丁度良いところにベンチがある。ちょっと一旦そこに座るか」
「うん……」
周りを見渡すと、歩道の端にベンチがあったのでそこに向かう。
「よし、少しここで休もう。調子はどうだ?」
「うー……凄い眠気が襲ってきてて今にも寝ちゃいそう〜……」
……うーむ、今日はいつも以上に無理してたんだな……バイトの時はどうだったかは分からないとはいえ、それに気づかなかった俺は反省しなければ。
「そうか……ごめんな、彼方ちゃんの調子に気づいてあげられなくて」
「ううん、徹くんは何も悪くないよ〜。彼方ちゃんが徹くんとの
「えっ? ……今
「んー……ごめん。もう寝ちゃいそう……すやぁ……」
今彼方ちゃんデートって言ったよな? 聞き間違いだろうか……
俺はその言葉の真意を聞こうとしたが、彼方ちゃんはついに眠りに落ちてしまい、彼女の身体は俺の方に倒れ、俺の肩に彼女の頭が乗った。
気のせいか分からないが、凄い幸せそうな感じで寝ている。
「……ふふっ、俺のために張り切ってくれたってことなんだな。ありがとう」
そう言って俺は彼方ちゃんの頭を撫でた。
そして、そんな彼女の頭には俺がプレゼントしたニット帽が被されていたのであった。
今回はここまで!
クリスマスのイルミネーションは綺麗ですよね
それを楽しむ相手がいればもっと良いのですが!←いない人
これでアニガサキ1期に出てくるメンバー9人の誕生日回を書き終えました!
今後2期で出てくる3人は、2期が終わってから書こうかと思っています!
あと、誕生日回2周目も検討中です
ということでまた次回!(本編もなるべく早く更新します)
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