夕焼けに染まる教室に女子生徒が三人。
談笑に更ける少女達。
だが、腰まで伸ばした長い黒髪の少女の笑顔が翳った。
「いつまでも、こうしていられたらいいのに……」
「叶ちゃん。私達はいつまでも一緒だよ?」
「そうですよ。たとえ何があってもこの清香、叶様と椿様から離れません!」
長身の茶髪の少女と、ショートカットのスポーティーな少女がそれぞれ一人の少女を元気付けようと語りかける。
「ふふ……。清香は愛らしいわね。そうね、私達は永遠よ」
二人に笑顔を向ける少女。
黒いセーラー服に黒髪、黒い目。
誰もが彼女を見た時、その黒の美しさに見惚れるだろう。
「私達は永遠……。だから二人共、私のお願い聞いてくれる?」
「うん。いいよ」
「叶様のお願いならなんなりと!」
微笑み、二人は少女の願いを聞き届けた。
そして二人は……その願いを受け入れた。
聖山駅に隣接する複合商業施設。
その地下駐車場では、四人の騎士が争っていた。
絶え間なく響く剣戟。
鋼と鋼がぶつかり合い、願いと願いがぶつかり合う。
「ぜえぇぇやぁぁぁぁぁ!!!!!」
「ッ!?」
女王蜂のような騎士、【仮面ライダースティンガー】の拳が青い騎士、【仮面ライダーアイズ】の胸を打つ。
「今日こそ決着だ……。倒す!」
「それはこちらの台詞よ……!」
この二人が戦っている場所から少し離れた所では、純白の騎士【仮面ライダーツルギ】と銀色の装甲が煌めく【仮面ライダーエクス】が戦っていた。
戦闘は終止ツルギの優勢。
ツルギの太刀がエクスの武装である棒を薙ぎ払い、がら空きとなったエクスの身体を横に一閃。
「ガッ!?!?」
装甲から火花を散らせ、エクスは力なく地面へ膝をついた。
もはや、勝負はついていた。
ツルギは敗者であるエクスに向かい太刀を向ける。
「あなたでは、僕には勝てません。デッキを捨ててください!」
「ふざ、けるな……。デッキを捨てるなんてこと、出来るわけないでしょう! デッキが無かったら、この世界に消えてしまう……。そんなの嫌! 私はそんな死に方したくない!」
ツルギの勧告を否定したエクス。
デッキからカードを引き抜き、抵抗を試みようとするが、ここはツルギの距離だった。
太刀を回し、峰へと変えてエクスの腕を打つ。
峰とはいえ、金属の塊が高速でぶつかるのだ。エクスは痛みからカードを落とし、地面を転げた。
「嫌だ……。こんなところで死にたくない……。嫌だ、嫌だ、嫌だ……」
地面を這い、芋虫のように逃走しようとするエクス。
そんなエクスを見て、ツルギは太刀を握りしめた。
「大丈夫です
叫ぶツルギ。
その言葉を聞いたエクスは顔をツルギへと向けた。
「……私は、死なない?」
「はい。だから、デッキを渡してください。デッキを壊して、契約したモンスターを倒せばあなたは解放される」
私は、死なない……。
自身のデッキを指で撫でる。
私は、死なない。
私は、死なない。
私は、死なない。
私は、死なない。
「私、は……」
呟いた瞬間、あまりの眩しさに目を閉じた。
少しずつ光が弱まり、ようやくそれを直視出来るようになるとそれの正体が分かった。
鏡────。
一枚の鏡。
纏っていた白い布を開き、顔を見せたそれはただの鏡ではない。
このミラーワールドにおいて、唯一現実世界へと繋がらない鏡。
この世界の核が、この場に顕現していた。
「どうして、コアミラーがここに……。とにかく、あれを壊せばこの戦いは終わる!」
太刀を構え、コアミラーへと駆けるツルギ。
だが、それよりも早くエクスが、コアミラーへと手を伸ばす。
そして、世界は光へと包まれ──────。