こっそりと人目につかないように瀬那さん達を部屋に通す。
一応、さっきのようなことがあったので里の人達の目に皆さんを触れさせたくなかった。
「ミイラさんいる?」
もしかしたら戻っているかもと思ってミイラさんに声をかける。
「おかえり……」
返事が返ってきた。
まさか帰っていたなんて。
というかどこにいたのか?
「どこに行ってたの? 探したんだよ私」
「いや、その……安全なとこ」
「安全なとこってどこよ」
「……安全なとこ」
駄目だこれは。
またしらばっくれられる。
というか、ミイラさんの息が上がっているような気がするのは気のせいだろうか?
「別に、そんなことないと思う」
はぐらかされた。
ミイラさんは私に本当のことを言ってくれないんだから……。
いや、今はそれよりもだ。
「あ、あのねミイラさん。今からちょっとお客さん何人か入るけどいい?」
「いいよ」
特に考えるような間もなくすぐに了承されたので廊下で待ってる皆さんを部屋に通す。
「何よこの仕切り。狭いじゃない」
「そっち側にはミイラさん……。怪我人の方がいるので……」
「ふぅん。というか哲! あんたなんで普通に入ってきてるのよ!」
小柄な少女が小太りの男性に突っ掛かる。
まあ、これから手当てとかするとなると男性がいるのはちょっと……。
「そ、それじゃあ俺はどうしたら……」
「あんたはそっちにいなさいよ!」
少女が哲という男性をミイラさんのいるカーテンの向こう側へと無理矢理押し込んだ。
止めようとしたが遅かった。
そして……。
「あぁぁぁぁぁ!?!?!? ミ、ミイラ! ミイラ? ミイラだよこれ! ミイラ男だぁ!!!」
ミイラさんを見たであろう哲さんはそう怯えながらカーテンの向こう側から飛び出してきた。
「あんた情けないわね男のくせに! これだから男は嫌いなのよ!」
「そんなこと言って毎ちゃんだって絶対見たら怖がるって!」
「そんなわけないでしょ。そんなミイラみたいってただ包帯ぐるぐる巻きにしてるだけなんだし」
まあ、実際そうなのであるが夜中に見たら結構怖い見た目をしていると思う。
「はっはっはっ。君達もミイラにしてやろうかぁ」
そう棒読みで言いながらカーテンの隙間から包帯で巻かれた腕を出すミイラさん。
お客さんが来て楽しんでるのか……。
「ぴぃぃやぁぁぁぁぁ!?!??!?!?!」
思わず、耳を塞いだ。
少女、毎ちゃんの悲鳴が轟く。
「……もうお前ら二人出てけ!」
瀬那さんの怒号で二人はピシッと姿勢を正してから部屋を出ていった。
……どこにいるつもりなんだろう。
廊下かな?
それはさておきまずは怪我の酷いお二人の手当てから始めよう。
二人の手当てを終えた。
手当てが終わったので、外にいた二人。
男性の方は
「……とにかく、どうする? あいつら、また来るわよ。私達がここにいる以上は」
「だろうな。ま、あたし達がいなくてもここを潰しには来るだろうが」
……ここを再び潰しに来るという事実に私は震え上がった。
そうだ、ここが見つかってしまった以上はまた里を潰しにやって来る。
その事実は恐怖するのに充分で……。
部屋に重い空気が漂うなか、扉をノックする音が聞こえた。
誰だろう。
扉を開けると、燕尾服を着た執事風の男性が立っていた。
「お初にお目にかかります。私は
まさか、本物の執事だったとは。
それにまさか舞園さんの……。
確かに舞園家なら執事がいてもおかしくはない。
「誰だ。その舞園ってのは」
「ここの里の長です。この土地の所有者でもあります」
瀬那さんの質問に答える。
かつて、この鉱山で富を得た一族である舞園家はこの里の運営においても強い権限を持つ。
「で、そこの執事さんが私達になんの用かしら?」
「お嬢様が皆様をお呼びです」
「お嬢様とやらがあたし達みたいなのに何の用だよ」
その問いに、執事さんは予想外の返答をした。
「お嬢様は皆様の支援がしたいと、仰られております」