仮面ライダーツルギ EPISODE X   作:大ちゃんネオ

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Xー12 舞園明日香

 里で一番大きな建物。

 かつては役場だったという建物に舞園明日香さんは暮らしている。

 瀬那さん達を気遣ってか、糸谷さんは人通りのあまりない裏道を選んで進んだので少々時間はかかってしまったがそれは特に問題ではないだろう。

 

「あなた、なんでついてきたのよ? 別に関係ないでしょ?」

 

 毎さんに問われた。

 確かに、私がついていく必要なんてないのだろう。

 それでも……。

 この人達と出会って、何かが、私の中に芽生えたような気がする。

 その何かを、私は知りたかった。

 だけどそれを言うのはなんだか恥ずかしくて、あと、言葉に出来なくて。

 それでも、何かは言おうとしたがやはり上手くは言えなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 建物の三階が舞園さんの居住区ということで、三階は一階、二階と比べると舞園さんの趣味なのか落ち着いた赤を取り入れた装飾などが施されていた。

 

「こちらのお部屋です」

 

 通された部屋は恐らくかつては会議室だったのだろう。

 広い部屋の上座に、その女性はいた。

 

「ようこそ。皆様のご到着を心待ちにしておりました」

 

 物腰やわらかで、上品で、まさにお嬢様といった印象。

 着ているものも私達が着ているようなものではなく、ここでは珍しいどこもボロボロではないちゃんとしたものだった。

 

「どうぞこちらへお掛けになってください。玄貴、皆様にお茶を」

「用意しております」

 

 流石は執事。

 既に用意が出来ているなんて。

 

「茶はいい。さっさと用件を言え」

 

 瀬那さんはどこか苛立っている様子だった。

 何か、気に入らないことでもあるのだろうか?

 

「分かりました。早速本題に入らせていただきます。私は、皆様のご支援をしたいと考えています」

「ここの連中は反対してた」

「分かっています。ですが、支援するのは私であって里ではありません」

「つまり、個人的にってことでいいのかしら?」

「そういうことです。里の皆さんは忙しいですから……」

 

 忙しい……。

 そうか、ここが見つかってしまったからもう逃げる準備をしているのか。

 

「なんで支援しようなんて思ったんですか?」

「それは……そうですね。あなた達の行動に賛同したからです」

 

 つまり、舞園さんは神を倒すことに賛成しているということ。

 意外というか、なんというか……。

 

「私は今のこの状況をよしとは思いません。今もこうして皆さんでここから去る準備をしていますが、いずれは同じこと。見つかったら襲撃を受ける。そしてまた逃げて……こんなことをいつまでも繰り返すことが出来ると思いますか?」

「いいや、無理だね。ジリ貧だ」

「ええ、その通りです。そうしてこの世界はいずれ滅んでしまうのでしょう。戦って、戦って、戦って……最後には何も残らない。そんな世界、私は嫌です」

 

 明日香さんは険しい顔で語った。

 確かに、今のままではいずれ皆滅んでしまう。

 そんなの……誰だって嫌だ。

 

「私も出来れば戦いたくはありません。しかし、戦って状況を打開出来るというのなら話は別です」

「へえ、じゃあ一緒に来るのか? お嬢様?」

「いえ、お嬢様は一年半前のモンスターの襲撃の際、足を悪くされています。戦うことは出来ません」

「じゃあどうするってんだ」 

「ここを拠点として提供します。また、里の長として得た情報の提供も」 

 

 拠点……。

 瀬那さん達にとってはいい提案だろう。

 これまで根なし草であちこちを渡り歩いてきたらしいので落ち着ける場所が出来るのは魅力的だろう。

 

「ここは神達に見つかってはいますが、既に避難出来る人達は近くの里に向かい始めています。荷物は出来る限り最小限に。早くこの里を出るようにと伝えてあります」

「そんでもってもぬけの殻となったここを狙ってやって来た奴等も叩けって?」

「最悪、そうなるでしょう。しかし、こちらから打って出ることも可能であると思います」

 

 打って出る?

 つまりは……。

 

「神に対抗しようとする人々は他にも存在します。仲間を集めれば、きっと神を倒すことも出来るはず……」

 

 仲間。

 神、闘争主導者の勢力に対抗出来る強さを持つ人達を集める。

 しかし、そんな人がぽこじゃか存在するのだろうか?

 

「……一番は、()()()を見つけることが出来れば良いのでしょうけれど……」

 

 ツルギ?

 ツルギとは、一体?

 そんな疑問を抱き、訊ねようとするがそれよりも早く美玲さんが身を乗り出して食い気味に問う。

 

「貴女、ツルギを……燐を知っているの!?」

 

 ツルギ。

 そしてたったいま出たもう一つの名前、リン。

 ツルギはライダーの名前でリンという人物が変身していたのだろう。

 美玲さんと深い関わりがあるようであるが……。

 

「あなたは彼のことをご存知なのですか?」

「ええ。ずっと、燐のことを探して旅をしているわ」

「そうですか……。彼、ツルギのことは一部では現代の英雄譚として語り草となっています。世界がこんな風になってしまったばかりの頃、人々を救う真白の剣士の存在は希望となり、闘争主導者の勢力からは怖れられていました。私も、そんな彼に救われた一人です」

 

 懐かしむ顔で顔で、ツルギに思いを馳せる様子の明日香さん。だが、瀬那さんが現実を突きつける。

 

「確かにあいつはライダーの中でも最強格だった。だけどツルギは死んだ。いない奴のことなんてアテにするな」

 

 英雄は死んだ。

 希望は潰えた。

 瀬那さんの言葉はこの場にいる人々を現実に引き戻した。

 いや、一人だけまだ目に炎を灯している人がいる。

 

「何度も言わせないで片月。燐は死んでない」

 

 睨み合う美玲さんと瀬那さん。

 だが、今はそんなことをしている場合ではないとすぐに睨み合いは終わった。

 

「……ツルギのことはともかく、強者とされるライダーの話は私の耳に入っています。ここから西に進んだ、青葉岳にある隠れ里にはとても腕の立つ銀色のライダーと紺色のライダーの二人組がいると。彼等もまた闘争主導者達に反旗を翻す者達。頼もしい味方になるはずです」

「……なるほど、そのライダーをスカウトしてくればいいのね」

 

 こうして、闘争主導者と戦う仲間を集める旅が始まろうとしている。

 本来であれば盛り上がるべきところなのだろうが、どうにも私の心はざわついて落ち着かなかった。

 戦うための仲間を集める。

 この闘いの世界を壊すために闘う。

 結局、闘うしかないのだろうか……。

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