仮面ライダーツルギ EPISODE X   作:大ちゃんネオ

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Xー14 旅立ち

 深夜、美玲と瀬那は住人が避難したことで空いた建物を借りて一夜を明かすことにした。

 元の住人は慌ただしく家を去ったようで家具は当然そのまま。服やその他私物も置き去りである。

 テーブルの上にも物が散乱していたが瀬那はそれらを乱暴に床に落とすと明日香から借りた地図を広げ、作戦会議を始めた。

 

「直線距離40km、か」

「貴女達、車は持ってるの?」

「車はあるがガソリンがない。それに、仲間からの報告でこの辺りに鉛の兵隊……雑魚ばっかだが集結しているらしい。あまり派手な動きは出来ない」 

 

 レジスタンスのリーダー格となった瀬那のもとには様々な情報が伝達される。それらの情報を整理して導き出された結論は……。

 

「山の中を隠れながら歩くしかない」

「時間はかかるけどそれが最善、か」 

 

 山中を身を潜めながら進む。

 出来る限りの戦闘は避けての安全策。

 この荒廃した世界となってからというもの、二人は散々道無き道を歩いてきたのでもう慣れたものである。

 

「それじゃあ寝る。遅いからな」

「そうしましょう。……ところで、ベッドはひとつだけなんだけれど」

 

 この家にあるのは簡易ベッドがひとつのみ。

 どちらかは床で寝なければいけないのだが。

 

「お前床で寝ろ。好きそうだしな」

「あなたが床で寝なさい。得意でしょ?」

「得意ってのはどういう意味だ」

「好きそうってのはどういう意味かしら」

 

 このあと、どちらがベッドで寝るかの言い合いがしばらく続いた。

 そうしていくうちに夜は更け、二人は寝不足になった。

 

 

 

 

 

 朝。

 眠りから目覚めた私はミイラさんに声をかけるのがいつもの習慣となっている。

 今日も今日とてミイラさんの寝息が返事だったので朝ごはんを貰いに行こうとして……気付いた。

 もう、ここには人がほとんどいないことに。

 朝の炊き出しもやっていない。

 

「朝ごはん抜きかぁ……」

 

 がっくりと項垂れる。

 朝ごはんを食べないと動けないタイプなのだ。

 朝ごはんを食べてそれから今日は……。

 今日は……何を、すればいいのだろう。

 もう人のいない隠れ里。私も早くここを立ち去るべき、なのだろうか。

 それとも、なにか。

 なにか、行動するべきなのか。

 昨晩のことを思い出す。

 戦うということについて考えて、結局答えも出せず気が付いたら眠っていた。 

 そう簡単には答えなんて出せないと思ってはいたけれど……。

 寝起きの頭と空っぽのお腹で考える。

 考えられるわけがない。

 

「ああもう!」 

 

 ベッドに再び身を預ける。

 すると、扉を叩く音が三回。

 ベッドから飛び起きて扉を開けると昨日と同じように執事さんが立っており、綺麗なお辞儀を見せた。

 

「おはようございます三上様。お嬢様がお呼びです」

「明日香さんが……?」

 

 一体なんの用だろうか?

 とりあえずついて行くことにしたが……。

 

「すぅ……すぅ……」

 

 ミイラさんは相変わらず寝たままである。

 まったくこの人は……。

 

 

 

 

 

 

 

 昨日と同じように明日香さんの部屋へ案内されるとそこには咲洲さんと片月さんもいた。 

 

「おはようございます三上さん。急にお呼び立てして申し訳ありません。実は折り入って頼みがあるのですがよろしいですか?」

「頼み、ですか?」

 

 私なんかに?

 一体なにを?

 疑問は尽きない。

 

「頼みというのはお二人の案内をしてほしいのです」

「案内、ですか?」

「はい。別の隠れ里へ向かうのに山道を行かれるそうなのでこの辺りに詳しい方が案内役として同行した方がいいかと思いまして」

 

 はあ。

 まあ、確かにこの辺りの山道ならよく通っていたし案内ぐらいなら出来るだろう。

 ただ、正直。

 咲洲さんと片月さんを見る。

 正直、私なんかいなくてもこの人達なら平気で山を越えていけそうな気がする……。

 

「お願い、出来ますか?」

「……はい」

 

 どうにも、お願いと言われると弱い。

 了承することにはしたが、返事の「はい」はなんとも気の抜けたものとなってしまった。

 

 

 

 

 

 早速出発するというので急いで準備に取りかかる。

 数日がかりになるので念入りにと荷造りをしている中、思い出したことがあったのでミイラさんに伝えた。

 

「私がいない間は玄貴さんがお世話してくれるって言ってたからちゃんとありがとうございますするんだよ」

「はーい」

 

 本当に分かっているのだろうか?

 まあ、人当たり自体は良い人ではあるので大丈夫だろう。

 さて、荷造り終わり。出発しよう。

 

「それじゃあ行ってくるね」

「うん。気を付けてね」

 

 カーテンの中から包帯で巻かれた手を出して、いってらっしゃいと手を振った。

 少しだけ、頬が緩む。

 見た目はホラーだけれど、その人となりはどこか和むものがあるミイラさん。その包帯の理由だとかどこから来ただとか一切は謎に包まれている。帰ってきたら、改めてミイラさん本人のことを聞いてみよう。もしかしたら、次は教えてくれるかもしれないし。

 

 

 

 咲洲さん達と合流するため里を歩いていると、モアさんと出会った。

 

「やあ奈々ちゃん。奈々ちゃんも里を出るのかい?」

「モアさん……。いえ、その、闘争主導者達に対抗するために仲間を集めに行くんです。私はそれの案内役です」 

「闘争主導者達に……俺も協力するよ! 鞍馬の奴もこれを聞いたら喜ぶぞ!」

 

 ……意外と乗り気なんだ。

 もしかすると私が思っている以上に闘争主導者に反抗したいって人は多いのかもしれない。

 これなら仲間もたくさん集まるかもと期待に胸を膨らませ、旅立った。

 

 

 

 

 

 ────運命は廻り始める。

 世界は、更なる闘争へと向かい始めた……。

 

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