01 自由落下
俺の名前は白木藍人。高校生だ。
俺はとある日バイトに行くために電車を待っていたところを後ろから押され、電車にひかれて死亡した。
____________________と、思っていたんだが………。
絶賛落下中である。
…………………………………………………………………………は?
「_____はぁ!?」
いやいやいやいや訳がわからない。自分は死んだんじゃなかったのか?て言うか何で落ちてんの?え?
自分で言っておいて何だが自分が一番わからない。
『駅のホームから突き落とされて電車ひかれたと思って気が付いたらどこかの遥か上空を自由落下中!』意味わかんねぇよ!
「っクソッ!どうなってやがる!!」
……………落ち着け、落ち着くんだ俺よ。
そうだ、こういうときにはまずは自分の状況を確認しよう。大事な事だ、うん。確認、大事。
現在の自分の状況。
・空中に放り出されている。
・地上はかなり下方。
・パラシュートはなし。
・落ちたら死ぬ。
「……………………」
死ぬ?
「はぁ!!?」
漸く事の重大さに気付いた。
「あーもうどーすんだよ!!」
何か、何か解決策はないか!?
探してみるも、当然そんなものはなく、焦るばかりで更に混乱する。
その間にも高度はぐんぐん下がっていく。
………不味いな。
混乱のせいで焦ってしまい思わず手足を動かしてもがく。
が、ここは空中である。そんな行為は意味が無い。無駄である。
俺の無駄な抵抗も虚しく本人の意識とは逆に景色はどんどん上へと流れて行く。
____ああ、無情。
なんて言ってる場合じゃねぇ…
更にもがいたせいで空気抵抗によるバランスが崩れ、体が空中でぐるぐると回転し始める。
「うぉっ!!なっ……!」
きりもみになりながら落下していく。
…正直吐きそうだ。
当然そんな事になれば身体に負担が掛からない筈もなく、常人には耐えられない程のGが掛かる。かなりキツい。
…そろそろ吐いていいですか?
言っておくが『G』とは勿論グラビティの頭文字のGであり、黒光りする気色の悪い害虫の頭文字のGではない。
閑話休題。
当然、空軍パイロットの様な対G訓練なんて受けていない俺がどうなるかなんて火を見るより明らかだろう。
どうにかしようと踏ん張ってみるも、意味なく、だんだんと意識が遠退いていく。
「_____くっ………そ…が…………」
_____再び、俺の意識はブラックアウトした__________。
その時偶然その下を飛んでいた一人(?)の新聞記者が落下してきた謎の物体に激突され、気が付いたら自宅のベッドの上にいたのは別の話。
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_____某月某日、晴れ時々曇りところにより男子高校生。(と烏天狗)
「…………今日もゼロ……」
そんなある日。ここ、博麗神社の名物(?)。閑古鳥の鳴き喚く賽銭箱の中を覗きながらこの神社の主_______【博麗霊夢】は溜め息をつきながら一人呟いていた。
彼女は先の通り博麗神社の主、もとい巫女をやっている。
巫女をやっているのならば当然巫女装束を着ている訳だが、彼女の装束は少し異形だ。
赤と白を基調とした部分は変わらないのだが、霊夢の装束は肩の部分がなく、腋が丸出しである。更に下は袴ではなくミニスカートという妙ちくりんな格好だ。
人里で変人扱いされている理由の5割がこの格好のせいなのはここだけのお話。
閑話休題 (2)。
博麗神社はここ【幻想郷】と【外の世界】を隔てる重要な結界、【博麗大結界】を祭る幻想郷最も重要な神社と言っても過言ではないと言える神社だ。
いや、実際そうなのだろう。そうなのだが………
この神社には一つ欠点があった。それはこの神社の主の溜め息の原因とも言える事。
_____そう、参拝客がいないのだ。
いや、いないと言うのはいさかか語弊があるので訂正しておこう。
正確に言うと参拝客が少ないのである。そう、それも極端に。
週に1、2人来る又は100円入っていればいい方だ。酷い時にはお正月以外参拝客が来なかった年があったぐらいだ。
会社にすれば大赤字・即倒産決定だ。
重要な神社の筈なのに。
重要な神社の筈なのに。
大事な事なので二回言ったが。
それでもなくならずに残っているのは腐っても神社____特に博麗大結界を司る神社と言う事と、異変を解決した後に行われる宴会の会場の役割を果たしている事からだと言えるだろう。
異変と言うのは、この幻想郷に起こる怪奇現象の事で、時に空を紅い霧が覆ったり、時に春が来ずにいつまでも冬のままだったり、またある時には雲が月を覆って明けない夜が続いたり。と、これらの現象を総じて異変というのである。
まぁ、そんなこんなでこんな雀の涙程度の参拝金で生きていける筈もなく、妖怪退治や異変解決等の報酬で何とか食い繋いでいる。
そんなギリギリの巫女、霊夢は境内の掃除を終えた後、醤油がきれているのを思いだして人里に買いに川の畔を歩いている最中だった。