「……ハァ………醤油ぅ……」
醤油が買えなかった私_____博麗霊夢は醤油がない事による今晩の夕飯の味気無さを想像して空を飛ぶ気力も無くなる位テンションが下がってしまい、頭を項垂れながらとぼとぼともと来た道を歩いて帰っているところだ。
行きも帰りも歩きだけど、テンションとその理由は間逆なんだけどね…。
来るときと同じように川の脇にある道を歩いていく。
なんとなく地面に落ちている小石を蹴りながら。
「…ハァ……全く、魔理沙が2本も買って行かなきゃこんな思いする必要なかったのに…………………魔理沙の奴め……」
と、この場に居ない相手に愚痴と八つ当たりをぶつけてみる。
まぁ、当然そんな事をやってもこのイライラが収まる訳も無く、考えれば考える程逆にイライラしてくる。
もうこのイライラをぶちまけても良いだろうか?というかそうしないと私の鼓膜がストレスマッハでぶち破れそうだ。
思わず小石を強く蹴ってしまう。
あ、川に落ちた。
自分でも分かる位顔が歪んでいる。
よほど怖いのだろうか。私が通る所だけ生物が避けていく。
おい其処の鳥、逃げるでない。
いきなりだがストレスとは発散しないとどんどんと溜まっていく物である。
段々と溜まっていったそれは、許容量を超えると溢れ出して止まらなくなる。
やがて溢れ出したそれは体から出ようと内側から圧迫してくる。
圧迫された体はそれを発散すべく、ストレスをエネルギーに変える。
エネルギーに変わったストレスは、運動や声を出す等の行為によって口や四肢から出されようとする。
そう、今の霊夢の様に。
あぁ!もう我慢できない!!叫ぶ!叫んでやる!!叫んで一緒にこのイライラも空の彼方へ飛ばし、ストレスとおさらばしようではないか!うん、良い考えだ!
いかにも『私、今怒ってます。』オーラを出しながら歩いていた私はいきなり立ち止まり、早速実行に移す。
「_____スゥ…」
私は大声を出す為に横隔膜を動かし、肺いっぱいに空気を溜める。
__________今思えば此処で叫ばなければ良かったのだろう。
そして叫ぶ為に顔を上に向け、脚に力を入れ、踏ん張る。
__________そもそも醤油程度であんなにイライラする事自体間違いだったのだ。
喉から大声を出すと喉が潰れるので、腹から出すために丹田に力を入れる。
__________あぁ、この時の自分をぶん殴りたい。そうすればあんな屈辱的な事にはならなかっただろう。
「魔理沙なんて変なキノコ食べてお腹壊しちゃえばいいのよぉーーーー!!!!バカぁーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」
大空に私の声が谺する。
「_____フゥ…」
幾らか落ち着いてきた所でそっと息を吐く。体が軽い気がする。
やはりストレスはあまり溜めるものではないと新ためて思った。
体の調子を確認する様に肩をぐるぐる回し、「うしっ」と、少し気分を変える様に呟き歩みを再開しようと一歩踏み出した時_____。
「_____ほぅ、誰が腹を壊せばいいって?」
「っ!?」
突如後ろから聞こえた声にビクリと反応する。
ギギギと、油のきれた錻人形の様に首を後ろに回す。
_____果たして後ろにいたのは、当の本人、霧雨魔理沙とその付き添い(?)のアリス・マーガトロイドだった。
(完)