しばらくこの作品を更新すると思います。
「なあ、二人とも。アイツの動きって機械じみてないか?」
なんとか機会を伺おうとビームを回避している時に、一夏は鈴とハサウェイに一つの疑問を投げかけた。
「何言ってんの!ISは機械じゃない!!」
呑気な一夏に鈴は心底呆れていた。それもそうだった。ISとはパワードスーツなのだから人間を乗せなければ本末転倒だ。無人機のISはもはやただのロボットなのだから。
「リン、そう言う事じゃないと思うぞ」
「そっ、そう思ってたわよ!!で、何なのハサウェイ!!」
ハサウェイが一応訂正を入れておくと、頬を紅に染めてハサウェイに答えを振ってきた。ハサウェイは一瞬の思考の後、口を開く。
「一夏は人が乗ってるのか、疑問に思ってるんだろ?」
浮かんだ可能性の中で一夏はこんな風に考えそうである。無人機自体、ロボットアニメやSFではお馴染みであるからだ。
「ああ、さっきも俺たちが攻撃しなかったら、アイツも動かなかったからな」
「はあ? 人が乗らないとISは動かないのよ?……あ、でも確かに。今の状況でこっちにあまり仕掛けてこないものね。まるで、興味があるかのように……」
ビームの頻度が落ちて、三機が同じ地点に集まって話している時でさえ、黒煙の中で敵ISは動きを一切見せていない。ISの知識が欠けている一夏だからこそ出来る考えだろう。
「だろ?」
しかし、鈴の顔はいまた釈然としていない。恐らく、可能性に上がってはいるが、今まで自分が得た知識や経験から大層外れているので受け入れられないのだろう。ハサウェイはアナハイム社の開発した極めて特殊な人工知能『ALICE』の存在を噂程度に耳にしていたのでリンよりは比較的に受け入れられた。
「ううん、でも、無人機なんてあり得ない。ISは人が乗らないと動かない。そういう物なのよ……」
「……もし、仮に、仮にだ。無人機だったらどうだ?あり得る話だろう?」
「成る程な……」
「何、無人機なら勝てるって言うの?」
焦りからか、やや棘のある口調でそう鈴は言った。
「ああ、人が乗ってないなら容赦なく全力でイケる」
アリーナに溜まった不安を吹き飛ばすように自信満々で、自分の得物である雪片弐式を固く握りしめた。
「全力でって……」
白式の真の恐ろしさを知らない鈴は、緊張や敵と対峙する恐怖で一夏がおかしくなったのではないかと、不安げな顔を一夏に向けた。
「零落白夜。雪片弐式の全力攻撃だ。恐らく、コイツの威力は過剰なんだ。学内対戦で、全力を使う訳にはいかない。なんせ、人が乗ってるからな。でも、仮に無人機だとしたら……?」
「零落白夜だか何だかしらないけど、その攻撃自体が当たらないじゃない」
「だから、二人で一夏にダメージが極力入らないように支援して、奴までの道を導くしかない。一夏、やれるか?」
「次は、当てる」
引き締まった、良い顔をしていた。これなら安心して任せられそうだった。
「ふぅ、仕方ないわね。じゃあ、アレが無人機だと仮定して行きましょうか!」
「じゃあ、合図したら鈴は衝撃砲、ハサウェイはビームライフルを撃ってくれ。最大出力で」
「「了解」」
「じゃあ早速っーー」
その時だった。
『一夏!!!!』
出鼻を大きく挫かれた。箒さんだろうか、シールドもない場所に拡大された声で叫んだのは勇気というか、ただの自殺行為だ。敵のISも目の部分を光らせながら、箒さんの方向へと虚な眼で彼女を視認する。
『男なら、……ッ、男ならそのくらいの敵に勝てなくてなんとする!!』
取り敢えず、今はもっと自分の命を大切にして欲しいと思いながらも、ハサウェイの行動は誰よりも早かった。
「一夏、箒さんは俺に任せろ。お前たち二人でやってくれ」
一瞬で箒の所へと飛んでいき、念のためのビームバリアー展開準備を行った。クスィーは、というよりもIS自体に武装としてのシールドがないのでシールドバリアーで守る他ないが、敵のビーム砲からして、受け止められるかはハサウェイでも不安であった。
「ッ、ぁあ!」
「分かったわ!」
二人は直ぐに行動に移した。
「鈴、やれぇ!!」
「行くよッ!」
甲龍の衝撃砲は敵へと最大の出力で放たれようとする。だが、その先に射線上へと一夏が背中を向けたまま現れる。まだ知らない鈴にとってはきっと意味不明な行為にしか映らないだろう。
「ちょ、ちょッ!何してんの!」
「いいから、やってくれ。鈴!」
「あー、もう分かったわよ!」
鈴は衝撃砲を放ち、そのまま白式の背部に命中する。
「よし、来た!」
白式により表示される目前の画面から、エネルギー転換率90%以上に到達して、零落白夜の使用が可能になる。
「うおおおおおお!!!」
龍砲の威力もそのままに、凄まじい加速でISへと迫っていく。敵も拳で迎撃しようと試みているようだった。
「俺はーーみんなを、護る!」
鋭く、白い一閃。直撃とは至らずに片腕を切り落としたが、そのまま一夏はぶん殴られる。初撃とビームライフルによって形成されたクレーターの内側に衝突し、危機的状況に陥った。
「くっ、ビームライフルは強すぎる……」
ハサウェイの狙撃スキルはお世辞にも高いとは言えず、高火力のビームライフルを打ってしまえば、一夏も敵も無事には行かないだろう。
「「一夏!!」」
乙女二人の悲鳴が上がるが、彼は諦めてはいなかった。
「狙いは?」
そう不敵な笑みを見せる一夏。その視線は敵ISではなく、別の方向に向いていた。
『完璧ですわ』
一夏を抹殺しようとした敵。その前に、上空から青いビームが乱れ撃たれた。
「なるほど、そうか!」
アリーナの上にはセシリアがブルー・ティアーズを展開させていた。間一髪、どうにか間に合ったようだった。
「セシリア、行け!!」
「了解、ですわッ!」
スターライトmk3の渾身の一撃が、銃口から敵を一心に貫く。そして、敵ISはすっかり沈黙した。先程までの剣戟や銃声は、気味悪いほどに綺麗さっぱり消え去った。
「ギリギリのタイミングでしたわ」
浮遊し続けていたブルー・ティアーズは僅かの砂煙すら立てず、舞台へと降り立った。
「セシリアのおかけで助かった」
和やかな会話が交わされる。だが、ハサウェイの緊張はまだまだ解かれてはいない。
「いいや、一夏。まだだ」
機能停止したように見えるが、僅かに反応が残っている。その通りで、再起動のアラーム音が鳴り響いた。
「あ、おい!」
ハサウェイのビームサーベルはコア部分を思しき場所、心臓部分を串刺しにしてから危険なビームの門である腕と、足の四肢をバラバラにして爆発させた。恐らく木っ端微塵になっただろう。
「詰めが甘い。足下を掬われるところだったぞ」
「あ、あぶねぇ……助かったぁ……」
どっと疲れが噴き出したのか、一夏はだらりと体勢を崩してボコボコのアリーナに寝転がった。
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「アレがアナハイムのビームサーベルかぁ……ま、箒ちゃんには必要ないか!」
とある部屋のパソコンに、カタカタとキーボードの音がかれこれ何時間もなり続けている。画面には『紅椿』とファンシーなフォントで付いており、IS専門家が見たら卒倒するようなデータの数々がそこにはあった。
「クスィーねぇ……そこに至る機体なんて聞いてないんだけどなあ」
ギリシア文字で14番目のソレ。他にもあると考えるのが常道だ。
「デザインは、悪くないけど……どうしてフルスキンなの?意味がある?ない?」
IS開発者にして、不世出の者の中でも一際異彩な天才ーー篠ノ之束の頭脳であってもその真意は分からない。
もっとも、彼女の場合は他人との交流が欠け過ぎていて、凡人の思考を理解出来ないだけなのかも知れないが。
だれか、クスィーとペーネロペーをかってください。
ハサウェイの今後(参考程度に)
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主人公たちと敵対
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味方のまま