ガンダムビルドダイバーズ スターダスト   作:オーマピジョン

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一週間以上待たせてしまったので初投稿です。

本当はようつべのSTARDUST MEMORYの配信に合わせたかったけど、無理でした。くやちい!!

今回もゲスト登場です。お楽しみ~


第7話 過去の栄光

宇宙空間に3機のジェガンが飛行している。3機はあちこちを見回しており、警戒をしている様子だった。

その時、遥か遠くから砲弾が飛んできて3機の内の1機を撃墜させた。

ジェガンがやられてしまった仲間を見た後、砲弾が飛んできた方向を見る。

 

そこには、たった1機のモノアイのMSが物凄いスピードで飛んできた。

灰色の機体色をしたモノアイ機……通称『ヅダ』と呼ばれるそれは、単機でジェガンに立ち向かおうとしていた。

 

ジェガンは飛んできたヅダに向けてビームライフルを発砲する。

ヅダは対艦ライフルを投げ捨てると、異常なまでの加速力でジェガンの弾幕を潜り抜けていく。

ヅダはヒートホークを引き抜くと2機の内の1機を両断した。

 

最後のジェガンがビームライフルを捨ててビームサーベルを引き抜くと、スラスターを吹かしてヅダに迫る。

ヅダはヒートホークでビームサーベルを受け止めると、受け流してジェガンの腹部に蹴りを入れる。蹴飛ばされたジェガンにヅダがシュツルムファウストを発射して頭部を破壊した。

ヅダは無防備になったジェガンの胴体に大振りのヒートホークが食い込む。

 

〈Battle Ended〉

〈Winner Player1〉

 

電子音声の直後に歓声が沸き上がる。操縦レバーを握っていた男はレバーを手放すと、汗を拭って髪をかきあげる。

 

『GPデュエル世界大会!勝者は、芦原ヨウタ選手ーーーッ!』

 

フィールドが消滅したGPD筐体の上に直立するヅダを手に取った男ーー芦原ヨウタはヅダを真上に掲げた。

 

***

 

「ーーぁあ?」

 

『芦原ヨウタ』は朦朧とする意識の中で先程まで見ていたものが夢であると言うことに気づく。

 

「ヨウタ?」

 

聞きなれた優しい声が聞こえる。ヨウタはすぐに声の主が同居人であることに気づいた。

 

「わかってる。今日だろ……」

 

ベッドから抜け出したヨウタはデスクトップPCの傍に置かれているダイバーギアを取り出すと、自身の弟子……ナツキからのメッセージが来ていた。

 

***

 

第7話

過去の栄光

 

***

 

数日前、砂川模型店にてナツキと帆立の二人は作業を続けていた。セレンの為のガンプラ『アブルホールスカイウォーカー』は完成間近に迫っており、現在はちょっとした休憩時間だった。

 

「あれ、帆立、僕と同じ学校なんだ」

「あれ、そうなんすか!?世間って狭いっすね……」

 

ナツキと帆立はお互いのリアルについて話しており、偶然にも同じ高校であることが分かる。

 

「そう言えば、ナツキさんとヴィオレさんってどんな関係なんすか?」

 

ココアを手に帆立がふとナツキにヴィオレとの関係性を聞いてきた。

ヴィオレはGBN内では屈指のフォロワー数を誇るガンスタグラマーで有名で、帆立ことスカロプはその大ファンなのである。

 

「ただの幼馴染だよ?小学生の頃からの付き合いさ」

「幼馴染だったんすね」

「高校進学に合わせて別々になっちゃったけどね」

 

ナツキ達幼馴染四人は俗に言うド田舎だった。山に囲まれ、過疎化が進んでいるような村で生まれ育った。

小学校、中学校まではギリギリ一緒だったが、高校になるとそうはいかずに離ればなれになってしまった。

 

「まぁ、高校に進学する前に散り散りになちゃったけど……」

「何かあったんすか?」

 

ナツキは少し考えるが、帆立にGBNに離れるまでの経緯を語る。最近何度も話すようになったので、スラスラと出てきた。

 

「そんな事があったんすね……マスダイバーの一件は今でも覚えてるっす」

「その頃からやってたんだね。ヴィオレ達より少し遅いくらいかな?」

 

帆立は一つ年下らしいが、GBN歴はナツキ以外の幼馴染と大差は無い様子だった。

 

「さて、スカイウォーカーも完成目前だし、大詰めといこうか!」

「はいっす!」

 

二人はココアを飲み終えると、再び作業を開始した。

 

***

 

翌日、ナツキは共にログインしたスカロプを連れてアッシュの隠れ家に来ていた。

 

「ここにナツキさんの師匠さんがいるんすね……」

「緊張することはないよ。いい人だから」

 

初対面、しかもナツキの師匠と言うことからスカロプは少し緊張すあるが、ナツキは心配することはないと安心させながら扉を開く。

 

「ん、ナツキ……!」

「お、来たって事は完成したのか」

「はい!セレンが飛ぶための翼……アブルホールスカイウォーカーです」

 

ナツキがスカイウォーカーのステータスを見せる。セレンは目を輝かせてそれを見ていた。

 

「良い仕上がりじゃねぇか。……んで、コイツは誰だ?」

「あ、スカイウォーカー製作を手伝ってくれたスカロプです」

「ど、どうもっす!スカロプって申しますっす!」

 

アッシュに聞かれてスカロプを紹介するナツキ。スカロプは未だに緊張しつつも、頭を下げた。

 

「手伝ってくれたのか。ありがとうな」

「そ、そんなぁ……えへへ」

 

セレンの為にスカイウォーカーを製作してくれたスカロプに感謝する。

 

「それで……スカイウォーカーをセレンに手渡したいって思ってます」

「手渡すって……リアルで渡したいって事だよな」

「て事は、オフラインミーティングっすか!」

 

オフラインミーティングーーつまり、リアルで直接会って手渡しすると言う事だ。ナツキとしては実際のスカイウォーカーをセレンに見て、触れて欲しかった。

 

「俺としては構わねぇが……セレンは良いか?」

「ん、私、ナツキのガンプラも見たい」

 

セレンもリアルで出会うことに抵抗は無い様子だった。

 

「となると、何処で会うかですかね」

「そうだな……ここのガンダムベースとかどうだ?」

 

アッシュが見せたのはお台場近郊にあるガンダムベースだった。偶然にもナツキからも遠くはなく、帆立と共に行けそうだった。

 

「じゃあ、次の日曜の昼にこのガンダムベースに集合な」

「はい!セレン、楽しみにしててね」

「ん……楽しみ」

 

初めてのオフラインミーティングにナツキも胸をときめかせていた。

 

***

 

日曜日、帆立と共にガンプラベース・シーサイド店に来ていた。日曜日と言う事もあって人で賑わっており、誰も彼もガンプラやGBNのトークで盛り上がっていた。

 

「ガンダムベースとか初めてだなぁ」

「僕は別のところすけど、来たことあるっすよ。休日は早く行かないと筐体使えませんっすから」

「そっか。砂川模型店にGBNの筐体が置かれたのはホントに最近だもんね」

 

砂川模型店にGBNの筐体が置かれたのはナツキが復帰する数日前。帆立はナツキ達幼馴染より少し遅いくらいにGBNを始めたらしく、筐体が置かれている店に通っていたらしい。

 

「そう言えば、アッシュさんは何処なんすかね?」

「それなんだけど……」

 

ナツキはダイバーギアを取り出すと、アッシュからのメッセージを帆立に見せた。

 

『先にGカフェで待っている。店長に俺の名前を出せば通じると思うから早く来いよ』

 

「これだけ書かれてて……」

「大雑把っすね……」

 

しかし、アッシュにそうするように指示された以上、その通りにするしかない。ナツキと帆立は人の間をすり抜けていGカフェに向かう。

 

「すみませーん!」

「はい、何でしょうか……って、あれ、敷島くん?」

「あれっ、ムカイさん?」

 

Gカフェの店員を呼ぶと、やってきたのはナツキのクラスメイト『ムカイ・ヒナタ』だった。

 

「敷島くんもGBNやっているの?」

「あぁ、うん。久しぶりに復帰してさ。……クガくんは?彼もやってたよね、GBN」

 

ナツキは辺りを見回しながらヒナタの幼馴染『クガ・ヒロト』を探す。彼もまたGBNをやっていると言う噂は耳にしたことがある。

 

「ヒロトは今GBNにログインしてる。その子は?」

「ど、どうも、砂川帆立っす!ナツキさんと同じ高校って事は僕が後輩だと思うっす!」

「僕がログインに使ってるGBNの筐体がある模型店の子なんだ」

 

帆立が挨拶をする。ナツキが帆立との関係を話すと、本題を思い出す。

 

「そうだ。店長を呼んで欲しいんだ。ここで待ち人をしてるから、店長を呼べば案内してくれるって聞いたんだけど……」

「店長と話してた人って敷島くんの知り合いだったんだね。ちょっと待っててね!」

 

ヒナタはアッシュとガンダムベースの店長が話している様子を見ていたらしい。

 

「いい人っすね」

「クガくんが一緒にいるのも納得だよ」

 

ナツキと帆立はヒナタの人の良さに感心している様子だった。すると、店長と思われる男性が二人の元に来る。

 

「いらっしゃいませ。話は聞いているよ。今から案内するね」

「ありがとうございます!」

 

チョビ髭が特徴的な柔和な雰囲気を出す店長はナツキと帆立を連れて外のテーブルに案内する。そのテーブルには一人の男性がいた。

 

「あ……」

 

ナツキは彼を見てすぐに確信する。彼こそが、自分の師匠・アッシュのリアルなのだと。

 

「連れてきたよ、ヨウタくん」

「すみません、ケンさん。わざわざこんな事」

「ヨウタくんのお願いなら幾らでも聞くさ。それにしても、ヨウタくんが弟子なんてねぇ」

「やめてくださいよ……ちょっとむず痒いです」

 

ケンさんと呼ばれた店長はサムズアップをすると、その場を去っていった。

ヨウタと言われた男はナツキと帆立の方を見る。

 

「取って食うような事はしねぇよ。立ったままは辛いだろ。座りな」

「「は、はいっ」」

 

ヨウタに誘導されてナツキと帆立は座る。ヨウタは組んだ腕を机の上に乗せて身を少し乗り出した。

 

「俺は芦原ヨウタ。アッシュって言えば分かるか?」

「し、敷島ナツキ。ナツキです!」

「スカロプの砂川帆立っす!」

 

互いに自己紹介を終えると、ヨウタがナツキをじっと見る。その目にナツキは一瞬萎縮するが、ヨウタはふっと頬を緩めた。

 

「良い顔してるな。若い頃の俺を思い出すよ」

「え?」

「つまらない回帰だ。気にすんな。それよりも、スカイウォーカーは?」

 

ヨウタに言われたナツキは鞄の中に入っているタッパーを取り出す。スターダストの入っているタッパーより縦長である。

 

「あの、セレンちゃんは何処っすか?」

 

帆立に指摘されてナツキはハッとする。そう言えばテーブルにはヨウタだけで、同行すると思われていたセレンがいなかった。

 

「あぁ、そう言えばそうだったな」

 

ヨウタは思い出して足元に置いてあったプラスチックのツールボックスを取り出す。ヨウタはそれのロックを外して蓋を開けた。

ナツキが中身を覗こうとしたその時、ひょこっと何かが出てきた。

 

「わぁっ!?」

 

出てきた何かに驚いて椅子に戻るナツキ。

ツールボックスから出てきたのはーー小さなセレンだった。

 

「せ、セレン!?」

「ん、ナツキ」

 

小さなセレンに驚きを隠せないナツキ。帆立も驚いてはいたが何か知っている様子だった。

 

「セレンちゃんって、ELダイバーだったんすか!」

「あぁ、帆立は兎も角、ナツキはてっきり気づいてると思ってたが……あぁ、そうか。二年半前って言うとまだ第二次有志連合戦よりも前か。ELダイバー知らなくて当然か」

 

手のひらサイズのセレンに加え、ELダイバーと言う聞きなれないワードにナツキは目を黒白させて混乱していた。

 

「え、えるだいばー?」

「ELダイバーはっすねナツキさん。GBNで生まれた電子生命体っす」

 

帆立の口からELダイバーの説明がされる。

曰く、ログイン時のダイバー達の情報が集まった存在。

曰く、様々な思いを込められて生まれた。

曰く、一番最初に生まれたELダイバーを中心に一悶着あったとか。

曰く、今では100人以上いるとか……

 

「そう言えば……」

 

ナツキはふとペリシアの一件を思い出す。

 

『私は皆のもっと飛びたい、遠くへ行きたいって気持ちを貰って生まれてきたの』

 

その言葉やガンプラの声が聞こえる様な言い回しを思い出してナツキは合点がいく。

 

「そうだったんだ。セレンは皆の空を飛ぶのが好きって言う思いが宿ったELダイバーだったんだね」

「ん、そう」

 

ナツキは落ち着くと、セレンの頭を人指し指で撫でた。セレンはそれを嫌がらずに受け入れる。

 

「そうだ。セレン、これが本物のスカイウォーカーだよ」

 

ナツキはタッパーを開けて変形させると、机の上に立てた。ガンダムアブルホールスカイウォーカーである。

 

「わぁ……!」

 

感情の乏しいセレンだが、スカイウォーカーを見たセレンは明るい笑顔になった。その笑顔を見て「作って良かった」と改めて実感する。

 

「ありがとう、ナツキ、ホタテ」

「こちらこそ、僕達のガンプラに乗るって言ってくれてありがとう」

「沢山お空飛んでくださいっす!」

 

セレンの感謝の言葉にナツキと帆立は満面の笑みを浮かべる。

 

「ナツキ、あの子も見せて」

「あの子……あ、スターダストか」

「それじゃあ、僕もこれを!」

 

ナツキと帆立は共に自身のガンプラ……スターダストとグフシェルカスタムを取り出す。

 

「リアルで見ると、尚更伝わるな。凄い仕上がりだ」

「二人のガンプラから、色んな喜びの声が聞こえる」

 

ヨウタは二人のガンプラの出来に感心し、セレンも穏やかな笑みを浮かべる。

すると、店員と思われる青年がお盆にグラスを三つ乗せて持ってきた。

 

「お水です」

「あ、すみません!今すぐ片付けますね!」

 

ナツキや帆立、ヨウタは机にガンプラやツールボックスを広げて邪魔になるのではと考えてすぐに片付けようとする。

 

「大丈夫ですよ。それにガンプラとても上手く出来上がってますね」

 

青年は机で立っているスターダストやグフSCを見る。その目は何かを感じ取っている様子で、セレンが二人のガンプラを見た時に似た目だった。

 

「特に試作一号機やアブルホールからは、皆と一緒に飛びたいって聞こ……気持ちが伝わってきますよ!」

 

青年の言葉にナツキは少し驚く。セレンの為に作ったアブルホールは兎も角、自分のスターダストまで含まれている事に疑問を持つが、ふと思い出す。

 

「そう、ですね。僕にも皆の他にも、一緒に飛びたい人達がいるんです」

 

ナツキの脳裏には幼馴染達ーーノゾム、春奈、紫音が思い浮かぶ。

 

「叶うと良いですね。その願い」

「ありがとうございます。……あの、僕は敷島ナツキって言うんですけど、名前聞いて良いですか?」

「僕ですか?僕は『朱鳥慶』って言います」

「慶さんですね。改めて、ありがとうございます。それと僕の方が年下そうなのでタメ口でも大丈夫です」

「そっか。こちらこそ、ありがとうナツキくん。素敵なガンプラを見せてくれて」

 

「それじゃあ、仕事あるから!」と慶はその場を立ち去る。Gカフェに次いつ来るかは分からないが、近い内また会えるかもしれないとうっすら思いつつも、気持ちを切り替えた。

 

「そう言えば、ヨウタさんのガンプラって何なんすかね?」

 

帆立に聞かれたヨウタは少し反応する。ナツキもヨウタの使うガンプラに興味があった。

 

「それは……まぁ見せて損する事じゃねぇか」

 

セレンが少し不安げにヨウタを見たが、ヨウタは大丈夫だと頭を撫でると、ツールボックスから容器を取り出した。

 

「これが、俺のガンプラだ」

 

ヨウタが見せたのはMSIGLOOに出てくる機体ーーヅダの改造機だった。

 

「ヅダ、ですか?」

「あぁ、最近はもうメッキリ使ってねぇけどな」

 

ヨウタは少し自嘲気味に笑う。

 

「でも、ヅダってGBNだと自壊するっすよね?」

 

帆立の言う通り、ヅダは一定の加速量を超えるとエンジンが暴走して止まらなくなり最終的に空中分解して自爆する。GBNでもそれを忠実に再現しており、玄人向けな機体だった。

 

「そうだな……そもそもコイツはGBN向けに作られた機体じゃねぇ」

 

ヨウタの言葉にナツキは首を傾げるが、ヅダを観察していた帆立はふとヨウタに聞いた。

 

「もしかして、GPDっすか?」

「あ……!」

 

ナツキはヅダを良く見ると、少し継ぎ接ぎな所や小さな損傷が見えた。

GPD……ガンプラデュエルはプラフスキー式のガンプラバトルの後継機に近いものである。電力のみでガンプラを動かして戦える夢のようなゲームなのだが、ダメージがガンプラにそのまま反映する所から、爆発的な流行から衰退までは短くはないが長くもないものだった。

 

「俺もGPDを愛するバカでな。巷では有名だったんだぜ?」

「そうだったんすか……」

「じゃあ、何で戦ってないんっすか?」

 

帆立に聞かれたヨウタは何か懐かしむような、諦めている様な顔だった。

 

「お前ら、ヅダ事件って知ってるか?」

「ヅダ事件?」

「知ってるっす。GBN第一回世界大会でチャンピオンを追い詰めたヅダが空中分解で自爆して負けたって言う事件っすよね……もしかして」

「察しが良いな。お前探偵で食っていけるんじゃねぇの?」

 

ヨウタは茶化すが、ナツキもその時点で気づいた。目の前にいるヨウタがーーアッシュこそがヅダ事件でヅダに乗っていたダイバーだと。

 

「あれをきっかけにGBNは機体の設定にかなり忠実な事が知れ渡った。そして俺は、もう時代遅れな事を察した」

 

ヨウタはヅダを手に取ると、それを優しく撫でた。

 

「でもガンプラバトルから離れようって思えなくてな……そしたらセレンと出会った」

 

ヨウタはヅダを机に置くと、次はセレンを撫でる。その目は娘を思う父の様な慈しみのある目だった。

 

「コイツが俺とGBNを繋いでくれた。そしたらセレンがお前を見つけた」

 

ヨウタの視線がナツキに向けられる。

 

「お前とセレンには感謝してる。お前ら二人が、腐りかけた俺の心を繋ぎ止めてくれてるんだ」

 

ヨウタの目を見たナツキはその目から何かを感じとる。それを声に出そうとするが、その前にヨウタが口を開いた。

 

「さてと、辛気臭い話は終わりだ。俺が奢るから、好きなもん注文しな」

「ヨウタさん……はい、ありがとうございます」

 

ナツキは今は言葉を飲み込んで明るい話題に移ろうとしていた。

 

***

 

注文をした一同は、休憩中の慶も時折巻き込んでガンダム談義に盛り上がった。気がつけば夕暮れで、お開きになる。

 

「楽しかったぜ。ありがとな、二人とも」

 

ヨウタが別れを告げようとする。帆立は手を振るが、ナツキは口を開いた。

 

「あ、あの!」

「あん?どうかしたか?」

 

ナツキはあの時呑み込んだ言葉を口から出す。

 

「きっと、きっとヨウタさんは腐りかけてるんじゃなくて、燻っているんです!」

「燻ってる?俺が?」

 

ナツキがあの時見たヨウタの目はまだ諦めていなかった。

 

「ヨウタさん、ホントはそのヅダでまた戦いたいんじゃないんですか?」

「それは……」

 

ヨウタが言葉を詰まらせる。図星……と言うより、思い当たる節がある様子だった。

 

「……は、はははっ!まさか弟子に一本取られちまうなんてな!」

「え、えっと、すみません……?」

「怒ってねぇよ、バカ。むしろ感謝してるくらいだ」

 

ヨウタはナツキの前まで歩むと、肩に手を置いた。

 

「お前を弟子にして正解だったよ。それじゃあ、今度こそ俺は行くぜ。じゃあな」

 

ヨウタは二人に背中を向けながら手を振って立ち去る。

 

「ナツキさん、これで良かったんすか?」

「うん、これから先どうするかを決めるのはヨウタさんだし、それをヨウタさん自身自覚してると思う」

 

だから、今は信じて待とう。

ナツキはその言葉を胸の内で呟くと、帆立と共に帰路に向かった。




今回のゲストはガリアムスさんから『ガンダム:ビルドライジング』から主人公『朱鳥慶』でした!
何かとリアルでゲストキャラを出すのは初めてですね。
ビルドライジングはキャラが個性的で、主人公ケイの特殊な能力とその能力にベストマッチ!な機体による大活躍が無茶苦茶面白い作品です。

そして、セレンとアッシュの掘り下げ回前編でした。設定の方もセレンとアッシュが更新されます。是非見てください。

では、次回予告……

***

渡されたスカイウォーカーに乗って出掛けたいと言うセレン。

ナツキはセレンと共にGBNの空を飛ぶが、そこに悪意ある者達が襲いかかる。

窮地の二人の元に現れたのは、伝説から甦った英雄だった!

次回、灰色の太陽
お楽しみに……
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