来週からはペースを取り戻す予定なので、皆さん良ければ応援よろしくお願いします……!
それと、ミストラル0さんのガンダムビルドダイバーズ Finderにセレンとヴィオレを出してもらいました!ありがとうございます!
それでは、第11話です。どうぞ!
二年半前ーー後の第一次有志連合戦と呼ばれる戦い。それはマスダイバーとの熾烈な戦いを繰り広げていたが、戦況は拮抗から徐々に有志連合側の不利へと傾いていた。
原因として、有志連合は実力はあっても、倒されれば数が減ってしまう。対してマスダイバーは数も有志連合とぼぼ同じで、ブレイクデカールによって致命的な損傷をしない限り再生して動けるからだ。
「くそっ、あとどれくらい倒せば終わるんだ!?」
「しぶとすぎなんだよ!」
倒しても倒しても現れ、中途半端に倒すものなら復活してまた襲ってくるマスダイバーに有志連合の者達は苦しんでいた。
モジャモジャ髭を生やした中年ダイバーの乗るグレイズと屈強な体格にサングラスをかけた白熊のダイバーが乗るギラ・ドーガは悪態をつきながらも諦めずに攻撃を続けていた。
「また来たぞ!」
「チャンプはまだ元凶を見つけてないのか!?」
チャンプと複数の仲間が資源衛生に潜入したが、それから数十分近くかかっていた。
有志連合に選ばれた者達はチャンプことクジョウ・キョウヤによる選りすぐりのダイバーではあるが、所詮は人間。長い時間集中して戦うことは難しい。その為、一瞬の隙ができてしまうのは自明の理だった。
「ぐぉおぉぉぉっ!?」
「おい!大丈夫か!」
マスダイバーのνガンダムが繰り出したフィン・ファンネルがグレイズの腕を溶断する。本来ならナノラミネートアーマーによって防がれるような攻撃なのだが、ブレイクデカールによって強化されたフィン・ファンネルはナノラミネートアーマーを貫いたのだ。
「俺達も、ここまでか……!」
「くそぉ!マスダイバーめっ!」
10人近くいたフォースの一人として参加していた二人だったが、マスダイバーとの戦いで二人にまで減ってしまった。そして、残った自分達もここでおしまいかと思ったーーその時の事だった。
鋭い音と共にフィン・ファンネルが切断されると、爆発する。一つだけではなく、二つ、三つと立て続けに破壊されていった。
「な、何だ……!?」
「速くて捉えれねぇが……何かが通りすぎたぞ?」
マスダイバーのνガンダムもそれに気づいてビームライフルでその影を狙うが、純白の影はビームの弾幕を突破しながらνガンダムに衝突……否、その剣を突き刺した。
「あれは……サザビー?」
「どっちかってーと、ミスサザビーじゃねぇか?」
GPDが反映していた頃、世界大会に出場した選手『アイラ・ユルキアイネン』が作った機体『ミスサザビー』を再現したキットを元に改造されたと思われる機体はνガンダムからGNバスターソードⅢに似た剣を引き抜く。
そして、同じタイミングで周囲にいた有志連合のダイバーの元に通信が入った。
「有志連合の皆さん!まだ諦めてはいけません!」
それは、まだ若い、少女の声だった。しかし、その芯のある凛とした声にダイバー達は耳を傾けてしまう。
「状況は良くないのは事実です。ですがここで諦めては、GBNは悪意ある者達の巣窟と化し、全てが蹂躙されてしまいます!貴方が守りたい世界が、場所が、仲間が、愛する人が!」
グレイズとギラ・ドーガのダイバーも彼女の演説に聞き入ってしまっており、彼らの脳裏には倒されてしまった仲間達と酒場のようなフォースネストで騒ぎながら過ごす毎日が浮かんでいた。
「例え武器を失っても、腕や足を失っても、戦う意思がある限り戦ってください!この世界を救うために!」
彼女の演説が終わる。それと同時に有志連合のダイバー達が歓声をあげた。
「そうだ!俺達はその為に有志連合に入ったんだ!」
「これ以上、チーターに好き勝手やられてたまるか!」
「誰か武器を貸してくれ!片腕片足がなくても戦うぞ!」
「彼女に続けーっ!」
士気を取り戻した有志連合のダイバー達は果敢にマスダイバーと戦う。マスダイバーは逆に勢いを取り戻した有志連合に戸惑いを隠せなかった。
「彼女、一体ナニモンだ!?」
「わかんねぇ!でもこれだけは分かるぜ!」
グレイズとギラ・ドーガのダイバーもまだ諦めないと立ち上がってマスダイバーに立ち向かっていく。
「彼女は俺達の為に戦場に舞い降りてくれた、戦乙女さ!」
「戦乙女……純白の、戦乙女か!良いなそれ!」
後に純白の戦乙女と呼ばれるミスサザビーのダイバー……ルナはふーと息を吐くと、再度操縦レバーを強く握った。
「見てて、ナツキ。私は……!」
ルナは両手にある大剣を構えながら、別の戦場へと飛んでいった。仲間達の士気を取り戻すためにーー
***
第11話
純白の聖母
***
GBNを初めて早一ヶ月と少し。ナツキは日本の全ビルダー最大の天敵である梅雨の前にスターダストのパッケージ製作を一段落させた。
「こんにちは~」
「ナツキくん、いらっしゃい。ここ最近はバイトない日はずっとGBNに入り浸ってるわね」
「今はやりたいことがあるので……あ、展示品完成したので渡しておきますね」
「ありがとう~。これからもよろしくね!」
ナツキは巻季に展示用のガンプラが入った緩衝材入りのタッパーを渡すと、筐体に座ってダイバーギアをセットする。
「今日は何か起きそうな気がするなぁ……」
ナツキはポツリとそう呟くと、GBNへログインした。
不思議な感覚の後にエントランスへと入ると、いつも通りの賑わいだった。
「さてと、今日は何をしようかなぁ」
アッシュの隠れ家に行こうか?それとも誰かと一緒にミッションに行こうか?と考えるが、セレンと合流しないといけない事に気づく。
「いつの間にか、セレンがいないとダメって感じになっちゃったなぁ」
スターダストで戦うに合わせてアブルホールスカイウォーカーは必要不可欠なのは事実だが、それでもセレンがいないと落ち着かないと言うか、不安になる自分がいた。
「初めてGBNにログインした時も、一緒に支援機を考える時も……セレンがいないともうダメだったかもしれないなぁ」
改めてセレンの存在感にありがたみを感じるナツキ。そんな感慨に耽っていると、余所見してしまっていたせいか誰かと肩がぶつかってしまう。
「っ、わぁ!?すみません!余所見してて……」
「こちらこそ、別の事に意識を向けてしまってて……」
咄嗟に謝る両者だったが、すぐに言葉を止めてしまう。何故なら、ぶつかった相手は幼馴染だったのだから。
「ナツキ!?」
「春……ルナじゃないか!」
ぶつかってしまったのは以前灰色の太陽復活の一件で再開して以来のルナだった。突然の再開に両者は驚きを隠せずにいた。
「まさか、こんな所で会えるなんて……久しぶり」
「そ、そうね。……久しぶり」
互いに再開の言葉を向け合う両者。しかし、これ以上に話は続かなかった。
「(え、どうしよう。何話せば良いのかな……)」
「(どうしようかしら……完全に話すタイミングを失ったわ)」
困る二人だったが膠着状態はまずいと口を開く。
「「あのっ……あ、どうぞ」」
しかしほぼ同じタイミングである。ハモってしまった事にルナは少しおかしく感じたのかつい吹き出してしまった。
「わ、笑わないでよ!気まずいのに……」
「あはは……はぁー、ごめんなさい。つい面白くて」
むしろこの笑いは二人にとってプラスのものだった。先程まで何とも言えなかった空気は少し柔らかいものに変化している。
「えっと、ルナは今日は何か予定があるの?」
「え?私?フォースの皆はお休みだったり、別件だから、今日はシャフランダムロワイヤルをする予定だったわ」
「シャフランダム……?」
聞きなれないワードに首をかしげるナツキ。ルナはナツキが久々に復帰して環境の変化を完全に理解できていない事を察した。
「シャフランダムって言うのはね、野良プレイヤー同士でチームを組んで勝負をするちょっと変わったクエストね」
「そんなものがあるんだ。知らない人達とバトルかぁ……なんだか、楽しそうだね!」
「えぇ、臨機応変さが試されるから、練習にも打ってつけなの」
およそ10人のダイバーが二つのチームに分かれる。なので、誰が敵で誰が味方になるかは予想がつかないのだ。
「……その、ナツキもどうかしら?」
「僕?ルナと一緒にかぁ。良いね。やろう、シャフランダム!」
ルナはナツキを誘うと、ナツキはすぐに快諾する。ルナは一安心しつつも、ミッションカウンターへと向かおうとする。
「それじゃあ私はチーム申請するわね」
「申請?何それ」
「シャフランダムは同じチームになれるように申請出来るのよ」
「そうだったんだ……あ、それなら、もう少し待っててくれないかな?」
ナツキは何かを思い出してすぐにメッセージ欄を開く。ルナはその意図が分からずに首をかしげた。
「何をするの?」
「僕の……相棒?を連れていきたいんだ」
「相棒?」
ナツキの言葉を復唱したルナは彼の言う『相棒』が誰なのか疑問に感じた。
***
「初めまして。私、セレン」
「セレンちゃん……私はルナ。よろしくね」
エントランスにて、ナツキとルナの元にセレンが来ていた。ナツキは二人の間に入ると、紹介をする。
「セレンは僕の……姉弟子で、僕の支援機をなんだ」
「ん、お姉ちゃん」
「姉だけども……で、ルナは僕の幼馴染の一人なんだ」
「ちゃんと話したのは今日だけどね」
紹介を終えると、ルナはセレンの身長に合わせて中腰になる。
「セレンちゃんはナツキの事、どう思ってる?」
「ん、私が空を飛ぶ為に素敵な子を作ってくれた。家族みたいな、素敵な人」
自分の目の前でそんな事を言われたナツキは少し照れ臭そうに頭をかく。ルナは「そっか」と言いながらセレンの頭を撫でた。
「ナツキの事、姉弟子として力になってあげてね」
「ん、任せて。お姉ちゃん頑張る」
「だから姉弟子ってそう言う意味じゃないんだけどなぁ……」
ついついツッコミをいれてしまうナツキ。それを見ていたルナが微笑ましかったのかついつい笑ってしまう。
「ふう……じゃあ、三人で頑張りましょう」
「そうだね」
「ん!」
三人はシャフランダム・ロワイヤルに挑む為、改めて参加申請をすると、三人は格納庫まで転送される。
スターダスト、アブルホールの他に純白のシナンジュが立っていた。
「これ、ルナの機体か」
ナツキはアッシュが復活した際の一件でそのシナンジュを見ていたのですぐにそれがルナの機体であると気づいた。
ヴァイスシナンジュと言われる公式改造キットを元に作られており、バックパックのフレキシブル・スラスターはシナンジュ・スタインのものが追加されて二対になっており、ヴァイスシナンジュには本来無いバズーカ付きのビームライフルが装備されてる。
一見シンプルな改造に見えるが、細かい所まで改造が行き届いており、制作者ーールナがどれだけ丹精込めて作ったかが伝わる。
「シナンジュ・ヴィエルジュ。私の傑作とも言える機体ね」
「この子、ルナに作ってくれた事を凄い感謝してる」
「ルナがこんなに凄いガンプラを作れるようになるなんて……」
最初はガンプラのガの字も知らなかった
「二年半あれば誰だって変化するわよ」
「そうだね。……そろそろ出ようか」
「そうね。三人、それぞれ頑張りましょう」
それぞれの機体のコックピットに入った三人はカタパルトに立つと、出撃するための体勢になる。
「ナツキ、スターダストガンダム、行きます!」
「セレン、アブルホールスカイウォーカー、行ってきます」
「シナンジュ・ヴィエルジュ、ルナ、出撃するわ!」
出撃する三機がカタパルトから出ると、そこは宇宙空間になっていた。
『おっ、今日はこう言うメンツか!』
『よろしく頼むな!』
五人の内の残る二人はジェムズガンとジャベリンだった。
「よろしくお願いします。とりあえず……私が前線に出るから、お二人はそれに続いてください。ナツキは……」
「キャノンパッケージは後方支援向けだから、後ろで何とかしてみるよ」
「お願いするわね。……それじゃあ、行きましょう!」
シナンジュ・ヴィエルジュが背部のフレキシブル・スラスターを吹かすと、一気に前に出た。
『はえぇ!?』
『俺達も行くぞ!』
「セレン、お願い」
「ん!」
ジャベリン、ジェムズガンも続き、スターダストはアブルホールSWに乗ってそれを追うように続いた。
一方、先頭で進み続けるシナンジュ・ヴィエルジュはビームライフルを構えた。
「敵は……ハンマ・ハンマとR・ジャジャね」
シナンジュ・ヴィエルジュはビームライフルに装備されたバズーカから弾を放つ。ハンマ・ハンマがシールドに付いているメガ粒子砲でそれを全て撃ち落とした。しかし、爆煙によってシナンジュ・ヴィエルジュの姿が見えなくなる。
ハンマ・ハンマとR・ジャジャが警戒していたその時、警告音と共に真上から一閃のビームがハンマ・ハンマのシールドを貫いた。
「ハァァァァッ!」
撃ち抜いたのは無論シナンジュ・ヴィエルジュであり、シールドと合体している剣『モーントシュヴェールト』を振り下ろす。二機はそれを咄嗟に避ける。ハンマ・ハンマは大きく下がり、代わりにR・ジャジャが前に出た。
ハンマ・ハンマが有線で腕を飛ばすと、三連ビーム砲を向ける。それを合わせるようにR・ジャジャがビームサーベルを構えた。
「来るっ……!」
R・ジャジャの刺突と同時に、ハンマ・ハンマの三連ビーム砲が左右から飛んでくる。
誰もが避けられないと思うような連携ーーしかし、シナンジュ・ヴィエルジュはそれを紙一重で避けた。
「私を、舐めないでッ!」
背後からR・ジャジャの胴体を刺し貫く。ハンマ・ハンマは即座に有線を戻そうとするが、シナンジュ・ヴィエルジュは有線をビームライフルで焼き切ると、一気に加速してハンマ・ハンマを一刀両断した。
「凄い。これが、ルナ……!」
『おい!こっちに一機来たぞ!』
『あれは……ハルートだ!』
ナツキがシナンジュ・ヴィエルジュの無双に度肝を抜かれていると、一機敵がこちらに来ているのをジェムズガンのダイバーが気づいた。スターダストがそちらを見ると、それは飛行形態の青いハルートだった。
「あのハルートって、まさか……!?」
ナツキはそのハルートに既視感があった。それはペリシアに訪れた時に見たハルート……ガンダムハルートスワローに似ていた。しかし、一部差異があり、飛行ユニットはハルートのものに近いコンテナになっており、武装も幾つか追加されていた。
『構わねぇ!やるぞ!』
『おう!』
ジェムズガンとジャベリンは恐れずに迫ってくるハルートを応戦しようとする。ハルートは飛行形態からMS形態になると、GNソードライフルを構える。
ジェムズガンが最初にビームライフルで仕掛けてくるが、ハルートはそれを避けてビームを撃つが、ジェムズガンはそれをビームシールドで受け止める。
『貰ったぁ!』
その間にジャベリンが背部のジャベリンユニットを構えながらハルートに迫った。直撃は避けられず、ジャベリンユニットの先端がハルートの胴体を抉る……と思ったその時、ハルートの上下半身が割れた。
『『!?』』
動揺を隠せないジェムズガンとジャベリン。分裂したハルートはそれぞれ飛行形態になると、別々に飛んでいく。
『へへーん!どう?驚いた?』
『これが私達の翼、『ハルートジェミニ』よ』
「その声、やっぱりあの二人だ!」
分裂した『ガンダムハルートジェミニ』から聞こえてきたのは以前ペリシアで出会ったダイバー『ソーン』と『ブラン』だった。
『分裂しただけでッ!』
『アハハッ、そんなのじゃやられちゃうよ!こんな風にねっ!』
ショットランサーのビームバルカンを発砲するジャベリン。しかし、上半身の『GNアタッカー』はそれを容易く避けると、背部にウイング代わりに装備されたGNソードライフルでジャベリンを切り裂いた。
『そんなっ!?このぉ!』
『ごめんなさい。でも、その程度のシールドじゃ、墜ちちゃうわよ!』
ジェムズガンがビームライフルで下半身の『GNナッター』を狙うが、すぐに避けられてしまう。GNナッターが左右コンテナのGNキャノンを放つと、ジャベリンの展開したビームシールドを貫通して撃墜した。
「す、凄い……!」
「あの子、生まれ変わって、凄い嬉しそう」
予想外のエンカウントに動揺を隠せないナツキと、生まれ変わったハルートを見てその感情を感じとるセレン。
ハルートジェミニは合体すると、スターダストとアブルホールSWに迫っていた。
「あの、ソーンさんとブランさんですよね!」
『その声、確か……ナツキくん?』
『まさかこんな所で会えるなんてね』
ナツキは通信を繋げると、ソーンとブランもまさかの再開に驚いていた。
とは言え、今はバトルの真っ最中だし、両者は敵同士。今は再開を喜び合う余裕はなかった。
『互いにこうやって本気を出し合うのは初めてね』
『もうあの時みたいな弱い私達じゃないよ!』
「上等です!セレン、行くよ!」
「ん!」
ハルートジェミニは変形して飛行形態『GNスワロー』になると、二機に迫る。スターダストはアブルホールSWをしっかり掴むと、シグマシスライフルを構えた。
「ッ!ナツキ、セレン!」
『お前の相手は俺達だ!』
『知らない奴だけど仲間の仇だ!』
ルナが助けに向かおうとしたその時、10機のポッド型のファンネルが飛んでくる。飛ばしてきたのはヤクト・ドーガとサイコ・ドーガだった。
ルナは眉間にシワを寄せながらビームライフルを構えると、二機を応戦した。
『ブラン、武器の操作お願い!』
『任せて!』
大型コンテナからGNミサイルが飛んでくる。アブルホールSWはそれを加速しながら避けようとするが、ミサイルは追い続けていた。
スターダストは背後を向くと、ビームガトリングで撃ち落としていく。
『隙ありぃ!』
「うわぁっ!?」
しかし、ミサイルは誘導のものだったのか、いつの間にか回り込んでいたハルートジェミニがGNソードライフルを振り下ろしてきた。キャノンパッケージのスターダストに近接武器はなく、迫るハルートジェミニに応戦できなかった。
「ナツキ!」
「うわぁっ!?」
その時、アブルホールSWが赤く輝いたと思いきや、急に動き出いてハルートジェミニの攻撃を回避した。反応に遅れて困惑するナツキだったが、すぐにビームキャノンをハルートジェミニに向けて放った。
「い、今のは、トランザム?」
「ん、危なかったから、使った」
先程の攻撃を避けることが出来たのはセレンがアブルホールSWのトランザムを発動したからである。今は解除しているが、セレンが発動する決断をしなかったらナツキは斬り伏せられていただろう。
『うわっ!?危なかったぁ!ごめんね、ブラン!』
『こっちこそ、急に動かしてごめんなさい』
一方、ハルートジェミニの方も普段は火器管制を行っていたブランが咄嗟に操作したことでスターダストのビームキャノンを避けていた。
『早くしないとあのシナンジュが来ちゃうよ』
『そうね。早く二人を撃墜しましょう』
ハルートジェミニは現在残りの仲間と戦闘をしているであろうルナのシナンジュ・ヴィエルジュを警戒しており、二人を倒さないと三機に囲まれる未来が見えていた。せめて1vs1の状況を作る為に仕掛ける。
「ルナが他の敵をやってくれているはずだ。ここで二人のハルートを倒すよ!」
「ん!」
GNスワローへと変形したハルートジェミニがGNキャノンを放ってくる。スターダストは回避をアブルホールSWに任せてシグマシスライフルとビームキャノンで応戦する。
「反撃のチャンスは、分離した後だ。やるしかないっ!」
ナツキの狙い通り、ハルートジェミニがGNアタッカーとGNナッターに分離すると、GNナッターがGNミサイルを飛ばしてくる。スターダストはビームガトリングでそれを再度打ち落とした。
『もらったっ!』
「来たァッ!」
GNアタッカーがウイング部分にしているGNソードライフルで切り裂こうとする。しかし、それは予測通りだったナツキはアブルホールSWから跳躍してその突撃を避けると、シグマシスライフルを捨ててバックパックからヴェスバーを構えた。
「貰ったぁぁぁぁぁっ!」
最大火力のビームが近距離で繰り出されようとする。ソーンがビームの光を見ながら顔を青ざめたその時だった。
『ソーォォォォォン!!』
ブランが彼女の叫びながらGNキャノンを放つ。スターダストはそのビームに気づくとヴェスバーをそのビームに向けて放ってしまった。両者のビームは拡散しながら相殺されてしまう。
「最大のチャンスがっ……ッ!?」
『いっけぇぇぇぇぇ!』
GNアタッカーを撃墜できるチャンスを逃してしまったスターダストに、GNアタッカーは機首部分からGNソードを展開して突撃してきた。今度こそ避けられない、そう確信したナツキは自身の敗北を受け入れようとした。
「ナツキぃっ!」
スターダストにGNソードが突き刺さる直前、トランザムを発動させたアブルホールSWがスターダストを突き飛ばした。アブルホールSWのボディがGNソードによって切り裂かれた。
『しまったっ……!』
「あ、あぁっ……!?」
ナツキはその光景を見て体を震わせる。目の前で庇われたと言う光景ーーそれは、二年半前にも見た光景だった。
「ナツキ、ごめんーー」
その言葉と共にアブルホールSWが爆発する。爆発に巻き込まれたスターダストとGNアタッカーは真反対に飛ばされた。
『ソーン、大丈夫?』
『あ、危なかった~』
吹き飛ばされたGNアタッカーはGNナッターが受け止めることで事なきを得たが、スターダストは力なく小惑星に叩きつけられた。
「せ、セレン……僕、僕は……!?」
トラウマとダブって見えた事と必ず守ると約束していたセレンを撃墜された事、二つの要素によってナツキは錯乱状態に陥っていた。
『ごめん、ナツキくんの機体が……』
『……良いわ。彼は今は戦えそうにないかもしれないから』
ソーンはスターダストを追撃しようとするが、ブランは動かないスターダストを見て彼に戦意がないことを感じとる。その時、ハルートジェミニにアラートが鳴り響いた。
『来たッ!』
『白い、シナンジュ』
ビームライフルの弾丸と共に現れたのはシナンジュ・ヴィエルジューールナだった。
「ナツキ、大丈夫?」
「ルナっ、セレン、セレンを、僕……!」
ナツキの震える声を聞いたルナは何が起きたのかを理解する。そして、自分が早く助けにこれなかった事を後悔した。シナンジュ・ヴィエルジュがビームライフルを捨てると、シールドの剣を取り外して『フォルモーントフォーム』にして構える。
「後は私に任せて。……貴方達の相手は私よ」
『絶対強敵だよね……』
『えぇ、でも、やるしかないわ』
ハルートジェミニはMS形態になると、GNソードライフルを構えた。
『『トランザム!』』
二人の宣言と共にハルートジェミニはトランザムを発動し、青と白のボディは赤く染まった。トランザム状態のハルートジェミニがGNソードライフルで近接を仕掛けてくる。
「そのレンジは私のものよっ!」
『それでもぉっ!』
ハルートジェミニの連撃をシナンジュ・ヴィエルジュは剣とシールドで応戦していく。一瞬のチャンスを狙ってシナンジュが反撃を仕掛けると、ハルートジェミニはそれを後ろに下がりながらGNキャノンを向けた。
『行って!』
「当たって、たまるものですかぁっ!」
極太のビームを紙一重で避けると、突きを繰り出すシナンジュ・ヴィエルジュ。しかし、その突きにハルートジェミニは分離する事で避けた。
『ブラン!』
『任せて!』
GNナッターがGNミサイルを放ちながらGNキャノンからビームを放つ。シナンジュ・ヴィエルジュはそれを加速して避けるが、すぐに二人の意図に気づいた。
『いっけぇぇぇ!』
「やっぱり、誘導っ」
GNソードを展開して突撃するGNアタッカー。シナンジュ・ヴィエルジュは剣とシールドを変形させると、二刀流の『ハルプムントフォーム』にしてそれを受け止めた。
『ブラン!』
『えぇ!』
突撃するGNアタッカーにGNナッターが合体すると、更に加速していく。
「この、くらいぃっ!」
シナンジュ・ヴィエルジュはハルートジェミニを弾く。ハルートはMS形態に一瞬で変形すると、GNソードライフルとGNキャノンを同時に放って強力なビームを放った。
シナンジュ・ヴィエルジュはそれを紙一重で避けると、片方の剣を投げた。投げられた剣はハルートジェミニに突き刺さる。
『『ッ!?』』
「ハァァァッ!!」
一瞬動きが固まってしまったハルートにシナンジュ・ヴィエルジュの一振りが炸裂した。
『負けちゃった、わね……』
『そうね。でも、楽しかったなぁ』
ブランとソーンは残念そうだが、満足した様子で言葉を交わせる。その直後、ハルートジェミニは爆発した。
『BATTLE ENDED
WINNER TEAM:A』
電子音声と共にシャフランダム・ロワイヤルが終焉を迎える。シナンジュ・ヴィエルジュはスターダストの方を見るが、倒れたままだった。
***
シャフランダム・ロワイヤル終了後、参加者はエントランスに転送された。
「GGだったよ。楽しかったなぁ」
「私達、ペリシアに展示する為にCランクまで上げたけど、まだまだね」
「いえ!お二人の機体の作り込みも素晴らしかったですし、何より連携が見事でした」
ブランとソーンの二人がルナと勝負の後の会話に花を咲かせていたが、ブランがルナの背後を見て聞く。
「あの子、大丈夫?」
「え?あ……」
ブランに聞かれたルナはすぐに背後を見る。そこには沈んだ表情のまま突っ立っているナツキだった。
「大丈夫……だと思います」
「そっか……ごめんね。私達、酷いことしちゃったかな?」
「そんな、謝らないでください!アイツはアイツでちゃんと立ち直ると、思います」
それを聞いた二人は互いに顔を見合うと、笑顔を見せる。
「そっか。じゃあ、後はお願いね!」
「ごめんなさい。後は任せたわ」
ソーンとブランはエントランスを後にする。ルナはすぐにナツキに元に向かう。
「ナツキ、大丈夫?」
「あ、あぁ、ルナ。大丈夫、だと思う……」
途切れ途切れの返答にルナはすぐにナツキが無理して平気だと答えている事を察する。
「アンタ、また無茶を……」
「ナツキ?」
その時、セレンが二人の会話に割り込むように現れた。ナツキは肩を震わせながら反応すると、セレンを見た。
「セレンちゃん、お疲れ様」
「ん……ナツキ、大丈夫?」
「セレン、その……ごめんっ」
ナツキはセレンに背を向けると、その場から離れてしまう。セレンとルナはそれを追いかけようとするが、その前にナツキはログアウトしてしまった。
「ナツキ……」
「ごめんなさい、セレンちゃん。きっと、私のせいなの」
ルナはナツキがあの様な状態になったのかはすぐに分かってしまった。ナツキもまた二年半前の自身の無力感に苦しんでいるのだ。
「ルナも、悲しそう」
「……私達は、これまでも、きっとこれからも、こうして自分の過去に苦しみつづけるんだと思うわ。セレンちゃん、ナツキを支えてあげてね」
ルナがセレンの頭を撫でる。セレンは不安そうな表情のまま「ん」と返答するのであった。
ルナの初陣なのに暗い感じの終わり方になりました。許してくれメインヒロイン……!
ルナのシナンジュ・ヴィエルジュとソーン&ブラン、そして彼女達のハルートジェミニの設定も追加しておきます!
あと、良ければ感想や評価、お気に入りもよろしくお願いします!ゲスト出演も良ければしてくれると嬉しいです……!
それでは、次回予告へ……
***
次回予告
セレンの撃墜が過去のトラウマと重なってしまうナツキ
それ故にナツキはセレンと距離を置いてしまう
それを見兼ねたアッシュはナツキを1人呼んだのだった
果たして、アッシュの真意とは……
次回、本当の再起へ
お楽しみに……