ガンダムビルドダイバーズ スターダスト   作:オーマピジョン

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三週間も待たせてすみませんでしたぁっ!!
三週間もかけて一万文字書いたので初投稿です!!


第15話 僕らのスタートライン

ハードコアディメンション・ヴァルガでは、破壊されたザクⅢとジンが倒れていた。この二機は先程ダブルオーに乗る初心者に襲いかかっていた俗に言う初心者狩りである。

そして、それを妨害し、二機を破壊したのはノゾムの駆るブラックローズであった。

 

「スッとしたぜ。ありがとな」

 

返事が来ないと分かった上でノゾムは感謝を述べると、その場から離れようとする。すると背後から何者かが来ているのに気づいた。

 

「誰だ」

「私だよ。ノーゾームっ」

 

ブラックローズが振り替えると、そこにはSDサイズの機体……ラファエルガンダムヴァイオレットがいた。それに乗っている人物が誰なのか知っているノゾムははぁと溜め息をつく。

 

「お前か、ヴィオレ」

「ルナママと話す機会は多いけど、君と話す機会は少なからね~。いつぶりだっけ?」

「一週間だ。前はお前が企画配信でここ(ヴァルガ)に潜った時だ」

 

ノゾムに言われたヴィオレは「そうだったね!」と思い出したかの様に言う。ノゾムはヴィオレが大袈裟に反応してるが、覚えている事は察していた。

 

「ったく……何だよ、またやられに来たのか?」

「GPD時代から私とノゾムの勝率五分五分であった事をお忘れで?」

 

ノゾムは嫌な顔をしながらかつての記憶を思い出す。幼馴染四人だけでGPDをやっていた頃、ノゾムとヴィオレが上位争いをしていた。

 

「って、そうじゃなくて!ナツキの事、話に来たんだよ」

「お前もルナと同じで説教か?」

「私はルナママみたいな事は言えないよ。近況報告さ」

 

ナツキが今どうしているのか……それはノゾムにも興味はあった。最近ナツキが落ち込んでいたとルナから聞いてたが、いつの間にか進展があったのだろうか。

 

「ナツキ、フォースを組んだらしいよ」

「アイツが?フォース?」

 

ノゾムはヴィオレから聞いたナツキの近況を聞いて耳を疑った。ノゾムは自身の想像以上に状況を進展させていた。

 

「驚いたでしょ?ノゾム、ナツキの事になると油断しやすいからね」

「……復帰したての割りに結構早いなと思っただけだ」

 

だが、ナツキがフォースを作ったと言う事は少なからずシークレットガーデンと戦う資格を得たと言うこと。ナツキがジリジリと着実に近づいている現実にノゾムは少し焦りを感じた。

 

「私はナツキのフォースに参加してないけど、応援はするつもりだよ」

「知るか。()()は大人しくしとけ」

 

『外野』と言うワードにヴィオレは反応する。……具体的には頭の中でカチン!と火のような感情が吹き出してきた。

 

「へ~。私が外野。ふぅ~ん……」

 

ヴィオレはラファエルヴァイオレットを動かしてGNビームバズーカVからビームを放つ。ブラックローズはビーム・ショット・ライフルでそのビームを撃ち落とした。

 

「バトルしようぜ……久しぶりにキレちゃったよ……」

「お前昔から配信でしょーもねぇ事でキレてるだろが!」

「うるさーい!流石に私だって傷つく事があるんだもん!」

 

ラファエルヴァイオレットがGNクローを外してGNビックキャノンを展開する。ブラックローズも腕からビーム刃を伸ばすと、両者は戦闘を始めた。

 

***

 

第15話

僕らのスタートライン

 

***

 

フォース結成から数日、ナツキ達はフォースミッション巡りをしていた。

理由としては、まず互いを理解する為。次に連携の練習の為である。

流石に最初から難しいミッションに挑む訳にはいかないので、簡単なものから仲間達と吟味しながら挑んでいた。

 

「いやぁ、皆凄い機体で魅力的っすね!」

「そうそう!どれもぺリシアで出展しててもおかしくないくらいだよね!」

「セレンちゃんのアブルホールやワイズさんのワイズワラビーはほぼスクラッチじゃないかしら?」

 

ミッションを終えて一段落と言った様子の中、スカロプやソーン&ブランのぺリシア組がガンプラの話題で盛り上がる。

フォースを結成する前から面識のあったナツキも改めて仲間達のガンプラの作り込みに感動していた。

 

「この子、ナツキに作ってもらった」

「アタシはドートレスを素体に使ったから多少楽は出来たな」

 

ブランに指摘されたセレンとワイズが答える。ぺリシア組がお~と感嘆の言葉を漏らした。

 

「は~い!皆元気?」

「ヴィオレ!」

「ヴィオレさん!」

 

そんな雑談をしていると、いつもの紫髪の幼馴染・ヴィオレがやってくる。

 

「今日は何しに来たの?」

「今回はね~。こんなものを準備してきたのさ」

 

ヴィオレはウィンドウを開くと、ナツキに見せる。それに合わせてスカロプやエースも覗く。

 

「これって……」

「フォース戦の募集だよ。今のナツキ達に相応しいかなって」

 

これまでのフォースミッションはNPDばかりで、対人戦はほぼ行っていなかった。だが、仲間同士の理解や連携は十分にやったと判断して良いだろう。

 

「わざわざ探してくれたの?」

「え?あー……早くノゾムをギャフンと言わせて欲しいからさ」

 

ヴィオレは頭を掻きながら探した理由を答える。

実を言うと先日ヴァルガでノゾムと戦い、惜しい所で負けてしまったのでその仕返しの為に準備してきたのである。

 

「俺達も遂にフォース戦か!」

「おいおい、リーダーの意思は無視か?」

「い、いや、ナツキならきっとフォース戦をするって信じてたからな……!」

 

エースが逸ってフォース戦を楽しみにしている。ワイズがそれを煽ったが、ナツキとしてもフォース戦は早い段階で行いたいと考えていた。

 

「ありがとう、ヴィオレ。申請出してみるよ」

「OK!後日を楽しみにしておくよ!」

 

ヴィオレは手を振りながらその場を離れる。ヴィオレが離れるとその代わりにフォースメンバーが集まった。

 

「早速来たね、フォース戦!」

「改めて情報の共有が必要すね」

「敵の調査も欠かさずにな」

 

フォース戦に沸き上がる仲間達。こんなに早くフォース戦にありつけるとは思わなかった。

 

「よし、一旦フォースネストに戻ろう。作戦会議だ!」

『おー!』

「ん、楽しみ」

 

初めてのフォース戦。それに備える為に準備を始めたのだった。

 

***

 

数日後、山林地帯にてフォースが行われようとしていた。

 

「クリムゾン部隊のクリスだ。よろしく頼む」

「え、えっとよろしくお願いします」

 

クリムゾン部隊。ポケットの中の戦争に出てくる伝説の出オチ部隊『スカーレット隊』を元にしたフォースらしい。リーダーの『クリス』がナツキと握手する。

 

「なぁ、ポケ戦のクリスって近所のお姉さんみたいな見た目だったよな?」

「あぁ、そのはずだぜ?」

 

フォースリーダーのクリスを見ながらエースがワイズと会話をする。クリスとは、ポケットの中の戦場に出てくる女性キャラクターである。

 

「いや、だってバリバリ男じゃん。何ならゴリラじゃん」

 

しかし、クリムゾン部隊のクリスは体格の良い外国人男性風のダイバールックだった。ナツキもポケットの中の戦争は知っている為、斜め上の見た目に少し戸惑っている。

 

「お互い全力を出してベストを尽くし合おう」

「っ、はい!僕達全員、全力でいかせてもらいます!」

 

クリスの言葉に力強くうなずきながらベストゲームを約束しあった。

 

一方、ミデアが停泊している観戦エリアにはヴィオレやアッシュがいた。

 

「ヴィオレちゃ~ん!」

「マギーさん、来てくれてありがとー!」

 

そこにヴィオレが誘ったマギーがやって来る。アッシュもマギーの事は風の噂で聞いてはいたが、予想の斜め上くらいにはインパクトがあった。

 

「貴方がナツキくんのお師匠さんね。私はマギーよ。よろしくね」

「アッシュだ。アンタの事は噂で聞いているよ。迷える初心者を導くハイランカーがいるってな」

「貴方みたいな生ける伝説みたいな人に知ってもらえるなんて光栄だわ」

 

バチコーンとウインクをするマギー。アッシュは「慣れるまで時間かかるだろうな」と内心思いつつも、マギー相手に親しんでるGBNのダイバーに感心していた。

 

「観客はこれだけかしら?」

「んにゃ、一番見てほしい人達がまだ来てないからね」

 

ヴィオレはマギー以外も呼んでいるらしく、それが誰なのかはアッシュはうっすら予想していた。

すると、観客席に複数人の男女がやって来た。マギーは彼女らを見て「そう言う事ね」と納得している。

 

「ヴィオレ、今日は呼んでくれてありがとう」

「ルナママー!来てくると信じてたぜー!」

「私だって気になるもの。あとママはやめてほしいわね……」

 

やって来たのはルナとノゾム、シェリーだった。今のナツキを、ナツキのフォースを見てもらう為にヴィオレが呼んだのだ。

 

「えっと、呼んだのはルナとノゾムだけだよね。シェリーちゃんはついてきたの?」

「ホホホ、ナツキとやらが作ったフォースに知り合いがいるからの」

 

ヴィオレはシェリーがついてきた事に疑問を持つが、シェリーは隠すことなく、モニターを見ながら答えた。

 

「そうなんだぁ……あ、ノゾムも来てくれたんだ」

「オマケみたいなノリで言うな。……敵情視察ぐらい当たり前だろ」

「良く言うよ。素直じゃないなぁ」

 

ヴィオレはニヤニヤしながらノゾムを見る。彼もまたルナの様に変化しようとするナツキの事が気になるのだろう。

 

「あらぁ!ノゾムくんじゃない!元気してたかしら?」

「マギーさん……えっと、それなりに」

 

マギーはノゾムとの再開に喜ぶが、ノゾムは何とも言えない、曖昧な返事をする。自分でもひねくれた性格になった自覚があり、恩人にそんな姿を見せるのは申し訳なかった。

 

「話は聞いてたけど、やっぱりナツキくんとは上手くいってないのね」

「すみません。……でも、これは俺なりの覚悟なんで」

 

マギーに心配された事を申し訳なく感じつつも、意思を曲げない事は既に決めているノゾムはマギーの横を通りすぎて観客席に座った。

 

「アイツがナツキの幼馴染か。らしいっちゃらしい奴等だな」

「ナツキがいなくなった後も、色々あったんですよ」

 

二年半の空白期間。それはナツキも知らないもので、それを知るのはそれこそ残された三人だけだろう。

 

「さ、色々話したいだろうけど、もうそろそろバトルが始まりますよ!」

「そうね。今は観戦をしましょう」

「そうですね……ナツキ、見せてもらうわ。だから、頑張ってね」

 

幼馴染三人は話したい気持ちもあったが、今はナツキ達グランシャリオの戦いだった。

 

***

 

グランシャリオの一同は既にそれぞれの機体に乗っており、いつでも発進できる状態だった。すると、連絡が繋がり、ウインドウにアッシュの顔が出てくる。

 

「ん、アッシュ」

「アッシュさん!応援に来てくれたんですね」

『お前の師匠だからな。初陣くらい見に行かねぇといけねぇだろ』

 

アッシュは頭を掻きながら言う。とは言え、見に行くだけで何もしないと言うのは流石にまずいと考えたアッシュはナツキの方に手を起きながら話す。

 

『初めてのフォース戦。俺はフォースに関しては詳しくないから言えないが、ガンプラファイターとして言える事は……所詮は遊びだ。真剣に楽しんでこい!』

「アッシュさん……!」

 

それは、GPDの時代からガンプラバトルと共に生きていたアッシュだから言える激励の言葉だった。

遊びだからこそ、真剣になれる。真剣になれるから、楽しめる。それがガンプラバトルなのだから。

 

「よし……全員、出撃準備しよう!最高のスタートダッシュを決めよう!」

『応ッ!』

 

一同は操縦幹を強く握ると、出撃の掛け声をする。

 

「エース!ガンダムエリゴス、行くぜぇ!」

「ワイズ=ワイス。ワイズワラビー、行動開始だ!」

「ソーン!」「ブラン」「「ガンダムハルートジェミニ、行きます!」」

「スカロプ、グフシェルカスタム、行くっすよ!」

「セレン、アブルホールスカイウォーカー、行ってきます」

「ナツキ、スターダスト!フォース・グランシャリオ、出ます!」

 

それと同時に六機のMSが飛翔していく。初のフォース戦・VSクリムゾン部隊との戦いが始まろうとしていた。

 

「んんっ、あー、テストテスト!ハーイ、皆元気?」

 

『お、配信来たな』

『予告してた配信だね』

『前のフォースの仲間のフォース戦だっけ』

 

一方、観戦に来ていたヴィオレが配信を着けていた。コメント欄が流れていく中、ヴィオレは腕を組む。

 

「前々から話してた通り、今回の配信は私の友人が組んだフォースの初陣を実況配信していくよ」

 

ヴィオレは大型のウィンドウを開いてフォース戦の内容を見せる。そこには二つのフォースのメンバーと使う機体が載せられていた。

 

「友人が結成したフォース『グランシャリオ』とフォース『クリムゾン部隊』による6VS6の殲滅戦。皆勝敗を予想しながら観戦してね!実況は私、ヴィオレ。解説は……色んな人にしてもらうよ!」

「コラ、まとめない。マギーさんだっているんだから……」

 

実況席と言うなの観客席を撮すと、豪華陣営にコメント欄が盛り上がる。

 

『ヴィオレネキの実況とマギーさんとシクガデの二大エースによる解説とか強すぎんか』

『相手はクリムゾン部隊か……あのゴリラがリーダーだよな』

『クリスはクリスでもそっちのゴリラだったか……』

 

「うんうん。でもネタだけじゃないゴリラだからね、あの人は」

 

ヴィオレはクリムゾン部隊の陣形を見る。

ジム・コマンド、ジムⅡ、量産型ガンキャノン、ガンキャノン・ディテクター、ジム・スナイパーⅡ……全員スカーレット隊のMSやその上位互換に近い機体を採用しており、リーダーのクリスは案の定NT-1を使っている。

 

「グランシャリオに比べて後方支援が磐石。初動をどう制するかね」

 

ルナの解説通り、ガンキャノン・ディテクター二機とジム・スナイパーⅡにによる防衛の布陣が敷かれていた。

 

「だがそれくらいナツキなら予測済みだ」

 

その時、グランシャリオサイドから一機のMSが駆け抜けてきた。騎士の悪魔のなを関したガンダムだった。

 

「うおぉぉぉぉぉ!」

 

エースの駆るガンダムエリゴスはエリゴスシールドを構えながら前線を一気に駆け抜けていく。

 

『隊長、どうします?』

『敵はナノラミネートアーマーだ。ガンキャノンでこっちの前線まで来るまでに応戦するんだ』

 

ジム・スナイパーⅡの改造機に乗るダイバー・スピアがクリスに判断を委ねる。クリスは敵が鉄血系の機体である事を加味して指示を出す。

指示の直後、量産型ガンキャノンが砲撃を開始する。

 

「来やがった……!信じて耐えてやるから、何とかしてしてくれよ!」

「あぁ、何とかな!」

 

迫り来る砲撃をエリゴスはシールドで受け止める。そして、木々に隠れたワイズワラビーが砲撃を開始した。狙いは勿論、量産型ガンキャノンである。

 

『仕掛けてきたか。ピアス、パドル、砲撃手をやれ!』

『『了解!』』

 

ジム・スナイパーⅡとガンキャノン・ディテクターがワイズワラビーを狙う。二機から狙われれば、地上でホバリング移動が出来るワイズワラビーであっても逃れられないだろう。

ジム・スナイパーⅡの指がビームスナイパーライフルにかけられたその時、影が被われた。

 

「させないっすよぉッ!」

 

ジム・スナイパーⅡの真上から鉛弾の雨と共に急降下してきたのはグフシェルカスタムだった。

 

『いつの間にっ!?……支援機(アブルホール)かっ!』

 

鉛弾の雨から逃げ出したジム・スナイパーⅡは一瞬空を見上げる。そこにはアブルホールSWがおり、グフSCを運んで来たことはすぐに察された。近接格闘を想定していないスナイパータイプの機体だが、その対策もしてない訳ではない。ビームサーベルを引き抜いたジム・スナイパーⅡはグフSC相手に身構えた。

 

「来るっすか!」

 

グフSCはガトリングシールドを180度回転させてヒートサーベルを構えた。スピアはまだ手出しされていないであろうガンキャノン・ディテクターに乗るパドルに連絡を繋げる。

 

『パドル、ドートレスは任せた!』

『スピアさん、すみません!背後から襲われました!』

 

しかし、パドルからの返答は予想外のものだった。ガンキャノン・ディテクターは背後からビームで攻撃をされていた。

ガンキャノン・ディテクターは見えない敵にビームガンで応戦するが、手応えを感じない。

 

『い、一体何処ーー』

 

背筋が凍りつくような予感と共に、パドルはガンキャノン・ディテクターが振り返ると同時に回避行動を取った。それと同時にビームの刃が先程までガンキャノン・ディテクターがいた所を通過していく。しかし、手に持っていたビームライフルが切り裂かれ、爆発してしまう。

ビームの刃を振るった主は、スターダストだった。

 

「避けられたっ」

『こ、コイツいつの間に!?』

 

ステルスパッケージを見に纏い、ツイン・ビーム・スピアを獲物として構えたスターダスト。

ガンキャノン・ディテクターは右肩のビームガンをスターダストに向けるが、スターダストはABCマントの裏側にあるヒートダガーを投げてビームガンを破壊した。

 

『はっ、速ーー』

「遅いっ!!」

 

ツイン・ビーム・スピアのビーム発進口が90°倒れ、サイズモードへと変貌する。スターダストはビームガンの爆発で体勢を崩したガンキャノン・ディテクターに大振りの一撃を繰り出した。ガンキャノン・ディテクターの上半身と下半身がさよならすると、飛んでいく上半身をロッドモードに変えて突き刺した。

 

「これで、一機!」

 

ツイン・ビーム・スピアに突き刺さったガンキャノン・ディテクターの上半身を振り捨てると、移動を開始する。

味方の撃墜を知ったクリスが舌打ちするが、味方の撃墜に動揺する余裕はなかった。

 

『アロマ、ラムセス!ガンダムフレームの奴に行ってくれ!俺はパドルをやった奴をやる!』

『『了解!』』

 

ジムⅡとジム・コマンドが前線に出て量産型ガンキャノンの砲撃に対するデコイになっているエリゴスに接近する。数的に3対1。エリゴスのリンチは避けられないだろう。ワイズワラビーの支援があっても、この有利は覆ることは早々無いだろう。

 

「させないよ~っ!!」

 

グランシャリオにまだ前線に出てなかった機体がいなければの話だったが。

現れたのは青と白の青空のような配色がなされたガンダムハルートジェミニ。

GNソードライフルによる射撃で牽制をしてから、MS形態になってジムⅡとジム・コマンドの前に立つ。

 

「エースくん、ガンキャノンをお願いね」

「おう、任せとけ!」

 

前線の状況が変貌した事により、エリゴスはこれ以上デコイとしては意味を成さない。ならば、ここからは一アタッカーとして攻める時だろう。

ハルートジェミニがGNミサイルを放って爆煙で視界を潰した間にエリゴスはその場から抜け出して量産型ガンキャノンの元へ向かっていく。

 

「1VS2。ワイズさんの支援があるけど、大丈夫かな?」

 

ソーンはビームジャベリンを構えるジムⅡとライフルを構えて支援射撃の体勢を取っているジム・コマンドを見てブランに問いかける。

 

「私達二人ならいける。そうでしょう?」

「えへへ、そうだね!」

 

しかし、二人に負ける気はしない。何故なら最高のバディがいるのだから。その時、ワイズから通信が入ってきた。

 

「あー、んんっ、そう言うの、家でやってくれ」

「はーい。行こう、ブラン!」

「家なら良いのね……えぇ、飛び立ちましょう!」

 

ハルートジェミニはGNソードライフルを構えると、ジムⅡとジム・コマンド相手に応戦し始めた。

 

『隊長すまない!敵を逃した!』

『任せろ。俺が向かーーッ!?』

 

クリスを狙って飛んでくるヒートダガー。クリスはNT-1の改造機『ガンダムNT-90』が武装しているジェガン(バーナム所属機)の新型ビームライフルとショットランサーを足して割ったような武装・ビームショットランサーで弾いた。

 

『パドルをやった奴かっ!』

「今のを弾くなんて……!」

 

生温い奇襲じゃクリスを倒せない。ヒートダガーを投擲したスターダストに乗るナツキはそう判断すると、ビームダガーを構えてNT-90の背後に回る。

 

「そこぉ!」

『ッ!?カァァァッ!』

 

スターダストの奇襲を察知したクリスはNT-90を振り向かせると、左手に持つ小さな盾を前に突き出す。赤い縦長の六角形と合体していた白いユニットが展開し、長方形のビームシールドを展開した。

ビームダガーのビーム刃はビームシールドに阻まれてしまう。

 

「ビームシール、ドォ!?」

 

今の奇襲まで受け止められた事に驚きつつも、ナツキは咄嗟にスターダストを後退させる。下から振り上げられたビームランサーを紙一重で避ける。

 

『避けたかっ!いや、ABCマントは切り裂けたな』

 

クリスの言った通り、スターダストのABCマントは先程の一振りで焼き斬れており、マントの中から胴体が見えた。

 

『その隙間から突き刺してやる。覚悟しろ』

「覚悟なんて、とっくにの前にしてます!」

 

NT-90とは互角のリーチでしか渡り合えないと判断したナツキはスターダストにツイン・ビーム・スピアを構えさせる。ロッドモードとビームショットランサーのビーム刃がぶつかり合った。

 

***

 

配信のコメント欄は乱戦となったバトルを見て盛り上がっていた。それを見ていたヴィオレは「盛り上がってきたねぇ」と呟きながら視線をモニターに向ける。

 

「六機の内の一枠を支援機に割いているグランシャリオがその一枠の差を埋める為に早急に一機倒したのが功を奏したな」

 

BUILD DiVERSのヒロトが使うコアガンダムは無人の支援機を使用しているが、スターダストの支援機のアブルホールSWは有人機なので人数一人カウントする必要がある。フォース戦になると、実質6VS5+αと言う扱いになってしまうのだ。

そこでアッシュの言う通り、グランシャリオはこのハンデを埋める為に敵の意識をエリゴスに向けている間にスターダストでガンキャノン・ディテクターを倒したのだ。

 

「だが、所詮五分五分にするだけの戦術に過ぎない……ナツキの真価は多分、こっからだ」

 

ノゾムはナツキはまだその強さを発揮してないと言う。とても目の敵にしているとは思えない評価だが、彼の意見は間違ってはいなかった。

 

***

 

ビームジェベリンを振るうジムⅡと近接戦をしながらジム・コマンドのビームライフルを避けるのはハルートジェミニだった。

 

「ワイズさん、牽制よろしく!」

「任せとけっ!」

 

ジム・コマンドの援護射撃を妨害したのはワイズワラビーの砲撃だった。ジム・コマンドがそれを避けている間にハルートジェミニはジムⅡのビームジャベリンを弾くと、GNソードガンを展開してGNシザースでジムⅡを挟み込んだ。

 

「ソーン!」

「いっけぇぇぇ!」

 

バチン!と言う鋭い音と共にジムⅡの体が分断されると爆発する。

砲撃から切り抜けたジム・コマンドが背後を見せているハルートジェミニを狙って銃口を向ける。

 

「ソーン、後ろ!」

「分かってる!分離行くよ!」

 

ジム・コマンドが放ったビーム。しかし、それはハルートジェミニに直撃はせず、天高く飛び立った。空中でハルートジェミニは分離すると、GNアタッカーが急降下する。

 

『ぶ、分裂したぁ!?』

 

後ろに後退しながら射撃を続けるジム・コマンド。しかし、GNナッターがコンテナからGNミサイルで後退を防ぐと、GNキャノンによってビームライフルを破壊する。

 

「おりゃぁーーっ!」

 

ビームライフルの爆発に巻き込まれて大きく動きを止めてしまうジム・コマンドにGNソードを展開したGNアタッカーが突撃する。ジム・コマンドの乗るダイバーは目の前に迫るGNアタッカーに顔を青ざめるが何も出来ないまま斬り伏せられてしまった。

 

「よーっし!やったよブラン!」

「ナイスよ、ソーン。ワイズさんもありがとうございます」

「良いって。撃墜スコアはそっちに譲るさ」

 

再度合体したハルートジェミニはワイズワラビーにサムズをする。

同じタイミングでガンダムエリゴスのソードメイスが量産型ガンキャノンを叩き潰した。

 

「いよっしゃー!やったぞー!」

「あ、やったのか。お疲れ」

「何か反応薄くないか!?」

 

ガッツポーズをしたエースにワイズは軽く言葉を返しただけで終わる。

彼女のあっさりした返事に反応するエースの声を端に、スカロプはシールドガトリングの銃口をジム・スナイパーⅡに向ける。

 

「後は貴方とリーダーだけっすね!」

『俺と隊長以外は全滅……だが、まだ終わっちゃいない!』

 

ガトリングシールドは放たれるが、ジム・スナイパーⅡはそれを避けると、ビームスナイパーライフルでガトリングシールドを撃ち抜いた。

 

「急に動きが……!?」

『まだやれるよな、ペイルスナイパー!』

 

ジム・スナイパーⅡ……に見せかけたペイルライダーとの改造機『ペイルスナイパー』は特殊システム『HADES』を発動させながらビームサーベルを引き抜くと、グフSCに迫る。

 

「HADESシステムッ……でも、その距離は僕の距離っす!」

 

融解して破壊されたガトリングとシールドから切り離すと、ヒートサーベルを構える。

サーベル同士がぶつかり合う。鍔迫り合いになった両者は押し返し合うと、ペイルスナイパーが押し勝った。

 

『掴んだぞッ!』

 

ペイルスナイパーがグフSCの顔にある排気ダクトを右手で掴む。さながらガンダムに引きちぎられたザクの様に排気ダクトを引っ張ろうとしたその時、ペイルスナイパーの右腕にヒートサーベルが食い込む。

 

「間に合えぇぇぇ!」

 

グフSCはペイルスナイパーの右腕を削ぐと体をすぐに捻るが、ペイルスナイパーの左手に持つビームサーベルはグフSCの左肩を斬り飛ばした。

 

『右腕程度、ちょうどいいハンデさ!』

「ガトリングがっ……ッ!?」

 

スカロプが吹き飛ばされていく左腕にある三連ガトリングに意識を向けていた間にペイルスナイパーはビームサーベルで突きを繰り出した。グフSCはヒートサーベルの腹で受け止めるが、融解を始める。

 

「もうっ……いや、ヴィオレさんが応援に来てるのに、諦める訳にはいかないっすよねぇっ!」

 

ヒートサーベルくらいくれてやるとグフSCは自身の獲物を手放して後ろに大きく下がる。ペイルスナイパーはビームサーベルに突き刺さったヒートサーベルを振り払うと、片手でビームスナイパーライフルを構えてろくに狙わずに発砲した。

 

「これくらいっ!」

 

飛んできたビームはグフSCの脇腹を貫くが、グフSCはお構いなしに突っ込むと、斬り飛ばされた左腕を掴んだ。

 

「貴方が斬ったんですから、あげるっすよォっ!」

 

グフSCは拾った左腕を振るった。振られた左腕……その肩にあるスパイクシールドがペイルスナイパーの片目に突き刺さった。

 

『カメラがっ!?』

「片目くらい我慢してほしいっすねぇ!今から命丸々一つ取られちゃうんすから!」

 

グフSCは左腕を投げ捨て、右肩のシールド裏にあるビーム・ソード・アックスを引き抜くと、ビームアックス状態にしてペイルスナイパーの胴体に食い込ませた。

 

『グッ……すみません隊長!ですが、隊長なら生き残れると信じてます!』

 

爆発するペイルスナイパー。爆発に巻き込まれたグフSCは尻餅をついてしまった。

 

「はぁ……ふぅ、ナツキさん、後は任せたっす!」

「ありがとう、スカロプ。後は任せてね!」

 

残るはクリスのNT-90のみである。

クリスはスピアまでやられてしまうとは思わず、コックピット内で震えていた。しかし、ここで諦める訳にはいかない。スピアやパドル達がベストを尽くさなければ、相手に対して無礼であると同時に、仲間達が報われない。

 

『弔いは、お前の首で果たす!』

 

接近を仕掛けるNT-90。ビームランスがスターダストに突きを繰り出されるが、スターダストはツイン・ビーム・スピアで受け流す。スターダストはツイン・ビーム・スピアを変形させてサイズモードに変えると、一振りを繰り出す。

NT-90はビームサイズの一振りを展開したメガ・ビーム・バリアで受け止める。NT-90はツイン・ビーム・スピアを振り払うと、ビームショットランサーで射撃をする。

 

「凄い気迫だ……!」

『伊達にフォースのリーダーを務めていると思うな!』

 

NT-90はビームショットランサーを構えると、ビームランサーが射出された。スターダストはそれをマント裏にあるビームダガーを引き抜いてビームランスを弾く。しかし、そのビームランスは向きを変えると、スターダストに飛んできた。

 

「動きを変えたッ!?ワイヤー兵器か!」

 

ビームランスにはワイヤーが付けられており、バルバトスルプスレクスのテイルブレードの様に予測不能の動きがスターダストを襲う。

スターダストはツイン・ビーム・スピアを捨てると、もう片方の手でビームダガーで弾いた。

 

『そこだぁッ!』

「しまった!?」

 

ナツキの意識は完全にビームランスに向けられたが故に、NT-90がビームサーベルを抜刀してスターダスト目掛けて突撃に近い刺突を繰り出した。スターダストは目を見開きながらスターダストを跳躍させる。ビーム刃の先端が右フロントスカートが突き刺さった。

 

「足くらいぃッ!」

 

そのまま上昇を続けるスターダストの足を焼き斬られていく。ナツキはコックピット内でコンソールを連打すると、ボトムファイターを切り離す。スターダストの上半身が更に上昇すると、残ったボトムファイターが爆発した。

 

『くッ、自爆かッ!』

「セレェェェェェン!」

「ん……!」

 

ナツキの激昂と共にアブルホールSWからコンテナが二つ飛ばされる。一つ目のコンテナから出てきたボトムファイターが上半身だけになったスターダストと合体する。

更に、スターダストはマントを脱ぎ捨て、ハイパージャマーをパージする。そこにもう片方のコンテナからパッケージが装備される。

 

「スターダスト、ドッキング!」

 

バックパックに装備が追加され、シグマシスライフルを手に持つ。キャノンパッケージになったスターダストはNT-90にシグマシスライフルを放つ。NT-90はそれをメガ・ビーム・シールドで受け止めた。

 

『装備を変えた所で!』

 

NT-90はビームサーベルを納めながら空へと飛ぶ。それと同時にビームショットランサーからビームを放った。スターダストはそれを避けながらビームガトリングで反撃をするが、全てメガ・ビーム・シールドに防がれてしまった。

 

「来いっ、牽制はしたんだ。挑んでこいッ……!」

 

スターダストはビームキャノンを放ちながら変則的な軌道でNT-90に迫る。NT-90はビームランスを射出した。スターダストはそれを避けると一気に接近するが、NT-90はすぐさまビームランスを戻してビームショットランサーで突きを繰り出した。

 

「チャンス到来ッ!」

 

スターダストはその一突きを避けると、バックパックのヴェスバーを発射した。NT-90はメガ・ビーム・シールドで防御するが、ヴェスバーのビームがシールドを貫く。しかし、NT-90はビームを避けてみせた。代わりに左腕を失ってしまう。

 

『お前を仕留めるまではァッ!』

 

NT-90はビームショットランサーで刺突を繰り出す。ビームランスがスターダストの体を貫こうとした時、上下半身がパージした。

 

『何ぃッ!?』

「勝つのは、僕だァァァッ!!」

 

上半身だけになったスターダストはヴェスバーでNT-90を撃ち貫いた。

コックピット内のクリスが悔しそうに顔を歪めるが冷静な表情になると、敬礼をした。それと同時にNT-90が爆発する。

 

〈BATTLE ENDED〉

〈WINNER Grand Chario〉

 

勝敗が決される。勝利したのはナツキ達、グランシャリオだった。

 

「勝った……!」

「やったなナツキ!」

「皆、ナイスファイトだったぜ」

 

パージしたボトムファイターがスターダストの上半身と合体させる。ナツキがスターダストを着地させながら勝利への歓喜と最高のスタートダッシュを噛み締めたのだった。

 

***

 

例え互いに戦意をぶつけ合おうと、戦いが終わればその必要はない。むしろ無粋と言えるだろう。

 

「まさかパーフェクト勝ちをされるとはな……素晴らしい戦いだった。グッドゲーム」

「いえ、クリスさんもとても強くて……グッドゲームです!」

 

互いに握手を行うクリスとナツキ。グランシャリオのパーフェクト勝ちだったが、スピアの奮闘やクリスの鬼神が如き戦いぶりは一同を戦慄させるには相応しかった。

 

「今度会った時は勝ってみせるさ」

「はい、楽しみにしてるっす!」

 

ナツキとクリスの次点で激しい戦いを繰り広げたスピアとスカロプが会話を交えていた。すると、スカロプの背後から何者かが背中を叩いた。スカロプが振り返ると、背中を叩いた犯人……ヴィオレがいた。

 

「カッコよかったよ、スカロプ」

「ヴィ、ヴィオレさん!?その、応援ありがとうございました!」

「いやいや〜、私も頑張る君を見れて良かったよ」

 

肩を組みながらヴィオレ的に1番魅せた戦いを繰り広げたスカロプに賞賛を送る。スカロプはヴィオレが見ている以上負けられないと吠えたが、まさか賞賛を送られるとは思わず慌てふためいていた。それを傍から見ていたスピアは「微笑ましいな」と笑っていた。

 

「お前ら、お疲れさん。なかなか良い戦いだったぜ」

「久々に見たけど、2年前の時よりももっと強くなって、感動しちゃったわ……お疲れ様、ナツキくん」

「ん、アッシュ」

「アッシュさん、マギーさん、ありがとうございます!」

 

アッシュがセレンの頭を撫でながら一同を称賛する。必死に戦っていた一同だったが、確かにガンプラバトルを楽しんでいた。GDPは廃れていったが、ガンプラを、ガンプラバトルを楽しむ精神は形を変えはしたが、未だに残り続けている。弟子と弟子が組んだフォースを見てアッシュはそう感じた。

 

「良ければフレンド登録してくれないだろうか」

「えぇ、是非!よろしくお願いします!」

 

フレンド登録をし合うグランシャリオとクリムゾン部隊。それを遠目に見ていたルナはそこから立ち去ろうとした。

 

「良いのか?何か言うなら今の内だぞ」

 

立ち去ろうとするルナにそう言ったのはノゾムだった。ナツキは独りからフォースを結成し、見事勝利した。シークレットガーデンに挑む時も、遠くはないだろう。

 

「良いの。余計な事を言わなくても、ナツキはいつか来るわ」

「余計、な……」

 

ーーお前の言葉は、アイツにとって特別なのによ。

二人揃って朴念仁共め。と脳裏で悪態をつきながらノゾムはルナの後ろ姿を追って歩いていった。




と言う事で初のフォース戦でした。どうしても複数の戦闘を書くとなると、文字数が増えてしまいますね。

そして、今回で第一章が完結です。次回からはナツキ達元四季團の過去を掘り下げる断章が始まります。如何にして幼馴染四人が集まったのか、如何にして四季團は解散したのか、空白の二年半に何が起きたのか……それを出来る限り掘り下げる予定です。

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では、次回予告へ……


次回予告

初勝利を飾ったフォースグランシャリオ。

快進撃を続ける一同だったが、ふとナツキの過去に疑問を持つ。

仲間に過去を聞かれたナツキはGBNに触れる前の話……幼馴染四人が集まった経緯を話す。

断章、開幕
第16話 四季、集う
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