投稿の許可貰ったので、折角と思いましてここに置かせてもらいます。
それでは、どうぞ〜
#1
ガンプラバトル。
かつては、自分のガンプラを実際に動かして戦う『GPデュエル』が主流だった。
しかし、今は違う。
GBN────『ガンプラバトル・ネクサスオンライン』の登場によって、その歴史は一変した。
ガンプラに仮想空間内で搭乗し、操るバトルシステムは数多のユーザーに受け入れられた一方、それがどうにも受け入れられず、離れるユーザーも多かった。
これから語るのは、GBNに出会ったある少年が仮想の宇宙に飛び立つまでの物語────
***
第1章
Scallop's origin #1
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「姉さん、GBNの筐体置かないっすか?」
「まだGPDのユーザーもちょこちょこ来てるし、客足が途絶えたら置くよ。それに、今置いたら帆立が入り浸っちゃうじゃん」
とある商店街に店を構える『砂川模型店』
この店の店主である父の代わりに店番をしている、砂川巻季がGPDの筐体を指差しながら言った。
「まあ、GBNが受け入れられないって人もいるっすからねぇ」
「帆立なら少しは分かるでしょ、その気持ち。だって
「……そうっすね。GPDの楽しさももちろん分かるっす」
「でも帆立はGBNを受け入れた。ちょっと遠いけどプロショップに行って、今日から始めようとするくらいだもんね」
「バンドメンバーにもこの機会に僕と一緒に始めないか、って勧めてるっすけどねぇ……やっぱりガンダムシリーズを知らないとあってちょっと敷居が高いみたいっす」
「まあ、そうだよね……あっ、そろそろ行かないとあそこのプロショップが開店しちゃうよ」
「あっ、そうっすね! 行ってきます!」
「遅くならないようにね〜」
砂川模型店の店主の息子、砂川帆立。
彼は自転車に乗り、風を切って最寄りのプロショップへ向かう。
自分のPCが無く、実家の店に筐体が無い以上、ショップに設置された筐体でログインする方が手っ取り早いのだ。
「はぁ……はぁ……着いた……」
「おっ、帆立くんか」
「淀橋さん!」
「そういやGBN始めるんだろ? 今日は君が一番乗りだ」
「はいっす! 行ってくるっすね!」
「楽しんでこいよ。これがダイバーギアな」
ダイバーギアをセットすると、電子音声によるアナウンスが開始された。
『ID data confirmed. Please scan your Gunpla.』
ダイバーギアの上には帆立がGPD時代に使っていた機体『グフイグナイテッド』が置かれ、スキャンされる。
備え付けのゴーグルを下ろし、操縦桿型のグリップを握る。
『Login data confirmed. Are you ready?』
アナウンスを瞑目して聞き、ゆっくりと目を開ける。
『Dive start now!』
こうして、砂川帆立のGBNは幕を開けた。
***
「ここが、GBN……」
全面ガラス張りの塔の中に帆立──ダイバーネーム『スカロプ』は立っていた。
ロビーは賑わっていて、この世界にログインしプレイしているダイバー達が多くいるのが伺える。
「何かないっすかね……初心者向けのとか……」
NPDのいるミッションカウンターへ行き、スカロプは初心者向けのミッションを探す。
「いきなり初心者向けのミッションに挑戦するつもりかの?」
「うわあっ!? 何っすかいきなり!?」
「にゃはは、反応が新鮮でいいのう。わしも嬉しいぞ」
「……なんでそんな事を聞いたっすか?」
「随分とプレイングに自信があるように見えたのでな。つい声をかけてしもうた」
黒の和服を身に纏う老獪な言葉遣いの少女は、
「なら、何かお勧めのミッションでも?」
「見たところ、今日がGBN初ログインじゃろ? なら、チュートリアルミッションを勧めるわい」
少女は口から離した煙管で、そのままスカロプの初心者向けミッションをチュートリアルミッションに変更し受注した。
「あっ、ちょっと」
「何事も慣れることからじゃぞ。そのミッションのクリア条件は3機のリーオーの撃破じゃ。わしもギャラリーモードで見ておるからの」
「……分かったっす」
渋々といった表情で格納庫に移動し、スカロプは自分の作り上げたグフを見上げる。
「おぉ……!」
「グフイグナイテッドか。わしもこの世界で様々な機体を見てきたが、GBN初心者がここまで基本に忠実に練り上げたガンプラは今のところ、両手の指で数え切れる程しか見ておらん。あやつ風に言うなら……『愛を感じる』と言ったところか」
スカロプはその台詞を聞き首を傾げるが、少女の知り合いだろうと深く詮索はしなかった。
「次はカタパルトでの出撃じゃ。カッコよく決めるのじゃぞ」
「な、なるほど……スカロプ、グフイグナイテッド! 出るっすよ!」
少女の注文通り、スカロプはお約束の出撃台詞を口に出した。
***
『ミッションの指定エリアには着いたかの?』
「そうっすね。よくある山みたいなところっす」
『その辺にリーオーが湧くはずじゃ。お主の技術、見せてもらうぞい』
シェリーからの通信が途絶えると同時に、木々の間から『リーオーNPD』が出現する。
「あれが……」
『NPDとはいえ、侮っていては痛い目を見るぞ。落ち着いて落としていくのじゃ』
「了解っす!」
後衛の2機のリーオーが射撃で援護をする間に、先頭に立ったリーオーがビームサーベルを展開し吶喊する。
スカロプは防御しながらテンペスト・ビームソードを引き抜き、リーオーのビームサーベルを受け止める。
「っく……! 防いでるだけじゃ、始まらないっすよねぇ!」
スカロプのグフは鍔迫り合いをしたまま左前腕部のスレイヤーウィップで、後衛のリーオーを1機捉える。
「っせー……のっ!」
そのままもう1機と衝突させ、一時的に後衛の行動を阻害すると、前衛のビームサーベルを弾く。
「こいつを喰らえっ!」
右腕のドラウプニルのゼロ距離射撃で前衛のリーオーを撃墜する。
体勢を立て直したリーオー達の射撃を対ビームシールドで受け流しながら、衝角で打突する。
「こいつで……終わりっ、すよ!」
再び構えたテンペストで2機をまとめて両断し、爆煙を背に立つ。
『Battle ended!』
「っ……」
『どうじゃった? 自分でそのグフを動かした感想は』
「……GPDとは感覚が違うっすね。でも、思い通りに動いてくれて助かったっす」
『ははあ、やはりGPDの経験者じゃったか』
「はいっす……ずっと機体に助けられたっすから、次からはもっと動けるようになるっすよ!」
画面越しに少女が笑う。
まるで、いいカモを見つけた詐欺師のような笑みだった。
『思い立ったが吉日じゃろう? お主、わしに弟子入りせんか?』
「弟子入りっすか?」
『そうとも。わしもGPDからGBNに来たからの、感覚の違いもよく分かっておる……じゃからわしの弟子になってもっと強くなってみんか?』
「……強く……なってみたいっす!」
『わしはシェリーじゃ。これからよろしく頼むぞい、弟子よ』
この師に弟子入りしたことを少し後悔する出来事が起ころうとは、この時の帆立はまだ知る由もない。
恋文さんによる帆立くんの過去編第1話でした。
三部作らしくあの2話あるそうなので、震えて待っててね★