ガンダムビルドダイバーズ スターダスト   作:オーマピジョン

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世間には自己紹介で自分のユーザー名を間違える人がいるそうだぞポッター。
だが人生何事も上手くいかないのだ。気にする事じゃない

挫折してしまったナツキくん。
皆の応援でナツキくんが(恐らく)立ち上がるぞ(きっと多分maybe)!


第3話 再起の兆し

ミッションを中断してヴァルガからエントランスに帰還したナツキ。しかし、その表情は浮かないどころか、沈みきった表情だった。

折角戻ってきたに関わらず、騙されて危険な場所で戦闘をし、勝利したと思いきや幼馴染に戻ってくるなと言われた。

 

「そうすれば、良いのさ……」

 

エントランスの壁で座り込むナツキ。巻季には申し訳ないが、もう止めてしまおうかと考えてしまう。

その時、ナツキの元に一人の少女が現れた。

 

「だいじょうぶ?」

「え……」

 

ナツキはふと顔を見上げる。そこには一人の少女がいた。

明かりによって輝く金髪に透き通るような蒼眼をしている。例えるならば、西洋人形である。ちなみにその胸は身長とは少し不釣り合いなくらい大きい。

 

「あ、ごめん。心配させちゃったかな……?」

「ん、気にしてない。ウチ来る?」

「ウチ?」

「私の保護者がいる。来る?」

 

フラフラとだが立ち上がるナツキ。彼を心配した少女はGBN内にある保護者と言われている人物がいる拠点に招き入れようとしていた。

 

***

 

第3話

再起の兆し

 

***

 

アジアン・サーバー。その一つであるエスタニア・エリアに移動した二人。ナツキは少女に連れられるように中華街を歩いていた。

 

「えっと……まだなのかな?」

「もうすぐ」

 

精神的に参っていたナツキにとってはちょっとした移動も少し遠く感じていた。

 

「着いた、ここ」

「あぁ、ありがとう……」

 

路地裏をあるいて人気から少し離れた所に、扉が発見される。少女が先に入り、ナツキもそれを追うように入る。

 

「アッシュ、お客さん」

「ん……セレン……客って誰だよ」

 

家の中は木製の机と長椅子とハンモックだけとかなりシンプルだった。

ハンモックで寝ていた男をセレンと呼ばれた少女がハンモックを揺らして男を起こす。

 

「ん、客ってアンタか」

「ど、どうも。ナツキです」

 

ナツキは男に会釈する。飄々とした雰囲気をした袖と肩部分、脇腹がシルバーでそれ以外は黒のスカジャンを着た男だった。

 

「俺はアッシュだ。コイツはセレン」

「ど、どうも……」

「人見知りなセレンが話しかけるとは思わなかったが、アンタを見て納得したよ」

 

アッシュと名乗った男はナツキを連れて椅子に座らせる。アッシュはナツキと向き合うように座る。

キッチンでセレンは何か作業をしている。

 

「お前、初心者か?」

「えっと、2年半ぶりに復帰したんです」

「復帰勢か。初心者狩りにでも襲われたか?」

 

ナツキは初心者狩りと言われてやっと合点が行く。何故彼らが自分を騙して自分を襲ったのかが疑問でしょうがなかった。

 

「あ、あの人達、初心者狩りだったんだ……」

「天然なのか、それを考える余裕すらないくらい落ち込んでるのか分かんないからスルーさせてもらうからな」

 

アッシュはナツキにその初心者狩りとの戦いについて聞く。ナツキもそこについては特に問題はないので話した。

 

「あぁ……ヴァルガ行ったのか」

「ヴァルガ?」

 

ナツキがヴァルガの名前を言い返すのを聞いたアッシュが「知らないのか」と笑いながら話す。

 

「ハードコアディメンション・ヴァルガ……全フィールドフリーバトル可能な魔境さ」

「フリーバトルが自由に出来るんですか?」

「そこら辺が分かるって事は、脱初心者から中堅って所までやってた感じか?」

 

アッシュに言い当てられたナツキは凄いと感心する。実際、ナツキはノゾム達幼馴染達とフォースを結成して中堅フォースとして活躍していた。

 

「あそこは弱いもの虐め大好きな奴やバトルジャンキー、腕試しをしにきた上位ランカーやチャンピオンまで来る魔境だからな」

「詳しいんですね」

ここ(GBN)が始まった当初からずっと見てきたからな。見ることしかしなかったが」

 

アッシュは自嘲気味に呟く。彼もまた何かしらの理由でGBNにいるのだろうか、とナツキは考えてしまう。

 

「じゃあその初心者狩りにボコボコにされたのか?」

「いえ……初心者狩りは何とか倒せました」

「復帰して間もない奴とは思えない事をサラッと言うのやめろ。……じゃあ、何であんなに落ち込んでたんだ」

 

アッシュに落ち込んでいた理由を聞かれたナツキは俯いて手を強く握る。

すると、ナツキの手前にコトリとティーカップに入った紅茶が差し出された。差し出したのはセレンである。

 

「どうぞ。欧州ディメンションで買った良い茶葉。美味しい」

「セレン……ありがとう」

「アッシュもどうぞ」

「おう、サンキュ」

 

ナツキはセレンに出された紅茶を飲む。上品な味と共に暖かさが伝わってくる。暖かい飲み物を飲んだお陰か少し沈んだ気持ちがマシになった気がする。

それ故に、今なら話せるような気がした。

 

「……再開した幼馴染に、ちょっと言われちゃって」

「幼馴染、か」

「はい。2年半前、僕を含めた四人で四季團ってフォースを組んでました」

 

ナツキとノゾム、そして後二人の幼馴染で作られたフォース・四季團。四季團は初心者だけのフォースでありながらメキメキと実力を上げて中堅フォースにまで上り詰めていた。

 

「でも、その時、とあるダイバーに突然襲われて、僕以外は全滅してしまいました」

「荒し……2年半前となるとマスダイバーの可能性もあるな」

「僕、あの時何も出来ずに、皆を守れなくて、アイツを倒せなくて……それで、逃げてしまったんです」

 

あの時、幼馴染は何度も引き留めてくれた。「ナツキは悪くない」「悪いのはアイツだ」と許してくれていた。それでも、ナツキは逃げ出してしまった。

 

「それで、今日覚悟を決めて戻ってきたんです!なのに……!」

 

戻ってきて、再開したノゾムに言われたのは拒絶の言葉だった。

ナツキの目に涙が浮かび上がる。

 

「『もう遅い』って、『戻ってくるべきじゃなかった』って……もう、どうすれば良いのか分からなくて……!」

 

我慢できずに涙を流してしまうナツキ。すると、彼の頭に誰かの手が乗せられ、優しく撫でられた。

 

「え……?」

 

撫でられたナツキは隣に誰か座ってる事に気づく。横を見ると、セレンがナツキを撫でていた。

 

「セレン……?」

「ナツキ、辛そうだったから……嫌だった?」

「ううん、逆だよ。ありがとう」

 

ナツキはセレンに感謝を述べつつも涙を拭う。

 

「ナツキ、GBN、止めちゃうの?」

「それは……どうだろう」

 

ノゾムの言う通り全て手遅れなのだろうか。だとすれば、GBNに戻ってきた意味は完全に消失する。

しかし、そこで諦めて良いのかと心の何処かで問いかける己もいた。

 

「ちょっと聞いてたけどよ。ナツキ、お前はどうしたいんだ?」

 

すると、アッシュがナツキに問いかけてきた。ナツキはそれを聞いてこれまでの事、そして自身の思いを整理する。

確かに、2年半と言う月日は短そうでかなり長い。元四季團は後戻りは出来ないかもしれない。

 

「確かに、今四人はバラバラかもしれません。今日会った幼馴染以外の二人はどうしてるのか分かりません」

「そりゃそうだろうな。でも、諦めたくない、だろ?」

 

アッシュに聞かれたナツキは「はい」と答える。残りの幼馴染二人を探して現状と思いを聞きたい。そして、叶うなら仲直りがしたかった。

 

「また四人一緒……なんてのは高望みだとは思ってます。でも、皆とまたやり直したい失った時間を取り戻したいって、思ってます」

「ふっ……青春しやがって。しょうがねぇ、聞いた以上大人としてその青春を手伝ってやらねぇと、なっ」

 

アッシュは立ち上がるとその手を差し出す。アッシュの行動にナツキは頭に?を浮かばせる。

 

「俺は直接何かする訳じゃねぇけど……俺の弟子にならないか?」

「弟子、ですか!?」

 

アッシュは自分の師匠になると言い出して驚くナツキ。隣にいたセレンも目を輝かせる。

 

「ナツキ、ここ毎日来るの?」

「毎日とはいかねぇだろうが……セレンは姉弟子になるだろうな」

「姉……!お姉ちゃん……!」

 

姉と言うワードを聞いてセレンは嬉しそうに跳ねる。低身長とは不釣り合いな胸にある二つのメロンが揺れた。

女性に耐性のないナツキには目に毒である。

 

「え、えっと、その、アッシュさんは良いんですか?」

「良くねぇなら提案してねぇわバカ。自慢になってるかわかんねぇが、俺は長年GBNを見てきた。ガンプラバトル自体も長年やってるからな」

「つまり、大ベテラン、なんですかね……?」

 

ナツキに聞かれたアッシュは「どうだろうな」とはぐらかしてしまう。

しかし、経験者は自分みたいな復帰勢にはとても助かる。アッシュなら自分の道標になってくれるかもしれないと考えた。

 

「アッシュさん、御指南、よろしくお願いします!」

「おう。お前を一人前にしてやるよ」

 

ナツキはアッシュの手をガッチリ握る。横でセレンが「わーい」と拍手をしながら喜んでいた。

 

「さて、まず早速だが……お前のガンプラ、見せてくれないか?」

「ガンプラ、ですか?はい、どうぞ!」

 

ナツキは自分のガンプラであるスターダストのデータを見せる。アッシュはそれを見てふむと呟きながらじっくりと見ている。セレンもアッシュの隣に座ってそれを見ていた。

 

「この子、愛されてる」

「あぁ、良い機体だ。良く作り込まれている」

「一応、復帰の為に作った機体なので、これからこの先使えるようにって思いまして……」

「だけど、個性はまだ活かしきれてないな」

 

ズバッとアッシュが言う。先程までの好評からの急降下が如くの指摘はナツキの心にグサリと刺さった。

 

「い、活かしきれてない、ですか……」

「コイツ、肩やバックパックにジョイントあるって事は、状況に合わせて換装が出来るんだろ?」

「はいっ。ゼフィランサスの特性である汎用性を高めようと思いまして!」

「ならこのチョバムアーマー要らねぇだろ」

 

鋭い指摘にぐぅの音も出ない。試験的にとは言え、使ってみたナツキ自身、あまり使えるものじゃないと諦めていた。

 

「とりあえず、当分の目標は、コイツの装備を増やすことと……後もう一つだな」

 

アッシュは人差し指の次に中指を立てる。

 

「GBNは所詮オンラインゲームだ。大量のダイバーがいる。ならば、人脈を増やすのも一手だろうな」

「人脈、ですか」

 

確かに、多くのダイバーと知り合っていた方が損は無いだろう。今後フォースを作るに関しても有利だ。……もしかしたら、幼馴染達の情報が分かるかもしれない。

 

「と言うことで、フレンドも増やしていく。これがお前の第一の関門だ」

「関門……修行が始まったって事ですね」

「あぁ……気張っていけよ、ナツキ」

「ん、頑張って」

 

ナツキは落ち込んでいたのから心機一転、再起の為の修行が始まった。

 

***

 

アッシュとセレンに別れを告げてログアウトしたナツキはゴーグルを外して立ち上がる。

筐体の設置されている部屋に出ると、ナツキに気づいた巻季がこちらに来た。

 

「お疲れ様。どうだった?久々のGBN」

「あー……良い滑り出しとはとても言えませんが確かに進めた気がします」

「そっか……良かった」

 

巻季は自身の問いに答えたナツキの表情から、後押しして正解だったと確信する。

 

「あ、早速ですけど、新しいキット見てきて良いですか?」

「良いわよ。頑張って強くなってね!」

「はい!」

 

ナツキはガンプラ販売エリアへと向かう。ナツキの再起(リライズ)は始まろうとしていた。




新キャラのアッシュ&セレン登場回でした。
ナツキを導くアッシュと、それをサポートするセレン。
2人の支えがナツキをどう成長させるのか……お楽しみに

では、次回予告へ……

***

次回予告

ナツキの手によって作り出されたスターダストのパッケージ。
それを試す為、新たな出会いを求める為、とあるイベントに挑む。
そしてそのイベントでナツキの前に現れる新たなライバルに新装備を身に付けたスターダストで挑む!

第4話 絶壁の勇者
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