先日の反乱の鎮圧後、ある物が見つかったのだ。
それは、大司教…この学校で一番偉い人の暗殺計画が書かれた紙が見つかったのだ。その内容が事実かどうかは定かでは無いが、私たちはその警備にあたることになった。
「そうね。やはり狙いは大司教以外にあると思うわ。重要な内容の密書だというのに、この杜撰な管理…」
「暗殺を警戒させて…他の警備が手薄になるのを?」
「ええ、先生。私はそう睨んだわ」
「それじゃあ皆、各自準備する様に」
ベレスの一声で皆が散り散りになる。
みんなはその計画の真意を探るべく調査を行なっている。私も……やろうと思ったけど人に話しかけるのは嫌だからやめた。なので一応はそこら中を歩き回って調査してる感じを出しておく。ベレスにでも付いていけば良かったなぁ……。
「うーん、オデの推理では暗殺騒ぎに紛れて食糧庫を襲うつもりだと思うんだ」
「いやいや、ラファエル君。それは無いと思うなぁ。僕は宝物庫が書庫だと思います」
暗殺計画はすでに修道院中に知れ渡っている様だ。確かに、一番偉い大司教の暗殺など、話題にならない訳が無い。そこら中がその話題で持ち切りだ。その話題性を囮に何か企んでいるのは間違い無いだろう。
「…て言っても、なぁ…」
私はセイロス教団のことも、この修道院のこともまださっぱりわかんないし、誰かに話を聞かなきゃ狙いを推理するなんてことできやしない。
「はぁ……ひま」
食堂の机でぐでーっとうつ伏せになる。自室に戻ろうかとも思ったが、皆が動き回っているのに自分だけ自室でぐうたらしているのはすこし気が引けた。
まぁ、食堂でぐうたらしているので実際はそこまで変わらないのだが。
「あら、あら?お久しぶりですわね?」
「フ、フレン……」
見つかってしまった。私はフレンが苦手だ。嫌いではない、のだが。
「ど、どうして…ここに?」
「甘いものが食べたくなって、そこにちょうどハルスさんがおりましたので」
今日は、厄日かもしれない。別に顔も合わせたく無いほど嫌いかと言えばそうでは無い。苦手なタイプではあるが、なんなら仲良くしたいぐらいだ。でも、落ち着かない。とにかく落ち着かない。胸の奥がザワつく。
ヒルダやドロテアも一緒な筈なのに、どうしてフレンとはこうも上手くいかない…いや、上手くできないのか。
そうして、机の上に来たシャーベットが1つ。
隣で美味しいものを食べられると少し羨ましくなる。
そうしていると、フレンが私に笑顔を向けながら、シャーベットをひと掬い。私に向けてスプーンを突き出す。
「はい、どうぞ」
「え、いや……え?」
こ、この突き出されたスプーンは……
「もう…!私だって頑張りましたのに…」
むくれながらその突き出したスプーンをフレンは自分の口に運ぶ。今までよりもハイペースで食べ続ける。
「…………」
しばらく無言が続いたが…
「ちょ、ちょっ!ちょっと!」
な、なんて言おう…え、えーっと
「…も、もう一回!やり直し!もう一回!」
「や、やり直し…ですの?」
私は何を言っているんだ。
「も、もう…しょうがないですわね」
フレンがもう一度、スプーンを私に向ける。
………いやいや!勇気を出せ!
ぱくっと、スプーン上のシャーベットを頬張る。甘い……と思うのだが、今の私に味わって食べるなんて余裕は無かった。心臓の音も、周りに聞こえるんじゃ無いかってぐらい激しい。
い、いやいや、私は何をやってるのかなぁ!?
「あ〜ん」なんて、私がちっちゃい頃にベレスからやってもらった以来だよ。おんなじぐらいの歳の子にやってもらうなんて…。しかも、やり直しってなに?一番意味わかんない!
つ、次は何を喋れば良いの?ありがとう……はなんか違う、えっとえっと…
「ご……ごちそうさまでし…た?」
「私が作った訳では有りませんが…それは良かったですわ」
ま、眩しい…笑顔が眩しい…
「じゃ、じゃあ失礼します!」
「あ!ちょ、ちょっとお待ちくださいなぁー!」
なんか私的に気まずかったので、全力で退散する事にした。気づいたら自室に着いていて、私は布団を被った。そしてさっきの事を時折思い出して、私は1人悶絶した。
「どう?ハルス。敵の狙いは絞れたかしら」
「…………」
「ちょっと、ボーっとしてないで、ハルス?」
「あー………えっと、食堂とか?」
「…………どうしてそうなるのよ」
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