ベレスに妹入れてみた   作:ひーらぎ@1341

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ちょっと無駄に長くなっちゃっいました。もっと削れば良かったかも。


13話

「ハルスさん。お話、よろしいですの?」

 

「え、うん。良いけど」

 

 夕暮れ時、人が少ない大修道院内でフレンに話しかけられる。どうしたのだろう。

「私、どうしてもハルスさんが他人の様には思えませんの」

 

「え、で、でも初めて会ったよ?」

 

 会ったことなどあるはずもない。私は物心ついた時から傭兵団にいた。それに依頼を受けたりと誰かと話す仕事は私はやってない。誰かと会う機会などほぼなかったのだ。

 

「えぇ。私もこの大修道院で初めてお会いしましたわ。……ですけど、やっぱり何かありますわ!」

 

「ひぇっ!」

 

 私の手を両手でギュッと握るフレン。突然の事にびっくりした。周りには誰もいなかったため、この状況と声を聞かれる事はなくて良かった。

 

「うーん…うーん。やっぱりわかりませんわ…」

 

 でも、何でだろう。私も私で、フレンとは何かある気がする。それが何かはまったくわからないが、この胸のざわつきはフレンのそれに近い物なのだろうか。

 

「うーん。まぁ、良いですわ。これからもよろしくお願いしますわ」

 

「う、うん…その…」

 

 なんか……このタイミングかどうかはわからないが…よし、勇気を出そう。

 

「そ、その!フレン!」

 

「……?なんですの?」

 

「そ、その、私…私と…」

 

 よ、よし。言うぞ!ベッドの中で何回も練習したんだ。失敗しない様に!

 友達になろう、とそれだけの簡単な一言を…

 

「私と……な!?危ない!」

 

 突如、フレンの背後の暗闇から、真っ暗な甲冑を装備した大男が現れ、大鎌を振りかぶっていた。私は咄嗟にフレンに向かって飛び込み、突き飛ばす。そして、フレンを抱えて、少し後ろに下がる。

 

「……フレン、大丈夫。私が守る」

 

「だ、大丈夫ですわ。私も戦います」

 

 私に突き飛ばされた時に打ったのであろうお尻を摩りながら、懐から魔導書を取り出すフレン。

 

「だめ、逃げて」

 

「そんなこと言わないでくださいまし。私、お友達を見捨てて逃げられるほど、薄情ではありませんのよ!」

 

「いや、だめ。逃げて」

 

 フレンの気持ちは嬉しいのだが、でもいけない。勘でわかる。こいつは……強い。それも、普通の強さじゃない。今の私じゃ…絶対に勝てない。

 

「お願い、フレン。大丈夫、絶対に勝つから」

 

「そ、そんな…ですけど…」

 

 やはり渋るフレン。でも私だって、ベレスにこんな事されたら、絶対に逃げない。一体どうすれば…。さっきは人気が無くて良かったと思ったが、全然良くない。最悪だ。

 

 ………しょうがない。どっちにせよこのままじゃ殺される。それならやるしかない。手に炎を灯し、相手に放つ。その攻撃は鎧の男に命中はしたが、おそらくは聞いていない。

 そこで、私はすぐさま距離を詰める。

 魔導士が自分から距離を詰めたことに驚いたのか、男は一瞬、戸惑う素振りを見せた。そこですかさずもう一発。

 若干男はのけぞったが、すぐさま体勢を整えて、私に大鎌を振るう。

 

「ハルスさん!」

 

 後ろからフレンの声が聞こえ、咄嗟に魔法を使う音が聞こえるが、その魔法は間に合わないだろう。私に、刃が、落ちる。

 

 

 金属同士がぶつかりあった様な甲高い音が響く。

 

 

 それを待っていた!この修道院内で二回目?だったか。刃を腕で受け止め、さらに密着で魔法をもう一発。これで倒れてくれなかったら、正直きつい。

 

 

 男は後ろにのけぞったが…倒れることは無かった。

 それに、今までのそこらの盗賊達の時とは違い、腕に痺れが残る。少し無理があった様だ。

 

「中々…やる。いいぞ…!もっと私と死合え!」

 

 全然堪えて無さそうだ。こうなったら…やるしかない…か。

 

 フレンに見られてしまうが、今はそんな事言ってられる状況ではない。私はいつも首に掛けているネックレスに指をかけると、その先に付いている宝石から、白く、淡い光が溢れ出す。

 

 でも……フレンはわたしの事をどう思うだろうか。

 一瞬、気の迷いが生じた。

 

 

 

 

 

 

 

 ……あれ、なんで私…倒れて…

 

「待て、死神」

 

 聞いた事のない…くぐもった声が…

 頭が…痛い。後ろから…殴られたの…かなぁ…

 

「ハ…ハルスさ……ハル…」

 

 フレンの声が…掠れて聞こえる……

 

「ふ…ふれ…ん」

 

 精一杯手をのばすが、フレンには届かない。視界も薄れゆく中、見えたのはフレンの泣き顔と、私たちを襲った鉄の兜を被った二人の男の姿だった。

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

「大丈夫です。資格がない者が英雄の遺産を使えば、あの様になってしまいますが、貴方にはその資格がある」

 

「資格……、紋章のこと?」

 

「ええ、そうです」

 

「大司教!フレンの姿が先程から見当たらないのです!」

 

 大司教と話している最中、突如セテスが入り込んできた。フレンの姿が見えない……?

 

「落ち着きなさい、セテス。ベレス、話は後にしましょう」

 

 もう少し聞きたいことがあったのだが、半ば強制的に部屋から追い出されてしまった。

 ……フレンか。私とはまだあまり関わりが無いが、ハルスとよく一緒にいるのを見た。ハルスのためにも、私も個人的に探してみよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、せーんせー!」

 

 少し遠くから、ぶんぶんと大きく手を振って私を呼ぶ者の姿が見える。あれは……ヒルダか。

 

「どうしたの?」

 

「そのぉ、ハルスちゃん見ませんでしたー?さっきから探してるんですけど見当たらなくて。先生のお部屋にいるのかなぁーって」

 

「……ヒルダ、フレンを見なかった?」

 

「フレンちゃんですかー?あたしは見てないですけど」

 

 フレンも行方知れずで、彼女とよく一緒にいたハルスもいない。それは…偶然だろうか。

 

「ちょっ!?先生!?」

 

 居ても立っても居られなくて、すぐさまレアの元へと走り出す。フレンの捜索は始まっているだろうが、場合によってはハルスの捜索も入れてもらわなければいけない。

 

 どうか、無事でいて…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 レアの元へと向かい、事情を伝えた所、今節の課題は二人の捜索になった。すぐさま学級の皆を集めて、内容を話す。

 

「そうなの…学級から行方不明者が出るなんて…最近は変な噂も立っている様だから、心配ね」

 

 頭を抱えて不安げな表情を浮かべるエーデルガルト。彼女もよくハルスと話していただけある。しかし…

 

「変な噂……?」

 

「む、知らないのか?先生。近頃、夜な夜な街を徘徊して人を襲うと者がいると言う噂だよ」

 

 それは知らなかった。だが、ハルスは強い。そこらの不審者ぐらいなら簡単に撃退できるはずだが…

 

「噂、本当なら、ハルスとフレン、同時に襲われた、ですか」

 

「しかしハルス殿は中々の実力をお持ちの様ですが…不意打ちでもされたのでですかな」

 

 色々も皆が考察を進めるが、こうして話し合っていてもハルスは見つからない。しかし、私が動揺を露わにしてしまえば、学級の皆に関わる。今にでも駆け回って探したい気持ちを押し殺し、冷静に振る舞う。

 

 話を聞く事から始める。

 

 

「お、俺!見たんだ!真っ黒な鎧を着た不気味な奴を…あ…あいつが死神騎士だよ…間違い無い!」

 

 

 

「なぜだ…大修道院から出た形跡は見つからないと言うのに…なぜ見つからん!」

「あー、落ち着けよセテス」

「落ち着ける筈が無いだろう!あぁ…フレン…」

 

 父とセテスが何やら話している様子だ。

 

「……ん?あぁ、どうだ、見つかったか?」

 

「全然」

 

 首を振ってそう答える。父は…すこし落ち着きすぎでは無いだろうか。特に情報になりそうなことは無さそうだ。こんな所で油を売っている場合では無い。

 

「まぁ、落ち着けって。一旦冷静になれよ」

 

「な…!ハルスが危ないの、すぐに見つけてあげないと!」

 

「あぁ、わかってるよ。だから落ち着くんだ。あいつも俺の大事な娘なんだ。一刻も早く見つけてやりてぇよ。だからって闇雲に走り回ったって見つけられねえよ。あいつの事になるとお前は周りが見えなくなるなぁ…」

 

「……でも、こうしていたって何も変わらない」

 

「だからなぁ…騎士団がそこらを駆けずり回ってるってんなら、俺たちは頭を使って探していこうじゃねぇか」

 

 頭を使って探す…か。

 ……一度考えてみよう。かなりの数の騎士たちが捜索に当たっていてもなお見つからない。しかし、さっきのセテスの言から、大修道院を出た形跡は無い…となると…。

 

「誰かを隠せる様な場所がある……?」

 

「この修道院内には隠し通路やら隠し部屋やらがたいそうあるらしい…。そこに監禁されてるってんなら…この修道院に詳しい奴らが怪しそうだな」

 

 この修道院に詳しいとなると…生徒とは考えにくい。それならば教師や騎士団の高い位に立つ者たちに話を聞いてみよう。

 

 

「私か?確かに私は純粋な騎士では無いが、今回の件と結びつけるのは短絡的だな」

 

 

 

「私が怪しいだと!?……なに?フレン殿によく怒られていた?そ、それは…つまらぬ冗談を言ってはダメ出しされていたのだ……はぁ……」

 

 

 

 

「いてて……いやぁーフレン達は駆け落ちでもしたんじゃ無いかって言っただけで本気で引っ叩かなくても……げ、先生、ち、違うんですよ。あらゆる可能性を考えるべきだと思っただけで…」

 

 

 

 

「剣の講師であるイエリッツァ先生は少し怪しいな。彼の剣は最近、どこか衝動的な印象を受けたな」

 

 

 

 

「ん、イエリッツァ?今日は見てないな。怪しい?……そうか。アタシ達も少し気にかけてみるよ」

 

 

 

 

 あらかた走り回って話を聞いてみたが、流石に潔白である証拠などは中々出ないために、全員が全員容疑者止まりだ。それを絞ることすら中々難しい。

 

「おい、ベレス」

 

「……父さん、どうすれば…」

 

「おいおい、悲観的になり過ぎだ。マヌエラが仮面の様な物を持って走って行ってなぁ。あいつはそんなん付ける奴じゃねえから引っかかってな」

 

 

「……うん。行ってみる」

 

 あまり期待はしていないが、一応行ってみる。元々の怪しい理由は少し弱いが……手がかりが無いのならば行くしかない。

 イエリッツァの部屋……どこだろう。

 

「先生、どうかしら。ハルスについて何か見つかったかしら」

 

「イエリッツァの部屋、教えて」

 

「……先生?」

 

 首を傾げるエーデルガルト。しまった。事情を伝え忘れていた。

 

「……なるほど。それは少し怪しいわね。他にアテがないなら行くしか無さそうね。彼の自室は確か、騎士の間の隣だった筈よ」

 

 

 

 

 

「イエリッツァ殿、いらっしゃいますか?」

 

 部屋をノックするエーデルガルト。しかし、反応は無い。

 

「ちょっと!先生!?」

 

 私は扉を蹴り開ける。中には……倒れているマヌエラの姿があった。すぐさま駆け寄る。どうやら気絶しているだけの様だ。

 

「ふむ…棚の後ろに大きな穴がありますな。もしや隠し通路では…?」

 

 棚の後ろにある大きな穴。そこには階段が続いている。もしやこの中に二人はいるのだろうか。

 

「行こうぜ先生!突撃だ!」

 

「うん。ヒューベルト、皆を呼んできて」

 

 ヒューベルトに学級の皆を連れてくる様に言う。単独犯であるのならば良いのだが、複数人いた場合を備えてのことだ。

 

「ごめんなさい、私はマヌエラ先生を医務室まで連れて行くわ」

 

「問題ない」

 

 エーデルガルトは貴重な戦力ではあるが、さしたる問題ではないだろう。気絶しているだけとはいえここで放っておくのも悪い。

 

「先生、少し落ち着いて。ハルスはきっと無事よ」

 

「……わかってる」

 

 そう言ってエーデルガルトはマヌエラを抱えて去って行く。……大丈夫。私は、冷静だ。

 

「さて、先生。行きましょうか」

 

 ヒューベルトが、学級の皆と共に戻ってきた為、隠し通路の階段から下に降りる。

 穴の奥からは冷たい風が吹いてきて、私の熱を冷ましてくれる。どうやら自分で思っていた以上に冷静ではなかった様だ。

 

「階段の奥にこんな空間があるとは……」

 

 降り切った先には未知の部屋が広がっていた。入り組んでいそうで、戦い辛そうだ。

 

「せ、先生、あそこ!」

 

 倒れている人影が二つ、あれはフレンと……誰だろう。士官学校の制服は着ている為、生徒なのではあろうが、私は見たことがない。

 

 

「よく、来たな」

 

 

 奥から、鎧の金属音を鳴らして、不気味な格好をした男が現れる。以前、聖廟で戦った奴だ。

 

「ハルは…どこ」

 

「ふん…知りたくば…この俺と死合うが良い…地獄の舞踏を楽しもう…!」

 

 そして、中にいたのはこの男だけじゃない。他にも武装した不審な物達がいる。

「皆、戦闘準備!」

 

「おっしゃー!フレンもハルスも俺が助けてやるぜ!」

 

「ひ、ひぇぇ…で、でもハルスちゃんの為ならぁ!」

 

「ええ、行くわよベルちゃん!」

 

 

 

 その手に持った大鎌を振るう甲冑の男。何人かの生徒がその鎌の餌食となる。

「こいつは私がやる。皆は他の敵を!」

 

 この男はとても生徒の手には負えないため、私が相手をするしかない。斬られた生徒も死んでしまった訳ではないため、一度退いてもらい、回復してもらおう。

 

 天帝の剣を抜き、死神を彷彿とさせる男と斬り合う。

 

「ぐっ…!」

 

 天帝の剣をしならせ、一太刀入れる事に成功する。

 

「ハルを返して。そうじゃ無いと、容赦はしない」

 

「ふっ…ふふふ…良いぞ…!そうだ、この殺し合いこそ…私が求めていた者だ…!」

 

 こんな奴の相手をしている場合では無い。私は、ハルスの元に行かなければならないのだ。

 

「早く……どけぇ!」

 

 

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