姉に連れられ、さっき訪ねてきた3人組の所へやってきた。
「いやー、助かったよ。こんな辺鄙ない村にこんな腕利きの傭兵がいるなんてなぁ。これも日頃の行いが良いおかげねぇ」
「あぁ。盗賊団相手に一歩も引かぬ戦いぶり。俺ももっと強くならねばならないと思ったよ」
男2人がベレスへと賞賛の言葉を浴びせる。どうやらあの時はこの2人の近くで戦っていた様だ。この2人は私が戦っている時は目にしていないので尚更私をいつ助けに来ていたのかが気になる。
ふと肩を叩かれる。振り返るとそこにはさっき私が助けた白い髪の女の人がいた。
「あなたも傭兵、なのよね」
「うぁ……は、はいそうです…」
すごい吃ってしまった。さっきは必死だったからまだ普通に声をかけれたけどやっぱりよく知らない人は苦手
「あら、戦場よりも緊張しているの?私はエーデルガルト。よろしくね」
白い髪の、エーデルガルトさんは私の微笑みながら私の頭を撫でる。ベレス にしてもらってるみたいで少し落ち着く。
「その、あなたはあの壊刃ジェラルトの娘、なのよね?」
「は、はい。そうですけど…」
「じゃあ、彼女はあなたの?」
エーデルガルトさんはベレスを指差して言う。
「は、はい姉です」
「そう、あまりお姉さんとは似ていないのね」
ベレスは青色の髪の毛だが私は白色の髪の毛だ。さらに顔立ちも大して似てはいない。
「あ、あのそれは」
「おーいエーデルガルト。そのみみっちいのは誰なんだ?」
軽々しい声が私とエーデルガルトさんとの会話に入り込んでくる。どうやらベレスとの会話は終わったそうだ。
「彼女の妹だそうよ。私の恩人でもあるし、悪く言わないで欲しいわね」
「ははは、悪かったよ。俺はクロードだ。あんたも大修道院に来るんだろ?俺たちはそこの士官学校の生徒なんだ」
「俺はディミトリだ。課外活動中に盗賊団に追われてしまってな。君のお姉さんには助けられたよ」
どうやら3人は学校の生徒さんらしい。
「ベレス、大修道院ってとこ行くの?」
「さぁ、父さん次第かな」
ジェラルトが髭のおじさんと話が済んだのかこちらに歩いてきた。その表情は若干曇っている。
「あーその何だ。仕事は取りやめで今から大修道院まで向かう羽目になっちまった。悪りぃな」
頭を掻きながら顰めっ面をするジェラルト。そんなに行きたくないのだろうか。決してあの3人も髭のおじさんも悪い人では無さそうだったから悪い場所では無さそうだが。
「そんなに嫌なの?父さん」
「そう言うわけじゃねえんだがなぁ。まぁ、お前らは気にすんな」
ベレスの肩をぽんぽんと右手で叩き私の頭をぐしゃぐしゃと雑に撫で回して傭兵団の皆の所へ向かっていった。説明に行ったのであろう。ベレスに優しく撫でられるのとは違うが偶には良いものだ。
そうして修道院へと歩く事になった。暫く歩くと街道に出た。この道沿いに歩けばその大修道院とやらに着くのだろうか。逸れないようにとベレスとずっと手を繋いで歩いている。そんな迷子になるような事してないと思うのだが。
「2人とも、大修道院は初めてか?」
「うん、来たことは無いね」
「もうすぐ見えてくるはずさ。色々な意味で、このフォドラの縮図みたいな場所さ」
森が開け、広大な平原とその奥に高い山々。その中に大きな建物がある。おそらくあれが大修道院だろう。
だんだんと建物が近づけば近づくほど、その大きさに圧倒される。ここまで大きな建物を間近で見るのは初めての体験で少し興奮する。
ガタガタと門が軋みながら開く。門だけでも私の何倍もの大きさがある。門を潜ってすぐ、ジェラルトが上を見上げる。私とベレスも同じく空を見上げると、そこには綺麗な女の人が私達を見下ろしていた。
「レア様…」
ジェラルトが懐かしむような雰囲気で女の人を見る。知り合いなのだろうか。一緒に歩いきたエーデルガルトさんらは途中で別れていった。私達はジェラルトと一緒に騎士団に連れられて、とても豪華そうな場所へと連れられた。
「謁見の間か。ここに来るのも何年振りかねぇ」
「ここに来たことあるの?父さん」
「ああ。俺は昔、ここで働いてたんだ。騎士としてな。そしてこの中にいるのは、さっき見ただろう。大司教のレア様だ」
扉が開き、私はベレス の後ろに隠れながら中に入る。部屋の中にはどこか重苦しい雰囲気が漂う。中には先ほど高台で見た女の人と硬い表情をした男の人がいた。
「久し振りですね、ジェラルト。こうして再び邂逅できたのも、主のお導きでしょう」
「えぇ、長きに渡る音信不通、お詫びします。あれから俺にも色々ありましてね」
ジェラルトは騎士には似合わないと思うのは私だけだろうか。傭兵としてのジェラルトしか私は見ていないため、昔は騎士然とした感じだったのだろうか。だめだ。やはりイメージは湧かない
「ええ、そしてその子が産まれたのでしょう。あなたの名前は…」
「ベレス」
淡白にそう答える。レアさんは軽く微笑み、良い名前ですね。と答えた。そしてベレスの裏に隠れている私の方へと視線を送る。
「ジェラルト。所でこの子は…」
「あ、あの私は」
「私の妹のハル」
ベレスは私の言葉を遮り頭を撫でながらレアさんにそう言う。
「妹、ですか」
訝しむような声をレアさんは発する。
「ああ、レア様。少し違くてですねぇ。その、なんて言うか」
ジェラルトはバツの悪そうな顔をしながら言葉に詰まっている。私が言い出すしか無いだろう。
「そ、その、私拾われたんです!ジェラルトに!」
少々声を張り過ぎてしまい、驚いた顔をする全員。そう。ベレスやジェラルトとは私は血が繋がっていない。1人、捨てられていた私をジェラルトが拾ってくれた…らしい。私が物心着く前の出来事だったので詳しくは知らないが。
最初はベレスの事を本当の姉だと思っていたが、次第に自分の容姿とベレス の容姿が全く似ていないと気付いて、ジェラルトに聞いてみたら教えてくれたのだ。
「そう…ですか。辛い事を聞いてしまいました。ごめんなさい」
「い、いえ。その…気にしてませんから」
「うん。関係ない。私達は姉妹」
ベレスはしゃがみ込み私を後ろから軽く抱き留める。私は少し気にしているのだが…ベレスは全く気にしていないし…凄く心が暖かくなる。
「では…ジェラルト、私が何を言いたいかは分かりますね」
「はぁ、セイロス騎士団に戻れって言うんでしょう。俺は構いませんが、こいつらは…」
「はい、分かっています。彼女達については考えてあります。では、今日の所はこの辺りに…」
私達は退室した。騎士の人たちに部屋を案内してもらった。どうやらベレスとは相部屋のようだ。
暫くベレスとその部屋で過ごし、もうすっかり日は暮れた。眠くなってきたのでベッドで横になる。
……これからどうなるのだろう。ジェラルトは騎士に戻るというし、私たちについて考えあると言っていだが、今までとは変わった生活になるだろう。そんな不安を抱えながら布団を被る。そうした時に。
「ハル、大丈夫」
ぽんぽんと私の頭に手を置くベレス。そこまで私はわかりやすいのだろうか。どうしてこうも見透かされるのだろう。……確かに、悪いところではないだろうから。どうにかなるだろう。
そう言った期待もありつつ私は眠りについた。
次の話書き始めたは良いけど指が止まった