ベレスに妹入れてみた   作:ひーらぎ@1341

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21話

 ……先生、それで良いの?

 

 確かにハルスは部屋から出るようになったが、立ち直った…とは程遠いのが現状だった。

 寧ろ、不安定さがより増している。

 

「お、お姉ちゃん…どこ…?どこにいるの!?」

 

「ハルス、落ち着きなさい!」

 

「た、助けて…!私を守って…そばに居てよ…!」

 

 先生と少し離れただけでも、呼吸を荒げてパニック状態に陥ってしまう。

 今ではずっと先生に張り付きながら、日常を過ごしている。職務の時も、食事の時も、寝る時もずっとだ。

 自立、という概念がまるで消失したように。

 

 一番困ったのは出撃の時だ。置いていく予定だったのだが、先生と共にいないとパニックに陥ってしまうので、渋々連れていくことになった。

 いつもの様に素手ではなく、槍を携えて共に出撃したのだが、敵を目の前にしている最中だと言うのに、槍を持つ手を震わせ始め、その場で蹲ってしまった。

 

「はぁっ…はっ…い、嫌ぁ!」

 

 そんな事情を敵が汲んでくれる訳もなく、ハルスに、無情にも武器を振り下ろしてくる。

 ハルスは腕でその武器を受ける。戦う気力はなくとも、本能的に身体が動いた様だった。

 その影響で、彼女の服が破れて、竜の腕が露出する。

 

「な…化け物か!」

 

 そんな敵の一言にも、ハルスは過剰に反応してしまう。

 

「ば…化け物…?ち、違う!私は!」

 

 ヒステリックに叫び散らかし、涙を流す。以前までのハルスは、もういないのだと痛感した。

 

 先生…ハルスが大切なのはわかるけれど、これからもずっと行動を共にするなんて、無茶じゃ無いかしら。時間はかかっても、もっと別の方法を模索するべきでは無いの?

 

 もう、ハルスはボロボロよ。もし貴方が居なくなってしまえば、完全に壊れてしまうわよ。

 

 

 

 

 

 

 騎士団が…ソロンを名乗る者達の場所を突き止めた。私達の学級がそれの始末をつけることになったのだが…

 

「い、嫌だ!私も行く!」

 

「…駄目よ。貴方は連れていけないわ」

 

 やはり、ハルスが着いて行きたいと駄々をこねる。流石に今回だけは連れていけないだろう。相手の実力は未知数なため、ハルスを守りながら戦える自信はない。

 

「つ、次は戦える!もう…大丈夫だから!」

 

 その言葉も、何回目だろう。出撃の度にそう言って着いて来る。勿論ハルス自身は本気で言っているが、実際そうなることはない。

 

「わかってるわよね、先生」

 

 私がどれだけ言っても、きっと伝わらないだろう。先生からの言葉でないときっと聞いてくれない。

 

「…うん、ごめんね。ここで待っててね。すぐに戻ってくるから、ね」

 

 ハルスは悲観、といった表情をして、目には涙が浮かび始める。

 

「心配しないで。私は絶対に帰ってくるから」

 

 そう言って先生はハルスを抱き締める。ハルスは声を殺して、胸の中で泣いている。

 

「……ベルナデッタ」

 

「ひゃ、ひゃいぃぃ!な、なんでしょう!」

 

 …毎回、話しかけただけで悲鳴を上げないで欲しいものだが…

 

「良かったら、ここに残ってハルスの面倒を見ててくれるかしら。別の人に任せても良いのだけど…」

 

「あ……や、やります!ハルスちゃんの事は任せてくださいぃぃ!」

 

「えぇ、よろしく」

 

 

 今のハルスはとても一人にしてはおけない。先生は出撃させなければならないし、私もそれは一緒だ。それなら、ハルスと仲も良く…こういってはなんだが、戦力的にもそう気にならないベルナデッタが最適だろう。

 

「先生にも、この旨を伝えないとね…」

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 父の仇であるクロニエ、その仲間であるソロンを討ち、大修道院に戻って来た。

 私は、ソティスを失った。正確には一つとなったのだが、もう彼女の憎まれ口を聞く事は無いと考えると、寂しい気持ちが湧いてくる。

 

 その所為か髪の色と瞳の色が、ソティスと同じ色に変化してしまった。ただ、だからと言って何かが変わった訳では無さそうだが。生徒達にも多少驚かれたぐらいだった。

 

 ただ、レア…大司教とセテス、エーデルガルトはそうではなく、他の生徒達とは違う様子だったが…。

 

 

 しかし、聖墓に行けとはどう言う事だろうか。大司教とセテスにそこへ赴く様にと、課題にまでされた。ただその場に行くだけなら、課題になどしなくても良いと思うのだが。

 それに、ハルスは連れて行かない様に、と念押しされた。理由を聞いても満足の行く回答は得られなかった。

 

 私と一つになったソティス、それを崇める教団。まだわからない事が多いが、その聖墓とやらに行けば、何かがわかるとセテスは言った。

 

 まぁ、なんだって良い。私が何者でも、ハルがいれば私は大丈夫だ。一緒には行けない様だが、大した時間にもならないだろうから、心配する必要もないだろう。誰か、生徒に私が居ない間は面倒を見てもらう様に頼もう。

 

 

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