ベレスに妹入れてみた   作:ひーらぎ@1341

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22話

「……んぅ、……あれ…?」

 

 修道院の学生寮の自室にて、少女は目覚めた。部屋には自分一人しかいない。

 少女は少し考えて、自分が寝起きだと言うことに気づいた。最近は目を覚ませば、姉か同じ学級の生徒がいるものだが、今回は誰もいない事に違和感を覚えた。

 

 ぼんやりとした頭で、寝る前の出来事を思い出す。

 

 ……そうだ、生徒の皆んなを連れて…修道院内のどこかにいったんだっけ。

 

 自分は置いてけぼり、と多少の疎外感を覚えながらも、しょうがないと諦めた様子だ。

 もっとも彼女も着いて行きたいと言ったのだが、修道院で一番偉い大司教に止められた為に、こうして部屋で一人ぼっちで帰りを待っているのだ。

 

 もう一度、睡魔に身を任せて眠りにつく。

 精神状態も多少は安定してきた。数日前までは一人でいる事が不安でしょうがなかったが、今回、彼女自身がこうして一人で待つことを選択したのだった。

 

 だが、近くに誰もいないと言うことに気付けば気付くほど、不安が胸に押し寄せてくる。彼女の眠りにつくという選択は、眠っている間はそれに気づかないから…自分を誤魔化したかっただけなのかもしれない。

 

 

「……ふわぁ…、……だれか…いるの…?」

 

 眠りに落ちる、その寸前に扉の外に何者かの気配を感じ取った。知っている様な、知らない様な、害意は感じられなかったため、彼女は躊躇いなく扉の鍵を開けた。一刻も早く、誰かに側にいて欲しい、私を安心させて欲しい、と。

 

 扉を開けた先には、級長であるエーデルガルトが無言で立っていた。

 

「……あ、ヒューベルトさんも。お姉ちゃ…あ、ベレスは…どこ?」

 

 そう呼びかけたのに対し、エーデルガルトは何も語らない。ただ口を噤み、彼女を見つめている。優しい、慈しみを込めた瞳。だが、その奥には、燃え盛る様な決意が垣間見える。

 

「…エーデルガルト、さん…?どうしたの…そんな怖い顔で」

 

「…さようなら、ハルス。貴女といた時間は楽しかったわ。そして、ごめんなさい。貴女はきっと、私のせいで苦しむことになる」

 

 そう言って、エーデルガルトはハルスを抱き締める。

 

「…え、えっと、本当に…何が…?」

 

「エーデルガルト様、時間が…」

 

 なぜ抱きつかれたのか、何を言っているのか、彼女には全くわからない。まるで、もう会えないかな様な口ぶりで何かを語っているエーデルガルトに、不安感を抱いた。

 

「ま、また…あえる?」

 

 その場から去ろうとしたエーデルガルトの裾を掴んで引き止める。自分の心の拠り所にもなっていた彼女と、もう二度と会えない様な気がした為だ。

 

「…会うことが無ければ良いわね」

 

「ちょ、ちょっと!待って!」

 

 伸ばした手は空を切った。ヒューベルトと共に何処かへ転移して、ハルスの目の前から消えた。

 

「ど、どういうこと…?何があったの…!」

 

 良好な関係が築けていたと思っていた為に、その拒絶は心に傷を残した。

 

「…ハル!」

 

 エーデルガルトが去ってすぐに、ベレスが駆けつけた。そして、彼女も何も言わずにハルスを抱き締める。

 

「…お姉ちゃん。何か、あったの?」

 

 聞いても、ベレスは何も語らない。エーデルガルトがいずれこの場所を、軍を率いて侵略してくるなどとは言えなかった。妹にこれ以上の心の負担を負ってほしく無かったからだ。

 

「…今日は、もう寝よう」

 

「……?うん、わかった」

 

 早ければ、明日にもエーデルガルトの帝国軍はこの修道院を落としにかかるだろう。寝て起きれば、戦いが始まる。

 

 

 ベッドの中で、隣で眠るハルスの顔を見る。ハルスの寝息が静かな寝室に響く。起こさない様に、優しく頭を撫でる。

 

 この子だけは、絶対に守ると、断固たる意志を抱き、いつしかベレスは眠りについた。

 

 




三人称って…難しいですね。一人称になりかけている部分も所々出ている様な気がします。

 次の次ぐらいから二部入りだと思います。ここまで長かった…
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