ベレスに妹入れてみた   作:ひーらぎ@1341

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ちょっと物足りないですが…無双が出たので…ね


26話

「…うぅっ…うぁぁっ…」

 

 ハルスはベッドの上で、眠りながらも涙を流す。彼女は眠る時、うなされる事が多くなった。それを放っておくと、何をしてしまうかわからない。そのため、常に誰かが付くことになっている。しかし、その役目を負うのは決まった人物のみだ。

 

「だ…大丈夫。…大丈夫だよー」

 

 そんなハルスをあやすように、優しく囁く一人の少女…いや、もはや立派な女性だろう。

 

「…ハルスちゃん」

 

 手を両手で包むように握る彼女…ベルナデッタ。ヴァーリ家の一人娘であった。父が失脚した後、エーデルガルトに個人として仕えている。

 …ハルスの世話係として、エーデルガルトから直々に声がかかったのだ。

 

 彼女自身、その役目を辛いとは思わない。だが…心が痛い。

 

 記憶も何も無くして、赤子のように弱々しくなってしまった姿を見ると、まるで昔の彼女が嘘だったようで。

 

 それだけ、ベレスという存在は大きかったのだと、否が応でも気付かされる。

 

「戻ったわ。ありがとう、ベルナデッタ」

 

「…あ、お帰りなさい。え、えっと…どうでした?」

 

 ベルナデッタ自身も大修道院へ赴こうとしていたのだが、ヒューベルトから声がかかったため断念したのだ。

 

「…別に、何も無かったわ」

 

 苦虫を噛み潰したような顔で、そう答えるエーデルガルト。

 

 先生が生きていると知ったら、ベルナデッタはどうするだろうか。ハルスと共に残るだろうか。それとも、先生の元へ行くのだろうか。

 

「…ベル、おねえちゃ…ん…」

 

 ベルナデッタの太ももに顔を埋めるハルス。ぐりぐりと顔を押しつけて、悪夢で歪んでいた顔は随分と安らいだものになった。

 ハルスはエーデルガルトだけを姉と仰いでいるわけではない。

 

 自分を無条件に委ねられる者全てに依存する。その中の一人というだけ。それこそが、彼女の『姉』なのだ。

 

「ベルは…ベルはここにいるよ…」

 

 先生の生存は伝えるべきなのかもしれない。ただ、ハルスの精神的支柱を減らしてしまうことになるかもしれない。

 

「…ごめんなさい」

 

 結局、エーデルガルトにそれを言う事は出来なかった。

 

 ハルスは先生の元へと帰すべき。しかし、ハルスの精神状態から安易に動かす事はできない。

 

 ベレスの思いもよらぬ生存…守ると決めた信念が、エーデルガルトに大きな影を落としていた。

 

 

 

 


 

 

 

 

「エーデルガルト様、報告が…」

 

「…えぇ、何かしら」

 

 いつも通りの声色で応対する我が主君。しかし、私の目には明らかに、憔悴しているように見える。休息は間違いなく取っている筈。

 主君が日々、やつれていく姿を見るのは気持ちのいいものではない。…だが、だからと言って何かが出来るわけでもない。

 

 あの少女の存在が原因というのはわかりきっているが、手出しはできない。それこそ、反感を買うだけだ。

 

「そう…わかったわ。ヒューベルト、直ぐに兵を集めなさい」

 

「はっ…」

 

 帝国領土への足がかりであるミルディン大橋が墜とされ、グロスタール家は離反。同盟は一致して反帝国の意思を示した。

 さらに、数節で力を取り戻し、橋を堕としたセイロス教団。

 

 現時点では負けは見えないはず。しかし、その勢いは侮れるものではない。

 

 故に、皇帝自ら出向きここで敵勢力を潰し切る算段だ。このような時のために、最低限の準備は進めてきた。

 

「…行ってくるわ。待っていてね」

 

 皇帝ではなく、一人の女性として語りかける我が主。

 

 

 

「…そう変わりませんな。エーデルガルト様も」

 

 ただ寄り添うだけでは何も進展しないと知っている筈。どこかの教師がしていた事を否定的に考えていたというのに、それと同じことをしている。

 現実からただ遠ざけて、向き合わせるのをただ先延ばしし続ける。

 

「困ったものですな、我が主にも… それでは頼みましたよ、ベルナデッタ殿」

 

「…は、はい…わかりました」

 

 今回の戦いが終わり次第、進言することにする。あのままでは、いつ擦り切れてもおかしくない。早いうちに、向き合ってもらわなければならない。

 

 

 

 


 

 

 

 

「……はぁ。いいのかなぁ、これで」

 

 ベルナデッタは現状に満足していなかった。ハルスの相手が苦というわけではないのだが、この良くない現状維持を続けるということに疑問を持っていた。

 

 先生を失い苦しむ友人を助けたい、力になりたいと言うのは本心だ。ただ、これは本当にハルスのためになっているのだろうか。ベルナデッタも自分なりにどうにかしたちとは思っているものの、特に良い案も思い浮かばずに今の今まで、ずるずると問題を引きずり続けてしまった。

 

 気分は重いが、ハルスのいる部屋の扉を開く。

 

「は、ハルスちゃーん……え、え…?」

 

 いつもはベッドの真ん中で泥のように眠るハルスはおらず、開いた窓から風が吹き込むばかりであった。

 

 




無双のエーデルガルトさんが無印より人間臭くて良かったです
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