ベレスに妹入れてみた   作:ひーらぎ@1341

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次話から多少話進めます


5話

「うん。似合ってるよ、ハル」

 

 士官学校の制服を着せられる。堅琴の節となり、私も士官学校に通う事となった。どうやら対抗戦とやらではベレス率いるクラスが勝利したらしいが。しかし、それにしても…

 

「こ、この制服、スカートの丈短く無いかなぁ!?」

 

「大丈夫。ハルは可愛いよ」

 

「そ、そう言うんじゃなくて…!」

 

 思い返してみれば、女子の制服は全部スカートの丈が短かった。自分が着るんだと全く実感が無かったために、いざ着てみると、羞恥心がぐわっとくる。

それに足を隠すタイツなどは私は持っていないので、生足が丸見えだ。

 ベレスのを借りようにも、サイズが合わないし、何よりあの柄はちょっと嫌だ。なんであんなの履いてるんだろう。

 

「ほら、行くよ。そろそろ時間」

 

「あ、うう…」

 

 しょうがないので部屋を出る。足に風が当たって少し寒い。教室へはすぐに着いた。教室の扉を開けるのが少し億劫だ。勇気を出して扉を押す。中にはすでに多くの生徒がいた。

 

「あら、久しぶりね。制服、似合ってるわよ。ハルス」

 

「あぅぅ、エーデルガルトさん。久しぶりです」

 

「あら、先生の妹さんの、えっと、ハルスちゃんで合ってるかしら」

 

「は、はい。ド、ドロテアさんでしたっけ」

 

「ええ、そうよ。覚えててくれたのね」

 

 微笑みながら私の頭を撫で回す。最近ベレス以外にも頭を撫で回される機会が多い気がする。そんなに身長差が有り過ぎる訳では無いのだが。まぁ…悪い気はしないが。

 

「ハルスはあそこに座って。それじゃあ皆んな、始めるよ」

 

 指を刺された方角を見るとそこには他の物より綺麗で、1人分ほど大きい長机があった。私の為にこの長机だけ新調したのだろう。椅子だけは1人用の物が1つ、長椅子の隣に置いてある。

私はその椅子を使おうと手を伸ばす。すると手が誰かと当たる。

 

「あ、その、えっと…使いますか」

 

「ひぇ…い、いや隣の席使いますから!どうぞ!」

 

「え、えっと、じゃあ、はい」

 

 少しボサボサ髪の女の子といきなり気まずい状況になってしまった。私と同じで人見知りなのだろうか。しかし…

 

「そ、その」

 

「へ、な、なに?」

 

「その…教科書見せて欲しい…です」

 

「……え?いいよ」

 

 早速教科書を忘れた自分に正直驚いている。

 

 

 

 

 

♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢

 

 

 

 

 

「はぁ……疲れた」

 

 隣の子に教科書を見せて貰ったが、ページを捲ろうとする手も重なってしまったり、肩がぶつかってしまって、一時的に距離を取ってしまい、結局また近くに戻ったりしていて、全く集中できなかった。

 一度部屋に戻り、教科書類を抱えて学級へと戻る。

 

「よっ、久しぶりだな」

 

「え、えーっと…」

 

「おいおい、名前、忘れちまったのかい?クロード、クロード=フォン=リーガンだよ。ちゃんと覚えてくれよ?」

 

 そうだ。クロード、クロードか。確かベレスに言い寄っていた男の内の1人だ。もう1人の名前も覚えてはいない。

 

「クロード君?なんかすっごい威嚇されてるけど…何したの?」

 

「ん〜?いやぁ、なんもして無いと思うけどなぁ」

 

「もう、あたしはヒルダ。クロード君が何かしちゃったんなら、ごめんね?」

 

 まぁベレスとこの人が接する機会は多くは無いと思うので、気にしなくては良いだろう。

 

「うん。ヒルダさん、よろしく」

 

「おいおい、俺とはよろしくしてくれないのか?残念だなぁ」

 

「む、むぅ…」

 

 つっけんどんな態度を取っているのに、飄々とした態度を崩さない。少しは気にして欲しい。私がこんな意地悪をしているのが馬鹿らしくなってしまう。

 

「ねぇクロード君。この子貰っちゃ駄目かなぁ。凄く可愛い〜!」

 

「うーん、駄目なんじゃ無いか?というより、来てくれないと思うぜ。なんせ担任が大好きなお姉さんだからな」

 

「ふーん、先生の妹ちゃんってことかぁ。欲しかったのになぁ、この子」

 

「わ、私学級に戻ります」

 

 さっと教科書を抱えこの場から立ち去る。なぜかヒルダさんの目が怖い。クロードに意地悪をする為によろしくしたが、もしや失敗だったか。

 

 学級に戻り、また授業が始まる。最初とは違い、何事も無く授業は終わって行った。次が最後の授業だ。初日だからか随分と疲れてしまった。一旦深呼吸をして、すぐに授業が始まったのでバッグを漁って

 

「……あれ」

 

 私の独り言に隣の子がチラリとこちらを見る。

 

(な、なんで…入ってないの)

 

 あの時ちゃんと入れ直した筈なのだが、どうして…

 

「あ、あのぉ…」

 

 どうしよう、どうしよう。さすがに見せて貰うのも2回目は申し訳が…

 

「そ、その、ハルス…ちゃん?」

 

 しょうがない。手ぶらで授業を受けるとしよう。内容はおそらく理解できないが。

 

「き、聞いてよぉー!」

 

 突如隣から大声が聞こえた。その声は学級中に響き渡り、私の意識は現実に引き戻される。隣の子に視線が集まる。

 

「どうしたの、ベルナデッタ」

 

「あぅ…先生…いや、何でも無いです、はい!」

 

 明後日の方向を見ながら、抑揚のおかしな声でそう言う。いきなり大声を上げてどうしたのだろうか。顔を真っ赤にして俯く隣の子。

 すぐに授業は再開された。ベレス が前で喋っているが内容は全く理解できない。机に肘をつき、頭を抱える。その状態でしばらくぼーっとしていると隣の子がすっと何かを差し出す。

 見てみると、そっぽを向きながら私との間に教科書を置いてくれていた。一瞬何が起こっているのか私は理解できず固まった。そしてようやく頭が周り、

 

「…ありがと」

 

「…う、うん」

 

 私が困っているのに気づいてくれていた様だ。彼女の耳元で囁く様に感謝を述べる。彼女は少し顔を赤くしてまた俯く。

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、今日は終わり」

 

 なんとか最後の授業を終えた。隣の子のおかげでただぼーっとするだけにならなかった。

 

「最後に、私達の今節の課題は盗賊の討伐。それじゃあ」

 

 ほっと一息付く前に、今節の課題が伝達される。盗賊の討伐。私は多少戦場に慣れてはいるが、まだ学校も始まって間もないと言うのにいきなり実践訓練とは、中々この学校は実践主義の様だ。

 それぞれ課題に対する不安や緊張を仲の良い者同士で語り合いながらぞろぞろと学級から出て行く。

 

「ちょ、ちょっと待って」

 

 その中に私の隣の子もいた為、私は袖を引き呼び止める。

 

「ふぇ?な、なにかな?」

 

「その、改めて。さ、さっきはありがとう。本当に助かりました…」

 

「い、いや…その…気にしないでください!」

 

 そう言い残し、早急に走り去ってしまう。名前ぐらいは頑張って聞こうと思ったと言うのに。

 

「今日はどうだったかしら、ハルス」

 

「ひゃ!?…あ、エーデルガルトさん。ま、まぁ、なんとも言えないです」

 

後ろから急に話しかけられて少しびっくりしてしまったが、この人ならば一番喋ることができる。もう慣れたものだ。

 

「まぁ、まだ1日目だものね。これから慣れていけば良いわ。」

 

「は、はい。頑張ります!」

 

 そういえばエーデルガルトさんは今節の課題についてどう思っているのだろうか。

 

「あの、盗賊の討伐って大丈夫ですかね」

 

「そう心配しなくても大丈夫よ。私達が戦場なら立つ頃には騎士団が全てお膳立てしているはずよ。敵戦力の把握も、戦場を整えてもくれる。よほど無茶をしない限りは、ね」

 

「そ、そうですよね。でも、もしもの事があったら…」

 

「そうね、確かに模擬戦とは違って危険が伴うわ。でも、実戦を知る良い機会になるはずよ。それに、あなたと先生は多少は実戦慣れしていると思うから、頼りにしているわよ」

 

 私の戦闘能力は基本的にはベレスと比べるとさして高くない。剣や槍などの訓練も、学校生活中にはしておくべきだろうか。

 

 




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