【完結】地下鉄ぐらし!【ゆっくり実況】   作:兼六園

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2日目昼~2日目夜

 着々と籠城の準備を整えるゲームの実況プレイ、続きます。前回は三階をお掃除したりリボルバーを改造したところで終わりましたね。

 

 今回は放送室を寝室にするべく保健室のベッドのマットレスを回収したり、ついでに購買の倉庫から晩飯のカップ麺を回収します。

 リボルバーも3発装填のシリンダーから6発装填に、トリガーと撃鉄をシングルアクションからダブルアクションに改造しましたので、これが完成形と言えましょう。

 

 あとは弾薬が潤沢にあれば良いだけなので、7日目の雨の日ラッシュまでに遠征に出て交番や警察署に漁りに行きたいですね。クラフト素材は投げナイフや爆弾、火炎瓶、スチールボールのクラフトのみに絞っておきたいんですよ。

 まあ……警察署は大体のパターンで悪党なんかの巣窟(すくつ)になってますが。*1

 

 とかなんとか言いつつ、早速とマットレスと掛け布団、飯の回収に向かいましょう。

 当然ですがマットレスは大きいので、食料の回収とで分担作業になります。

 

 マットレスは勿論大人組が持つ(卑劣様)

 子供組は食堂と隣接した倉庫に向かってもらいます。あっちはくるみ姉貴が居るしへーきへーき。ほいじゃあ行くどー(カーン)*2

 

 ワイヤートラップと鳴子に気を付けつつ、三階から一階へ。何かあったら直ぐに呼ぶように伝えてから、ベッド4つ分のマットレスと掛布団を丁寧に丸めて廊下に運び出します。

 

 まだ子供組が食料を集めているので、先ず2つを両腕に抱えて上へと運びましょう。放送室の横が生徒会室なので、壁に立て掛けておきます。一階に戻る途中で二階に居るやつらを背負っておいたティハールで片付けるのも忘れずに。

 

 戻ってきた頃にちょうど三人が戻ってきていたので、カップ麺と缶詰、無洗米を三人に運ばせて残りのマットレスはめぐねえとアナスタシア姉貴で1つずつ運搬します。

 

 

 ──おっと、二階に上がると、図書室の方からやつらが数人現れました。イヤーッ!*3

 マットレスをくるみちゃんに預けて、上に戻ってるようにしっしっと手を振ります。

 

 ティハールのスチールボールと空気を補充して、さっさと図書室を制圧してしまいましょう。ここでついでに幼児向け絵本を入手して、【日本語Lv2】の経験値にするのも良いですね。

 

 そもそもアナスタシア姉貴は日本語を聞き取れるので、彼女が単語を話せるだけでもかなりコミュニケーションに違いが出ますから。

 

 ──さて、相変わらず間抜けな発砲音が廊下に響いていますが、スチールの玉を高速で撃ち出す銃はミュータントの固い皮膚だろうとダメージを与えられるので、これを人間に向けたらどうなるかなんて考えるまでもないでしょう。

 

 ほいパシュパシュッと。

 うーんクソ雑魚。メトロの中で襲い掛かってくるノサリスや地上で襲い掛かってくるハウラー、目を逸らしてはならない例のゴリラことライブラリアンと比べたら月とスッポンですね。

 

 ……さて、上に戻る前にちょっと部屋を漁りましょう。未使用のノート、シャーペン、本棚の隅に納められている絵本を持ち帰ります。

 

 では改めて合流。放送室にマットレスと掛布団を運んで敷き詰め、1つを生徒会室の端っこに置いておきます。生徒会室にはアナスタシア姉貴が、放送室にはめぐねえたちが寝ます。

 

 さてめぐねえ、お勉強しようずぇ……? 

 

 ──ヨシ!(ロシア猫)

 

 日本語を学びたいアナスタシア姉貴の提案に協力を惜しまないめぐねえほんとすき。

 向上心溢れる人間に親身な国語教師の鑑がこの野郎……!(感動)

 

 

 ……さて、今回はこのまま夕食を済ませて寝るまではアナスタシア姉貴の日本語勉強会に費やします。発音と共にひたすら書いて覚えて、少しずつ辞書などで文章と単語を学びましょう。

 

『あ』は『アナル地獄賞』のあ~。

『い』は『行きますよーいくいく』のい~。

『う』は『うるせえ(TKNUC)』のう~ってね。

 

 美人のロシア人が舌ったらずの発音で「あ~~~い~~~う~~~」と言いながら文字を書いている光景、""(いい)""ですね。

 めぐねえも字が変に跳ねないように達筆な文字で例を用意してくれています。

 

 ただゲーム的な数字とゲージが貯まってレベルが上がるだけではない、こういった行動の事を『経験値』と呼ぶんですね(微ガトン構文)

 文字を学んで言葉を学び、単語を学んで文章を学ぶ。まるで学校の授業みたいだぁ。

 

 吸収の早いアナスタシア姉貴も、レベル2になる前に平仮名を覚えるでしょうし、会話に簡単な単語を選べるようにもなるでしょう。

 あとは明日にでも【日本語Lv2】にして、日常会話が出来るようにしておきます。4日目には弾薬補給の遠征に出たいのでね。

 

 

 ……そろそろ勉強も切り上げて、晩御飯を食べてさっさと明日に備えて眠りましょう。生徒会室から放送室に戻る四人を見送り──あれー、おかしいね学校は明るいのに外は真っ暗だねー。

 

 ──さて、ここでアナスタシア姉貴に疑問を覚えさせましょう。『外は暗いのになぜ学校だけ電気が点くのか、なぜ学校の設備は生きているのか』という疑問は、緊急避難マニュアルを探すイベントのときに役立ちます。同時に学校(ここ)だけが明るいと目立つことにも察してもらいます。

 

 

 ……なんでアナスタシア姉貴だけ生徒会室で寝るのかって? 夜の見回りのときに放送室で寝てたら起きたのバレるじゃないですか。

 悪党が侵入するゲリライベントは夜中に発生するので、巻き込みたくないですし。

 

 それでは夜の見回りに出る所で今回はここまで、次回はお勉強会で【日本語Lv2】を習得しようと思います。ではまた。

 

 

 

 

 

 ──夜、放送室に入ろうとした慈は、不意に自分の腕を掴んで引っ張ろうとするアナスタシアに意識を向けつつ驚いた様子で声を出す。

 

「アナスタシアさん?」

「────」

「どうしたんですか、外になにか?」

 

 アナスタシアは慈を見てから、指を窓の外に向けた。どう見方を変えようが、()()()()()()()()ことに変わりは無く────

 

「……あ、れ」

 

 外が、暗い。

 廊下は、明るい。

 

 おかしい。外が暗いのは電気を管理する会社が機能していないからで、家が暗いのは人がいないから。であるならば、なぜ学校は電気が点くのか。──おかしい。何かが、おかしい。

 

 ついっと指を蛍光灯に向けたアナスタシアのジェスチャーの意味を悟り、慈は改めて口を開く。

 

「…………」

「えっ? ああ……屋上にソーラーパネルがあったのを覚えてますか? 

 ここの学校は、朝から昼まで太陽光を集めてそれを電気に使っているんです」

「────」

 

 ふぅん、と鼻息をついて、納得したように頷いた。慈自身も、アナスタシアへの解説で合点がいった。ここはどういうわけか、電力が独立しているのだ。おまけに浄水装置まである。

 

 ──やはり何かがおかしい。

 

「……なにか忘れているような……」

 

 脳裏に記憶を思い返そうとしても、なんだったか思い出せない。かぶりを振って、慈は早めに寝ようとアナスタシアに向き直った。

 

「……夜間の蛍光灯は薄暗くなるように設定しているので、何か気になることがあったら遠慮無く起こしてくださいね」

「────」

「では、おやすみなさい」

 

 慈はそういって、踵を返して放送室に入っていった。それを見送ったアナスタシアは生徒会室に戻ると、セーターの上にコートを羽織り、ティハールを肩に吊るしてホルスターに入れたリボルバーをそのまま腰のベルトに付ける。

 

「────」

 

 それから万能発電機とライト、メモ帳とボールペン、数本のナイフと予備のスチールボールを手にして部屋を出ると、足音を立てずに廊下の中央から一階まで降りて行く。

 

 寒空の下、アナスタシアは、途中で教室から椅子を持ち出して生徒用の玄関に出ると、椅子を置いてそこに座る。

 遥か遠くからは何かの悲鳴が、少し離れたところからは動く死人の呻き声が。

 

 ──家々の明かりが無い世界は、星空が鮮明に見える。そんなところだけは、不思議と、モスクワと似ていた。

 

「……Звез()да」

 

 アナスタシアはティハールを膝に置くと、ヘッドライトを点けて手元を照らす。

 持ち出していたメモ帳とボールペンを手に取り、彼女は平仮名と発声の復習を始めた。

 

「……ァ、あ~、イぃ、ぅ……?」

 

 まるでつい数時間前に撃ち殺した死人の呻き声のようだ、と内心で独りごち、アナスタシアはくつくつと小さく笑う。

 

「マ、みィ、ム……め、グネー。メグネー? 

 

 ──ンン。Это труд(難しいな)но……」

 

 

 見張りをしながら、復習をしつつ、近くで聞こえた異音には即座に対応する。

 それを繰り返しながら、アナスタシアは、朝日が住宅街の隙間から顔を覗かせるまで──延々と平仮名を書き続けていた。

*1
そうくつ定期

*2
カーンが入ってる+1919810DKP(デルフィンキルポイント)

*3
人によってはこれが悲鳴ではなく殺戮者のエントリーに聞こえるらしい。なんでやろなぁ




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