【完結】地下鉄ぐらし!【ゆっくり実況】   作:兼六園

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5日目昼

 アナスタシア姉貴がめぐねえに酒を取られたゲームの実況プレイ、続きます。

 前回はショッピングモールことリバーシティ・トロンに到着したところで終わりましたね。今回は上を目指しつつ物資を回収しましょう。

 

 戻すよう言われた酒は戻……す振りをして他の物資に紛れ込ませておきます。……はっはっは、バレなきゃええねん(酒クズ)

 

 そいだば上に向かいます。五階にある寝具や電子機器から大量のクラフト素材を確保しつつ、ついでにスタッフの宿直室に籠城しているドスケベガーターベルト姉貴も回収しましょう。

 

 途中の階にある女性向けの服屋の近くを通るとほぼ確定でお着替えイベントが挟まりますが、これはRTAではないので発生したら等速で拝みましょう。視聴者のホモたちもアナスタシア姉貴のファッションショー見たいだルルォオン!?!? 

 

 

 ──ヨシ!(ロシア猫)

 

 三階の女性服コーナー、五人の女、何も起きない筈がなく……。*1

 

 五人中四人(アナスタシア姉貴以外)がもう完全にアナスタシア姉貴を着せ替え人形としてターゲットロックしてますね……四人に勝てるわけ無いだろ!*2

 

 ……下手に抵抗したらマジで骨を砕いてしまうので大人しく渡された服に着替えましょう。先ずはくるみ姉貴に渡された服をば。

 

 ──ワイシャツにスーツ、スラックス、ネクタイ、黒革のグローブ……バゼットさんかな? って感じのイケメン女子が完成しました。

 

 ちょっと胸元がキツいですね……。いやこれマジでキツいってなんかギチギチ言ってんもん。そんなわけで1つ上のサイズに着替え直し。

 銀髪を後ろで纏めて肩から前に出して垂らすとイケメン度爆増ですねクォレハ……。

 

 とはいえアナスタシア姉貴はこう畏まった格好をするのは得意ではないようですね。まあモスクワの大地をこんな格好で歩いてたら間違いなく死にますからね、砂漠じゃあるまいし。*3

 

 

 ではお次はりーさんの案ですね。……えっなにそのフリフリは……? 

 

 ──次の衣装はゴッスゴスのフリッフリな衣装ですね。白と黒のゴスロリ……なんかこのアナスタシア姉貴どっかで見たことありますね……なんでしたっけ、なんかのアニメのキャラ。*4

 

 

 続いてはゆきちゃん。少し考えてから、ゆきちゃんはアナスタシア姉貴に服を渡します。──着ぐるみのパジャマじゃねえか! 

 

 黒猫がモチーフの着ぐるみパジャマを着ましたが、絶妙に可愛いくて似合ってますね。おいコラくるみ姉貴とりーさんなにわろとんねん。遊びでやってんじゃないんだよ!(カミーユ)

 

 

 ……最後はめぐねえ。皆が思いっきり遊んでいたのもあってか、彼女は真面目に選んでくれました。渡された服は……ロングワンピース! 

 

 ──クキキキ……(然り気無くペアルックにしようとするめぐねえのあまりの可愛さに苦悶の表情を浮かべる肉おじゃ)

 

 渡されたロングワンピースに着替えると、銀髪が映えるようにしつつも地味すぎない紺色のワンピースだと分かります。筋肉がありながらもくびれがあり、更には生地を下から押し上げる特大の乙が……でっっっっっか!!!!*5

 

 

 

 ──ヨシ!(テコ入れ猫)

 

 サービスシーンもこのくらいで良いでしょう。このままだとなんの進展も無いまま区切ることになるので、そろそろ五階に向かいます。

 一応着替えた服は全部持って帰ります。ついでに下着も幾つか突っ込んでおきましょう。それでは五階まで倍速。

 

 五階に向かう階段には段ボールが階段状に積まれており、まるで誰かが出入りするためにそう積まれているみたいですね……。

 しかし中にやつらが居ることは音で分かるため、アナスタシア姉貴が率先して段ボールの山を登って奥に滑り込み、四人に撤去してもらいつつやつらの数を減らします。

 

 ティハールの空気を補充してマガジンを確認し……薄暗いのでナイトビジョンを装備して、戦闘開始。暗がりでその場から動かないやつらなんてネズミの的当てより楽勝ですよ。*6

 

 撃って、撃って、撃って……一発外して、残りは命中。マガジンを交換し、空気を補充していると、後ろで段ボールがどかされたのかめぐねえたちが合流してきました。

 

 では曲がり角などに気を付けながら、五階のやつらを掃討。その辺に落ちていた懐中電灯を皆に渡して、光源を確保します。

 

 ──そいだば、クラフト素材を回収しましょう。布! 金属! 木材! って感じでベッドを解体したり、発火装置や爆弾用の素材を電化製品から回収します。どこに収納されてるんだと疑問に思うレベルで詰め込みまくり、数字で言えば3桁を超えた辺りで思い出したかのようにリュックがパンパンになったので終了。

 

 爆弾や火炎瓶、スチールボールは(調子に乗らなければ)作り放題といった具合なので、これで最終日まで持つでしょう。

 ……あっ、そうでしたね。ドスケベガーターベルト姉貴ことみーくんの回収もしなければ。五階の奥にある宿直室へいざ鎌倉。

 

 

 宿直室の扉をノックして呼び掛けます。

 雪だるまつくーろー! ドアをデトロ! 開けロイト市警だ!(異物混入)

 

 ──はい、警戒しながら中から扉が開けられたところで今回はここまで。次回、生存者追加&脱出。お楽しみに────って、なんでここにドッグミートが!?(くぅ疲)

 

 

 

 

 

 ──更衣室のカーテンがシャッと開け放たれ、着替え終えたアナスタシアが姿を現す。全員から1着ずつ渡され渋々ファッションショーを開催した彼女は、最後に慈が渡した服を着ている。

 

「────」

「……何か、言え」

 

 ──その場にいた四人全員が、息を呑んだ。銀髪が映えるようにと深い紺色のロングワンピースを渡した慈ですら、アナスタシアの格好に、有り体に言えば……完全に見惚れていた。

 

「……ぇ、あっ、いえ……その、似合ってますよ、凄く……似合ってます」

 

 なんとか言葉を絞りだし、慈は国語教師にあるまじき語彙力で彼女を褒めそやす。

 それが本心だと理解して、裾を掴んで左右に揺れたりしてから、慣れない格好にぎこちないながらも──アナスタシアはやや照れ気味に笑みを浮かべると慈に返した。

 

「──ン。私も、嫌い、ではない。メグネーと、お揃い? だし、嬉しい。ね」

「────」

「もう着替える。ので、少し待て」

 

 言いたいことを言い終えて、アナスタシアは更衣室に戻る。着替えを行う衣擦れの音が耳に入るが、慈の思考は停止していた。

 

 着替え終えたアナスタシアが一応と渡された服を全て持ち帰ることとして、普段のセーターとコート、ジーンズを身に纏い、上の階を目指してその手にティハールを握る。

 

「行くぞ」

 

「……おーい、めぐねえー」

「めぐねえだいじょぶ?」

「駄目ね……仕方ないわ、あれは完全に不意打ちだったものね……」

 

「? ……っ? ……ぇぅ、っ……??」

 

 三人の声に無反応のまま頭に疑問符を浮かべている慈の顔は、噴火寸前であるかのように真っ赤に染まっていた。なぜこうまでアナスタシアの一挙一動の全てに心を動かされるのか。

 

 なぜ、こんなにも心拍数が上昇するのか。なぜ──不意に思い出すのは、アナスタシアの青い瞳や、ぎこちなく笑った顔なのか。

 

 ──慈にはわからない。感じたこともない。考えたこともない。そんな経験すらない。

 しかし、こうまで感情を揺れ動かされ、こんなにも心臓がドクドクと脈打つ感覚は──不思議と、嫌いではなかった。

 

 

 

 

 

 ──五階、寝具売り場や電化製品売り場が纏まった階にも、当然の権利のように死人(やつら)が屯していた。空気銃(ティハール)の気の抜けた発砲音が終わり、殆どが片付けられた店内を散策するなか、予備のマットレスや布団を小さく丸めているくるみたちの裏でアナスタシアは目を輝かせた。

 

「……宝の、山、だ。素晴らしい」

「アナさんが変になった」

 

 ゆきの身も蓋もない指摘に苦笑を溢す三人が、寝具をバラして布や木材、金属で分けてリュックに入れている様子を見やる。

 続いて電化製品を分解してパーツを回収しているため、下手な刺激はしないようにしつつ、紐でマットレス等を縛るくるみは声を漏らす。

 

「アナスタシアさんってさあ、何者なんだろうな。いや今さら過ぎるけどさ」

「ただのロシア人……というには、そもそもどうやってあんな武器を持ち込めたのかが不思議なのよね……」

「こっちで買ったとか?」

「それこそどうやって? だろうよ」

 

 やいのやいのと小声で話す生徒三人を余所に、慈は確かに──と内心で同意する。

 アナスタシアには人に武器を向ける躊躇いの無さと、襲い掛かってくるとはいえ死人を撃つ容赦の無さが備わっているのだ。

 

 恐怖心よりも先に、心配になる。あるとき突然居なくなってしまうのでは、とか。突然死んでしまうのでは、とか。

 

 

 荷物が一杯になったのか戻ってきたアナスタシアが、慈の顔を見て首を傾げる。

 両手に持つティハールのレバーを動かしてカシューッと空気をポンプに送る動きに小さく笑みを作り、慈はかぶりを振った。

 

「──ンン?」

「どうしました?」

「あっち、から……音」

「えっ……しました?」

地下鉄(メトロ)、を歩く、ネズミの。足音? より、分かりやすい。ぞ」

 

 いやあそれは……と呟き、先導するアナスタシアの後ろを四人が歩く。

 店内のスタッフが使うのだろう宿直室の扉には避難所と書かれた紙が貼られていた。

 

「……誰か、居る、か?」

 

 トントン、と曲げた指で扉を叩きながらそう問い掛けるアナスタシア。

 その言葉に反応した室内の何者かが、バリケードらしい何かをどかし始めた。数歩下がった全員の中から代表で──アナスタシアがティハールではなくリボルバーを構える。

 

「──だ、誰……ですか」

「……人間、だな?」

「えっ……外国人……?」

 

 僅かに開けた扉の隙間から、パールホワイトの髪をショートヘアーにしている少女が外に顔を出す。ロシア人のアナスタシアに驚いた様子で目を見開き──足元からするりと抜け出してきた何かが突如としてアナスタシアに駆け寄った。

 

「っ! こら、太郎丸!」

「ン。……ドッグミート?」

「──なんて?」

 

 それは、前日出会い警察署で共に戦った闘犬──もといジャーマンシェパードのドッグミートだった。()()()太郎丸と呼ばれている犬に()()()ドッグミートと声をかけたアナスタシアへと、代表してくるみがすっとんきょうな声を出した。

 

「えっ、ちょっ──今なんて?」

「ここ、に、住んでいた……のか」

「アナスタシアさん? ちょっと?」

 

 わん、と答えるように鳴いたドッグミート、或いは太郎丸。どういうわけか二つの名を持つことになった犬は、偶然にも二人の少女と、アナスタシアを引き合わせた。

 

「ごめんアナスタシアさん、さっきこの犬のことなんつった?」

「? ──ドッグミート、だが」

犬肉(ドッグミート)ってなに!?」

 

「……貴女たち誰なんですか……」

「ねえ美紀、もう話終わった?」

 

「ドッグミート、って、駄目?」

「駄目は駄目でも……倫理的な意味でさ」

「リンリ?」

「急にとぼけるのやめろ」

 

「あの、貴女たち誰……」

 

 扉を開け放って、白髪の少女の後ろから茶髪の少女が現れる。くるみとアナスタシアはドッグミートのセンス云々で話がこじれ、少女二人は着いていけずに困惑する。

 

「あの……一旦落ち着きませんか?」

 

 混沌を極めた五階の一角で、彼女たちが落ち着くのに数分を要したのはまた別の話。

*1
これの元ネタ知ってる人少なそう。金カム(ラッコ鍋)じゃ無いよ

*2
※勝てます

*3
マスターキートンで言ってたやつ

*4
水銀燈でしょ

*5
ファンアートの描きどころさん!?(強欲の壺)

*6
メトロシリーズには子供のぬいぐるみを取り返すべく、ネズミを使った的当てに挑むカルマ上昇用のイベントがある




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