太郎丸が凶悪な進化を遂げていたゲームの実況プレイ、続きます。
柴犬がジャーマンシェパードになってるのはいったい……まあそれは良いんですよ。
問題はここから。五階でドスケベ……みーくんと合流すると、二階にその時の生存者×5体分のやつらが発生します。ゆきちゃん・くるみ姉貴・りーさん・めぐねえ・アナスタシア姉貴・みーくん・K・
これはイベント戦のようなものなので、しっかりステルス行動したり音で誘導しながら移動すれば、避けること自体は容易です。
これはもう勝ったな風呂入ってパインサラダ食べてから田んぼの様子見てくるわ。*1
帰るまでも作業だし倍速で飛ばしてええやろ! 勝ったなガハハ──なんで等速に戻す必要があるんですか(予定調和)
……あれー、おかしいね二階にポップする敵の数が40体を超えてるね。
ねえM
なるほどね。ねえハドラー、なんでそれを先に教えてくれなかったの? ハドラー? ちょっと既読無視しないでハドラー?
──やってやろうじゃねかよこの野郎!*3
なんか50体くらい居るけどアナスタシア姉貴に勝てると思ってんのかお前オイ!
急遽リュックのクラフト素材を引っ張り出して、パイプと火薬と導火線をあれやこれやして少々危うい即席パイプ爆弾を2つ、続けて警察署で解体したトラップから回収したガソリンと布で火炎瓶を更に2つ作成します。*4
三階から二階に降りたあとに二階から一階へ降りるには、最短ルートは止まっているエスカレーターを下ることです。
しかしエスカレーターの前にはやつらがひしめいているため、そのまま行くとピクミンに群がられたチャッピーみたいな末路を辿ります。
……ここに五階に落ちていた空の酒瓶があるじゃろ? これを
二階奥の店にぞろぞろと向かったやつらの群れを見つつ、全員で一直線にエスカレーターの片方を下って行きます。
この数ではどう頑張っても後ろの数体が振り返って気付き、それにつられて奥に向かった連中も気付いて戻ってくるため──2つの火炎瓶の布に火を点けて、両方ともぶん投げましょう。
手前に落ちて液体が散らばり文字通りのファイヤーウォールとなった火炎瓶のガソリンに引火して、手前の数体が燃え上がり、更に奥のやつらへと燃え広がって行きます。
──乾いた死体は良く燃えるねえ!(VB)
めぐねえたちに若干引かれているような気もしますが、こいつらより狂暴なミュータントを相手にしてた身としては基本戦略なので……。*5
あとは殿を勤めてやつらを引き付けつつ全員を外に逃がします。わざと導火線を長くしたパイプ爆弾2つに点火して群れの中に投げ込み、手前のやつらには贅沢にリボルバーを発砲。
3発の弾丸はそれぞれ3体の片足を千切るように破壊して────いやちょい待て威力高くないか…………あっ、そっかあ。*6
検証不足でしたが、どうやらメトロの武器で現代の弾薬を使うと威力が上がるみたいですね。そりゃ調整でやつらの数増やすよ、ヘッドショットしたら後ろの敵にも貫通しますよねこれ。
──まあ、ヨシ!(脳死猫)
投げたパイプ爆弾は長い導火線により10秒後に爆発しますので、早いところ脱出します。
──アナスタシア姉貴が入口から出た直後に二階で爆発し、遅れてバッテリー内蔵型のスプリンクラーが作動して水が撒かれました。
これで火炎瓶による被害は収まります。モールのスプリンクラーがバッテリー内蔵型なのを知っていたから、遠慮無く投げたんですね。
持って来ることができた荷物は全てミニクーパーの後ろと軽トラの荷台に乗せ終わっていたので、ついでにみーくんとKと
そいだばショッピングモールから脱出した所で今回はここまで。
次回は7日目のラッシュに備えて防衛戦を築き上げるんだ! します。ではまた。
──二階と一階を繋ぐエスカレーター近くの広場に、信じられない光景が広がっていた。
10人や20人すら優に超える数の
「どうするんですか……?」
「──ンン。策は、ある」
空の酒瓶と一緒に、逆になみなみと液体が注がれて先端に布が詰められた瓶と、中に火薬が詰められダクトテープで蓋をされた爆弾を取り出してアナスタシアは構える。
「向こう、に、誘導する。反対の、エスカレーター、から行け。私が、足止め──」
──するっ! と言って空の酒瓶を思い切り放り投げる。パリンと割れて、静かなショッピングモールに音が響き渡ると、屯しているやつらはぞろぞろと移動を始める。
「──ン」
背中を向けたのを好機と見て、アナスタシアがハンドサインで『行け』と合図する。
衣服やマットレス、毛布を担ぎながらの移動で腰を屈めるのは無理があり、急いで動けば音も鳴る。数人にバレるのを折り込み済みのアナスタシアが、手に持った火炎瓶にライターで点火すると、やつらの群れの手前に2つを投げた。
燃える液体が広がり、さしもの
──驚く感情が残っているのか、と脳裏で驚愕の言葉を独りごつアナスタシアだが、落ち着いてパイプに繋がる導火線へと続けて火を点けると群れに投げ込み、炎に怯みながらもこちらに向かってくる数人の足にリボルバーを向けた。
警察署から回収した正規の弾薬を込めたリボルバーで戦闘の足を止めようと発砲し──想定外の衝撃に手首が痺れた。
「っ、ヌ──!」
──地下鉄の粗悪品とは質が違うのか……! と判断しながらも、更に2発。
片足の膝から下が無くなったやつらが転け、それに引っ掛かって後続も転ぶ。
「……うー、少し痛い、な」
彼女はリボルバーをホルスターに納め、痺れる手首を振りながらエスカレーターを駆け降り、入口の荷物が無いことを確認する。
そして外に出た直後──後方の二階でボンッ! と爆音が炸裂した。
「アナスタシアさん!」
「車に、乗れ!」
荷物を詰め終えたらしい六人と追従していたドッグミートを視界に納め、声を荒らげた慈に向けて手短にそう吠える。
何処に乗れば……と悩んでいた少女──美紀と圭をアナスタシアが持ち上げると、マットレスと毛布を積んだ軽トラの荷台に放り投げた。
「えっちょっと──っ!?」
「きゃっ!」
「ドッグミート、お前も、乗れ」
荷台を叩いて指示をすると、ドッグミートはわんと鳴いて飛び付き器用に乗り込む。
爆音とスプリンクラーの警鐘がショッピングモールから響き、遠くから引き寄せられたやつらが集まり始めている。
逆に言えばここに釘付けに出来るのだと考えながら、全員はその場から離脱した。
「……なんか、壮絶だったね」
「ふふ、まだ心臓がバクバクしてるよ美紀」
「私も。太郎丸も?」
荷台に座り、ショッピングモール──リバーシティ・トロンが遠ざかる様子を見ながら、美紀と圭はそんな会話を交える。
何故か今現在トラックを運転している外国人にドッグミートと呼ばれている犬、太郎丸に声を掛けると、疲れたようにわふ、と返す。
──きっと、自分から出ていくことはなかったのだろうな、と考えて、美紀は背中のマットレスに体重を預ける。
「……ね、圭」
「ん~?」
「この先生きていて良いことあると思う?」
「どうかなあ。少なくとも……あそこに閉じ籠って腐っていくよりは、よっぽど──人間らしく生きられるんじゃない?」
「──そっか」
あっけらかんとそう答える圭に、美紀は小さく笑う。──人間らしく生きられる。今この世界で重要なのは、案外その程度のことなのかもしれない、等と……頭の中でぼんやりと考えながら。
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