灰燼~アラミゴの風~   作:みずき

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修正していないので後で修正するかもです。
位置的にはグリダニア南部森林です。


再会

 早めの昼食を終えた俺は南の森に続く道に向かった。このままグリダニアに入っても良かったのだが、チョコボ留め人から受け取ったモノを確認しなくてはならない。さすがにあの集落から西側に行くと人目についてしまう。かといって中央の森に入るのもリスクが高い。あの辺りは道幅もあり、行き交う人が多すぎる。

 

 俺は人を避けるようにして南の森に向かった。南側は西より更に森が深い。うっそうと茂る木々と日陰でも育つ草が森を覆っているのだ。俺は近くの岩場に急いだ。森の中では視界が悪すぎる。この近くにはちょうど岩場があり、高台になっているのだ。そこには普通、用がないから誰も近づかない。

 

 周囲を見回してから、俺は灰色の岩をよじ登った。こんな時に尻尾があれば、バランスを取って飛び乗ることも出来るのだが……。でもまあ、この格好で飛び跳ねていたら見咎められるかも知れない。何とか岩をよじ登って辺りを見ると、通りすがりの男が笑って手を振ってきた。危ない。見られていたらしい。俺が手を振り返すと、男は満足した顔をして森の向こうに消えた。

 

 大きな岩の上で、俺は下ろした荷物の中をこっそり覗いた。身体を丸めた格好でカーサが寝ている。寝ているのを邪魔するのは気が引けるが、少しの間くらいは荷物の口を開けておいた方がいい。口を緩めた荷物の傍らに腰を下ろし、俺はポケットにしまいこんだ紙片を取り出した。

 

 小さな文字が並んでいる。普通に見たら意味が判らないだろう。俺は荷物の中から薄い木の板を取り出した。暗号の解読表だ。殆ど覚えているのだが、間違いがあってはならない。解読表と照らし合わせながら紙片に書かれた文字を読む。

 

 そこには今のグリダニアの情勢が書かれていた。やはりアラミゴは警戒されているようだ。そのため、何度か派兵して内情を探っている、とある。ふーん、と口の中で呟いてから、俺はその先を読んだ。ここまでは大体、予想通りだ。

 

 グリダニアの兵を率いている将軍はかなりの切れ者だと書いてある。どうやらグリダニアに入り込んでいる密偵は何かの方法で軍に近づいたのだろう。もしかしたら内部に侵入しているのかも知れない。無茶なことを、と心の中でだけ言ってみる。

 

 密偵の仕事は各地の情勢などを探ることではある。が、アラミゴ魔獣軍団に所属する兵がそこまでしたところで、見返りは少ない。むしろ自分の身の安全を守るのが最優先にされるべきなのだ。下手に密偵だとバレてしまったら自分の身だけでなく、アラミゴと他国の軋轢が酷くなるだけだ。

 

 でもまあ、コイツなら大丈夫か、と俺はため息を吐いた。やり取りをしたチョコボ留め人はただの仲介役だ。実際にこの密書を送ってきた奴は昔からの顔なじみだ。俺の先輩にあたる男で、頭は切れるし下手はうたない。

 

 そんな男がここまでするということはかなり状況が悪いのかも知れない。ひょっとしたらグリダニアの中でも色々と揉めているのではないだろうか。民の全てが軍のやることに好感を持っている訳ではないだろう。反対する者も少なからずいるということではないだろうか。

 

 まあ、情報から予測するのは俺の仕事じゃない。俺は紙片と解読表を荷物の箱にしまい込んだ。その代わりに今度は端に赤い印のついた別の紙片を取り出す。それをポケットにねじ込んで、俺は荷物の口を閉じた。カーサは眠っているからもう少しくらいならこのまま移動しても大丈夫だ。

 

 岩からゆっくりと降りる。周囲を確認したが、多少は野獣はいるが襲ってこない大人しいやつだけだ。でも先に行くと面倒なのがいる。俺は出来るだけ道なりに歩き始めた。人通りがそれなりにあるためか、道には草は生えていない。それに東の森林で見かけた妙な看板もない。アラミゴに通じる森にしか設置されていないのだろう。

 

 それにしてもこの森は深くて涼しい。暑い時期でも木陰に入るとそれなりに涼しいものだが、大きいためか黒衣森は常に冷涼な空気に満たされている。歩きやすいし、休む場所もあって過ごしやすい。仕事じゃなければ悠々自適に暮らしたくなるところだ。

 

 だがそれ故に精霊の怒りとやらがどんなものか判らなくて怖い。だから憧れはあるものの、グリダニアで暮らしたいとは思えない。それに俺は流れる部族だ。一所に定着してしまうというのが考えにくい。アラミゴ魔獣軍団に属しているのも、仕事が仕事なだけに放浪生活のようなことが出来るからだ。

 

 通りすがりの人々に挨拶をしながら、俺は通る種族などをチェックしていた。エレゼンのフォレスターが圧倒的に多い。特に多いのは老人だ。子供はグリダニアの中で過ごしているのか、それとも都市の近くにしか出ていないのか。それに前は若い民もかなり見かけたのに、今は少ない。あとは女の比率が高くなっている。

 

 休憩所や集落で仕事に従事している者は別として、道を行く者の年齢に偏りがあるのは妙だ。やはり密書にあった通り、グリダニアが本格的に何かの準備をしているとも思える。だとしたら出来るだけ早く戻って報告する必要もあるだろう。

 

 仕方ない。急ぐとするか。俺は近場の集落に走った。少し目立ってしまうだろうが、やむを得ない。この分なら夜が更ける前に辿り着けるだろう。カーサに乗ればすぐなのだが、そんなことが出来るのなら、一気に森の西側にある酒場に向かっている。

 

 俺の目的地はここから西にある寂れた酒場だ。森の西側から中央の森に抜けようと思っているのだが、その前に酒場に寄ることにしているのだ。2枚目の紙片はそこで取り交わすことになっている。寂れた酒場だが、情報屋もいるので条件次第では情報も売ってもらえる。もちろん俺はこの姿だからその手は使えないが。

 

 急いで走っているうちに俺はいつの間にか道から少し逸れてしまっていた。そのことに気付いたのは、大型の植物を見かけた時だった。まずい、あいつは植物のくせにつぶてを吐くという厄介な野獣なのだ。俺は慌てて飛び離れたが、あれは離れてもつぶてを飛ばして攻撃する、という嫌な性質をしている。食らうとかなり痛いし、荷物に当たって袋が破れたら大変だ。

 

 仕方ない。倒すしかない。俺は背中に担いでいた弓を取ろうとした。その直後、右手から鋭い音を立てて矢が飛んできた。誰かが離れたところからこちらを見ていたらしい。慌てて俺はそっちを向いて……。

 

 やばい。何でこんなところでロージアンと会うんだよ!

 

 歩いてきたロージアンは昨日は木こりの格好だったのだが、兵装していた。弓兵だからなのだろう。軽装備ではあるが、しっかり防具は着けている。しかも手にしている弓はけっこうな強さだということは見れば判る。

 

 あー、しくった。そう思いつつも俺は半ば諦めていた。ここで逃げたら余計に怪しまれるし、何しろロージアンの方にも事情があったのだ。いきなり捕まるということはないだろう。現にロージアンはのんびりと歩いてきた。

 

「大丈夫ですか?」

 

 どう返せばいいのか。ローブの下からこっそりロージアンを見ると、含み笑いをしているのが判った。くそ、完全にバレてる。しかも判っててあえて初対面の振りをしているらしい。俺は咄嗟に周囲を見た。いつの間にか人が増えている。集落に近いためだろう。木こりだけでなく、狩りをしている者もいる。

 

「ありがとう。たすか……」

 

 助かりました、と言いかけて俺は口を噤んだ。面白そうにロージアンがこっちを見ているのが判る。内心、舌打ちをして俺は開き直った。

 

「助かったよ! おにいちゃん!」

 

 俺が子供の口調でそう言った途端、ロージアンが吹き出した。




たまには野獣を出してみたりしました。
この時期にいたのか……微妙ですが。

長々と続けてもアレなので畳む方向に行きたいのですが、見通しが立ちません。
プロット切らないので……。
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