灰燼~アラミゴの風~ 作:みずき
当時は多分、ベロジナ川が国境っぽかったという話だったと思います。
デカい戦争前ではあるのでその辺りはイージーだったのかなー?
などと、妄想して書いてます。
実際には通行料と称してけっこーな額をぼった……もといw 取っていたようなので、国境には警備みたいのがいたのではと思ってます。
この辺の森はアラミゴ領なのか、それともグリダニア領なのか判らない感じがある。一応、国境を隔てる目印はベロジナ川と言われてはいる。だがアラミゴの民もベロジナ川の上流では西岸で仕事もしているし、逆にこの若いエレゼンのように黒衣森から来る者もある。
都市国家グリダニア。ティノルカ地方に位置する国だ。そこに暮らす主な民はエレゼンとヒューランだという。幻術という魔法が発達しており、広大な森のおかげでなのか、豊かな国らしい。
グリダニアの建国のきっかけとなったのは、黒衣森に元々暮らしていたイクサル族がうっかり欲を出して活動範囲を広げようとしたことにある。イクサル族は黒衣森の大精霊の怒りを買い、大渓谷ゼルファトルへと追いやられた。
その後釜に座ったのが地下で都市を築いていた人々だった。元はゲルモラという地下の都市国家の民が黒衣森に移り住んだ。そしてヒューラン族に追いやられた者たちが南方の黒衣森に移動し、グリダニアが建国されたのだ。
アラミゴも第六霊災の後に建国されたが、グリダニアは最近建国された若い国だ。……とはいっても、二十代の俺よりは断然、年季が入ってる訳だが。何はともあれ、グリダニアはアラミゴとは違い、森や水といった資源に恵まれた豊かな地だ。
黒衣森に守られるような形になっているグリダニアでは、木工細工や木こりを生業とする者が多い。森の大精霊を怒らせなければ安全に移動も出来るという。だが森の奥深くには野獣や魔獣もいる。それらと戦う術を持つ者はいるだろうが、木こりたちも常に兵に守ってもらう、という訳にはいかないだろう。だからこんな森の外れまで来るような者は滅多にいないのだ。
「こんなところで迷子だって? もしかしてもの凄い方向音痴なのか?」
俺は思わず苦笑してしまった。すると男がやっと緊張が解けたのか、つられたように苦笑いする。
「夢中で切っていたら帰り道が判らなくなってしまいましてね。いや、我ながらうっかりしすぎました」
どんなうっかりだよ、と俺は思わず笑ってしまった。そうですね、と笑った男が背負っていた籠を下ろして中が見えるように傾ける。なるほど、籠いっぱいに原木が詰まっている。それを見て俺は納得して頷いた。こんなに集めるためにはかなりの距離を歩いたに違いない。
そうだ、という顔をした職人のオヤジが笑顔で言う。
「ぺこねこさん。どうせなら道のわかるところまで送ってやっちゃどうかね?」
「は? まさかカーサに相乗りさせろって?」
確かにカーサはグリフィンの中でも大きい方だ。メスだからというのもあるが、他の魔獣軍団の騎獣より一回りは大きく逞しい。だから二人乗っても問題なく飛べるのは判っている。だが男には俺のカーサに跨がって欲しくない。
これまで相乗りはしたことが数回ほどある。子供だったり、女だったりしたから俺も頼まれるままに黙って乗せてやったのだ。だが今回は若い男だ。当然断って……。
俺はそんなことを考えながら何気なく肩に乗るカーサを見た。……あ、駄目だ。カーサは嬉しそうに俺の肩で飛び跳ね始めた。言葉を完全に理解することは出来ないものの、カーサはかなり勘が良い。だからこっちの話を何となくは察したのだろう。
それにこのはしゃぎっぷり。こうなるともう、この男を相乗りさせないと逆にカーサが拗ねるのは間違いない。
「仕方ねえなあ。乗せてってやるよ」
俺は観念してため息を吐いた。すると男が驚いたような顔になる。ん? もしかして俺、変なこと言ったのか?
「あの、それ、グリフィンですよね?」
「ああ、そうだが?」
男が指差したのは俺の肩に乗っているカーサだ。何を当たり前のことを訊いてるんだ、と思ってから俺は男の質問の意味を理解した。
グリダニアにはグリフィンはいない。長い距離を移動する時には馬に似た鳥、チョコボと言われるものに乗るのが普通なのだ。交易なども複数のチョコボに引かせた大型の荷車を使う。そのことに気付いて俺は頭をかいた。
「いや、まあ、ほら。黒衣森の道が判るところまでだろ? 人目につくような真似はしねえよ。大騒ぎになりそうだからな」
グリダニアの民は今のところはアラミゴには危害を加えようとは思っていないだろう。が、アラミゴ側の動きは伝わってはいるはずだ。不穏な動きがある程度のことは判っているだろう。それが判っていて、アラミゴの兵を易々と見逃すとは思えない。
「ま、最悪、人がいたらカーサから降りるさ。それで文句ないだろ?」
結局、男は俺の案で妥協することにしたようだ。困ったような顔ではあるが頷いた。……おい。乗せてもらう分際でその態度はどうよ?
だが男が警戒するのは仕方ないだろう。俺は文句を言うのを我慢してカーサをつついた。それまではしゃぎ回っていたカーサが肩から降りると同時に元の大きさに戻った。嬉しそうに肩に頭をこすりつけてくるカーサを撫でながら俺は手を出した。
「じゃ、改めてよろしくな。俺はぺこねこだ。あんたは?」
「あ、私はロ……ロージアンといいます」
一瞬の間。ふーん、と俺は返事して握手を交わし、先にカーサに跨がってロージアンを引っ張り上げた。ロージアンがおっかなびっくりという感じで俺の前に乗る。チョコボで慣れているのか、乗り方は判るようだ。なら説明は必要ない。
「凄く大きいですね。それをこんな子供が操るとは……」
ロージアンが感心したようにカーサを撫でる。ちょっと待て。職人のオヤジがいつものことと笑いをかみ殺している。おい!
「子供じゃねえ! 俺は成人してる!」
最初からロージアンがおどおどしていた理由がやっと判った。ロージアンは俺を子供だと思っていたのだ。子供が職人と対等に話し、しかも見知らぬ男にも同じように話し掛けたことに驚いたのだろう。
「えっ!?」
思った通り、ロージアンがびっくりした顔で振り返る。このやろう、と心の中で悪態をついて俺は手綱を引いた。するとカーサが一気に飛び上がって上昇する。ロージアンが悲鳴をあげてカーサにしがみつく。ざまあ、と笑って俺はロージアンを乗せて西に向かった。
ネーミングが苦手なので自動生成を利用していますw
でも種族によって名前の付け方とかあるんですよね……被っても困るし……。
その辺はあんまり考えても仕方ないのでアバウトにしてます。すみません。