灰燼~アラミゴの風~ 作:みずき
前のも修正出来てないところがあるかも……(汗)
朝は早く目が覚めた。鳥の鳴く声が煩かったというのもあるが、窓から入る日差しが妙に熱かったせいもある。どうやら今日は珍しく熱波が来ているらしい。
山がある場所まで戻れば良かったのかも知れないが、ここからはさすがに遠い。それに任務のことを考えるとグリダニアの近くで休むのが一番だと俺は思っていた。が、まさかの熱波。年に数回、来るかどうかのものにあたるとはついてない。
アラミゴの気候は地域によって異なる。山が連なるところは冷涼ではあるが乾ききっている。その東の都がある湖畔の地域は比較的過ごしやすくはあるのだが、戦闘が多いので兵以外の民は西側にしか暮らせない。だがアラミゴの民の多くは兵も兼ねている。だから暮らすところには困らないようだ。
仕方ない。ここを出て川で水浴びでもすれば落ち着くだろう。いや、それ以前に熱波がおさまる可能性の方が高いか。
泊めてくれた調理職人に挨拶と礼を言うと、朝飯を包んでくれた。その代わりに今度、塩を運んでくれと頼まれた。そういえば近頃は塩湖のある東から来る商人が減っている。戦闘地域になる東の都付近では、商人が護衛なしで西に抜けるのは難しい。戦闘地域も危険だが、山岳地帯を抜ける途中で山賊に襲われてしまうのだ。
他の職人からも荷運びの依頼を請けた後、俺は荷物をまとめてこじんまりした集落を出た。職人への荷を運ぶのは任務を終えた後だ。まずは先にグリダニアに行かなければならない。
昨日はしくじったが、今日は大丈夫だろう。カーサに乗ってゆっくりと空を行きながら、俺は周囲を見回した。道から外れているこの辺りには誰もいない。一時期は商人が行き交っていたらしいのだが、今は道ですら商隊を見ることは稀だ。都の付近には多少はいるのだが、それでも少ない。
近くの水場では他にも水浴びをする奴が数人いた。恐らくこれから傭兵として出稼ぎに行くところなのだろう。黙々と身体を水に浸し、涼んでから去って行く。俺はカーサと水場近くに降りてさっさと水浴びをして着替えることにした。幸い、水を浴びた他の奴らは用が済んだとばかりにすぐに消えた。
さてと。気合いを入れて着替えるか。
俺は水浴びをしてから用意しておいた服を荷物から引っ張り出した。元々、俺は兵の割には軽装備だが、革の肩当てとか胸当てを外し、パイクを畳む。……これをやるから特注になるんだよな、俺のパイクは。
畳んだパイクを荷物に突っ込んで背中に弓と矢筒を背負って着替えは終了。尻尾を服に入れて隠すのはけっこうキツいのだが、仕方ない。あとは顔の入れ墨を隠せば完璧だ。用意した染料を顔に塗り、ついでに髪の先を短めに切る。服の上に大きなローブを着て深くフードを被って出来上がりだ。
自分の姿を確認して、俺はよし、と頷いた。これで種族が不明な子供……言ってて嫌になるが……子供に見えるようになった。エレゼンが多いグリダニアでは、俺がこの姿になるとその辺に住んでいる子供だと勘違いしてくれるのだ。……癪だが。
さて、問題は憲兵か。川を越え、憲兵のいる手前でカーサを降りてから俺は木に隠れながら進んだ。朝早く出たのが良かったらしい。サボりの常習犯の憲兵はまだいない。俺はカーサを荷物に忍ばせて、そそくさと門を抜けて黒衣森に入った。
森は昨日とは違って見える。徒歩だというのもあるだろうが、緊張感が違うからだ。俺は大きな荷物を担いでいるが、森で木を切ったり、木の実を拾う民は多い。大体がでかい籠かなにかを担いでいるから疑われない。
それに野獣の類が出た時のために武器を持っているのは普通のことだ。短弓と矢筒がないとむしろ不自然だ。ちなみに俺はこっそり腰に短剣も提げているが、見えなくしてある。
緊張を解すため、俺は深く息を吸って森の中を進んだ。時折、獣の声が遠くに聞こえる。尻尾がないとバランスが悪いのだが、ゆっくり歩く分には問題ない。時々、立ち止まって周囲を確認しながら進んでいくと、昨日、ロージアンを見送った場所に出た。カーサで飛んでいた時には少し距離があると感じたのだが、直線距離で歩くとそれほど遠くないことが判った。
ロージアンはわざと遠回りさせたのだろうか。確かにあの時、森の中から監視の目を感じた。監視していたのはアラミゴの民ではない。アラミゴからつけられていたのなら俺にもすぐに判る。
誰かは知らないが、ロージアンの帰りを待ち構えていたのではないだろうか。だとするとロージアンが遠回りした理由も何となく判る。恐らく俺に道を覚えさせないためだ。
俺は来た道を戻りつつ、周囲を見回した。細い道端にいくつか看板が立ててある。看板には掠れた文字ではあったが、案内のようなものが書いてあった。古いエレゼン文字だが、俺は難なくそれを読み取った。ここは森の東部であり、先に行くとアラミゴがあると書いてある。なるほど、この看板は位置と方角を知らせるもののようだ。
だが前に来た時にはこんなものは立っていなかった。よく見ると古いと感じた看板には所々を乱雑に削り、色がつけてあった。わざわざ古く見えるように作られているのだ。古いと偽らなければならない理由はいくつかある。
新しく立てたものだと判ると面白がって観察する者もいるだろう。看板が都合の悪い者は壊してしまうかも知れない。グリダニアと獣人族との諍いは続いている。イクサル族辺りに見つかってしまったら新しく立てたことで面倒事になる可能性もある。あとは俺みたいな奴に見つかると怪しまれる。大体、そんなところだろうか。
看板の裏側を見てみると、木の棒と板の間に隙間があり、そこには小さな木切れが挟まれていた。俺は素早く回りを見てから、懐から取り出した布きれに挟んでそれを取り上げた。そこには小さな文字でアラミゴの情勢が書いてあった。
どうやらどこも考えることは似ているらしい。俺は苦笑して木切れを元に戻した。これは密偵の伝達用の道具なのだ。こんなものを立てて伝達するということは、複数の密偵が組んで動いているのだろう。そこがアラミゴとは違う。アラミゴの密偵はあくまでも個人で動いている。そもそも誰かと組むような協調性があるなら、パイク兵だって密集させることが出来る。それが出来ないから個人技に頼る戦い方になるのだ。
再び道を進んだ俺は、小川のほとりで一旦休憩することにした。少し時間は経ったが、朝飯を食った方がいいだろう。グリダニアに近づけば変わった物を食べているだけで目についてしまう。俺は小川で水を汲んで近くの倒木に腰掛けた。
周囲には誰の気配もない。ここなら問題ないだろう。俺は荷物からカーサを出してやった。俺の任務中は大人しくしていなければならない、と判っているカーサは木の上で伸びをしたものの、余計な声は立てない。ついでに取り出した布の包みを開くと、焼いた肉とチーズを挟んだパンが現れた。気前が良い調理職人に感謝しつつ、俺は食事をカーサと分けて食べた。
手のひらサイズになれるカーサの餌はそれほど要らない。俺と好みが似ているのか、カーサは焼いた肉でも平気で食べる。ちなみに普通というか、他のグリフィンは生肉を餌にすることが多い。健康維持のため、刻んだ肉に穀物などを混ぜることもあるが、躾けないと食いつかない。
躾ければグリフィンは自力で餌を狩ることも出来るし、何なら飼い主が餌となる獣を狩ればいい。だがそれが出来る飼い主ばかりではない。特に子供には厳しいだろう。
一応、騎獣の餌も支給はされるのだが、餌を与えるタイミングやコツが判らないと大量に消費することになり、支給分では足りなくなるのだ。俺は苦労していた他の魔獣軍団の兵を思い出してつい苦笑してしまった。ああいう時、狩りが得意なサンシーカーは得なのかも知れない。
食事を摂りながら水も飲む。カーサにも飲ませてから、俺は再び水を汲んで水筒をいっぱいにした。きっちり栓をしてから荷物をまとめる。カーサに悪いな、と小声で詫びてから荷物の中にそっと入れる。
黒衣森は木々が並んで陰が多いせいか涼しい。この分なら荷物に入っているカーサも耐えられるだろう。俺は木の位置と看板を確認しながら先を急いだ。伝達のために立てられた看板は一見、道標にしか見えないように作られている。実際、これを見て旅をしたり、採集を行う者もいるのだろう。それを辿れば簡単にグリダニア付近に到着出来るだろう。
だが俺はグリダニアに正面から入るつもりはない。グリダニアの近くにある集落が俺の目的地だ。
この頃のザナラーンは超暑いのではないかと勝手に思っています。
クルザスが温暖なら地軸が今とズレている可能性があるのでは、と。
第七霊災の仕業かもと。
バハムートのアレとダラガブの破片が着弾したところからアラミゴはどうも離れてるぽいし……。
でも前の第六霊災の水だけは残ってるのではー、とか。
痩せた土地ではあるものの、農産業系が全くないとも思えないし……。
まあ、そんな感じで妄想全開ですw