灰燼~アラミゴの風~ 作:みずき
また修正するかもです。
香辛料を調べ始めたのですか、まだ曖昧なので多分書き直します。
話からすると枝葉末節なんですけどねw
食べ物の話が好きなのでついつい……。
ちなみにブラックペッパーは中央ザナラーンで採れます。
グリダニアは森だけでなく、水資源も豊富な都市国家だ。国の入り口には大きな水車があり、中には製粉所が設けられているという。製粉業が盛んだからこそ、パイ生地が作れるのだ。が、グリダニアはバターは全て外からの交易に頼っている。バターが稀少なため、どうしてもぼそぼそとした食感の生地になるのは仕方ないだろう。
バターの代わりに使われているのが、ムントゥイ豆というグリダニア特産の豆の汁だ。どういう理屈かは判らないが、彼らは豆を使ってミルクのようなものを作っている。それをバターの代わりに混ぜているようだ。
だがバターが貴重だというのはグリダニアに限った話ではない。アラミゴでもバターは大事な調味料だ。
バターはチーズより作り方は簡単らしく、アラミゴではよく作られている。が、バターもまた、交易に使われることが多い。一部のパンやシチューには入れることはあるらしいのだが、それほど多くは確保していないらしい。
バターというのは乳から作られる油だという。アラミゴで使われる油の殆どは野獣からとったものだ。だから料理には基本的に野獣の油脂が使われている。肉を串で焼く時には必要ないが、金属を薄く伸ばした大きな板やプライパンで焼く時は油脂が必須らしい。使わないと焦げ付いて大変だと、いつだったか調理職人が言っていた。
ぼんやりとそんなことを思い出しながら、俺は小川の傍で足を止めた。朝飯を食った小川の上流がこの辺りだ。第六霊災は水の霊災だった。そのために川は溢れ、海は荒れ狂い、大陸を飲み込んだ。その名残が黒衣森にも残っている。黒衣森の場合は森の木々の根があったため、多くの水は資源として地中深くに貯水されたらしい。この小さな川も元は地底にあって、水源は地中だ。川を遡っていくと地面から水が湧き出しているところがあるのだ。
豊かな水源、豊かな土地、実りの多い森。
誰もが羨みそうな国ではあるのだが、グリダニアにもやはり頭が痛いこともあるようだ。頭痛の種のひとつが海賊国家リムサ・ロミンサだ。グリダニアも豊かな土地ではあるが、交易も行っている。チーズやバターを始めとする加工品の入手はどうしても他国との交易に頼るしかない。家畜を制限されている状態では仕方ないだろう。
その交易を妨害するのが海賊だ。俺はリムサ・ロミンサまで足を伸ばすことはないが、話は耳に入ってきたことがある。海運の道を開いたリムサ・ロミンサだったが、同時に海賊の恐ろしさを周囲に知らしめることとなった。特に交易中の船舶は狙われやすく、運んでいた交易品をごっそり奪われることもあると聞いたことがある。
水路を使って交易品を運ぶ利点は、簡単にいえば交易品を一度に大量に運べることだ。チョコボに引かせる荷車ではどうしても限界があるのだ。だが水路さえ確保出来れば水運が出来る。
アラミゴでは水運は発達していない。水はなくはない。例えばベロジナ川を使った水運も出来るのではないかと思う。だが実際にはアラミゴはベロジナ川での水運はしていない。今は東側の国とは交易するほどの信頼関係もないから仕方のない話なのだろう。そもそもベロジナ川はグリダニアとの国境になっている。そこで下手に交易を始めるとどんな軋轢が生まれるか知れたものではない。
かといって西側諸国とは離れすぎている。山岳で生きてきたため、海との付き合い方が判らないアラミゴの民にいきなり海運をやれと言っても無理な話だ。かつては海との付き合いもあった祖先もいたのだろうが、昔の話だ。
小川を見つめて俺は考えこんでいた。海賊稼業がどれだけの富を生むのかは知らないが、リムサ・ロミンサが海賊を容認しているのであれば、国力に繋がってはいるのだろう。殺伐とした国だ、と思ってから、俺は思わず苦笑してしまった。少なくとも荒くれ者の集団であるアラミゴの民のセリフではない。
そもそもリムサ・ロミンサとグリダニアの間に位置する砂の都とも呼ばれる都市国家ウルダハは、以前は二つの勢力に分かれて争っていた。その時に発生したゾンビー掃討のためにアラミゴの傭兵が多数派遣されたのだ。アラミゴの民は戦うための民族と思われているに違いない。……間違ってはいないが。
ウルダハにも港はある。海賊はいるが、運良く襲われなかった船はリムサ・ロミンサから着いているだろう。港から陸路でウルダハまで運ぶのはそう難しいことではない。何しろ港からウルダハまでは、砂だらけではあるが比較的平らだ。
ウルダハは昔は別の国だった。都市国家マハから逃げ延びた魔道士たちが都市国家ベラフディアを建国したと言われている。ベラフディアの中で勢力が二分して出来たのが、ウルダハと都市国家シラディハだ。シラディハが治水事業を興し、それが成功して水は確保出来たという。
だが豊かな水資源の奪い合いが起こった。結果的にシラディハは没落し、今では都市国家ウルダハに統一されている。ウルダハは砂の都というだけあって、国の周りが砂だらけ、しかもやたらと暑いのだから都市を出ると暮らすのは難しいだろう。
だが都市から離れた場所には比較的温暖な気候のところがある。その土地を活かした香辛料などの栽培は行われていて、中でも有名な胡椒は交易品として高く取引されている。胡椒は海路を使った交易も行ってはいるだろう。胡椒だけではない。他の香辛料も密かに生産されているはずだ。
香辛料はとても強い武器だ。食品を加工する時に使うと、様々な効果があるという。だが高すぎて一般人が口にするような料理に使われることは皆無に等しい。
そういった経緯から栽培に適したところでは争いが絶えないだろう、ということは想像に難くない。
以前はアラミゴまで足を伸ばすウルダハの商人も多かった。けれど今では割に合わないと考えられているのか、滅多に来なくなってしまった。おかげで都勤めの調理職人に泣きつかれてしまい、俺を含めた密偵がこっそり香辛料を運ぶこともある。本来の仕事とは違うのだが、密輸なのだから密偵と似たようなものか。
川で釣りをしていた釣り人が話し掛けてくる。この辺りに来る者はみな顔なじみで、俺のような新顔は珍しいのだろう。しかも子供に見えるのだ。構いたくなるのかも知れない。
浅いこの川では小物の魚が掛かるようだ。が、釣り人は釣り上げても川に返してしまう。食べないのかと訊くのはまずい気がして、俺は釣り人のすることを見つめていた。すると釣り人の方が説明してくれる。生き物を殺して食べることにも色んな制約があるという。
……植物はいいのかよ。と言いたいところなのだが、彼らの論法だとそれは問題ないのだろう。家畜は駄目で野獣は食べるというのだから、俺には彼らのルールが判らない。だからこういう時は突っ込まず、感心しながら聞いておけば問題ない。
そんなことをしているうちに日が天頂にさしかかる。俺は釣り人に促されて集落に戻った。同じところで食事を摂るらしい釣り人と一緒に戻ると、俺が頼んだパイが焼けたところだった。俺は話を聞かせてくれたお礼に、と釣り人にパイを分けた。不思議そうな顔をされたが、釣り人は礼を言って切り分けたパイを大事そうに皿に入れてテーブルについた。
情報には対価が必要だ。という、俺の正直な感想は言わない方がいいのだろう。
グリダニアに続いてリムサ・ロミンサの説明もちょっと入れました。
海賊が暴れていた海域はリムサ・ロミンサの東とからしいのですが……それだけだと思えないので絡ませてみました。