言い訳をさせて貰うと学校の職場見学や面接の疲れによりモチベーションが低下していました。
また今回から投稿期間を長く開けることがありますのでそこはご容赦下さい。本当に申し訳ございませんでした。
タッタッタッ
───逃げる、逃げる、逃げる。
化け物から少しでも距離をとるために、こんなクソッタレな場所から逃げるために。
なんで、なんでこんなことに…。
今回の仕事は簡単だったはずだ。ただライセン大峡谷に逃げた兎の亜人を捕まえること。若い男と女は奴隷に、子供と老人は使えないため殺す。それが今回、俺ら冒険者が依頼されたことである。
亜人は魔力を持たない、故に人類や魔人からも虐げられ、差別をされてきたのだ。
俺達が考えた作戦は亜人共をライセン大峡谷に追い立てて逃げ道を塞ぎ強行突破しようとしてきたところを1匹ずつ捕まえる。しかもヤツらは追い立てている最中も誰一人攻撃する意志をみせやしねぇ。つまりは俺たちに反抗をするすべがないということ。
後は待てばヤツらは魔物に攻撃されボロボロ、体力の無いものから出口に向かっていき呆気なく依頼は達成、ボロい商売だと思ったものだ。
それが何だ?突如現れた得体もしれない存在により全てが狂った。
俺らは交代で話をしながら警備をしていた。隙だらけだったがそれでも近づいてきたのならば誰か1人位はさすがに分かる筈だ。
しかし奴は俺らの警戒をすり抜け突然陣地の真ん中に現れたのだ。
奴は全体的に不気味な姿をしていた……。薄いグレーの服装をしていた。肩にはどこかの文字?が刻まれていて、逆手に持った妙な形をした剣。そして、眼はギラリとまるで全てを鏖殺するかのような狂気を携えていた。
もちろん俺らは腐ってもベテラン。その時は少しだけビビったが奴に遅れをとるはずがない。……そう思っていたんだ。
自分たちの数すらものともせずにあっという間に沢山の人間が切り捨て捨てられた。俺たちは思ってしまった。「こいつには勝てない」と。
攻撃の予兆が見えなかった。囲んでいたのにいつの間にか倒れていた。俺はたまたま体一人分後ろにいたから避けられた。
───逃げないと、逃げないと、逃げないと。
「う、うわあああああああ!!??」
走った。体が悲鳴をあげても。体力が無くなろうとも。
もしもここで足を止めてしまったら自分はヤツに殺されるだろう。嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ──。
自分以外の人間はどうなったのかは分からない。ただ健常な状態にはなれないだろう。俺たちが陣地を張っていたのはダンジョンの入口と出口の近くだ。モンスターに殺されていても死んでいてもおかしくない。いや今は自分の事だ。ヤツは目撃者は活かしては置けないと追ってくるかもしれない。早く帝国へ帰らなければ……。
自分が奈落へと落ち1ヶ月が経った。
暖かな春の陽射しや色とりどりの花が咲き乱れる野原……は地下のため存在しないがようやく僕達もこの生活に慣れてきたところだ。
あのクソ生命体、でかいだけの木偶の坊、かさじぞうの貯金箱であるサイクロプスをぶっ飛ばしたあとはすぐさまにゃんこ基地に入りワープをし後方基地…現在の僕たちの本拠地へと移動した。
理由はぶっ通しで戦ってくれたねこ達が休息を行うためである。
1回攻略が終わったあとは休みを設ける。それが僕の軍団経営についての一家言であり組織を長く存続させるために必要な事だと自負している。
現在の僕がいるのは1つのにゃんこ基地を改造して作られた司令官専用のにゃんこ基地…通称「同棲部屋」だ。
こんなふざけた名前をしているが10畳程の広さに二階建て、タンスやテレビにコーヒーセーバー、洗濯機に炊飯器、デッカイ机にコピー機にWiFiも飛んでいる。
そのためかは知らんがよくオタねこがゲームをしにやって来たり、マダム・ザ・スモウが部屋を片付けたり夜食を作りに来てくれる…マジでいつもありがとう。
二階で生活、一階で仕事が出来るという優良物件だ。ちなみにねこ達が暮らしているにゃんこ基地は2人1組のルームシェア、一階部分は不慮の出撃に備えるための出撃部屋になっていて二階で過ごすしかない…それでも10畳程の広さはあるが。
「ふいー……疲れたー。」
まずは帰ってきてから同棲部屋に入り二階に階段を使って登り、手を洗った後は一階に設営された仕事場へと向かう。
一階に戻ってくると机の上に置かれた大量の紙束と丁度それを置いていた1匹のねこがが見えた。
モヒカンをつけ、でかい腕が付いた最近あまり出番が無かったネコである。
「あっ、ハジメニャ。」
「おお〜、ご苦労さん。」
ネコは僕の姿を確認するとポンッと音を立てていつもの腕なしモヒカンなしの姿に戻る。まだまだにゃんこ軍団を指揮したての時にふと「可愛くない」って言ってしまったことをまだ気にしているらしい。
「それで、どうだ? 遂に送られて来たのか?」
「ハイにゃ。散らばったねこ達は思い思いに動いてこの世界の地図を書き、デカい国の情報はひと通り集め終わりましたにゃ。中小国と魔族の国はまだまだですがにゃ。
後は資源の調査を任せた”アイツ”の指示を仰ぐ書類も来ていますにゃ。」
僕はオルクス大迷宮に入る前にねこ達に3つの命令を出した。
そのうちの一つがこの世界に存在する国やダンジョンが何処に存在しているか、どのような情勢になっているのかをの調査することだ。
それはどのような歴史を歩み、どのような武器を使い、どの程度の強さを持つのかを知り対策する…それは元の世界でも当たり前のように行ってきたことでもありそれが出来なければ敗北することも珍しくない。
そしてこの報告書は斥候を頼んだねこ達によって様々な他国の文化、歴史、風習を見て感じたことが箇条書きで述べられている。
本当は感じたことも述べて欲しいのだがそこら辺に関しては良くて亜人、悪くて魔物としか認識されないので仕方ない。
「コイツを調べてくれたガマトト探検隊には感謝だな。」
詳細にいえばガマトト探検隊の解雇させて職にあぶれた奴を使って調査をさせていたのだが……仕事は仕事だ。外に帰ったら報酬のマタタビ10個を払わないとな。
魔族と人間の戦争は継続的に続いている。
しかし僕達はその2陣営に搾取され虐げられている亜人を吸収し、人間陣営と魔族陣営、その両方に喧嘩を売るつもり…いわば即席の第3陣営を作るつもりだ。
その他の陣営の情報はいくらあっても困らないし、出来れば相手が行った汚職とか世間にバレて困りそうなものも探って脅しに使いたい。
「ふにゃあ〜ーー……」
「コラコラ、まだもうひと踏ん張りあるんだぞ。しゃんとしろよ副官。」
「ニャー、せめて10分は休もうにゃ。ハジメもこの1ヶ月ずっと移動と戦闘を繰り返していたにゃん。そんなんじゃいずれあちこちガタが来ちゃうにゃーよ?
─── ネコハッカーの様に……」
「── ふん…僕はまだ若いからね。オイランパサランの様なジジイじゃないからどんな不健康な生活をしても大丈夫なんだよ。」
言わせておけばこのネコ。
まぁ心配してくれるのはとっても嬉しい。コイツのおかげで僕はここまで頑張れたのだ。
多分コイツが居なかったらもっと絶望的な運命が待っていただろう……何故か奈落に叩き落とされたりクマのような魔物に左腕を切られるイメージが浮かび上がってくるが。僕疲れているのかな?
後、健康診断に行って血管年齢70歳だったネコハッカーと一緒にするな。
僕はまだ若いし未だに軽い病気以外は発症したことがないわ。
「にゃからニャーが膝の上に乗るのもハジメを休ませるためにゃ。勘違いしにゃいでよね。」
「あぁもうしゃーねーな。後、男のツンデレは一部を除いてキツイからやめろよ。」
ポスンとネコが僕の膝の上に乗ってゴロゴロと喉を鳴らしてくる。
コレはネコなりの愛情表現と撫でて欲しいというサインだ。いつもは勝手にプリンを食べたり両親のエクレアを勝手に食べたりしているがこう見ると結構かわいいし頼みには断れない。少なくとも撫でたりシャンプーしてとねだる位だったらやる事もある。
「ほら報告書見るにゃ。にゃーは膝の上で見るにゃ。」
わーったよ。先ずは1枚目……。
法国はエヒト神と呼ばれる僕達も勝手に呼び寄せ戦わせる邪神(憶測)を信仰する奴らによって国が運営されており異業種やモンスターは悪として教育されている。
また、権力は文字通りエヒト信者に握られており矢面に立っている王様は酷く言うとお飾りという状態だ。
しかも彼らに歯向かう存在は徹底的に潰す絶対的な独裁主義……よくこんなヤツらがのさばっていて国が持っているな。
ヘルシャー帝国では完全な実力主義が取られており、傭兵業が盛んだ。
将軍すらも倒せばその地位を奪えるというのはとても珍しい。これは日本どころか元の世界ですら存在しないくらい稀有な特色だろう。
但し亜人族の奴隷の売買など治安が良いとは決して言えない。
ふむふむ……
「ディストピアかな?」
「異世界にゃから中世レベルの倫理観にゃのは仕方ないと思うにゃ。」
「いやそれでもさぁ。」
見ろよ俺たちが召喚された国を。中から見ても聖教教会が相当政治にくい込んでいると思っていたが外から見ると想像以上だ。報告書ではエヒト神への愚痴や聖教教会へのネガティブキャンペーンをしてしまった者達は書類上では例外無く行方不明として処理されている。
こんな国家が地球にいたらアメリカや中国、それにロシアは確実に殲滅作戦を行うだろう。
彼らだけではない。
僕らももしこんな国があるのならばわんこ軍団に利用をされないようにその国を1回地図から消すこともやぶさかではない。
それに似たようなことも1回やっている。
日本の支配を完了した後に世界が異星人によって支配された未来を救う為に宇宙へと侵略を行い銀河を制することに成功した。
つまりは僕たちはいざとなれば侵略戦争をなんの憂いもなく起こすことが出来るのだ。
まぁそんなことはどうでもいい。ヤツらは魔物や魔族に対しては差別的であるが、それ以外に対しては保守的、コチラが仕掛けなければ表面上は友好的な関係が取れるであろう。
「帝国は……なんつーか暴力で支配する世界とかそんな感じだな。まだマシか……。お前はどう思う?」
「正直に言うとどちらの国も外でのインフラが整ったら真っ先に征服するべきだと思うにゃん。」
意外だ。
コイツはいつでも冷静沈着であり、そしてどんな時でもにゃんこ軍団の勝利を疑わない自信家だ。
しかしそのせいか敵の力量を見誤り勝手に出撃して敗北して帰ってくることもちょくちょくある。お前貴重な統率力を無駄にするな殺すぞ。
危ない危ない。少しだけ殺意が漏れ出ていた。
「珍しいな。いつもは「どうせ取るに足らないから問題にゃいにゃ。さっさと潰しに行くにゃ。」みたいなことしか言わないのに。
でその理由は?」
「ハジメはにゃーをなんにゃと思ってるにゃ!?
………暴力で政治がまかり通るにゃらばそれほど楽にゃ事はにゃいにゃ。
だけどもそんにゃのは仮初の平和……強いヤツらにとっては天国かもしれにゃいけれども弱いやつにとってはどう見えるにゃ。
弱ければ努力して強者に登り詰めればいいとかそんにゃモンは創作物の中だけにゃん。」
「クソ長いわ。もう少し短くして。」
「気に入らにゃいから真っ先に潰したいにゃ。」
「OKわかった。」
フー、最初っからこういってくれたら良かったのに。
うちの軍団は血の気が多いクセに変なところで理屈をコネコネするから困るわ。
そんなくだらない理由を考えて言ったって心の奥に伝わるはずがない。ただ一言、「気に入らない」とか「何かをしたい」って言えばとりあえずは意見は呑むんだけどなあ………なーんて、虐められても何も助けを求めようとしなかった人間が言っても説得力に欠けるか。…よし2つ目。
「んーと?コレはわんこ軍団が存在しているかの調査書か。任せていたやつは誰だっけ?」
「調べさせていたのはネコ忍者にゃ。とりあえずこのダンジョンに入ったら相当な時間戻ってこれにゃいことを見越して身軽で、足が早く、隠密性に優れたねこを募集してこいつに決定したにゃ。」
そーだそーだ。最近忙しすぎてすっかり忘れていた。階層を1つずつ攻略して帰って、攻略して帰ってのまるで社畜のように働いていたからなぁ……。
そう思いながら紙に目を通す。
報告書の文字はもしもの時のためにこの世界の常用語ではなく日本語で書かれている。というか勉強がめんどくさすぎてネコ博士ぐらいしか異世界語を覚える気がないのが現状だ。かくゆう僕も覚える気は全くない。
「えーっと、なになに?」
ふむふむ。とりあえずは居ないことが判明したらしい。
どうやらわんこ城は活気のある場所や有名な観光名所にも存在せず、わんこ系列や赤いブタは魔物以外で1回も見ていないらしい。
ただ時々「王冠を被ったブタ」の話や「体が青い羊」が郊外で出たという噂が出てくるため引き続き調査を続行する。
─────フッスゥー
「コレはほとんどいること確定だよな。」
「ぶっちゃけにゃーもそう思うにゃ。ついにこちらにも侵略してきにゃんね。」
多分王冠を被ったブタはヤツらの大型タンクである「エリザベス2世」だろう。ブタヤロウと呼ばれるわんこ軍団のタンクのご先祖さまでありブタ小屋王国2代目女王として君臨しているとてもやんごとなきお身分なのだ。因みに無菌豚として近日出荷予定らしい。
青色の羊は多分「ウルトラメェメェ」だ。地球を支配しようとした宇宙で生活する生物『スターエイリアン』の1匹である。そして非常に固いバリアを持っていてねこ達の限られた奴らだけが持つ『バリアブレイカー』がなければひたすらに場に残られるとても面倒くさいわんこ軍団の構成員なのだ。
「よーし!これで最後だ。これが終わったらお前にはまたキリキリ働いてもらうから覚悟しろよー。」
「ニャ!?卑怯にゃ!!横暴にゃ!!権力の暴走にゃ!!ニャーたちは最後まで戦うにゃ!!」
「多分戦うのはお前しかいないぞ。」
そして最後のひとつの書類。
まっさらな便箋の真ん中に赤い文字で〈極秘情報〉と書かれた昔のテンプレアニメに出てきそうな封筒をペーパーカッターで開ける。
ペリペリと頭を切り裂くと、中からはポロリと折りたたまれた紙が零れ落ちた。
「さーて、送られてきたのはいい報せか悪い話か……。それは神様のみぞ知るってね。」
えーとなになに。ほうほう…ほうほうほう……ほうほうほうほう
「にゃ?どうしたにゃん?」
────ふっ
「ふはははははははは!!!!でかした!!
喜べネコ。アイツ俺たちの計画の一つである亜人の奴らに接触して恩が売れたらしい。」
「にゃ!にゃにーー!?
さっすが我が軍が誇る超激レアねこにゃ。」
書かれている言葉は長ったらしい説明から始まり、兎の亜人を保護した事、ダンジョンの出入口に陣取っていた軍隊を蹴散らしたこと、倒した軍人や傭兵達は致命傷を避けて攻撃をしたため生きている事が書かれていた。そして最後にこの傭兵たちの処分をどうするかの問いが来てこの報告書は終わっていた。
流石だ。1回1回のコストはほんのり重いがその分速さと多いKB数による仕切り直しによりいい働きをしてくれる。 それに拘束した捕虜の処分に関して許可を求めているのもグッドだ。もしも派遣したのが「戦国武神バサラーズ」の全員の内どいつかだったら捕虜は捕まえない。全員は挽肉として処分されていただろう。
さて、本当にいい報告だ。あとは神さまが来てくれたらピンチになった時も大丈夫なんだが……。宇宙にも過去にもいたのになんで異世界には来てないんだよ舐めてんのか。
「よし!元気が出たわ。」
そうこうしている間にも手紙を書き終えた。はぁ〜、もうマジ無理、ヤダなぁこういう仕事の合間に仕事をするの。
けどなー、元の世界ならまだしもダンジョン攻略の合間にこういう書類仕事もやらないといけないと軍団が動かない可能性も出てくるんだよな〜。まぁ僕が頼んだ仕事だから報告が来たら率先してやらないとという社会人としての基本もあるけどな。
───元の世界に帰ったら休暇を取ろう。さすがにここら辺で休まないといつか過労死する。
「おーい!コレをライセン大峡谷に届けてくれない?」
書き上げた紙を机の上に乗せてとあるねこを呼び出す。
「えっほえっほ。突然呼び出さにゃいで欲しいにゃ。」
「悪い悪い。いつもすまないな。」
パタパタと開けていた窓から来たのはうちの軍団の郵便係であるちびネコノトリだ。主に電波の届かない場所へ報告書や命令を届ける仕事に就いている。主に魔界とか魔界とか強制的にレベル1に戻されるステージとかでの遠征している最中での伝令をしてもらったりしている。
「よし!任せたぞ。コレはかーなーり大事な書類だからな。落としたり取られたりしたらダメだからな。」
「何言っているにゃ!!僕がこんな失敗すると思うかにゃ!?」
「何回もしているから言っているんだよ。」
まぁ時折失敗してもキチンと任務は遂行してくれるからそこら辺に関しては文句は言わない。
「じゃあいってきますにゃ。」
「行ってらっしゃい。気をつけて帰ってこいよ。」
窓から外へ出るとパタパタと浮かび上がり上へと昇っていくちびネコノトリ。しまった。こんな暗いんだからせめて懐中電灯を持たせて行けばよかった。もう言っても遅いが………。
「さてそろそろ行くかーー!!」
「ニャ!?」
ネコを膝からテーブルに動かす。そして椅子から勢いよく立ち上がると一瞬痛みが走りゴキリと背中から音が鳴った。
まぁそんな事は気にせず背をピンッと真っ直ぐにした後は手首をグルグルと回してストレッチ。
ホイ、いっちにーさーんしーいっちにーさーんしー。
よしコレでデスクワーク終わりの運動完了。僕はあんまり侵略する時以外はあまり動かないからせめてこういう時には動いておかないとね。
「よし、これから部隊の編成を行う。編成についてはねこランタン以外は好きにして問題ない。決まったらスピーカーを用意して今回出撃するメンバーを放送してくれ。そしてそいつらにテレポート用のにゃんこ基地に集まるように呼びかけて欲しい。」
「分かったにゃ!!だけどなんでねこランタンにゃ?」
ストレッチの終わりの余韻に浸りながら外に出ると後ろからネコが着いてそう説いた。なんだ?簡単なことだろう。
「あの中は外から見てもとても暗い。なら明かり持ちのねこランタンをチームに入れてちゃんと動けるようにしようと思ったからだ。」
「なるほどにゃー!ハジメは頭いいにゃんね。」
そんな事を話しながら外へ出る。ハジメはひと足早く前線拠点へとワープするネコ基地へと向かうために外を出て、ネコは自分が選んだネコを呼び寄せるために放送基地へと向かうためしばし別れた。外に出ると冷たい空気が体にまとわり付いてくる。体にピッタリと冷気が張り付きかじかむよう寒さを感じさせてくる。もしも正規の手順できたら長い時間は居たくないとおもってしまうだろう。さすがにこんな寒いとコートかカイロが欲しくなってくるな……。
『にゃーにゃーマイクテスマイクテス。司令官のネコにゃ。コレよりオルクス大迷宮最前線への出撃メンバーの発表を行うにゃ。抜擢されたものは速やかにワープ用のネコ基地へ移動するように。』
ジャリジャリと砂とコンクリートによって舗装された道を歩いて約1分。真ん中のうるさく、しかしとても賑やかな地区から少し離れたネコ基地に足を運ぶ。
「着いたか……。」
ココだけは自分があまり好きではない場所だ。元々あったダンジョンの空間の端っこにポツンと建っている。戦略の都合上周りは壁と鉄条網で囲われていて、出入口は1つしかなく外からでしか鍵をかけることが出来ない鉄の扉によって固く閉ざされている。
何度行ってもあまり慣れない。なんて言うか……とても暗くて幽霊がでそうでとても嫌なのだ。
外側に付けられた閂を外し中に踏み入れる。……戦略上の理由とはいえこんなガバガバセキリティでいいのだろうか。
そこの庭で約5分待っているとジャリジャリと歩く音を鳴らして来た。
「呼び寄せてきましたにゃ。これでいつでも出撃できますにゃ。」
「よろしい。これより第60回オルクス大迷宮攻略を始める。」
揃ったのはネコが選定した選ばれた9匹のネコ。準備は万端、アイテムは無し、にゃんコンボも行ける。さて、見せてもらうぜ。あの部屋の中を!!後、もし仲間になるのだったら出来れば新しくて使える仲間で頼む!!
ムッ、ちびネコノトリが来たでござる。いつもご苦労さまでござるな。ほれ、狩った魔物の肉でござる。普通の人間には毒でござりて沢山狩っても食べられなくて溜まっていく一方で困っていたのでござる。食べるでござるか?あっ、食べない?……まぁいいでござる。ハジメ殿は元気でござるか?食事はきちんととっているかな?あっ、忙しいから早く取れと。申し訳ないでござる。どれどれ……おぉ待機命令ござるか。
後は捕虜については……あぁ殺すなと。そして出来れば何も言わないことを約束して解放しろでござるか。甘いでござるなぁ。口約束なんてないのと同義でござるのに。ぶち殺しておいた方が楽なのに……まぁこんな甘い司令だからこそ我らは忠誠を誓っているのだが。
おぉちょうど良かった。後で捕虜と話したいから準備しておいてくれないか?大変でおろうが教えたある程度の可動域を残したまま捕縛してくれるとよしでござる。
フゥ〜。誰かに命令を出すのは疲れるでござる。ハジメ殿は早く来て欲しいでござるな。あぁ後はちびネコノトリ、言伝を頼むでござる。メッセージは『オルクス大迷宮から出たら食料沢山持ってきて頼むから』でござる。
流石にそこら辺の獣や魚だけでは沢山いる難民の食事は賄えないでござるからな。拙者はエネルギーコアから栄養補給されてるから食べなくても大丈夫でござるがな!!
はぁ〜、早く帰りたいでござる。くっそ拙者もダンジョンでハジメ殿や美人と共にキャッキャッうふふの攻略生活をしたかった。にゃんこ軍団の顔面偏差値は普通に高いでござるからなあ。あぁ済まない。言伝はこれで終わりでござる。では任せましたぞ!!
よし、とりあえず願望は伝えたぞ。ふへ〜、これが終わったら……また食料を取ってこないと。保護した亜人は極度の平和主義者でござるからなぁ……まさか魚を捕るために釣りをしても逃がそうとするとは。パンや米の方が良かっただろうか。
まぁいい。とりあえずは捕虜の解放、口止めもしないとでござるな。
──────んあ、どうしたでござるか?飯の時間はまだでござるよ。えっなに?なんか見たことない魔物がこっちに来ている?
恐竜の亜種でござるか?トリケラトプスとかそこら辺……あぁまず恐竜を知らないでござるか。それで見た目は……胴体が無い、目が緑色でまるでピカピカに磨いた石のように綺麗な体をしているでござると。そしてしっぽの部分がピントたってまるで人工物を思わせると。………えっ?
「ココニ助ケテクレタ恩人ガ居ルト?」
「死にそうなところを助けてくださいましてね。おかげで娘や他の者たちが死ななくて済みました。」
「ホオウ、是非オ見ミエニナリタイネ。」
「今なら確か……この辺りにいらっしゃいますよ。あっ、いたいた!!お客様ですよ。」
えっ………えっ?
【ハジメ】次話でようやくヒロインと会う【遅い】