「…頭、痛い」
だるさと吐き気、頭に響く鈍痛で目を覚まし俺は寝ていたソファーからパン一の体を起こした。
まだ、酔い酔いが残っているのだろうか?体が軽く感じる。
ソファーの周りと机の上には空になった皿、酒瓶、缶ビールのつぶれた残骸。
なんでこんなことになってんだ?
現状の原因を思い出すためにまだ痛む頭を使いながら記憶を探る。
確か、次の日は休みという事で好きな映画のDVDをレンタルして。
仕込んでおいた燻製や、牛肉やらをつまみにと思い料理して。
いくつかの酒も明けたんだけれども、一人で飲むのも寂しいからって友達呼んで。
馬鹿みたいにはしゃいで…だめだこっから思い出せん。
完全に飲みすぎで記憶が飛んでる。
時計に目をやると我が家のデジタル時計は十三時を表示しており少ない休日の半分を寝て過ごしていた現実を表している。
さらには俺が来ていたであろう服。
とりあえずは舌の先にざらつく歯垢と眼がしらについている目糞を気持ち悪く思い洗面所に行くことにした。
次の瞬間驚くとは思わないまま。
★
「なんじゃごりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああ!」
歯を磨き顔を洗い幾分かさっぱりした自分の顔を映す鏡は明らかに自分のものではない何かを映していた。
「…俺は上野灰、正解」
鏡の中の何かも口を動かしている。
だが鏡に映されている顔は慣れ親しんだ釣り目の厳つく老けた顔ではなく若く少々垂れ眼の色の違う両目。
確か、虹彩異色症。
俗にいうオッドアイというもののはず。
「いや、まってまてまて」
慣れ親しんだ剛毛の黒い髪も柔らかく肩まである白いものになっている。
「年齢、二十五歳」
鏡の中の自分も変わらずに同じように口を動かしそれが自分であることを裏付けていた。
ただし。
その見た目は昔から見ていた自分のものではなかった。
「不正解」
鏡の中の自分は明らかに小学校高学年のものだったのだ
★
とりあえず、酒盛りの残骸をかたずけていると見覚えのない茶封筒が一枚机の上に置かれていた。
友人の誰かの忘れものだろうか?
いや、でも宛先は俺の名前になってる。
送り主の所には神と書かれている。
「酒に酔ってふざけすぎたか?」
とりあえず、開けると中には紙が一枚。
ご丁寧に拝啓から始まっている。
「…誰だこれ書いたの?」
今回呼んだ友人全員の顔を思い浮かべる
まあ、いいや。
目を通すとこういうことが書かれていた。
『死んだので転生させました』と。
そうか、死んだのか俺。
「そっか、そっか。俺死んだのか」
死因は、急性アルコール中毒。
昔読んだことのある二次創作のテンプレオリ主の如く死者が一定数超えた記念にと神様から転生特典をもらいライトノベルの世界に転生。
戸籍もあり、家もあり(家族はなし)、生活費は月に一定額口座に振り込まれ(俺の前職の給料の十倍)好きに生きていいと。
ご丁寧に通っている学校なども手紙に記載されていた。
ちなみに転生特典は無限の魔力
「納得できるかボケぇぇぇぇぇぇええええ!」
リビングで怒鳴る。
「はぁ」
ため息をつきもう一度手紙に目を通す。
苗字と名前は前世の通り。
ただ通う学校、住んでいる住所などは前世とは違っていた。
これが本当なら、俺は自堕落に生きていけるらしいが。
都合がよすぎないだろうか?
確かに汚い仕事場に安い給料なんかには愚痴をこぼしていたし、友人はいても彼女なんかはいなかったし転生したいとか楽な人生送りたい
とか思ってはいたけれども
…まあ、いいや。
「とりあえず通う中学校どこよこれ」
二日後に通う中学校を見つけなければ。
あ、その前に服着ないと。