外に出てみればやっぱり慣れ親しんだ町ではなかった。
駒王町って何県だ?
…徳島の慣れ親しんだ、ど田舎ではない。
というかマジここどこ?
ライトノベルの世界に転生ってどこのライトノベルだよ!
いやでも、看板は日本語だし日本であることは確かみたいなんだけれども。
場所がわからないのでズボンのポケットに入っていた自分のスマホで中学校を探す。
スマホには百万以上課金したゲームも性癖がたっぷり詰まっていた画像もすべて消えている。
泣きたい。
サービス開始から今までずっとプレイしてきたのに。
自分のスマホには金時がいない、頼光ママや酒呑童子、茨城童子もいない。
しかもこの世界には仮面ライダーもなければドラクエもないあるのはそのパチモンだけ。
ドラグソボールというドラゴンボールのパチモンすらもあった。
バキもなければ史上最強の弟子もない。
ドラえもんもない。
クレヨンしんちゃんもない。
そもそも、スマホで調べる限り前世で読み漁っていたライトノベルやアニメなどが一切ない。
聖書や古事記、神話関係は普通にあったけどむしろそれ以外がない。
ホントにどこなんだここ。
そんなことを思っているうちに通う中学校についた。
うん、普通の中学校だ。
さて、場所もわかったところで帰るか。
「あ、ワイルドターキーまだ家にあったかなぁ」
バキのとあるキャラに憧れてハマった酒が家にあったか頭を動かす。
……………………飲みきってなければまだ1瓶あったはず。
……あるよな?
この姿で酒なんて買えるはずもないので残っていて欲しいものなんだけれども。
……そういえば駒王町ってなんか聞いたことあるな。
なんのラノベだったかなぁ。
確かヒロインが巨乳だったことは思い出せるんだけど。
そもそも今は原作前なのかすらわからん。
あー、面倒くさぁ
帰って酒飲も、そうしよう。
「っあ」
ため息をつきながら歩いたせいか目の前にあった石に躓き体が前のめりに倒れ「大丈夫にょ?」
………………………………なかった。
☆
筋肉だった。それはもう圧倒的な、筋肉だった
確かに自分の体が中学生にしては小柄だろう小学生に間違われても仕方ない位ではある。
だが、それでも体重は30キロ前半のこの体は軽くないはずだ。
それを軽く持ち上げる巨木を、思わせるような圧倒的安定感を感じさせるその腕。
そして、只者ではないことを感じさせるその存在感。
「大丈夫にょ?」
破壊力抜群の語尾。
「あっはい、どうもです」
一時的に全く機能しなくなった俺の脳みそ。
倒れそうになった俺の体をひょいと抱き上げきちんと立たせてくれる猫耳をつけたおねえ……………………お姉さん?
「怪我は無いにょ?」
この人をお姉さん扱いすると俺の前世含めての価値観が崩壊する気がする。
この人はこの人だなそういう事にしよう。
「あっはい、無いです」
自動的に無難かつ失礼のないように動く口。ナイスだ。
この人に殴られれば俺は終わる。
それだけは本能で分かった。
「それは良かったにょ、きちんと前を見ないと危ないにょ。僕ちゃん」
恐らくだが俺の頭なんざ軽く握りつぶせるであろう大きな手で優しく撫でてくる。
いやしかし、撫でられてる頭からその体に詰まっているであろう筋肉の圧からこの人には逆らわないでおけと本能が訴えかけてきた。
マジで誰だこの人!
「あっはい、どうもご迷惑お掛けしました」
こんな存在感のある人物絶対物語の主要人物だよな?覚えてねぇぞこんな人!
「じゃ、ミルたんはもう行くにょ。気をつけるにょ僕ちゃん」
にっこりと笑ってバイバイと手を振るミルたんという人。
優しい人だな。
え、てかミルたん?
あの見た目で?
てかあの筋肉でなんで猫耳?
いやよく思い出せば男物の服じゃ無いやん。
え?あんな筋肉でミルたん?
あんな筋肉で、猫耳?
あんな筋肉で、あの服?
てか、胸筋やべぇな。
…………………………胸筋て胸だよな?
……………………………………あのデカさなら巨乳になるのか?
て事ならヒロインあの人?
マジで?