とある使用人の1日。   作:道央花子

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番外:クロスオーバー・鬼滅の刃

先日鬼滅の刃のアニメ見ました。漫画の方も金が出来たら購入してみようと思います。

てくらいにはおもしろかったです。

 

どちらかと言うと念能力イコール血鬼術の方が納得出来たので、シミズには鬼になって貰っています。

 

 

 

ーーーーーー

 

 

悲鳴が、雷鳴が轟くそんな夜。

膝を抱えて震える少年に、親と呼べるものは無かった。

先の戦争でそんな子供掃いて捨てるほどいた。弱ければ飢え死に、強ければ飯が食える。

飢えは思考を本能的にして、少年の今世の記憶を簡単に飲み込んだ。幸せだったのかもしれない。不幸だったのかもしれない。しかし今はただの獣だった。

覚えているのは真っ赤な目がこちらを見ていたことだけで。

「ーーーーー」

絶叫の渦の中、鬼舞辻無惨の血を分け与えられた少年シミズは周りの子供を食らった。やがて満腹になるとその小さな体をしならせて、闇に消えた。

「うーん?」

意識が浮上すると、シミズの意識は前世ゾルディック家の使用人をしていたものになっていた。

見渡せばそこはゾルディック家の庭を思わせる鬱蒼とした森。季節は冬なのか、深く雪が積もっていた、そこで唸る一人の少年名をシミズ。奇しくも今世の名もシミズであったが、それを伝えるものは深い森の中においては1人もいなかった。

暗殺者として鍛えたはずの様々な欲を抑える術を、まるでなかったかのように感じる空腹に、シミズは首を傾げていた。他の欲に関しては抑えられているのにも関わらずである。

そんな疑問を抱えたまま、シミズは()()()全身についている血を蛆達に食べてもらおうとオーラを伸ばす…と、伸ばせなかった。

「あれ?…あ、えぇ?」

息をするように出来たそれが出来ない事に困惑するシミズ。よくよく見ればその体は小さく、自分が仕えるゾルディック家の三男坊くらいの大きさだった。

「…ま、いっか」

いくら考えても好転しない状態に見切りをつけ、周りの気配を探り修行を始めたシミズ。

そのうちに、自分が日光に当たれないことを本能的に理解した。何故分かるのか、疑問に思ったシミズは様々な方法を試した。瞑想していたある時、何かを感じその何かに触るイメージを練っていくと、ふつりと何かが切れた感覚に疑問が解消した。

「あー操作系の念か…気がついたら外れる感じなのかな、それとも俺が外そうとしたからかな。特に害は感じなかったし、脳を操作して伝達する感じかな。ま、スッキリしたからいいや」

しかし日光に当たることに対する怯えは消えず、これはオーラで体を強化することで解決出来るのではないか、と考えたシミズは、さらに修行をした。

何時間体を動かそうと全く疲労を感じない、睡眠すら必要としない体を嬉しそうに動かしていたシミズは、何時間いや何ヶ月か何年か、とにかく長い時間がたった時ふと、自分の体からオーラが吹き出しているのを見た。

「やっとかぁ…さぁてたまごちゃん達を見つけよー」

オーラさえ身にまとえればほぼ記憶のままにあつかえた。

しかし体が小さいゆえ、技術はともかくオーラの量は足りず歯がゆい思いをしながら森を歩いた。

雪の積もる森とはいえ、木の皮の間などに虫はいる。歩きつつ、気になった樹皮を剥がし時に雪を掘り、数個の蝿の卵を手にし、その他は蛆まで育ててから咀嚼し森をさまよう。

途中日光に当たったが、やはりオーラで防ぐことが可能だった。

「しかしまーやっぱり俺キルア様の才能に比べたらクソだなーねーたまごちゃーん」

そんなことを極小さい蝿の卵に向かって呟きながら、当てどもなく歩いていると、刀を持った派手な羽織の男に立ち向かう少年がいた。

派手な羽織の男の腕には可愛い女の子がいた。どうやら走り回る少年の大事な人のようなので、少年に加勢してやろうとシミズは動いた。

「こーら!女の子に乱暴しちゃダメだよー」

突然の乱入者に炭治郎は驚いて固まる。

冨岡は一見して子供であるシミズの動向を油断なく伺うが、にこやかなその顔に嵌っている一対の眼球、その動向が真っ赤であり、シミズが鬼であると悟った彼は内心焦りを感じた。

外見は子供とはいえ、感じる圧は師である鱗滝左近次のそれに近しい、上位の存在であるそれだったからだ。

「無視はよくなーいよ!」

シミズが冨岡の肩に手を伸ばすと、その手は空を切った。冨岡はシミズの手を避け、距離をとったのだ。

その隙に禰豆子の側へ行く炭治郎を庇うようにシミズが位置どった。

と、同時に先程冨岡が立っていた場所に斧が到来し、木に刺さる。

「っ…」

「君、女の子を虐めてどういうつもりなのー。モテないよーそういうことすると皆に嫌われるよー」

冨岡がなにやらモゴモゴと言ったあと禰豆子に指を指し、人間の女であればともかくそれは鬼だといった。

シミズは首を傾げる。

「鬼だと何か都合が悪いの」

「鬼は人を食う無差別に」

「へー」

「そしてその赤い目、お前も鬼だ」

「ほぁ?」

シミズは間の抜けた声を出した。禰豆子は立ち上がり、炭治郎を冨岡から庇うように立っている。そしてその前にはシミズがおり、富岡は内心妙な気持ちになった。

「うーんでもほら、俺角も牙もないし人も食ってないよ?」

「ね、禰豆子も!妹も人を食ったりしません!これからもさせません!!」

「ほらー、この子もそう言ってるしさー問答無用で殺そうとするのどうなの」

しまってしまって、と納刀させるようにシミズは促すが冨岡はついぞそれをしなかった。

 

 

ーーーーーー

 

「あの、シミズさん」

「うん?」

「シミズさんはなんで陽の光に当たっても大丈夫なんですか?」

鱗滝左近次の住まいのある山のなか、炭治郎はシミズに声をかけた。

「うーんとね、こう、オーラをね」

「おーら…?」

「説明難しいやとりあえず透明な煙みたいなのを体から出してそれで守ってる感じ。常に」

大きな岩の前、炭治郎は両断すること叶わず様子を見に来たシミズに日光を克服する術を尋ねていた。

「禰豆子にも出来るでしょうか」

「んー出来ると思うよ。ただ妹ちゃん眠っちゃってるしねぇ?」

「そう、ですよね」

「教えてあげたとしても俺みたいにずっとやる為には訓練が必要だし」

炭治郎は少し考えたあと、訓練に戻ることをシミズに伝え型を最初からやり始める。

それをぼうっと眺めて飽きたのかシミズは山をおりた。

陽光降り注ぐ山の浅い場所に来ると、昨日お肉を頂戴したウサギの骨を吊るしておいたそこには蛆が沢山湧いていた。シミズは鼻歌まじりにそのさまを見つめ、気に入った蛆を摘んで懐に入れた。

見た目が子供なのでまだ許されるが変態である。

「ふんふふーん」

「…」

「なぁんです。鱗滝さん、そんなに俺を見つめちゃって」

鱗滝左近次とは炭治郎と共にこの狭霧山に来た際に一悶着あったが、今では茶飲み友達のようなものだと、シミズは考えていた。

「鬼舞辻無惨はおそらくお前を狙ってくるだろう」

「はへ?」

「陽の光の克服、それをなしたお前のその能力を我がものにしようとするだろう」

「へー…鬼舞辻さんてぇ、どんだけ自分で努力しないんだろねぇ?頑張れば誰でも出来るのになぁこれ」

「……謁見の許可が降りた。屋敷の場所は秘匿されている故、目隠しのうえ拘束させてもらう」

「殺すとかじゃ無ければいいけど」

「私は殺さない。もはやお前には情がある」

情があると言われて少しばかり喜色ばんだ顔を見せたシミズだったが、引っかかるものを覚えたため、形容しがたい顔になった。

「えっじゃあ他の人はやばいの」

「…」

「あちょ無言でにじりよらないでっあっーいやー!炭治郎くん助けてーオカサレルゥー生命をー!」

数時間の追いかけっこの後、それに飽きたシミズが自ら捕まって終わった。

「あれー?鱗滝さんが運んでくれるわけじゃないんだねー」

簀巻きにされ目隠しをされた状態で担がれたシミズ。感じるオーラからしても蛆達の位置関係からしても担いでいるのは鱗滝ではないと断じ、またねー鱗滝さんなどと気の抜ける挨拶を残し、シミズは狭霧山を後にした。

 

 

ーーーーーーーー

 

「シミズと言ったね」

「はい。シミズです」

「漢字はどう書くのかな?」

「カタカナっすね」

「珍しいね苗字がカタカナとは」

「いやこれ名前です」

「そうなのかい?」

「そうですよ自分で適当に付けたので」

「辛くは無かったかい」

「ないないなーいですよ。弱肉強食は世の理、なんなら今そっちで怖い顔してる傷だらけのおにーさんやらハレンチな格好のおねーさんに殺されたって恨まないです。おまんまくえて、寝るとこあってついでに女をだければもう幸せじゃないですか。まだ精通来てないんでしてもいまいち楽しくないでしょーけど」

「そう」

「それよりー鬼舞辻さんがー俺を狙ってくるそうなんですよーだからーご飯をくれたらおとりやってもいいですよ?今回俺を呼んだのはそういう御用時ですよね」

「…ご飯は、何が好きかな。できる限りを用意しよう」

「食えればそこら辺の草でも小魚でも全然OKです!選り好みしてたら生きてかれないですから」

「人を食いたいとは思わない?」

「思わないですねー、食いではありそうですしむかーしもっと子供の、鬼になる前なんですけどその時食べるものなくてそこらに落ちてた赤ちゃんの死体食べた時、まーろくなもん食ってなかったんでそれなりに美味しかったんで食べられるとは思うんですけど、でも

その後吐いちゃって、トラウマなんですよー」

縁側に座って顔の上半分に火傷みたいな痕をもつ産屋敷耀哉なる青年と、見た目は子供発言は狂人のシミズの会話を砂利の敷き詰められた庭で聞く柱の面々。

今にも斬りかかりそうな雰囲気の男はハレンチな格好の女性に止められていた。

「食事を用意するよ気に入ったら協力してくれるかい」

「いいともー」

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

「わぁ、鬼舞辻無惨さんとってもいいお声ーシルバ様に引けを取らないねー」

少年の姿のシミズは、鬼舞辻無惨に向かってそう言った。柱以下鬼殺隊の面々が2人の周りを囲み、何が起きても対応できるよう油断なく構えている。

「陽の光を克服したら全能の存在になれるとか無いですからまじで」

「鬼狩り共と手を組んで何を企んでいるかしらんが、お前と違って私は完璧なんだよそれさえ克服できれば」

「へぇ」

「がはっ」

なんの前触れもなく、鬼舞辻無惨は倒れ伏した。

「さぁ、蛆ちゃんご飯だよ」

ぷちぷちと鬼舞辻無惨の体に水膨れの様なものができ始め、そこからボトボトと蛆が出てきた。

「いやあああああ!!」

絹をさくような声に汚い高音が混ざって悲鳴の大合唱だった。

「貴様…っだ、なに゛を…」

「うんとねー、何かほら首を切っても死なない鬼ーさんいたじゃないですかーじゃあー首魁の鬼舞辻さんもそーじゃないかなーって思ってー」

「ぐっあぁっ!」

「どうですー?生きたまま中から外から食べられる気持ちはー」

「なぜっ」

「呼べないですよね何も出来ないですよねオーラで貴方を包んでいるからですよ。俺の術中にはまれば何人たりとも俺のかわい子ちゃん達のご飯だよ」

「っくっそぉ゛…訳の分からないことを…」

「蛆ちゃん達は腐ったものがだーいすきなんだよー鬼舞辻無惨さんはー程よく腐ってておいちーおいちーって喜んでるよ」

「…っ…ぅ」

「さよならー」

後に残ったのは1匹のハエだけだった。

「終わったのか…」

「やぁ、産屋敷くん」

「やぁ、シミズくん。約束を果たしてくれたね」

「約束は守るよ。信用第1だからね。美味しいご飯をありがとうございました」

「ふふ、どういたしまして」

「産屋敷くん、俺はこれから殺し屋さんやるから、また何かあったら呼んで。定住したら教えるから〜」

シミズは目にも止まらぬ早さでその場を去る。

その後、シミズの姿を見たものはいなかった。




鬼舞辻ファンの方申し訳ないです。
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