ハンター試験編が好きなので、オリ主を入れてみました。
飛び飛びでかきたい部分だけです。
なんでも許せる方向けです。
読んでからの文句はネットに流さず、リアルでのみ発していただければ幸いです。
ある日 8
シミズはその日休暇だった。
「ハンター試験受けて」
「かしこまりました」
ゾルディック家長男イルミに言われたシミズは、深々と頭を下げたが、突然の事で頭が働かなかった。
「詳細をお聞きしてもよろしいでしょうか」
「仕事で必要。俺も受けるから。合格して」
シミズは休暇中ゆえのラフな、言ってしまうとだらしない格好でイルミの答えを聞いた。
「申請はお済みですかイルミ様」
「しといて。ギタラクルで」
「かしこまりました…」
シミズは1分で着替えて電脳ページをめくった。
ハンター協会…ハンター試験…申請…
めくれば申請書がすぐ出てくるのはいいが試験会場までの詳しい道のりはない。探すところからハンターの資質を試しているということだろう。
「申請は終わりました。試験はザバン市にて行われるとのこと、詳しい場所を探すことが受験の最低条件のようです」
しかしシミズの後ろにいたはずのイルミは既におらず、シミズは1人うなだれた。
「手当出るかなぁ…?」
ある日9
「ハンター試験?シミズ君が?」
「そうなんですよゼブロさん」
ハンター試験へ出立の日、イルミは既に旅立ちシミズも門の前までやって来ていた。
イルミは変装するのにそのままのシミズがいたら同業者にバレかねないなら、と言う理由で別行動だ。
「私も変装するという選択肢はイルミ様にはなかったようです」
ゼブロは困ったように笑い、いつかのように茶を進めた。しかし、シミズは首を横に振り立ち上がる。
「ありがとうございます。でもそろそろ飛行船の時間なので」
小屋から出ると、シミズの身体全部を覆うように無数の蝿が現れた。それらはざわざわとシミズの体の上を脈動のように蠢く。
「行ってらっしゃいシミズ君」
「行ってきます」
シミズが小さく身震いすると、それまで全身をおおう波のようだった蝿達がシミズの背に集まり、黒い羽のようになった。
その黒い羽を広げ、シミズは空へ舞い上がり、丁度上空を飛んでいた飛行船の上に消えた。おそらく飛行船の上を乗り継いでザバン市に行くのだろう。
「普通の蝿はあそこまで高く飛べないんですけどねぇ」
ゼブロは1口茶を啜って呟いた。
ある日10
飛行船の上を乗り継いで、シミズはザバン市まで来ていた。
ハンター試験を受けるのだろう明らかにカタギではない様子で、しかし大人しく優男について行っている男がいた。の後を追って行くと男は食堂に入る。それからしばらく観察すると、何人もそういう人間が入っていく。どうやらそこがハンター試験会場のようだ。
何人目かの男の後をおって店に入ると、その男は奥に案内されるところだった。
シミズはそっと席に座り普通に注文した。そうしてるうちにまた、受験生らしき人間が。
「いらっしゃい」
「ステーキ定食」
「焼き方は」
「弱火でじっくり」
「奥に入んな」
そして奥に消えてもステーキ定食が運ばれることはなかった。
数人同じ言葉を聞くと、なるほど合言葉なんだなとシミズは内心頷いた。人差し指を立てるポーズも必要なのだろうと当たりをつけたシミズはしばらくまともなものは食べられないだろうと思い、食事を楽しんだ。
食事を取り終わると、シミズは人差し指を立て店主に声をかける。
「ステーキ定食」
「…焼き方は」
「弱火でじっくり」
「奥に行きな」
「あ、お会計先に済ませます。ご馳走様でした。美味しかったです」
「金はいらねぇよ。ハンター教会からたんまり貰ってるからな」
「そうでしたか。それでは失礼します」
奥に入ると、部屋に案内された。外からは分からなかったが、どうやらエレベーターになっているようだ。
ドアが空くと数百人の老若男女達がいた。ギタラクルに変装したイルミの姿もある。
そして何故か、家出中のキルアまでもがそこに居た。
「キルア様!斯様なところにいらっしゃるだなんて…!」
「ゲェッ!シミズ!!なんでここに!!」
「それはこちらのセリフですキルア様!」
「お、俺は暇つぶし…」
「はぁ…とにかく1度お帰りください…」
「ヤダね!べーっだ!」
「キルア様!!」
キルアが人混みに紛れて逃げるのを追いかけるシミズ。追いかける途中にイルミとすれ違う。顔は変えているし、キルアは気が付かず通り抜ける。
「いいのですか」
すれ違い樣シミズはイルミに問う。
「良いよ今はこっちが優先」
シミズは頷き、歩みを早めキルアの腕を掴んだ。将来有望とはいえ、念能力の使えないキルアを捕獲するのはさほど難しくなかった。
「キルア様。私はハンター試験を受けねばなりませんから、今はお送りできません。ゴトーを呼びますか?それとも私と共に試験をお受けになりますか?」
「っ…ゴトーはヤダ!」
「それでは一緒に試験を受けましょうね、キルア様」
シミズは内心ゴトーに勝ったと浮かれていたが、表情には出さずキルアを抱き抱えた。
「おろせよ!恥ずかしいだろー!」
「そうですか?逃げないと仰るのであれば下ろします」
「逃げねーよ!」
シミズはキルアを離し、目線を合わせた。
「それで?俺を探しに来たわけ?いや、それはこちらのセリフってことは特定してきたわけじゃないんだよな」
「左様でございます。仕事で必要になりまして、イルミ様に命じられ資格取得に参りました」
2人の様子にハンター受験者たちがざわめく、子供と見た目はたんなる優男のコンビに場違いだと言う声がどこからともなく聞こえた。
ある日11
シミズが躍起になってキルアから近況を聞き出さんとしていると、ずんぐりむっくりという形容詞が似合う中年の男が2人に声をかける。
「よぉ、あんた達新人さんだろ」
新人潰しの異名を持つトンパである。
シミズは頭の中で過去のハンター試験のデータをけんさくする。出てきたのは過去に数十回もの試験を受けている男の顔だ。
「あなたは?」
「俺はトンパだ」
「シミズと申します。その口ぶりからするとあなたは複数回お受けですか」
「まーなハンター試験に関しちゃベテランだ。なんでも聞いてくれていいぜ新人くん!これはお近づきの印に…」
「結構でございますトンパさん」
「えー俺喉乾いたー」
「ダメでございます。新人潰しに関わっては坊っちゃまの今後にどんな悪影響があるか…すぐさま離れましょう坊っちゃま」
「お、おいまてよ言いがかりはやめ…」
トンパがシミズの肩を掴もうとすると、その体は高く飛んだ。幸い天井までは高くぶつかりはしなかった。
落ちてきたトンパの胸ぐらをつかみ落下を止めると、トンパがもったままのジュースの缶を手刀で切り手に掴むと、トンパの開いた口にその手ごとねじ込んだ。
シミズは表情を変えぬまま笑う。
「はははさすが何回も試験を落ちる人は馬鹿さ加減が違いますね。いいですか?貴方をまだ殺してないのは、貴方を殺しても一銭にもならないからです。意味がおわかりになりますか?」
「は、はひぃ…」
トンパの返事に答えるようにシミズが手を離すと、トンパはその場にヘタリ込みガタガタと震えるだけになった。
ぺろり、とシミズは手に着いたジュースを舐め顔をしかめる。
「なーシミズー」
「あの下衆の用意した下剤、市販の3流品ですよ…私が用意しましたこちらのリンゴジュースはいかがでしょう」
「えーオレンジの気分だったのにぃー」
「試験後ご用意致しますから…」
「絶対だかんな」
「はい。素直に屋敷にお戻りいただけるようで何よりです」
「はっ?!ちっげーし!なんでそーなんだよ!」
「屋敷のジュースの方が味も質もよろしいじゃないですか」
清水はニコリと、口角を上げた。
とある日12
「ウソォ?!」
少年ふたりの声が重なる。
たしかにシミズの目から見てもレオリオなる人物は歳かさに見えた。
しかしその中身は若者らしく純粋なようだった。
レオリオとクラピカ両名から離れ、キルアとゴンとなのる少年の後に着いて走っていたシミズだったが、レオリオとクラピカの話は聞こえていた。
正確には空気の振動で蝿の羽が震えることを利用しての盗聴である。
叫んでいたのは否が応でも聞こえた。絶対ハンターになるという意気込みは買うが、絶対的に体力が足りないな、と再度レオリオを追い抜いたシミズは思った。
「そういやシミズさー」
そんなことを考えていたシミズの意識はキルアに話しかけられてすぐさまそちらに向いた。ゾルディック家の使用人の性である。
「如何なさいましたか」
「そういやさーお前は?何歳だっけ?」
「存じ上げません」
「え?」
疑問の声をあげるゴンを、シミズは冷めた目で見やる。
流星街にゴミとして捨てられたシミズは、年齢も本当の名前も知らなかった。否、名前など最初から付けられていなかったのかもしれない。
幸せな少年たちを妬む気持ちがない訳では無いが、シミズはまゆひとつ動かさず答えた。
「流星街を知っていますか?」
「ううん」
「俺は知ってるぜ!母さんの故郷!」
「ふふふ、旦那様の一目惚れだったそうですよ」
「うえー親のそういうの聞きたくねー 」
「え?なんで?いいじゃん」
試験管サトツの後ろではしゃぐ少年ふたりに青年が1人。
「話を戻せシミズ!」
「はい。かしこまりました。ゴン君流星街とはゴミ捨て場です。なぁんでも捨てられる場所です。人間ですらね」
「え…」
シミズはにこやかに言い放つ。
「たって歩いてたって先輩方に教えていただいたのでおそらく2歳か、3歳より上だったと思いますが本当のところは分からないんですよ」
「へーでいつうちに来たんだ?」
「ふふふ、キキョウ様の嫁入り道具として参りました」
キルアとシミズは神妙な顔をしているゴンを置き去りにしばらくの間話し込んだ。
とある日13
「ねえシミズさん」
じっと黙っていたゴンが、不意に二人の雑談にくい込んだ。
「なんでしょう」
「流星街ってどういう所?」
「先程もお話しましたとおり、ゴミ捨て場ですよ」
「そうじゃなくて、シミズさんにとってどういう所」
ゴンは真っ直ぐシミズを見た。シミズは少し考えてから、ゴンに危ないから前を向くように伝え、自分もそれにならった。
「故郷ですよ」
短く答えるシミズに、なら良かったとゴンは笑った。
「では次はゴン君の番ですね」
「!俺の住んでる島はねくじら島っていうんだ!船で遠くから見ると本当にクジラみたいな…」
ゴンの話は、キルアの家の話と掛け合いになりそれは長い地下道の終わりが見えてくるまで続いた。
「俺が先ー!」
「いーや!俺だね!」
霧深い森に少年ふたりの声が響くと、シミズも1歩遅れて地下道を抜けた。
「なーシミズどうだった?!」
「ねーサトツさんどっちが早かった?!」
シミズもサトツも同着だと声を揃えた。
読んでいただきありがとうございました。
またいくつか溜まったらupします。
シミズは操作系寄りの特質系のつもりです。
特別にしてやりたいと思ってしまうのはあまり良くないですがついやってしまいました。
蝿やら蛆は食べたくありませんが、衛生的に安全に育てられたサソリは1度食べてみたいです。