とある使用人の1日。   作:道央花子

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引き続きハンター試験編の妄想です。

キキョウさんの過保護がイルミさんにうつっててもいいと思います。今後もほんな思いがねっとり出ると思います。

誤字修正しました。


ゾルディック家の使用人のある日オムニバス4

ある日14

 

ヌメーレ湿原。俗称を詐欺師の塒とする広大な湿地帯である。

ぬかるむ足元、視界を覆う白い霧、あちこちから聞こえる悲鳴。シミズはそんなものに郷愁を感じていた。

もっとも、流星街の化学スモッグは決して白い霧などという美しいものでは無い。

それでもゴミにぬかるむ足元や、悲鳴には懐かしさを覚えた。

「離れた方がいいな…」

「そうですね、変態の気配がします。やっちゃいましょうか?」

「おまえ地味に短気なのやめろよ」

「短気は損気だってミトさん言ってたよ」

ゴンの言う養母の話を聞く限り彼女も短気なのではなどと思い浮かべながら、シミズは頷く。

「辞めたいのですが、どうにも…まだ死ぬようなことにはなってないですしいいじゃないですか」

「とにかく前に行こうぜ。あいつ、ヒソカってやつ人殺したくてうずうずしてる」

キルアとゴンの様子に微笑まし気な顔をするシミズ。

と、同時にレオリオの叫びが聞こた。

走り出したゴンを止めず、キルアとシミズはサトツの後に続いた。

切なげな顔をするキルアに、寂しいですか。とシミズは声をかけた。

「別にー」

唇を尖らせてサトツを追うべくスピードを上げたキルアに、シミズは音もなく笑った。

 

 

ある日15

 

サトツが足を止めると、そこには倉庫のような建物があった。地を這うような音が響いている。

シミズが挙手し、サトツに発言の許可をとる。

サトツが頷くとシミズは手を下げ、サトツに近づいた。

「ここが第2試験会場でしょうか」

「ええそうです、第一試験合格です」

「ご回答ありがとうございます」

シミズが深々と頭を下げると、サトツは姿を消した。

「なにきいたんだ?」

「はい、第一試験はこれで終了か、と」

「ふーん」

「時にキルア様」

「なんだよ」

「3食お菓子とかやってませんよね?」

キルアは勢いよく顔を逸らした。

しばらくシミズの説教がたんたんと続けられ、キルアが根を上げてしばらく後、半裸で顔を腫らして全身汗にまみれて気絶しているレオリオを担いだ変態もといヒソカが登場した。

「キルア様見てはいけません…!」

キルアの目を塞ぐシミズに、ヒソカの唇は大きく弧を書いた。

「ねぇ、君…」

「それ以上寄るのであれば無視します」

「え?」

ヒソカとキルアの声が被った。

 

 

ある日16

 

「なーシミズー」

「はい、なんでしょうキルア様」

「うぜーんだけど…」

ヒソカがとんでもない顔をして2人を見ている。正確にはシミズのことだけだが。

数分前、シミズに話しかけようとしたヒソカは、音を立てる無線機によってその口を閉じた。

「もしもし……え、あ、そう」

心なししょんぼりとしたヒソカは2人から離れ、しかし食い入るようにシミズを見つめ続けたのだ。

シミズはギタラクルの方へ蝿を数匹送り礼を述べた。

「なーって……めっちゃ見てんじゃん」

「キルア様私には何も見えません」

「寄らなくても無視するのな」

「私の視界にはお仕えする方以外は入りません」

「さっきゴンと喋ってたじゃん」

「知りません独り言です」

「おまえなー」

餌の前の飼い犬のようにウロウロと、視線は飼い主と餌を行ったり来たり。

そのうちにゴンとクラピカがこちらに近づいてきた。

「キルアーシミズさーん!」

「よぉ、よく来れたな」

「うん!レオリオの香水の匂いをたどって…」

ゴンが来たことで諦めたのか、ヒソカはいつの間にかその場を離れていった。

 

ある日17

 

第2試験の1つ目、ブハラなる美食ハンターの指定した豚の丸焼きを完成させ無事通過したシミズは、ヒソカの視線が外れたままであることに、内心胸をなでおろす。どうやらやつのターゲットは試験官に移ったようだ。

雇い主から死ねと言われれば喜んで死ぬが、好んで変態に関わりたくないシミズであった。

そもそもシミズ1人ではヒソカには勝てない。シミズの念能力は暗殺向きだ。1体1の向かい合っての戦いには使用しない。

ヒソカのようなトリッキーなかつ変態的な戦い方には向いていない体技しか取れないのである。

「噴霧系だと毒でも死ななそうだし…服毒は時間的猶予があって解毒されてしまうかもしれないな…青酸カリは味が…」

「シミズ?なにぶつくさ言ってんだよ」

「変態をいかに処そうかと…」

「お前まだ言ってんのかよ、そんなんよりスシだよスシ!お前知ってる?」

「存じ上げておりますが…おそらく試験はスシをお出しするだけではダメだと思います」

「え、どうして?シミズさん」

1拍考えたような顔をして、シミズは少し待ってくださいと言い残し第2の試験を言い渡したメンチの前に出た。

「試験官メンチ様、愚かながら質問がございます」

「なによ(地味な顔ねぇ…)」

「私は握り寿司を存じ上げております。この試験の真意は未知のものへの探究心、未知に面した際僅かばかりのヒントで正解を導く力を探るものかと愚考いたします。私の場合ただ形だけ真似た握り寿司をお出しするのは簡単ですが、それでは試験の合格基準にとどかないかと。いかがでしょう。私だけ別の試験をさせて頂くか、全員の試験内容を私に揃えていただくと言うのは」

「……」

「メンチーだから言ったじゃん。この人の言う通りだってぇ」

「黙ってなさいよブハラ。握り寿司を知らないからって悪あがきの嘘を言ってるかもしれないじゃない」

「でもさー」

「この建物に別室はございますか?」

「あるよ」

「ちょっとブハラ!」

「別室で握らせていただきます」

「ほら、メンチこう言ってるんだから」

「〜〜〜っ」

さも不機嫌そうな顔で押し黙るメンチに、受験生達はみな視線を向ける。メンチとシミズの動向如何では試験内容が変わる可能性があるのだ。

数分睨み合ったのち、メンチはため息を吐いた。

「わかったわよ…その代わり違ったら即不合格よ!」

「はい。それで構いません。今シャリとネタをお持ちしますね」

シミズは一礼すると、お櫃と第1の試練の際くすねていた豚のモツを手にしてメンチの元へ戻った。

「へぇ、ねぇ僕も食べたいなー」

「たんなる素人の奇策で良ければ」

「さっさと行くわよ!ブハラは他の奴らを見てて頂戴!」

 

 

ある日18

 

「それで、試験内容を変えたいんです。ええ、つきましては飛行船の手配を…え?向かってる?あ、ありがとうございます!」

別室から出てきた時には憑き物が落ちたようになっていたメンチは、受験生達に試験内容の変更を通達した。

「なーシミズ何したんだ?」

「握り寿司と得意料理を振る舞いました。まぁ変わり種ではありますが」

女性は共感されたい生き物なんですよ、そう言って含みのある笑いを浮かべるシミズの顔に、げんなりとした顔をしたキルアはその次の瞬間目を丸くする。

空から高齢の男性、ハンター協会会長ネテロが降ってきて、小型のクレーターを地面に作ったからだ。

「最終確認を怠ったワシにも問題はあるが、ちと極端な試験だったのうメンチや…」

殊勝なことを言っているが、ネテロの視線はメンチの胸に釘付けだった。

シミズはそっとキルアの目を塞いだ。

「なんだよシミズ」

「いえ、キルア様の目が汚れるかと思いまして」

「あっそ」

その時ごく一瞬だが、ギタラクルに扮するイルミがサムズアップしていたのに気がついたのは、シミズだけだった。

変に過保護である。

結局マフタツ山なる壮絶な地形のはげ山で、美味なる卵をゲットし、シミズは第2試験も通過することが出来た。




ここまで読んでいただきありがとうございます。
また、数個貯まりましたらup致します。

シミズは地味面です。
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