核心のエデン   作:創作魔文書鷹剣

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王国近衛兵団

「・・・話を纏めよう。確かに二人共だったのだな?」

 

「・・・はい。気絶する直前の僅かな時間でしたが、確かにあれは『巡帰』でした。」

 

 円卓を囲う八人、その内一人はアリサ達が受けた試験を担当していた男だ。

 

「・・・シヴィルス、例えその二人が『巡帰』に目覚める兆しを見せたのだとしてもだ。まだ彼女等は・・・」

 

 シヴィルスと呼ばれた男が口を開く。

 

「年齢に関しては最早、意味は無い。この組織を設立した男の伝説を忘れたか。」

 

「あれは特殊だ。時代が時代だからな。」

 

「今も同じだろう。戦力は一人でも多い方がいい。」

 

「貴様、今戦力と言ったな?近衛兵団を殺戮集団か何かだと思っているのか?」

 

「敵はこちらを殺す気で襲いかかって来る。それに対する力を戦力と言わずに何と言う。」

 

「貴様・・・」

 

「・・・落ち着け、隊長格ともあろう者が口喧嘩など笑えんぞ。」

 

 いがみ合う両者を一人の男が止めた。

 

「我々は私欲を捨て、王国に奉仕する剣士。もしその少女等が入団するに相応しくないのならば、その時は放逐するまで。」

 

「団長・・・本気のおつもりで?」

 

「勿論本気だとも・・・」

 

 団長と呼ばれた男がゆっくりと言葉を続ける。

 

「全ては王国のため、我々は一丸とならねばならん・・・」

 

 

 

 

 

「・・・ん?んっと・・・?」

 

 小さな部屋の片隅でアリサは目覚めた。ベッドの上、隣には未だ寝たままのウィル、そして二人とも汗だく・・・この年齢でなければあらぬ誤解を受けそうである。

 

「私なんでこんな所に・・・」

 

 その答えは突然やって来た。採用試験の試験管を担当していた男が現れたのである。

 

「お前たち、採用試験の結果を伝えるが・・・その前にそこで寝ている女を起こせ。」

 

「は、はい!ウィル、起きて・・・」

 

 暫く揺すっていると漸くウィルもお目覚め、そして目の前にいる男の眼光にすくみ上がって大人しく正座した。

 

「試験の結果は・・・」

 

 正直な話二人共期待はしていない。第一の試験はほとんど運だけ、第二の試験は奇跡に等しい無謀な勝ち筋による結果。加えて最後の試験は途中で意識を手放してしまった。これで合格なんてありえない・・・

 

「合格だ。」

 

「・・・え?」

 

「合格だと言っている。」

 

 一瞬相手が何を言っているのか理解できなかった。だが「合格」という言葉が頭の中を反復し、漸くその意味が理解できた。

 

「お前達は合格するに足りるだけの事を示した。これを渡そう。」

 

 彼が渡した物は王国近衛兵団の制服と、その胸に光らせる銀色のバッジ。正式に近衛兵団に採用された証を手にし、その事実に震える。毎年何人もふるい落とされると噂の採用試験を突破したのだ。実感は湧かないが。

 

「とっとと着替えろ、終わったら部屋を出ろ。」

 

 そして彼は出て行った。アリサ達は制服に袖を通し、バッジを胸に部屋を出る。

 

「あの・・・着替えましたけど。」

 

「これ、袖と裾が長すぎません?ボクもだけどアリサなんて更に・・・」

 

「文句なら用意した奴に言え・・・全く、女は怖いだの文句ばかり出る。」

 

 どうやら二人の制服を採寸した奴は十三歳の女の子さえ怖がるようなロクデナシらしい。おかげで二人共袖と裾を折りに折って漸く手足がまともに機能する有様。なんとかして正しい寸法の制服を作って貰わねば邪魔で仕方がない。

 

「・・・そう言えばまだ名乗ってなかったな。俺は王国近衛兵団第七隊隊長、シヴィルス・ライン・アーケイン。お前達の名は?」

 

「あ、アリサ・ロム・エーデンです!」

 

「ウィル・カット・リーバスです!あ、リーバス男爵家の長女ですよ!」

 

「そこ大事なのか・・・?まあいい、今からお前達は第七隊の隊員となる。ついて来い、隊員を紹介してやる。」

 

 シヴィルスに連れられてやって来た二人、「第七隊待機室」と書かれた扉を開けた先には三人の男がいた。

 

「隊長殿!!」

 

「・・・暑苦しいのはよせ。」

 

 固く掴まれた襟を払い、静かに且つ威圧を込めて口を開く。

 

「いいか、ここにいる二人は新しく第七隊に入隊した新人だ。仕事の内容も逐一教えてやれ。それと女が入ったからと浮かれるな、肉欲に駆られて本文を忘れるような輩は斬る。特にリューゲン、貴様は気をつけろ。」

 

「はいはいはい・・・。」

 

 リューゲンと呼ばれた男が返す。

 

「隊長殿の事は尊敬してるし、淫行即罰則の精神も賛成ですけど?人の事を猥褻行為常習犯みたいに言うのはやめてほしいですね〜?」

 

「任務中の自分を見てみろ。それが王国に奉仕する剣士の態度か。」

 

「あ、あの・・・隊員を紹介するっていう話は?」

 

「アリサ、今のが多分1人目だよ。」

 

「そういう事だ。リューゲン、後は自分の口から言え。」

 

「は〜い・・・初めましてだね〜♪僕はリューゲン・ミック・エリトナム、仲良くしようよ〜。」

 

 その瞬間アリサとウィルの体に寒気が走る。これが「生理的に無理」というやつなのかと思わせたその手腕はある意味尊敬に値するが、男として大事な何かを失っている気がする。

 

「んじゃあ次は俺だな。俺はアルバ・ルゲン・カムルガ、二年前から近衛兵団に所属している。よろしくな。」

 

「それじゃ、最後は俺か。ゼムル・シエク・マークス・・・適当に呼べ。どうせ気にもならない。」

 

「あ、アリサ・ロム・エーデンです!」

 

「ボクはウィル・カット・リーバス!リーバス男爵家の長女です!」

 

「全員の紹介は終わったな。本当は後二人隊員がいるんだが、そいつ等は今で払ってて留守だ・・・さて、アリサとウィルに良い知らせだ。今から早速初任務に就いてもらおう。総員、着剣。」

 

「「「 ハッ!! 」」」

 

「「 あっ・・・は、ハッ!! 」」

 

「残る二人の隊員が現地で待機中だ。そいつ等と合流し、街中に潜む『政教派』とその協力者を捉える。行くぞ。」

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