忘れているかもしれないが、今日は始業式でここは放課後の視聴覚室である。
なんか知らんがキャラ崩壊ってレベルじゃなくガチ切れしている恵はすでに半泣き状態の詩羽に『宣戦布告』するように促したのだった・・・。
「できないなら、ここで終了だよ?いいかな?霞ヶ丘先輩、わたし・・・霞ヶ丘先輩がいなくなっても、この小説を『霞ヶ丘詩羽のいない世界』ですらなく、本当にいなかったかのように進めて終わらせますよ?メインシナリオライターのドタキャン?それがどうしたの?クライアントを困らせて、読者を裏切って、おまけに金銭トラブルを置き土産にして、それがなんだっていうのかなぁ?どうぞ、お引き取りください。霞ヶ丘先輩。霞先生のほうがいいのかなぁ?」
「その辺でよしましょうか・・・副社長」
(まじなやつだ・・・)
(会社なんて経営しているといろんなトラブルありますからね)
(倫也先輩がやっと助け舟だしましたよ)
「お言葉ですが社長、けじめはつけておくべきじゃないかな」
「そうはいっても昨今はパワハラ案件にはうるさいご時世ですし・・・」
「パワハラ?わたしが?シナリオライターが放棄するとか脅してきたのに?上等じゃないかなぁー、もうほんと怒れてきちゃうんだよなー」
(そこに怒ってたのかー)
(根が真面目ですからねぇ・・・)
「あと、出海ちゃん、氷堂さん」
「はひ」
「今、噛んだ?」
「すみません」
「リテイク」
※※※
「あと、出海ちゃん、氷堂さん」
「はい」
つ !
「はい!」
「もう、決定したから帰っても大丈夫だよ」
「はい!」
「あっ、それから重くなりがちなケンカシーンを和らげてくれてありがとうね」
「ケンカになってました?」
「あのね、出海ちゃん、わたし、今、ほんとに、機嫌が悪いのだけど、どーしよもなく機嫌が悪いのだけど。あっ大事なことだから二度言いました。で、私と会話するの?」
「いえ!すみませんでした!」
「リテイク」
※※※
「もう、決定したから帰っても大丈夫だよ」
「はい!」
「あっ、それから重くなりがちなケンカシーンを和らげてくれてありがとうね」
「はい!」
「そういうわけで、『負け犬5』は・・・「小人さんシナリオ」でいくから、波島くんに伝えてくれる?」
「はい!」
「お疲れさまでした」
「はい!ご指導ありがとうございました」
出海は頭を深く下げ一礼したあと、かばんをもってぴゅーと走って出て行った。
「あのさー加藤ちゃん」
「なに氷堂さん?」
「あんまりシリアスな展開はやめようよ・・・」
「うん、そうする」
「じゃ、あたしも帰るから」
「あっ、一つお願いしていいかな?」
「ん?」
「『切なくなるような優しい曲』、作って欲しいのだけど」
「んー、もう少し具体的なシチュエーションが欲しいなぁ」
「ううん。『切なくなるような優しい曲』に、わたしたちが合わせて演じるんだよ」
「わかった。よくわからないけどわかった。精一杯作るよ」
「ありがとう」
「加藤ちゃんはほどほどにね」
「うん、またね」
美智留は陽気に口笛を吹きながら帰った。少しでも場が明るくなればと思いながら。
(つづく)
次回からさらにカオスになっていく