倫也は後ろの扉がから出ていく。詩羽はいない。廊下にポケッーとした英梨々が立っている。倫也の発言にとまどっているようだ。
倫也は英梨々を無視して走って校庭へと急ぐ。
※※※
校庭。
伊織と朱音が木陰にいる。
「おいっ・・・伊織、『総没』が発動したな?」
「ええ、朱音さんなら観測できたでしょう?」
「ああ、けど何があった?私は自分の仕事に戻っていたから、こっちのことまで把握してなかったぞ?」
「これです」
伊織が複数枚のプロットと完成シナリオを差し出す。
「・・・ちっ、ひでぇことになってやがる」
「すみません・・・朱音さん・・・助けてもらえませんか?」
「伊織・・・お前がそんな顔するな・・・涼しい顔してろ」
「すみません・・・」
朱音が地面に手を置く。
「アブソリュート、そして世界は把握される」
手を中心に円が広がっていく。
「・・・」
朱音が立ち上がる。
「大丈夫だ、いないよ」
伊織がほっと溜息をついた。
※※※
出海と美智留がネットを広げようと準備している。
「美智留、出海ちゃん、中止だ」
「倫也先輩!なんでです?作戦失敗しましたか?」
「・・・出海ちゃん、確認する・・・記憶は?」
「なんのことです?」
「・・・嘘ついてないよな?冗談通じないよ?」
「大丈夫です。ほんとなんもわかりません・・・」
「よしならいい。美智留は?」
「わたしはなんのことかすらわからないよ?」
「今日、学校から帰った記憶はないんだな?」
「なんで帰るのさ??」
「なら大丈夫だ」
「なにが大丈夫なのさー」
倫也のところに伊織が走ってくる。
「倫也君。朱音さんに調べてもらった。大丈夫だ。いない」
「よかった・・・」
「問題はこれからだけど」
「まずは確認しよう。何が変わった?」
「霞センセは退場したままだ。『記憶』がある以上は総没の影響は受けない。気になるのは次々にプロットがあがってきたことだよ」
「読み上げてくれ」
「相手の名前はどうする?」
「伏せて。「アレ」でいい」
「まず、@メインヒロイン型が戻ってきて『アレ』と戦うのがある、そして、完敗している。次に@メインヒロイン型が朱音さんとそのまま戦闘に突入している暴走ルート、他には『アレ』と加藤さんが戦っているものもある」
「全部ボツだ」
「倫也君・・・『アレ』による侵略プロットもあがってきたよ・・・それも次々にだ・・・」
「ボツだよ、伊織」
「・・・間に合わないかもしれない」
朱音が来る。
「おいおい伊織、霞センセいるんだろ?なんでこんなにブレブレなんだよ?」
「すみません朱音さん・・・詩羽先輩なら・・・離脱しました・・・」
「はっ?マルズ合流はまだ始まってないだろ?」
「加藤とケンカしちゃって・・・」
「そんなことで『霞ヶ丘シナリオ』切ってどうするんだよ?」
「たぶん・・・本当の原因はそれじゃありません、詩羽先輩は加藤とケンカした程度で引くほど弱くないですよ」
「ずいぶんな信頼だなぁおい?」
「詩羽先輩は英梨々を信じているんだと思います。いると頼ってしまうから、だから・・・」
「なるほどねぇ」
朱音も心配している。話はガキの色恋沙汰から大きく脱線しているからだ。
「朱音さん!倫也君!だめだ。侵入されてる!」
「な?私の絶対領域に反応してないぞ?」
「これは『冴えカノ同人』と違う力だから・・・相性悪すぎですよ。物語は作れても、物語の外部からの力は・・・」
「やれるだけは・・・やってみるさ」
朱音は赤いスーツをより深紅に染めて、両手剣を持って戦闘モードになった。
(つづく)
しばらくこんな感じ