侵入してきた『アレ』に対して、迎撃態勢をとる紅坂朱音。
学校に張り巡らされた結界がやすやす破られる。
「アブソリュート、それは召喚される」
朱音が地面に手を当てながら唱える。
5メートルほどのストーンゴーレムが4体、地面から創造された。
いかついゴーレムが『アレ』に対して、囲うように襲いかかった。
「朱音さん、それでは機動力に対抗できないっ!」
伊織が叫ぶ。
『アレ』はゴーレムの攻撃をかいくぐり、まっすぐ朱音へと突っ込んでくる。
その動きは戦闘のプロそのもので迷いも無駄もない。
「朱音さんっ・・・」
朱音の前に体をはって立ちはだかる伊織を、「『アレ』のナイフが心臓を突き刺す。続く銃に持ち替えての一撃が伊織の頭部を撃ち抜いた。
固まる朱音。倫也が叫ぶ。
「少佐の場所を知っている!」
『アレ』の動きが止まる。
銃が朱音の頭部に突き付けられていた。
「・・・少佐は生きているのですか・・・?」
「教える。撤退が条件だ」
『アレ』がうなずく。
「エ〇リテ島だ」
『アレ』が踵を返して走っていく。
朱音は血まみれの伊織を抱きかかえる。
「アブソリュート、それは再生される」
伊織が復元され意識が戻る。
「伊織・・・」
「朱音さん・・・勝ちました?」
「いや、負けたよ。ただ相手は撤退した。心配ない」
「良かった」
「少し休んでろよ・・・伊織・・・」
「・・・はい」
朱音は地べたに座って、伊織の頭を足に乗せた。
「お兄ちゃん!」
出海が駆け寄ってくる。
「トモ、どうなってんだよ。シリアスとかそんなのと違うよね?」
「ああ、正直こっちは・・・対策できない・・・お手上げだよ」
その時、タクシーが学校の前に止まり、一人の女性が降りてきた。
町田苑子。霞詩子の担当編集者である。
「苑子!どうしたんだよ?」
「あら朱音がいたの?なら、私が来るまでもなかったかな」
「なんでここに・・・?」
「ちょっとまって時間がないの・・・伊織君って子いるかしら?」
「こいつだよ」
「なんか楽しそうなイベント中に申し訳ないけど、起こすわよ?」
「ああ、構わん」
※※※
「伊織君、あなたのプロット管理の権限、こっちに移譲してもらうわよ?」
「・・・それは僕じゃ判断できないから、倫也君にぜんぶ任せるよ」
「そう・・・そうね」
苑子が倫也と話を始めた。
「いいわね?」
倫也は深々と頭を下げる。
「お願いします、町田さん」
「それがどういう意味かわかるわよね?」
「・・・はい」
「そもそも、小人なんていないって、わかるわよね?」
「・・・はい」
「じゃあ、加藤さんも了承済なのよね?」
「・・・はい」
「表には出られないって・・・しぃーちゃんも言ってけど・・・」
「・・・すみません」
「あの子・・・No2じゃないの?」
「はい・・・頼りっぱなしで・・・いなくなったとたん、ぜんぜん統制とれなくって」
「そりゃあそうよ、誰がシナリオを制御するのよ?」
「・・・すみません」
「でもまぁ、気が済むまでやってごらんなさい。外部からの侵入はもうないから安心して、一次審査の検閲で絶対通過させないから」
「お願いします」
苑子はため息をつく。詩羽の苦労がよくわかった気がした。
「上手く大人にも頼りなさいね」
「はい。すみませんでした」
「あとは・・・伊織君と調整するから、彼は借りていくわよ」
「はい。ありがとうございました」
(つづく)
映画良かったよ