負け犬ヒロインの育て方 5   作:きりぼー

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ここまで読んでくれている読者の方は最後までお付き合いください。


第十六章

 侵入してきた『アレ』に対して、迎撃態勢をとる紅坂朱音。

 

学校に張り巡らされた結界がやすやす破られる。

 

「アブソリュート、それは召喚される」

 

朱音が地面に手を当てながら唱える。

5メートルほどのストーンゴーレムが4体、地面から創造された。

いかついゴーレムが『アレ』に対して、囲うように襲いかかった。

 

「朱音さん、それでは機動力に対抗できないっ!」

伊織が叫ぶ。

 

『アレ』はゴーレムの攻撃をかいくぐり、まっすぐ朱音へと突っ込んでくる。

その動きは戦闘のプロそのもので迷いも無駄もない。

 

「朱音さんっ・・・」

 

朱音の前に体をはって立ちはだかる伊織を、「『アレ』のナイフが心臓を突き刺す。続く銃に持ち替えての一撃が伊織の頭部を撃ち抜いた。

固まる朱音。倫也が叫ぶ。

 

「少佐の場所を知っている!」

 

『アレ』の動きが止まる。

銃が朱音の頭部に突き付けられていた。

 

「・・・少佐は生きているのですか・・・?」

「教える。撤退が条件だ」

『アレ』がうなずく。

「エ〇リテ島だ」

『アレ』が踵を返して走っていく。

 

朱音は血まみれの伊織を抱きかかえる。

 

「アブソリュート、それは再生される」

 

伊織が復元され意識が戻る。

 

「伊織・・・」

「朱音さん・・・勝ちました?」

「いや、負けたよ。ただ相手は撤退した。心配ない」

「良かった」

「少し休んでろよ・・・伊織・・・」

「・・・はい」

 

朱音は地べたに座って、伊織の頭を足に乗せた。

 

「お兄ちゃん!」

出海が駆け寄ってくる。

「トモ、どうなってんだよ。シリアスとかそんなのと違うよね?」

「ああ、正直こっちは・・・対策できない・・・お手上げだよ」

 

その時、タクシーが学校の前に止まり、一人の女性が降りてきた。

町田苑子。霞詩子の担当編集者である。

 

「苑子!どうしたんだよ?」

「あら朱音がいたの?なら、私が来るまでもなかったかな」

「なんでここに・・・?」

「ちょっとまって時間がないの・・・伊織君って子いるかしら?」

「こいつだよ」

「なんか楽しそうなイベント中に申し訳ないけど、起こすわよ?」

「ああ、構わん」

 

※※※

 

「伊織君、あなたのプロット管理の権限、こっちに移譲してもらうわよ?」

「・・・それは僕じゃ判断できないから、倫也君にぜんぶ任せるよ」

「そう・・・そうね」

 

苑子が倫也と話を始めた。

「いいわね?」

倫也は深々と頭を下げる。

「お願いします、町田さん」

「それがどういう意味かわかるわよね?」

「・・・はい」

「そもそも、小人なんていないって、わかるわよね?」

「・・・はい」

「じゃあ、加藤さんも了承済なのよね?」

「・・・はい」

「表には出られないって・・・しぃーちゃんも言ってけど・・・」

「・・・すみません」

「あの子・・・No2じゃないの?」

「はい・・・頼りっぱなしで・・・いなくなったとたん、ぜんぜん統制とれなくって」

「そりゃあそうよ、誰がシナリオを制御するのよ?」

「・・・すみません」

「でもまぁ、気が済むまでやってごらんなさい。外部からの侵入はもうないから安心して、一次審査の検閲で絶対通過させないから」

「お願いします」

苑子はため息をつく。詩羽の苦労がよくわかった気がした。

 

「上手く大人にも頼りなさいね」

「はい。すみませんでした」

「あとは・・・伊織君と調整するから、彼は借りていくわよ」

「はい。ありがとうございました」

 

(つづく)

 




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