校庭。倫也のいる教室の下で美智留と出海が待機していた。
「きたよぉー波島ちゃん!」
「OKです。イチ・ニノ・サン!」
バサァーとネットを広げる。
「ひゃー」
スカートを抑えながら恵が落ちてくる。
「水色ですね・・・恵先輩」
「ちょっとやめて出海ちゃん!」
びよーん。びよーん。何度か跳ねた後ネットに絡まる恵。
さらに逃げ出そうとする恵を出海が制する。
「これ以上は無駄です、あそこを見てください」
出海が示した先に、伊織と紅坂朱音が立っている。朱音は片手に赤いボールをもっている。
「これ以上続けたら、恵先輩カプセルに閉じ込められちゃいますよ?」
「・・・わかった」
「よーし。トモ。加藤ちゃん捕まえたよー」
「OK」
※※※
「伊織・・・なんだこの演出?」
「やだなぁー。本人たっての希望ですよ」
「あのお嬢ちゃんのか?黙ってれば可愛いのにな」
「可能性の問題ですよ」
「ほどほどにしろよ・・・ほんとに」
「気を付けますよ。朱音さん」
朱音が学校から出ていく。
「加藤さん・・・今度は最後まで突っ走ってくれよ・・・まっ、ボイコットする君も僕は嫌いじゃないけどね」
※※※
教室
「わたしの演技どうでしたか・・・?」
「良かったわよ。さりげなく窓を開けるところなんか」
「ええ、良かったわよクラスメートAさん」
「はい!ありがとうございました!」
クラスメートAが教室からでていく。
「さて、茶番は終わりだ。視聴覚室に移動しよう」
「ねぇ倫理君、加藤さんを説得する方法は見つかったのかしら?」
「ごめん詩羽先輩。何もない」
「何もないって・・・」
「でも、大丈夫だと思う」
「どうしてよ?」
「ああ、英梨々と土下座の特訓したからな」
「・・・」
「そうよ霞ヶ丘詩羽!練習したんだから」
「そういう問題なのかしらね?」
「さっいくぞ」
3人が視聴覚室に向かう。
※※※
「出海ちゃん・・・これなんかベトベトするんだけど」
「そりゃあ、恵先輩捕獲用ですから・・・」
「人を虫みたいに扱わないんで欲しいんだけど・・・」
「ポケ〇ンにされそうでしたけど、どっちがよかったです?」
「・・・もう」
「でも、加藤ちゃんもよくやるよねぇ。もうイメージ崩れすぎじゃないの?」
「そうかなぁ?」
「わたしはそんな恵先輩も好きですよ」
「ありがとう出海ちゃん」
伊織が3人の様子を眺めていた。あまり前面にはでたくないけれど次の会議は参加しないわけにはいかない。これ以上のプロット変更は着地点を見失ってしまうから・・・
「出海、そろそろ視聴覚室いくぞ、倫也君が待ってる」
「はい、でも恵先輩が着替えていくそうです。制服ベトベトで」
「はやくしろよ」
※※※
視聴覚室
「円卓にしたいところだけど・・・」
「コの字型が妥当でしょうね。どうする?倫理君」
「詩羽先輩に任せるよ」
3人で机を並べる。視聴覚室の長いテーブルをコの字した。
中央に倫也。倫也の左手側に詩羽と英梨々が座った。
「お待たせー」
美智留が陽気に入ってくる。そしてすぐ固まる。
「ちょっとぉ、すでに堅いよぉ?あんたらケンカでもするつもり?」
「そうね」
「詩羽先輩!?」
「いい?倫理君。この会議はターニングポイントなのよ。確かに私たちのような同人はあらゆる時間と場所で演じることができるかもしれない。でもやはり選べるストーリーは1つだけだわ」
「で、わたしはどこに座ればいいかしら?」
「好きにしたらいいわ」
「いえ澤村さん、席は大事よ。美智留さんがあちら側に座ったら、あなたの隣は波島さんのお兄さんになるんじゃないかしら?」
「・・・なるほど」
「じゃあ氷堂美智留はわたしの隣ね」
「こういう座り方が対立構造を生むんだと思うんだけどなぁ」
「氷堂さん、ずいぶんと難しい言葉を使うじゃない?」
「あたしだって真面目な時は真面目だよー。苦手なだけで」
「それにしても遅いわね」
「じゃあ、プロローグはこれくらいにしておこうかしらね?」
「どんな区切りだよ・・・」
倫也が先が思いやられるなぁっとため息をついた。
(つづく)
物語を進める展開よりも、会話をメインにキャラを全面に出すスタイルの場合、こういう小さな空間に集まるというのは楽。けど、制御が難しい。