「これが呪いでしょ。ねぇ倫也・・・イベント時期をずらしても同じことが起こるわ。それは違う形だろうけど、中止にはできないのよ・・・」
「ただの不用心だろ・・・風邪だよ・・・」
「そうよ、あたしの那須の別荘での風邪だって同じ。そのタイミングで起こるのよ。もうわかっているでしょ?」
「・・・」
「倫也くん・・・イベント中止にしよ?もうやめようよ、倫也くんの能力でハッピーエンドにしてさ、終わろ?帰ろ・・・」
「倫也、どうするの?続けるの続けないの?続けないなら『英梨々がキスしない、主役が交代する』のよね?で、誰が交代してくれるの?出海?美智留?冗談じゃないわよ倫也!あなたがモブに罵倒したように、サブヒロインも下に見るなら・・・誰が物語にでたがるのよ?恵と二人で物語が成立する?そうかもしれない、二人で閉じこもってR18でも書けばいいじゃない?他の同人マンガの様に好きなだけヤってればいいわ!なんならあたしが書いてあげるわよ!バカ倫也」
「英梨々・・・落ち着け・・・」
「落ち着かなければならないのはあんたでしょ」
倫也は考え込む。へたりこんだ恵の息は荒い。どう見ても病人だ。
「伊織・・・プロットはどうなってる?変更されているか?」
「されてない、そのままだよ・・・それにもうプロットの変更は・・・僕には・・・」
「町田さんか・・・」
「倫也君、僕も澤村さんと同じ意見だよ。続けるべきだと思う。ただ倫也君も無理なら、このまま終わればいい。ハッピーエンドってつまるところ倫也君が選んだ相手と結ばれることなんだから」
「・・・そんなんじゃねぇーよ・・・」
「倫也決めなさい・・・いや、あたしが決める!さぁあたしとキスをしなさい!」
「英梨々っ・・・お前、そんな泣いてキスもなにもないだろ・・・」
「言わなきゃ読者にはわからないよ!そんなこと」
英梨々の体が震えている。
「英梨々・・・わたしからもお願い、こんなイベントやめよ?幸せじゃないキスなんてしなくていいじゃない?」
「恵・・・あざとらしいクシャミ忘れているわよ?」
「くちゅん」
「ただのイベントフラグじゃない・・・」
「それでも倫也君のファーストキスだよ?」
「あたしも初めてだから公平でしょ」
「ぜんぜん公平じゃないと思うんだけどなぁ」
恵が英梨々をにらむ。
「泣いてダメなら脅してみるって、あなたもたいがい子供よね。倫也の何もかも欲しいわけね?あんまり諦め悪いと、やり直してやり直して、どんどん過去にさかのぼるわよ?しまいには倫也と同じ日に産まれるわ。それで実は美智留もわたしでした。みたいなオチ?でもね、そんな話はどうでもいいのよ」
「どうしてもするのね・・・」
「する。あたしがあなたの呪いを解くわ!」
英梨々が倫也に駆けよる。
「倫也、眼鏡ちょうだい」
「正月早々お前にとられたんですけど?」
「つかえないわね・・・だったら目玉よこしなさいよ」
「猟奇的ですかそうですか」
「せめて、目をつぶって」
倫也が目をつぶる。
英梨々が踵をあげてキスをする。
BGMが『The curse of the main heroine』になる。
(つづく)
くちゅん