「で、英梨々はどうやって隕石止めるの?」
「その前にあんたが止めに行きなさいよ!」
「えっーあたしはいいよー。このまま終わるから」
「ちょっとわたしの能力を披露する機会は??」
「じゃあ、見るからやってみて」
英梨々が右手を前にして指をならす。
「アーデルハイト!地の盟約に従い我を守護せよ」
「それっぽいセリフきたー」
倫也のテンションが若干あがる。
「男の子はこういうの好きだよねー」
「わかってないわね恵、こういうのは儀式のかっこよさが大事なのよ」
「描写力が致命的に足りてないよね?」
「・・・」
高さ100mを超す巨大なアイアンゴーレムが現われる。
「どう?どう?すごいでしょ?」
「おおっ」
「これでキャッチして余裕よね」
「伊織に聞いてみたら?」
「どう波島?」
「それ物理的に止めるの?」
「どういうこと?」
「巨大なボールを野球フライみたいにキャッチするイメージなのかなって?」
「そうそう、これだけでかければ」
「直径10㎞だから、その100倍ぐらいの大きさだし、時速数万~数十万㎞だよ」
「・・・それって無理ってこと?」
「地球に到達したら無理だろうね」
「どうすればいいのよ?」
「物理的になら、アルマゲドンみたに隕石を破壊しつつ軌道をずらすことだと思うけど」
「物理的でないなら?」
「さぁ?」
「恵・・・なんとかしなさいよ」
「やだよー、それに英梨々が主役なんでしょ?」
「地球の危機よりもやきもちの方が大事だっていうの?」
「やきもちなのかなぁ?わたし倫也くんと付き合ってるって言ったよね?」
「倫也は認めてないけど?」
「でもわたしは言ったよね?」
「言ったわね」
「なのにキスするって、どういう神経なの?やきもちっていうか普通に怒ってしかたないんじゃないの?現実なら刺されても文句言えない案件だと思うんだけどな」
「・・・」
「そんな英梨々にさ、友達だから『呪いを解放する』とかいわれてもさー。もうその行為自体が呪いだよ。そんないい加減な話にさー、わたしを巻き込まないでもらえるかなぁー」
「いい加減な話に巻き込まれているのは何も恵だけじゃないでしょ」
「だからさー、終わらせようよ」
「いやよ」
「だったら英梨々がなんとかしたらいんじゃないかな」
「お二人で仲のいいところですまないが、隕石衝突まで時間がない」
「恵先輩、駄々っ子みたいですよ!せっかく準備したんです、宇宙みてきてください」
「いいよー別に」
「クシャミしないんですか?」
「くちゅん!」
「そのあざといクシャミ・・・追及しますよ?」
「出海ちゃん・・・」
「いいんですか?『加藤先輩』・・・クシャミの話題を掘り下げても?」
「そう・・・そっちがそのつもりなら・・・行く」
「いってらっしゃい。強制転移!」
「あっ」
恵が駅から消える。
※※※
宇宙空間に放り出される恵。巨大隕石のすぐそばにいる。
「・・・それっぽい服はきているけれど、空気吸えるとか、もう・・・」
「どうですか?」
「どうして息が吸えるの?」
「ファンタジー仕様だからです。お兄ちゃんはSF仕様のそれっぽいところを担当してます」
「で、どっちもけっこういい加減なんでしょ?」
「そりゃあ、作者の能力以上の作中人物は描けませんから」
「もういいよ・・・」
「綺麗でしょ?」
「そうだねぇ。とても静か」
「無音です。星も瞬かないんですよね」
「そうみたい。すごくたくさん見えるけど・・・」
「地球はどうですか?」
「青くて綺麗だよ。でもまだ小さいね」
「すぐに大きくなりますよ・・・その前になんとかしてくださいね」
「出海ちゃんはどこまでわかっているの?」
「どういう意味です?」
「・・・じゃあ、質問変えるわ。出海ちゃん・・・なんで突然わたしは宇宙にいるの?」
「それは隕石の上にいる人に聞いてください」
「そう・・・準備されているのね」
巨大隕石の上に、畳とこたつ。おまけにみかんまで乗っている。座っているのはピンクの衣装の魔法少女だった。
(つづく)
つづく