負け犬ヒロインの育て方 5   作:きりぼー

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つづき


第二十五章

 英梨々がゴーレムの手の平で宇宙を見上げている。

「出海。どう?恵の様子は」

「はい、クラスメートAと接触を確認。巨大隕石のメタファー発言が回収されました」

「じゃあ、ここからは心の勝負ってことでいいのかしらね?」

「そうですね。でも・・・表現は大事ですよ・・・隕石を破壊していくのか・・・それとも・・・」

「受け止めるのか・・・って感じかしらね?」

「はい」

「ATフィールドっぽく宇宙に展開して勝負するわ」

「受け止めるんですね」

「やれるだけやってみる。でもこれって失敗したらバッドエンドなのよね?」

「はい、そしたら倫也先輩の能力が発動されて、ハッピーエンドっぽく終わると思います」

「それはなさそうね・・・」

「ちがうんですか?」

「そんな予防線をはったら・・・あたしが本気にならないことぐらい・・・あいつなら知ってる・・・そうじゃなきゃ・・・降板している説明がつかないじゃない」

「・・・なるほど」

 

※※※

 

 宇宙。巨大隕石。こたつにみかん。クラスメートAと恵がいる。

 

「そろそろわたし行くわね」

「どこにです?」

「ちょっとね・・・」

「あのぉ・・・私はどうやって帰ればいいんでしょうか?」

「むしろ、どうやってきたのよ・・・」

「波島出海って子に準備してもらいましたけど・・・」

「確認してみる・・・出海ちゃん?」

「はい!なんでしょうか?」

「クラスメートAさんってどうやって帰還するの?」

「恵さんと一緒ならなんとかなると思って」

「そう・・・じゃあ、クラスメートAさんは今すぐ戻しなさい」

「それはお兄ちゃんに聞かないと・・・」

「わかったよ加藤さん、クラスメートAはすぐに彼女の自宅に戻す。頼み事はそれだけかい?」

「それだけ・・・よ!」

 

※※※

 

伊織の後ろに恵が立っている。

 

「・・・加藤さん・・・」

「ふーん。ここが秘密基地なの・・・かな?」

「さすがに瞬間移動は・・・」

「でも場所がばれることも予定調和なのかなぁ?」

「加藤さんはもう少し・・・自分を大事に演じた方がいいんじゃないかな?」

「まだ、わたしを『加藤恵』と認識してくれているなら、感謝しないとね」

「・・・信じているんだよ。みんながさ」

「・・・知ってる。でも確認させて・・・霞ヶ丘先輩が復帰したのね?」

「どうかな・・・」

「町田さんのところかな?」

「行ってみたら?」

「そうする」

 

加藤が消える。伊織はため息をつく。

「お兄ちゃん・・・ごめん・・・」

「大丈夫だ・・・けど、加藤さんは本気でこの物語を壊すつもりなのかもしれない」

「こんなにわたしたちががんばっているのに?」

「出海・・・がんばっていることは・・・当然のことなんだよ」

 

伊織が厳しい顔で考える。加藤恵にとっては宇宙も、学校も、自宅も、名古屋も、距離がないに等しい。それは設定のルール違反の気がするが、その境地にまでたどり着いているのかもしれない。作中人物として自分は自分の役割を果たすのがベストだろう。着実に収束に向かっているようだった。

だとしたら、自分にできるのは・・・

 

「そうか・・・そういうことか・・・」

 

と涼しい顔でもっともらしいことをつぶやくぐらいしかなかった。

 

(つづく)

 




自由だなぁ・・・
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