負け犬ヒロインの育て方 5   作:きりぼー

33 / 41
エピローグ②

 倫也と恵がお菓子の器具や材料を扱う専門ショップを訪れる。

 

「本当にあのプロットでやっていけると思ってるの?」

「そりゃー、最初はとまどうこともあるだろうけど、試行錯誤してなれていければ」

「だからって、わたしみたいな素人にブラックサンダーの完全再現なんて、無理だと思うけどなぁ」

「大丈夫、そもそもこの作者からしてぜんぜんすごくないし」

「うーん。ごめん、そこのお菓子用小麦粉とってくれる」

「なんで小麦粉?」

「手作りチョコ。無難なところでフォンダンショコラかなって」

「手作りチョコは作るんだ?」

「だって今夜のエピローグ長くなりそうだし」

「長くなりそうなんだ?」

 

 場面変わって、紳士服売り場。

 

「っていうことは、出海ちゃんが張り切っているのは短編だけってこと?」

「ああ、出海ちゃんは高校受験勉強中だし、それに負け犬7のデザインで忙しいだろ」

「高校受験と負け犬7のデザインで忙しいはずの本編で、『呪い』を一本丸投げしたけどねぇ」

「でも、例え短編でも出海ちゃんには最高傑作を期待しているから」

「でも、本編最後のシナリオが安芸くんだとしたら、クオリティーにすごく差がでることにならない?」

「今は前を向くしかないでしょう?」

「まぁその辺は読者許してもらうしかないか」

「じゃあ、これちょっと買ってきてね。部屋着はお父さんの使ってね」

「泊まるの前提なんだ・・・って、えっ?えっ?ちょっと・・・」

 

 場面変わって踏切。

 

「で、英梨々のほうはまだポンコツのままなの?」

「ああ、だから全部のエピローグを任せるのは難しいかなって」

 

 電車が通過して、踏切があく。

「でも、もう一人負け犬をいれるとしても、英梨々と同じくらいポンコツで、どこの同人にも参加してなくて、安芸くんが頼めそうな子って他にいるの?」

「厳しすぎやしませんか?」

 

 場面変わって恵の家。えっ?

 鍵を開ける恵。

 

「あの恵・・・今日ご両親は・・・?」

「実は今日、長野の親戚に法事があって、今日明日は出かけてて」

「ああーまたそのパターンって、初パターンだよ!?」

「ただいまー」

「おまえ、本気でなんも心配してねぇな・・・」

 

 加藤家のキッチン。よくわからないので倫也家と同じようなのを想像して脳内補完お願いします。

 

 倫也は小麦粉を篩いにかけるのを手伝っている。恵はチョコレートを湯煎している。

 

「さっきもいったけど、俺たちの負け犬2はひどいオチになった。けどそれは、俺の企画が、俺の作りたかったシナリオがひどかったわけじゃない」

「まぁ、行き当たりばったりな上に、全部『加藤恵キャラ』におんぶにだったこだったもんね」

「ん・・・だから、この負け犬5は俺の・・・負け犬シリーズの原点に返る」

「ふーん」

「何気ない、普通のひと時に萌えるシナリオにする」

「そぉ?」

「前作よりもちゃんとキャラ萌えで、けれどそんなパクった物語に感動して、加藤の本当の魅力で読者をつかんで― 」

「どうかな?」

 

 恵が指で溶かしたチョコレートをすくって、その指を倫也の前に差し出す。

 

「ん」

 

 倫也が恵の方をみる。恵はうつむいて目を合わせないまま顔を真っ赤にする。

 

ちゅぱっ

 

 倫也が恵の指をくわえる。倫也がその指を舐めると、恵は倫也の唇を弾くようにして指をそっと抜いた。チョコレートのまじった茶色い唾液が、つぅーと糸を引く。

 

「・・・いいんじゃね」

 

 恵がエプロン外す。

 場面進んで、テーブルに2人が向き合って座る。焼きたてのフォンダンショコラを食べる。

 

「ど・・・どこまで進んだっけ・・・」

「さぁ・・・?」

「えっと、俺はそこをあえて・・・ストーリー軽視のタイムリープもどきでやってみたい、それこそが安芸倫也のカラーなんじゃないかって考えているんだけど、加藤はどう思う?」

「加藤じゃない」

「えっと・・・恵はどう思う?」

「さぁ?どうだろうね?」

「ここ重要だから!だって俺は好きな恵との物語が好きなんだから」

「プロットに対してはほんと照れがないね、安芸くん?」

「う。まぁ聞け、とにかく今は聞いてくれ」

「・・・ついてる」

 

 恵が手を伸ばして、倫也の顔についたチョコレートを指で拭うと、そのままその指を自分でくわえた。

 

「・・・む・・・無理」

「わ・・・わたしも・・・」

 

2人が笑いをこらえている。

 

 場面変わって恵の部屋。プロットの紙を広げる。

 

「最終章はこんな感じ、タイムリープもわけのわからん能力もある。日常会話と大げさだけどガバガバなイベントと恵の可愛さだけで勝負する」

「でもそれなら、またひどい物語になるんじゃない?」

「いままでは二つひどいことがあった。一つは英梨々があまりにポンコツだった。弱いわ、キャラが立たないわ、何がしたいかわからないで擁護のしようもない」

「それは気を付けないとね、自他ともに」

「二つ目がヒロインの反応。これがワンパターンすぎる」

「セリフといえば、『~かなぁ?』『なんだかなー』『しらないよー』を繰り返すだけ!」

「・・・」

「・・・」

「・・・えっ?安芸くん、今、いっちゃいけないこと言わなかった?」

 

 

 

※※※

 

 

 

 問題が発生したため、今回はここまで

 

 

(つづく)

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。